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15万円以下でDaVinci Resolve同梱。RAW映像を撮れるBlackmagic Pocket Cinema Camera 4K

15万円以下でDaVinci Resolve同梱。RAW映像を撮れるBlackmagic Pocket Cinema Camera 4K

ブラックマジックデザインは、従来高額でプロフェッショナルしか手の届かなかった各種映像機器を、コンシューマ機器より少し高い程度の価格帯で提供することで業界内の価格破壊を加速させている。そんな同社によるPOPUPイベント「Blackmagic Design LIMITED HOUSE STUDIO」が、2018年9月28日〜30日の3日間、渋谷のTRUNK(HOTEL)にて開催された。会場で紹介されたBlackmagic Pocket Cinema Camera 4Kを「チャレンジャーのためのカメラ」と言い切るプロダクトマーケティングマネージャーの北山壮平氏、PR&コミュニケーションズ担当の金原真奈美氏に、本カメラの機能と、そこに込められた想いなどについて詳細にお聞きした。さらに本記事では、同社が発表した独自のファイル形式であるBlackmagic RAWについても紹介する。

※本記事は2018年9月28日の取材内容に基づきます。

TEXT_安藤幸央(エクサ)/Yukio Ando(EXA CORPORATION
EDIT_尾形美幸 / Miyuki Ogata(CGWORLD)

RAW映像を撮れる、ポータブルなプロ仕様カメラ

−−Pocket Cinema Camera 4Kが登場した経緯を教えてください。

▲【左】Pocket Cinema Camera 4Kの背面。屋外でも見やすい超高輝度の5インチ大型タッチスクリーンが特徴的だ/【右】同じく側面。フルサイズHDMI、USB-C拡張ポートなどを搭載している。USB-Cからの給電が行えるのに加え、フラッシュドライブやSSDなどの外付けアクセサリを接続し、収録時間を大幅に伸ばすこともできる。撮影後、同じドライブを編集やポストプロダクションに使えるというメリットもある。なおバッテリーはLP-E6を使用しており、24pの映像を約1時間撮影可能


北山壮平氏(以下、北山):数々の競合カメラがある中で、当社はほかとは異なるルックの映像制作をするお客様向けのカメラを提供しています。そういうお客様の多くが「フィルムのような映像を撮りたい」「映画的な美しいルックの映像を撮りたい」という要望をおもちです。2014年に登場した初代Pocket Cinema Cameraは、その要望を個人でも買える価格で満たせるカメラとして評価されてきましたが、スクリーンが見づらかったり、映像が暗かったりという課題もあり、好きな人はすごく好きだけど、ちょっとクセのあるスポーツカーのような位置付けのカメラでした。初代の登場から数年が経過し、4K版のCinema Cameraがほしいという声が大きくなる中で、ただ4Kのカメラをつくれば良いわけではないと考え、多くの試行錯誤を重ねてきました。

そんな折、2年前にURSA miniをリリースし、RAWデータの素晴らしさを再認識しました。お客様の中には、一般的な一眼レフカメラの動画撮影機能を使って映像を撮る方もいらっしゃると思いますが、8ビットのデータ形式だとDaVinci Resolveなどで画づくりをしようにも階調が少なく、できることは限られます。これは料理の素材の鮮度がいまいちなのに、料理の腕だけでなんとかしようとしている状態です。

そこで、RAW形式の映像を撮影できるポータブルなカメラを開発しようと考えたのです。ただし完全なRAW形式を扱うと、映像データは毎回数テラバイト級になります。そのため人間の目では見分けがつかないレベルの情報は圧縮する、ビジュアルロスレス CinemaDNG RAW 3:1という圧縮RAWを選択できるようになっています。8ビットなら256階調、10ビットなら1,024階調ですが、CinemaDNG RAWは12ビットですから4,096諧調のデータを保存できます。その分だけ、多彩な画づくり、劣化の少ない画づくりが可能となります。

Netflix、Amazonプライムビデオ、Huluなどの映像配信サービスが充実してきたこともあり、最近の視聴者はクオリティの高い映像を見慣れており、市場が求める基準は高くなってきました。一方でコンピュータやストレージの価格は下がっており、個人のカメラマンやビデオグラファーでもRAW形式のデータを扱えるようになっています。Pocket Cinema Camera 4Kはハイエンドカメラにも負けない映像を撮影できるプロ仕様のカメラですから、ぜひ果敢にチャレンジし、活躍の場を広げてほしいと願っています。

−−先日発表されたBlackmagic RAWは、Pocket Cinema Camera 4Kでも対応していますか?

北山:残念ながら現時点(2018年9月28日時点)では対応していません(※)。ただし今後のファームウェアのアップデートで無償対応していくため、先々では使えるようになります。

※ 本記事公開時点でのPocket Cinema Camera 4Kの収録形式は下記の通り。
ロスレスCinemaDNG RAW、RAW 3:1、RAW 4:1(Filmダイナミックレンジ)4096 x 2160、3840 x 2160、1920 x 1080
Apple ProRes(Film/Video/Extended Videoダイナミックレンジのいずれか、またはカスタム3D LUT)4096 x 2160、3840 x 2160、1920x1080


北山:Blackmagic RAWは、文字通り黒魔術(ブラックマジック)のようなRAWコーデックです。デモザイク処理の一部がコンピュータのCPUからカメラ本体に移された結果、エンコーディングの効率が劇的に向上しました。従来のRAW形式と同じ画質、ビット深度、ダイナミックレンジであるにも関わらず、従来よりも優れたパフォーマンスが得られ、非常に小さなファイルサイズにすることも可能です。エンコード方法は固定ビットレートと、固定クオリティの2種類があり、ファイルサイズと画質のどちらを優先するか選べます。

▲固定ビットレート(Constant Bitrate)にはBlackmagic RAW 3:1、5:1、8:1、12:1の4種類があり、予測通りのファイルサイズで、可能な限り優れたイメージが得られるように設計されてる。固定クオリティ(Constant Quality)はBlackmagic RAW Q0、Q5の2種類があり、ディテールなどを多く含む複雑なフレームは高いデータレートでエンコードすることで、ディテールや品質が保たれるように設計されている

15万円以下で、DaVinci Resolve Studioも同梱

−−ビューファインダーがとても大きくなった点が目を引きますね。


北山:それもこだわりのひとつです。一般的な一眼レフカメラですと、搭載されているビューファインダーが小さいため、動画撮影の際にはカメラの上に外付けモニタを乗せて使っているお客様もいらっしゃいます。外付けモニタに限らず、機材が追加されるほど必要なバッテリが増え、ケーブル断線などのトラブルの要因も増えてしまいます。例えば荒野で長期ロケをする場合などは、トラブルがあっても手軽に代わりのケーブルや機材が買えるわけではありません。そこでカメラ本体に超高輝度の5インチ大型タッチスクリーンを搭載し、ショットのフレーミングやフォーカスを簡単に行えるようにしました。映像データに3D LUTを適用することも可能なため、希望のカラーとルックでモニタリングでき、その結果をフッテージに焼き付けることもできます。

一方で、手ぶれ補正、顔認識などのアマチュア向けカメラによくある機能は搭載せず、当社のお客様が本当に必要としている機能だけを厳選しました。電源を入れたらすぐに撮影でき、限りなく美しい映像データが得られるという点をシンプルに突き詰めれば、良い製品ができると考えたのです。そのためPocket Cinema Camera 4Kは誰にでもハッピーなカメラではありません。言うなれば「チャレンジャーのためのカメラ」です。明確な目的をもって撮影する人、ハイエンドのカメラを手に入れたいけれど価格が高く手が届かない学生やアマチュア、才能ある映像作家などのニーズを満たすカメラにしたいと考えました。価格や機材の壁を取り払うことで、チャレンジャーたちが自分のセンス次第で限界点を突破できるようになることを目指したわけです。

−−Pocket Cinema Camera 4Kの価格はいくらですか?

北山:147,800(税抜)円です。この価格が決まるまでには、様々なストーリーがありました。スチル撮影の「おまけ」として動画撮影もできるプロ向けの一眼レフカメラだと50〜60万円、オプションも付けると100万円ほどになります。業界で支持を得ているプロ向けのデジタルシネマカメラだと数百万円クラスです。そんな中で、いくらが妥当なのか検討していたある日、当社CEOのグラント・ペティー(Grant Petty)が「初代Pocket Cinema Cameraは10万円だったから、解像度が高くなり性能が上がったとしても、価格が上がるのは良くない。Pocket Cinema Camera 4Kも10万円にしよう」と言いだしました。

−−それはすごい。

北山:正直、びっくりしました(笑)。それを受けて各部署が努力したものの、どうしても15万円台が限界で、それより下げると採算割れになることがわかりました。そこでDaVinci Resolve Studio(DaVinchi Resolveの有償版)のライセンスを同梱することにしたのです。Pocket Cinema Camera 4Kを購入すれば、編集、カラーコレクション、Fusion(VFX)、Fairlight(オーディオ)など、DaVinci Resolve Studioの全機能が使えます。

−−Pocket Cinema Camera 4KにDaVinci Resolve Studioを同梱することで、プロダクションからポストプロダクションまでのワークフローを全てカバーできるようにしたわけですね。

北山:今回に限らず、既存製品をバージョンアップする場合には、なるべく価格を据え置くか、価格に見合う機能を追加するよう努めています。そういう当社ならではの姿勢を評価し、当社の製品を選んでくださるお客様が多いと感じているので、その信頼に応えたいと思っています。

▲TRUNK(HOTEL)に3日間だけ特設されたブラックマジックデザインのハウススタジオ


−−この価格であれば、確かに学生でも手が届きそうですね。

北山:ぜひ、VFXや映像制作を学んでいる学生の方々に使っていただきたいです。これまでにいくつかの学校を訪問してみて、学校が所有する機材が充実していても、それを学生がいつでも自由に使えるわけではない状況が創作の妨げになっていると感じました。台数が限られていたり、貸し出し手続きが煩雑だったりで、「思い切ったチャレンジをしよう」と思えるまでカメラに慣れ親しむ時間をもてていない学生が多いと感じています。もし自分だけのPocket Cinema Camera 4Kを常に持ち歩けるようになれば、時間や手間をかけた映像制作も可能になると思います。DaVinci Resolve Studioも使いこなしていただければ、その経験は将来の仕事にも生かせるでしょう。

Pocket Cinema Camera 4Kはプロの映像制作にも活用いただけますから、仕事を始めてからも使い続けることが可能です。プロデューサー、ディレクター、VFXアーティストなど、カメラマンやビデオグラファー以外の人にも使っていただける手軽さが魅力のカメラでもあると思います。ぜひ、映像のイメージやルックの探求に活用してほしいです。

▲25,600までに対応するデュアルネイティブISOを搭載、ネイティブISO値は400と3,200となっており、低照明条件でも高いパフォーマンスを発揮する。Bluetooth経由でリモートコントロール可能な 「Blackmagic Camera Control」というiPad用アプリも用意されている


−−Pocket Cinema Camera 4Kを実際に触れる場所はありますか?

北山:当社の東京ショールームと、ブラックマジック 大阪Storeには実機がございます。システムファイブ、フジヤエービックの店舗などでも取り扱っています。さらに大型家電量販店での展開も検討しています。ぜひ実際に手に取って、使い心地を体験していただきたいです。

−−多くのチャレンジャーの手に届くと良いですね。お話いただき、ありがとうございました。

info.

東京ショールーム(事前予約制)
東京都目黒区駒場4-7-2 GREEN WAY駒場 PARTⅡ
問い合わせ先:03-5465-2104、pr-jp@blackmagicdesign.com

ブラックマジック 大阪Store
大阪府大阪市中央区南久宝寺町4丁目3-9 丸盛ビル

Profileプロフィール

ブラックマジックデザイン(Blackmagic Design)

ブラックマジックデザイン(Blackmagic Design)

左から、北山壮平氏(プロダクトマーケティングマネージャー)、金原真奈美氏(PR&コミュニケーションズ)
www.blackmagicdesign.com/jp

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