イマジネーション・テクノロジーズは、PowerVR Rogue GPUアーキテクチャ(Rogue7)の最新世代であるPowerVR Series7を発表した。16~512コアまでスケーリング可能な、ALU(算術論理演算)を持つGPUフルラインナップが圧倒的なスケーラビリティ、効率性、パフォーマンスを実現する。
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■ 製品概要

PowerVR Series7のアーキテクチャは、ウェアラブル機器、IoT、自動車、モバイル、デジタル家電やハイパフォーマンスGPUコンピューティングに至る、幅広い次世代製品に対応できるように設計されている。柔軟な構成が可能なGPUは、さまざまな市場要求に対応し、完全なハードウェア仮想化や、ハードウェア・テッセレーション機能を備えたAndroid Extension Pack(AEP)対応などの新機能に加え、ジオメトリシェーダ、帯域幅と電力を低減するPVR3Cトリプル圧縮テクノロジー、ASTC(Adaptive Scalable Texture Compression)の完全サポートなどの、実績ある機能も実装している。また、Series7にはイマジネーションの先進的なPowerGearingテクノロジーが搭載されており、コアレベル、クラスタレベルでの動的な電力管理を実現している。
イマジネーションで、マーケティング担当エグゼクティブ・バイス・プレジデントを務めるTony King-Smith氏は次のように述べる。「グラフィックスを利用したデバイスが日常生活のあらゆる状況に入り込んでいる中で、もはや単一のソリューションだけを提供するわけにはいきません。新世代ごとにローエンドからハイエンドまでをすべて揃え、幅広いアプリケーションに対応できるようにしなければなりません。PowerVR Series7では、アーキテクチャだけでなく、物理実装とパフォーマンスの迅速な最適化を実現するDesign Optimization KitsなどのツールによるIPサポートも強化しました。これらによりすべての項目で、電力、パフォーマンス、面積の最適なバランスに基づく適切なサイズのソリューションをパートナー様にお選びいただけます」。
また、Jon Peddie ResearchプレジデントのJon Peddie氏は次のように述べている。「イマジネーションのPowerVR Series7を導入することで、顧客はハードウェア・テセレーションなどの新しい先進的な機能の恩恵を受けて、さまざまな新しいマーケットに積極的に進出できます。新しいコアに組み込まれた仮想化技術により、イマジネーションはパワフルなグラフィックスとコンピューティングパフォーマンスの実現のみならず、顧客のSoCの安全性確保に貢献する、より高い付加価値を提供します」。

●主な特長
優れたマルチクラスタスケーラビリティ
PowerVR Rogueは、スレッド、コア、クラスタによるスケーラブルなアーキテクチャ。最大32個のマルチスレッドALUコアのクラスタを使用するRogueは、画面の同じ領域上では専用のテクスチャユニットと密接な連携動作する。このアプローチは、従来のマルチコアのように、多くのコアがそれぞれ、画面の異なる領域上でまとまりのない動作の結果、多くの分散メモリアクセスが行われる非効率なDRAM使用法とは違い、すべてが関連付けられた効率的なメモリアクセスを確保。高度なスケーラビリティと効果的なアーキテクチャを備えたPowerVR Series7 GPUは、他に類をみないパフォーマンスと効率性を実現する。
アーキテクチャ上の大幅なパフォーマンス向上
Series7XT/Series7XE GPUアーキテクチャは、前世代のPowerVR Series6XT/6XE GPUの同等構成と比較して、最新業界標準ベンチマークで最大60%と大幅にパフォーマンスが向上しており、最高の効率、最高のパフォーマンス、最小の消費電力のGPUとしてのPowerVRの評価を堅持するとともに、一層の性能向上を続ける。 アプリケーション開発者は、Series7が備える際立った並列処理能力を、グラフィックスとGPUコンピューティングの両方のタスクに活用できる。Series7のアーキテクチャ上の改善点には以下がある。
・新たに追加されたco-issue(同時発行)機能を含む命令セットの強化により、アプリケーションパフォーマンスとGPU効率が向上
・新しい階層レイアウト構造により、クロック周波数の高速化に加え、スケーラブルなポリゴンスループットとピクセルフィルレートの向上を実現
・GPUコンピューティングの設定とキャッシュスループットの向上により、並列処理パフォーマンスが最大300%向上
Series7XT: 100 GFLOPS~1.5 TFLOPSとスケーラブルなパフォーマンス
PowerVR Series7XT GPUファミリの設計は、次世代ユーザインターフェイス、3Dゲーム、GPUコンピューティング向けに、可能な限り最善のパフォーマンスとユーザ体感を実現。Series7XTは、スマートフォンやタブレット、UltraHD TVとセット・トップ・ボックス、ゲーム機、ハイパフォーマンスのサーバコンピューティングなどのミッドレンジからハイエンドのアプリケーションをターゲットとしている。AEPと10ビットYUVを標準でサポートするSeries7XT GPUは、2~16クラスタベースで、各クラスタには32個のマルチスレッド-マルチタスクALUコアを搭載し、ハイエンド構成ではTFLOPSレベルのパフォーマンスを達成できる。GPUには2クラスタのGT7200、4クラスタのGT7400、6クラスタのGT7600、8クラスタのGT7800、16クラスタのGT7900があり、その他の構成も利用することができる。
Series7XE: 面積、効率、柔軟な機能構成に最適化
Series7XE GPUは最大32個のマルチスレッド-マルチタスクALUコアを持つ単一のスケーラブルなクラスタをベースとし、最新のゲームとアプリを、エントリーレベルからミッドレンジのモバイルデバイス、テレビ、セット・トップ・ボックス、ウェアラブル機器など電力やコストに制約のあるデバイス上で実現するとともに、さらにはコピー機、プリンタ、コンシューマ向けや企業向けデバイスなど、価格競争力と高品位のUIの要求が高まる幅広い製品にも対応する。Series7XEはAEP互換GPUとして最小であるにもかかわらず、 ハイパフォーマンスのSeries7XTファミリと同様にHEVC向け10ビットYUVサポートなどのオプション構成もできるため、エントリーレベルのUltraHD TVなどのアプリケーションにも理想的。GPUには、16コアのGE7400と32コアのGE7800がある。
ハードウェア仮想化とマルチドメインセキュリティ
ネットワークの世界がますます進む中、最も脆弱なリンクと同等程度の安全性しか持たないシステムへのセキュリティの懸念が増大している。これはマクロレベル、デバイスレベル、SoCレベルでも同じだ。特に、業界がヘテロジニアス処理アーキテクチャに移行する状況においては、SoC内の処理単位ごとにセキュリティが組み込まれていなければならない。イマジネーションのこれからのヘテロジニアス・セキュリティ・アーキテクチャは、進化と革新を続けるネットワーク型アプリケーションのプライバシーとセキュリティのニーズに対応すべく設計されている。その一環として、PowerVR Series7はMIPS Warrior CPUに続いて完全なハードウェア仮想化を実現し、複数の独立したセキュリティコンテキストと実行ドメインのサポートが最適化されている。CPUに依存しないGPUのハードウェア仮想化は、たとえば自動車業界のユーザーが、同じプラットフォームでダッシュボードシステムとインフォテインメントシステムを独立して、信頼性の高い形で稼動するシステムを構築することができる。Androidフォンやタブレットでは、ハードウェア仮想化によって、利用者の銀行取引データを他のデータ、たとえばウェアラブル機器で収集された健康情報などと分離しておくことが可能だ。
スケーラビリティ機能による最適な設計
Series7では、設計に必要な機能を選択し、不要な機能を搭載するコストを避けることができる。
Android Extension Pack(AEP):Androidアプリケーションをターゲットにするユーザーは、新しいGPUで、完全ハードウェア・テッセレーションを備えたAEPとOpenGL ES 3.1のネイティブサポートを導入できる。この新しいパックは、Android 5.0(Lollipop)のリリースに伴うコンテンツの互換性を最大限保証する。
DirectX 11 Feature Pack:Microsoftオペレーティングシステムをターゲットにするユーザーは、Series7XT GPU向けのこのパックにより、完全なDirectX 11.2機能セットが提供される。これは市場で証明された長年にわたるDirectXサポートに基づいて構築されている。
OpenCL FP64 Feature Pack:Series7XTをハイパフォーマンスなサーバコンピューティングに活用するユーザー向けに、スケーラブルな64ビット浮動小数点コプロセッササーバがクラスタごとに提供できる
ソフトウェアとツールのサポート
イマジネーションは、開発者向けに3DグラフィックスとGPUコンピューティングアプリケーションの開発を容易にするツールやユーティリティと同様に、3Dグラフィックスアプリケーション開発をあらゆる側面からサポートのために設計された、クロスプラットフォームのPowerVR SDKへのフリーアクセスを提供する。開発者は、PowerVR Insiderコミュニティへの参加、SDKの無償ダウンロード、50,000人以上が登録するコミュニティの開発者フォーラム上で交流ができる。PowerVR Series7 GPUを使用するあらゆるSoC向けのハイパーバイザは、真のヘテロジニアスセキュリティを実装するためにGPUの仮想化を活用することが可能だ。
ライセンス
PowerVR Series7XEとSeries7XT GPUのライセンスを開始した。イマジネーションではすでに、複数のPowerVR Series7リードライセンスパートナーと商談を進めている。また、イマジネーションのPowerVR Series7XT/Series7XE GPU向けに、電力、パフォーマンス、面積(Power、Performanc、and Area - PPA)を最適化するための柔軟性を提供するPhysical Design Optimization Kit(DOK)も利用可能になる。Imagination DOKは最適化されたリファレンス・デザイン・フロー、パートナー提供のチューニング済みライブラリ、特性データ、ドキュメント類で構成されている。



■ 関連 URL

・「PowerVR Series7」について
 http://www.imgtec.com/jp/News/Release/index.asp?NewsID=604
・イマジネーション・テクノロジーズ
 http://www.imgtec.com/jp