ARスタートアップの株式会社OnePlanetにXR Engineerとして所属し、ARグラスの研究開発などを手掛けている徳山が執筆しています。Apple Vision Proの最新の動向から、開発情報など、Apple Vision Proの情報をピックアップして紹介していきます。

はじめに

今回の「Apple Vision Pro：完全なイマーシブアプリのための3Dアセット作成のポイント」の内容は、ボリュームがあるため、前編と後編に分けて記事化いたします。今回はその前編となります。

イマーシブアプリにおけるサイズ感の確認

現実の世界に合わせて完全なイマーシブアプリの環境を構築する際には、サイズ感を正確にする必要があります。人間型のフィギュアを配置して、正確なサイズ感を確認することが重要です。

3Dアセットの配置に関する注意点

全体のサイズや個々のオブジェクトのスケールを調整する際には、2D画面とApple Vision Proの両方で確認することが重要です。映画やビデオを見るためのスクリーンを設置する場合、スクリーンの前に3Dアセットを配置しないようにしましょう。3Dアセットがスクリーンと重なると、奥行き感が不自然に見えることがあります。

たとえば、3Dアセットがスクリーンの前に配置されていると、スクリーンが手前に出ているように見えたり、3Dアセットがスクリーンの奥に隠れているように見えることがあります。

visionOS領域内のジオメトリ作成に関する考慮事項

visionOSが安全と認識している領域内では、ユーザーは自由に移動できます。ただし、領域外に出るとパススルー状態になり、現実世界が映し出されます。この領域内で、ユーザーから見えないジオメトリは不要であり、パフォーマンスの遅延の原因にもなるため、作成しないようにしましょう。

また、遠くに配置した3Dアセットが近くで見ることがない場合は、違和感がない程度にジオメトリを削減しましょう。

まとめ

今回は、完全なイマーシブアプリの3Dアセット作成におけるポイントについてお話しいたしました。ユーザー視点のスケール感を維持するためには、人間型のフィギュアでサイズ感を確認したり、Apple Vision Proのデバイスを装着してサイズ感を確認することが重要です。

また、完全なイマーシブアプリでは、体験場所から一定の距離まで移動すると、visionOSが強制的にパススルーモードに切り替わります。

アセットの作成においては、遠くに配置した3Dモデルや見えない部分に関して余計なデータを削減することで、パフォーマンスの改善につながります。これらを参考にして、Apple Vision Proに最適なアセットを作成していただければ幸いです。

おしらせ

第96回アカデミー賞で4部門受賞したウォルト・ディズニー・ジャパンの映画『哀れなるものたち』の世界を、Apple Vision Proアプリで体験できる展示イベントを開催しました。

第96回アカデミー賞で4部門受賞した映画『哀れなるものたち』（配給：ウォルト・ディズニー・ジャパン）の公開を記念して、2024年2月10日（土）に、渋谷PARCO 3F イベントスペースで、日本初となるApple Vision Proを活用した映画作品の世界に完全に没入できる空間体験アプリを展示しました。このアプリは、OnePlanetのApple Vision Pro専門開発チームが開発しました。
https://1planet.co.jp/news/Twd0qMjt

Apple Vision Proの情報や開発についてもまとめています。こちらもぜひご覧ください。

全般情報
https://ar-marketing.jp/apple-glass-release/
技術情報
https://1planet.co.jp/tech-blog/category/applevisionpro