[PR]

Adobe Creative Cloud(以後、Creative Cloud)は、After Effects、Premiere Pro、Photoshop、Illustrator、Dreamweaverなどを始めとする、アドビの動画編集・グラフィックデザイン・Webデザイン用アプリケーションソフトを使用できるサービスだ。
2013年以前、これらのソフトはAdobe Creative Suite(以後、CS)とよばれる永続ライセンス(半永久的にソフトの使用許諾を受ける方式)として提供されていた。現在はこの方式が一新されており、ソフトの利用期間に応じて料金を支払うサブスクリプション方式が主流となっている。
2015年6月に行われたCreative Cloudの大幅アップグレードに合わせて、CS6からCreative Cloudへの段階的な移行に着手した、株式会社 lunaworks 代表取締役(兼、クリエイティブ・ディレクター)の永岡 聡氏と、同社スタッフの高間祐児氏に、移行の実際を語ってもらった。

  • lunaworks
  • lunaworks
    lunaworksでは、アニメーション・ゲーム・Web・CM・玩具・映画など、エンターテインメントにおけるすべてのプロジェクトに関する企画開発業務に加え、それに伴うキャラクター・プロダクツ・グラフィックスなどの多種多様なデザイン開発業務も行っている。 また、ワールドワイドなオリジナルコンテンツの開発、および商品化プロジェクトも進行中だ。
    http://www.lunaworks.co.jp

今回レビューに協力をいただいたlunaworksスタッフの皆さん。永岡氏は写真左から二番目、高間氏は写真中央

自社で完結する案件では、早々にCreative Cloudを導入

CGWORLD(以下、CGW):まず最初に、lunaworksの会社規模や業務内容を教えていただけますか?

永岡 聡(以後、永岡):現在は東京都杉並区のオフィスに11人が勤務しています。来年には関西支社を設立する予定で、既にスタッフが現地に2名おり、さらに活動の場を広げるべく準備をしている最中です。
当社を起ち上げる前、私はフリーランスとして活動しており、アニメのシナリオや作画、イラスト、3DCG、映像編集など、オールマイティに手がけていました。当社はその流れをくんでいるので、業務内容は多岐にわたっています。CM・アニメーション・企業PV・遊技機の液晶映像・フィギュアのデジタル造形などの通常業務に加え、オリジナル作品の企画も進行中です。

【左】自社オリジナルタイトル『Ark』 ©satoshi nagaoka・lunaworks Inc.
【右】『S.H.Figuarts スーパーマリオ あそべる!プレイセットD 敵わらわら入門編』/ファイアマリオのデジタル原型制作を担当(※マリオ本体の製作は除く) ©Nintendo

【左】『劇場版アイカツ!』/モデリングを担当 ©2014 BNP/B, AM
【右上】『アイメトリクス プロモーションCM』/ 3DCG 制作を担当 ©EYEMETRICS JAPAN CO.,LTD
【右下】自社オリジナルタイトル『くまのトット』 ©ながおかさとし・lunaworks Inc.

CGW:Creative Cloud搭載の全ソフトを使いこなしそうな業務内容ですね。現在使用しているアドビ製品を、バージョンも含めて教えていただけますか?

高間祐児(以後、高間):業務のメインで使用しているのはCS6です。一方で、6月にCreative Cloudのグループ版(中小規模法人、および部門レベル対象のプラン)を導入したので、そちらの使い勝手も試しています。
今回のアップデートで、各ソフトのパフォーマンスが向上したのはもちろん、モバイルアプリケーション(注1)との連携や、クラウドストレージ上に格納されたアセット管理の機能も強化されました。デスクトップ・モバイルなどのデバイスを問わずデータを共有できるので、何処にいても、直観的にアイデアをビジュアライズできます。
CS6で使用していたサードパーティのプラグインが使用できるのかどうか気になっていましたが、大半は問題なく動作しています。

※注1:現時点(2015年7月)で全モバイルアプリケーションに対応しているのはiOSのみで、App Storeからダウンロード可能。一部Android版がリリースされており、Google Playからダウンロード可能。

CGW:関西支社が始動したら、Creative Cloud Librariesの使用頻度が増えそうですね。

永岡:現時点ではデータ容量やアップロード方法に制限(注2)があるものの、Creative Cloud Librariesのファイル共有機能には今後の可能性を感じます。
例えばAfter Effectsで作成したエフェクトのアーカイブ素材をスタッフ間で簡単に共有できれば、エフェクトの質感統一を迅速に行えます。また、ロケハン先とスタジオでリアルタイムにファイルを共有できれば、意見統一や意思決定が早くなります。クラウドストレージとソフトの連携は、共同制作現場のワークフローを飛躍的に進化させる可能性を秘めているといえます。

※注2:Webブラウザからアップロードする場合、データ容量は1ファイル1GBまで。フォルダ同期によるアップロードの場合は5GBまで。また、モバイルからデータをアップロードする場合はWiFi環境が必要となる。

CGW:今後、どのようなプロジェクトにCreative Cloudを導入する予定ですか?

永岡:当社だけで完結する案件やオリジナル作品では、早々にCreative Cloudを本格導入したいと思っています。一方で、他社と一緒に進めている案件は、当面、CSを使い続けることになりそうです。
複数社が関わり、しかも数年にわたるプロジェクトの場合、スタート段階で導入したソフトをプロジェクトの途中で変更することは非常に困難です。時にはクライアントの社内ツールを導入して、クライアントと同じ開発環境を自社内に構築する場合もあります。そういう案件のほとんどでCSが使われており、Creative Cloudへの移行の見通しがたたないのが現状です。
とはいえ、ハードウェアやOSはどんどん進化していきますから、半永久的に今のCS を使い続けることは不可能です。どこかのタイミングで、一気にCreative Cloudへの移行が進展する可能性が高いでしょう。そのときに備え、今のうちに様々な検証を行っておこうと考えています。
幸い、CS6をインストールしているコンピュータに、新たに2015年リリースのCreative Cloudをインストールしても、どちらも不具合なく動作しています。最近は、従来どおりCS6を使いつつも、並行して2015年リリースの検証を行っています。

Creative Cloudなら幅広い映像フォーマットの素材に対応できる

CGW:Creative Cloudに移行することで、改善が期待できそうな点を教えていただけますか?

永岡:第1に、様々なデータ形式に対応できる点があげられます。少し前に、4Kの映像素材を扱う案件の依頼があったのです。
Creative Cloudなら様々な高解像度の映像フォーマットに対応しているので、Creative Cloudを導入したいと思いました。徐々に4K・8Kなどの言葉に触れる機会が増えているので、近い将来、こういった素材を扱う頻度が上がってくるかもしれません。
Creative Cloudなら常にソフトを最新版にアップデートできるので、"この素材に対応できるのか?"を心配しなくても良いというメリットがあります。加えて、当社のOSはほとんどがWindowsですが、Mac OS環境のCreative Cloudユーザとも問題なくデータをやり取りできています。使用OSを気にする必要がない点も心強いですね。

CGW:その他に特筆すべき点はありますか?

高間:CINEMA 4DとAfter Effectsの連携が強化されたことですね。CC導入以降、CINEMA 4Dの導入にコンポジットチームが興味を示しています。"CINEMA 4Dを使えば、いちいちスクリプトを書かなくても簡単に3次元的な演出ができる。従来であれば、3DCGチームとの連携が必須だった表現に、コンポジットチームだけで挑戦できそうだ"という意見を聞いています。
実現すれば、最終的なルックをつくるに当たり、どんな素材を、どんな方法で、どのタイミングから作り始めれば良いのか、その場でコンポジットチームが判断できるようになります。そうなればワークフローが変わるでしょうし、仕事の受注の柔軟性がさらに増すでしょう。これは大きなインパクトにつながるかもしれないと期待しています

CGW:lunaworksのワークフローが1年後にどう進化しているのか、追跡取材をしてみたいですね。

永岡:当社のワークフローはまだ確立していないので、1年後の姿は私自身にも予想できません。日々トライ&エラーを繰り返しており、スタッフの使用ソフトも変化するので、Creative Cloudグループ版のライセンス管理画面は使い勝手が良いですね。
これまでは、量販店で購入したもの、ダウンロードで購入したものなど、ソフトによってライセンスの管理方法がバラバラで、非常に煩雑でした。Creative Cloudなら1つの画面で全スタッフのライセンスを管理できるので、かなり負担が軽減されつつあります。
スタッフの人数がプロジェクトによって変化する会社であれば、必要な時に必要な分だけライセンス契約ができるCreative Cloudはメリットが大きいでしょう。一方で個人の場合には、初期費用を抑え、1ヶ月単位で多様なソフトの試用ができる点がメリットだと思います。

以降は、Creative Cloud 2015年リリースの各種ソフトに対する、永岡氏のレビューを紹介する。

After Effects CC 2015年リリース
パラメータなどの変更結果をインタラクティブにプレビューへと反映

CS6にて、グローバルパフォーマンスキャッシュによる効率化が図られ、 RAM プレビューに大きな進化がもたらされたことは記憶に新しい。2015年リリースではレンダリングアーキテクチャが大きく一新され、CPUでUIと画像のレンダリングを別々に処理できるようになった。そのため、エフェクトパラメータの変更、レイヤーのオン・オフ切り替えなどの操作を行うと、たとえフレームの計算中であっても、操作結果がインタラクティブにプレビューへと反映されるようになった。これは従来のAfter Effectsにはなかった機能で、待望の進化といえる。

After Effects CC 2015年リリース
インタラクティブなアニメーションを可能にする"Character Animator"

After Effects CC 2015年リリース にバンドルされる形で提供開始となった新しいソフトで、Photoshop や Illustrator で作成した 2D キャラクターに対し、フェーストラッキング、音声、マウス操作、キーボードなどで動きを与え、インタラクティブなキャラクターアニメーションを制作できる。なお、操作結果はそのまま録画され、画像はPNG の連番ファイル、音声はWAV ファイルとして出力される。出力後に、Character Animator でキーフレームを調整するといった変更はできない。インタラクティブな活用が見込めるユニークなソフトなので、今後のさらなる進化に期待したい。

Adobe Hue CC
色と光の情報をキャプチャし、Look として保存可能

色と光の情報をキャプチャし、Look として保存できるモバイルアプリケーションソフトだ。保存されたLook は、3D 空間内で球体として視覚化される。ユーザーは好みのLook を選択し、任意の画像へと簡単に反映させることができる。Creative Cloud Libraries を通せば、After Effects やPremiere Pro で使用できるのに加え、他ユーザーとの情報共有も可能となる。

Adobe Shape CC
アナログイラストや写真を、簡単な操作で高品質なベクターシェイプに変換

アナログイラストや写真を、簡単な操作で高品質なベクターシェイプに変換できる、モバイルアプリケーションソフトだ。変換時には、画面に表示されるラインの太さをスライダーで調整・決定する。Creative Cloud Libraries を通して、Illustrator で加工することもできる。アイデア次第で、ロトスコープ作品にも挑戦できそうだ。

Adobe Premiere Pro CC 2015年リリース
カラーグレーディングがより直観的に

デスクトップ&モバイルアプリケーションソフトの連動により、外出先での映像制作も可能となった。さらに、進化したカラーグレーディング、モーフカット、タイムチューナーなど、Premiere Pro 史上最高と謳われる多彩な機能が搭載されている。
Lumetri カラーパネルは非常に直感的な設計で、経験豊富なカラーリストだけではなく、カラーグレーディングの初心者でも扱えるようになっている。また、SpeedGrade へプロジェクトを送信し、カラースペシャリストと連携すれば、 より繊細な仕上げ作業ができる。
多種多様なフォーマットにネイティブ対応しており、スマートフォンで撮影した映像から8K 映像まで、あらゆるメディアを直感的に編集できる点も心強い。また、顔認識技術を応用して、人物のインタビュー映像などを滑らかにつなぎ合わせるモーフカットという新機能にも注目したい。

Premiere Clip
モバイル環境で映像のカット編集が可能に

Premiere Pro と連動して動く、モバイルアプリケーションソフトだ。撮影したムービーやカメラロールに保存された映像をカット編集でき、Lookのプリセットも利用できるなど、モバイルながら驚くべき動画編集機能を有している。また、編集した動画はXML ファイルへの書き出しが可能なため、デスクトップとの連携も容易だ。

REVIEW_lunaworks
EDIT_尾形美幸(CGWORLD)
PHOTO_弘田 充

AdobeCC

Adobe Creative Cloud グループ版

●動作環境
下記リンクを参照
https://helpx.adobe.com/jp/creative-cloud/system-requirements.html

●価格(税別)
・通常版
Creative Cloud グループ版 コンプリートプラン 83,760円/1年
Creative Cloud グループ版 単体プラン 35,760円/1年

・特別提供版(CS6ユーザー様向け)*2015年8月25日まで
Creative Cloud グループ版 コンプリートプラン 47,760円/1年
Creative Cloud グループ版 単体プラン 26,160円/1年


●お問い合わせ
株式会社ボーンデジタル TEL:03-5215-8671
FAX:03-5215-8673
URL:http://www.borndigital.co.jp/software/2595.html
Creative Cloudブログ:http://cloud.borndigital.jp/cc/