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本格的な4K HDR時代の到来と共に、HDRコンテンツを正しく再現できるプロ用リファレンスモニタの需要が高まっている。こうした中、EIZOのColorEdgeブランドから満を持して「ColorEdge PROMINENCE CG3145」(以下、CG3145)が発売された。従来のHDR対応製品をはるかに凌駕する実力を、Luminous Productionsの綿森 勇氏に検証してもらった。

TEXT_小野憲史 / Kenji Ono
EDIT_小村仁美 / Hitomi Komura(CGWORLD)、山田桃子 / Momoko Yamada
PHOTO_弘田 充 / Mitsuru Hirota

4K HDR映像が社内で確認できる

「頭の中で思い描いていた4K HDRのCG映像が、ようやく手軽に確認できる時代がやってきました。これまで特別な施設でなければ見られなかった映像が、自分の机の上で表示されているのは感慨深いですね」。2018年4月よりNHKで放映され、好評を博したNHKスペシャル シリーズ『人類誕生』(以下、『人類誕生』)でディレクターを務めたLuminous Productionsの綿森 勇氏は、EIZOの4K対応HDRリファレンスモニタ、CG3145で表示された映像素材を前に、こうつぶやいた。

  • 綿森 勇氏/ディレクター
    (Luminous Productions)

    CM業界を中心に実写VFX分野で活躍し、その後スクウェア・エニックスへ転身。2016年公開の長編フルCG映画『KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV』のコンポジットとポストプロダクションのスーパーバイザー、2018年放映のNHKスペシャル シリーズ『人類誕生』の映像ディレクターを担当する
    www.luminous-productions.com

実写VFX映像制作でキャリアを重ね、ゲーム業界に移籍。スクウェア・エニックスで数々のゲーム開発に携わってきた綿森氏。同社が制作し、2016年に劇場公開された長編フルCG映画『KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV』(以下、『KINGSGLAIVE FFXV』)では、コンポジット&ポストプロダクションのスーパーバイザーも務めた。2018年3月にスクウェア・エニックス・グループにLuminous Productionsが発足すると、同社に移籍。新作タイトル起ち上げのかたわら、技術力に惚れ込んだNHKからの依頼で『人類誕生』のCG・VFX制作を引き続き手がけることになった。

地上波での放映は2K SDRながら、局への納品は4K HDRでも行われた本作。綿森氏にとっても、4K HDR作品を手がけたのは映画『KINGSGLAIVE FFXV』に続いて2作目となる。共に外部の協力会社と協業し、ポストプロダクションで4K HDRに対応した形だ。もっとも、後述するように4K HDR対応のリファレンスモニタはポスプロの編集室にしかなかったため、制作現場で最終的な仕上がりを厳密に確認できる機会はほとんどなかった。それがついに社内でHDRの正しい色イメージを確認できるようになったのだ。

実際に『人類誕生』の映像素材を従来の制作モニタ(SDR表示)とCG3145(HDR表示)で比較したところ、ちがいは明らかだった。SDR表示では白飛びを起こした水平線上の太陽が、HDR表示では階調がつぶれることなく、くっきりと表示されたのだ。最大輝度1,000cd/ ㎡、コントラスト比100万:1を誇るCG3145の実力が遺憾なく発揮された瞬間だった。

下流工程から順にHDR対応モニタに置き換わっていく

職業柄、色味に人一倍のこだわりを見せるが、本人は「見たままの風景をCGで再現したいだけ」と語る綿森氏。社内でもよく、「打ち上げ花火の光が重なったとき、白く見えるか」という話をするという。答えは否だが、これまでは「光が重なると白くなる」演出が無意識に行われてきた。SDR時代は白さが明るさの記号的表現だったからだ。しかし、HDR時代になると「見たまま」の輝度で表現が可能になる。だからこそ綿森氏は、「CGアーティストは現実世界のモノの見え方に敏感になるべきだ」という。

もっとも、これまでは、「見たまま」を再現できるHDR表現を忠実に表示できる制作用モニタは限られていた。Luminous Productionsでも、コンポジットチームが利用しているのはEIZOの2K(1,920×1,200)解像度対応液晶モニタ「ColorEdge CG247」だ。自動再調整機能を搭載しており、自動的に正しい色調が保たれることと、BT.709をはじめ多彩な映像規格に対応している点が採用の決め手だった。コンポジットツールにNUKEを使用し、色調を数値管理することで、安心して作業が進められたという。

これに対して綿森氏はCG3145を使用するメリットとして、「HDR(PQ方式)対応」、「BT.2020対応」、「4K解像度」という3点を挙げた。実際に『人類誕生』の作業中、CG3145のようなリファレンスモニタが社内にあれば、チーム全員が即座に正しい色調を確認でき、さらなるクオリティアップにも貢献したのではないかという。その上で「必ずしもCG制作の全ての工程でHDR対応モニタは必要ありません。コンポジターのような最終的なイメージの確認が必要なスタッフから導入すると良いのではないでしょうか」と見通しを語った。

「約20年間のキャリアの中で、BT.709に縛られてきた」と語る綿森氏。実際に画質を決める要素のうち、「解像度」、「ビット深度」、「フレームレート」は先行して普及しつつも、「色域」や「輝度」は後発だった。これが近年、技術革新に伴い表現可能なダイナミックレンジが拡張したことで、ようやく現実世界に近い明るさと色表現が可能になってきた。

すでに、Netflixや4K Ultra HD Blu-rayなどでは4K HDRコンテンツの配信が始まっており、今後もさらなる拡大が予測される。これに対してEIZOではCG3145に加えて、制作用HDRに対応した製品ラインナップを展開している。CG3145と同じ31.1型でDCI4K解像度に対応した「ColorEdge CG319X」と、27型2,560×1,440解像度の「ColorEdge CG279X」の2機種は、最大輝度が350cd/㎡、簡易的なHDRプレビュー確認ができるHDRシリーズ実用モデルだ。これにより充実した環境でHDRコンテンツ制作を手がける企業から、コストパフォーマンスよく制作を進めたい企業まで、個別のニーズに対応している。

仕上がりの色イメージを実際にモニタ上で確認しながらCG制作を行う時代の到来に、CGスタジオとしてもHDR対応モニタの導入を検討する必要に迫られそうだ。

TOPIC 01

DCI 4K(4,096×2,160)のIPSパネルを搭載し、最大輝度1,000cd/㎡、コントラスト比100万:1を実現。DCI-P3、BT.2020を含む豊富な映像制作専用カラーモードも搭載し、簡単に切り替えできる。NUKEでモニタ上に表示されたHDR表示(左側)とSDR表示(右側)の画像を比べると、白とびや輪郭のつぶれ具合などから、そのちがいは明らかだ。

TOPIC 02

デジタルシネマに用いられる規格、DCI-P3をほぼ忠実に再現。4K/8K放送の色基準となるBT.2020色域にも対応した。BT.709色域では再現できなかった、現実世界に近い色彩を忠実に再現できる。写真は背景がBT.2020、文字がBT.709で表示されたサンプル(NUKEで表示)。同じシアンでも、色味がまったく異なっていることがわかる。

TOPIC 03

配信・映画制作向けに規格化されたPQ方式と、放送向けの規格であるHLG方式を含む、様々な規格に対応したガンマ値を標準搭載。画面上に表示されるメニューから、手軽に切り替えられる。同様にHDRチェッカーを表示させて、モニタ上で階調・輝度・色味が正しく表示されているか確認することも可能だ。



  • ColorEdge PROMINENCE CG3145
    サイズ:78.9cm(31.1)型
    推奨解像度:4,096×2,160(アスペクト比17:9)
    輝度(標準値):1,000cd/㎡
    色域(標準値):DCI-P3カバー率99%
    表示色:約10億7,374万色(10-bit対応)
    コントラスト比(標準値):1,000,000:1
    HDRガンマ:HLG方式、PQ方式
    外観寸法(横表示・幅×高さ×奥行):757×487~603×323mm(※)
    質量:約29.2kg(※)
    ※標準スタンド装着時

    EIZO株式会社
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