Blackmagic Designは、VFXハウスのDoc&ASocが、全世界で公開されるマシュー・ボーン監督の最新映画『Kingsman: The Secret Service(原題)』のVFX制作にFusion Studioを使用したと発表した。
■ 概要
タロン・イガートン演じるギャリー・"エグシー"・アンウィンは、サウスロンドンの住宅地に住み、刑務所に向かって進むような生活を送っていた。しかし、コリン・ファース演じる紳士ハリー・ハートは、その若者の持つ可能性を見抜き、キングスマンとして知られる英国秘密スパイ組織に彼を採用する――英国アカデミー賞に2度ノミネートされているビジュアルエフェクト・スーパーバイザー、ジョン・ポール・ドチャーティ氏(『007 スカイフォール』、『Dr. パルナサスの鏡』、『ライラの冒険』)は、今回のコミックブックの映画化において、Fusion Studioで100ショット以上の合成を担当した。
ドチャーティ氏は、デジタル・マット・ペインターのジム・バウアーズ氏と協力し、エグシーがキングスマン組織の本当の規模を初めて垣間見ることとなる、無数の飛行機とシークレットサービススタッフで埋め尽くされた巨大な格納庫など、同作の重要なシーケンスで使用される圧倒的な360度の環境を作成した。
「ショット全体はマットペインターのジミ・バウアーズ氏が作成し、私たちはその中に、労働者、牽引される飛行機、後ろでアーク溶接する男など、様々な動くエレメントを追加しました。この作業は、SFドラマ『宇宙家族ロビンソン』への逆戻りのようでしたね。ショットには約10レイヤーの環境があり、それをFusionStudioの3D環境に入れました。Fusionでは、そのショットに全体のリライトなど数え切れないほどの変更を加えましたが、ジムに追加のエレメントを求める必要はありませんでした。そしてフォアグラウンドのショッ
トをキーイングしました」。
大規模な爆発エフェクトの合成もFusion Studioで作成され、ドチャーティ氏は、ガラスが砕け散るエフェクトや、ハイスピードカメラで撮影した燃焼系の実写映像にオーバーレイする建物の外観のマットを作成した。「爆発のシーケンスでは、寒く、雨の降るリーブスデンでハイスピードカメラで撮影した4つのショットを使用する必要がありました。そしてそのショットを、私が作成したガラスが砕け散るエフェクトと一緒にレンダリングしました。オフィスやタクシーのエレメントを効果的に合成する前に、数種類の画像フォーマット、多くの歪曲収差、カラースペースや解像度の違いなどに対処する必要がありました」。
Fusionに搭載されるディメンション・オプティカルフロー・ツールセットは、ドチャーティ氏のワークフロー、特に複雑なリタイムを行う際に重要な役割を果たした。「アクションシーケンスの直後に、走るタクシーの後部座席のモニターにキングスマンのロゴが映っているシーンへ切り替わる。一見シンプルなショットで、タクシーと中と外側のショットそれぞれのスピードがエディターによって非常にうまく調整されていたんですが、素早いカット編集をしていたので、リタイムは非常に複雑なものになりました。Fusionのオプティカルフローは、それらすべてに非常にうまく機能してくれました。
ビジュアルエフェクトの全体的な監督を務めていたスティーブ・ベッグ氏は、他の制作作業とスケジュールが重複していたため、ドチャーティ氏は業界のレジェンドであるジョン・ブルーノ氏と残りのVFX作業を分けて、ビジュアルエフェクト・スーパーバイザーを代理するよう依頼された。
スーパーバイザーとなったドチャーティ氏は、フルCG、環境シミュレーションから、コスメティックな調整/修正、燃焼系の作業まで、広範囲のショットを担当した。「サミュエル・L・ジャクソン演じるヴァレンタインが、マイケル・ケイン演じるアーサーに、自身の恐ろしい計画を明かすシーンがあります。2人の俳優は、別の日に、別のカメラで撮影されました。モーションコントロールも使用していません。多数のパッチ追跡、リタイム、エレメントのリアニメートなどを必要とする、複雑なワークフローでした。しかし、Fusionではこれらの作業を簡単に行えました」と、ブルーノ氏は最後にこう結んだ。
■ 関連 URL
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