>   >  Ask Me about SIGGRAPH Asia 2018!:Question 7:What do you expect in SIGGRAPH Asia?(SIGGRAPH Asiaに期待することを教えてください)
Question 7:What do you expect in SIGGRAPH Asia?(SIGGRAPH Asiaに期待することを教えてください)

Question 7:What do you expect in SIGGRAPH Asia?(SIGGRAPH Asiaに期待することを教えてください)

Interview 2:Art Gallery チェア

安生:今回のArt Galleryのテーマはとてもユニークですね。

Tobias Klein氏(以下、Klein):今回のArt Galleryは、セミ・キュレーションされた展示にしたいと考えています。Nam June Paik氏の『Candle TV』(1975)と日本の能面をプラス極とマイナス極に据えた「FORCEFIELDS(力場)」を構築し、これら2つのキュレーション作品の周りに応募者の作品を展示します。応募者は、自分の作品を通してキュレーション作品に共感しても良いですし、模倣しても良いでしょう。あるいは、反発しても構いません。

  • Tobias Klein
    香港城市大学 所属。建築家であり、学際的芸術家/デザイナーでもある。現代のCAD/CAMテクノロジーと、デザイン・文化・歴史などを融合させた数多くの作品を生み出している。SIGGRAPH Asia 2018では、Kyle Chungと共にArt Gallery チェアを務める。


image courtesy of ACM SIGGRAPH


Art Galleryの応募ページに提示された図
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安生:キュレーション作品として、『Candle TV』と能面を選んだ意図を教えていただけますか?

Klein:まず、SIGGRAPH Asia 2018のCROSSOVERというテーマを踏まえ、作品同士のCROSSOVERを意識しました。さらにアジアに関連する要素を加えること、概念的な作品と工芸的な作品という対照的な2つの極を加えることも意識しました。Paik氏は、現代アートのパイオニアであり、レジェンドでもある重要な人物です。私たちは韓国のNam June Paik財団にコンタクトし、Paik氏の極めて象徴的な作品である『Candle TV』の貸し出しを依頼しました。この作品はシニカルで、アナログとデジタルの境界線上にあり、非常にコンセプチュアルです。さらに、その対極に位置する作品として、日本の文化遺産のひとつである能面を選びました。能面は、社会がデジタル化する以前から存在する古いコミュニケーションの形態であり、長い歴史を有しています。

安生:TVと同様、能面もコミュニケーション・メディアのひとつだと捉えたわけですね。

Klein:その通りです。能面は、今も使用されているメディアであり、工芸品です。2つのキュレーション作品に対し、応募者がどのような反応を見せてくれるのか、とても楽しみにしています。このテーマは受け入れられたようで、これまでに約100件の応募をいただいています。全ての応募作品が2つのキュレーション作品に強く反応しているわけではない点も、面白いと感じています。ある作品は強く、別の作品はそこそこといった感じです。応募者の中には、ニューメディア分野におけるパイオニアであり、数々の受賞歴をもつ方もいます。そういう方が、私たちのテーマに反応してくださったことに強い感銘を受けています。

安生:とても素晴らしいことですね。

▲【左】SIGGRAPH 2018の会場内で対談するKlein氏と安生氏/【右】SIGGRAPH Asia 2017のArt Galleryの様子
© 2018 ACM SIGGRAPH


Klein:今回の応募作品は総じてレベルが高く、過去のSIGGRAPH Asiaとはすべての点で一線を画しています。それだけ、東京という開催地は特別であり、魅力的なのだと思います。SIGGRAPH Asia 2018のArt Galleryは間違いなく素晴らしいものになりますから、期待して足を運んでいただきたいです。

安生:私も期待しています。

Klein:ありがとうございます。最善を尽くします。

Interview 3:Courses Committee メンバー/SIGGRAPH Asia 2019 カンファレンスチェア

安生:まずはSIGGRAPH Asia 2018のCoursesについてお話しましょう。今年は40近くの応募がありましたね。

Tomasz Bednarz氏(以下、Bednarz):はい。コンピュータアニメーション、ジオメトリ処理、レンダリング、グラフィックスハードウェアなど、多彩な分野が集まりました。ビッグデータとビジュアライゼーション分野の応募が多かったのは、とても嬉しかったです。さらにゲーム開発、VFX、ハンズオンワークショップに関するCoursesも追加で募集しました。Coursesのチェアを務めるCarol O'Sullivan氏の助言はとても参考になりましたね。彼女はCROSSOVERというテーマを踏まえ、芸術、人文科学、コンピューターサイエンスなど、多様な分野を組み合わせることを提案してくれました。

  • Tomasz Bednarz
    ニューサウスウェールズ大学 アート&デザイン/ビジュアリゼーション Expanded Perception and Interaction Centre(EPICentre)センター長、ディレクター。CSIRO Data61 研究開発機関 Visual Analytics チームリーダー。クイーンズランド工科大学 Applied & Computational Mathematics 助教授。SIGGRAPH Asia 2017ではCourses チェア、SIGGRAPH Asia 2018ではCourses Committee メンバー、SIGGRAPH Asia 2019ではカンファレンスチェアを務める。


安生:一部のCoursesは、Bednarzさんがキュレーションしているわけですね。

Bednarz:そうです。前回同様、今回のCoursesもキュレーションしたものと応募されたものとで構成します。両方とも、可能な限り最高レベルの品質を目指します。

▲【左】SIGGRAPH 2018の会場内で対談するBednarz氏と安生氏/【右】SIGGRAPH Asia 2017のCoursesの様子
© 2018 ACM SIGGRAPH


安生:続いて、SIGGRAPH Asia 2019の話も聞かせてください。

Bednarz:もちろん、可能な限りお話したいです。SIGGRAPH Asia 2019は、2019年11月17日~20日の期間、オーストラリアのブリスベンで開催します。テーマはDream Timeです。このテーマは私がオーストラリアに対して抱いている気持ちにぴったりマッチしており、非常に誇りに思っています。実際、Dream Timeという言葉はオーストラリアの歴史とも関連しています。SIGGRAPH Asia 2019では、VR、AR、MRなどのテクノロジーを通して、オーストラリアの歴史にまつわるDream Timeを楽しんでいただきたいと思っています。

安生:素晴らしいですね。ほかに、何か特別なイベントは考えていますか?

Bednarz:SIGGRAPH本体に倣い、Studioを設置したいと考えています。そこで、CGとインタラクティブ技術に関連する幅広いワークショップを実施します。さらに東京で実施するBirds of a Featherをブリスベンでも継続したいと考えています。

安生:SIGGRAPH 2018のBirds of a FeatherでBednarzさんが実施したDemoscene Underground Real-Time Art Worldwideは大人気でしたね。ブリスベンでもDemosceneセッションを実施しますか?

Bednarz:そのつもりです。だから、東京で開催するReal-Time Live!にはとても注目しています。これはDemosceneと似ている部分がありますし、最新のリアルタイムCGとハードウェアの素晴らしさを実感できる非常にエキサイティングなプログラムです。SIGGRAPH Asia 2018と、2019は連続性をもつべきだと思いますから、安生さんと私をはじめ、各プログラムのチェア同士がつながりをもち、経験や考えを継承していくことが大切ではないでしょうか。

安生:同感です。私たちが協力することで、SIGGRAPH Asiaはさらに素晴らしいものへと進化していくでしょう。

Bednarz:さらにVRやビジュアライゼーション関連の学会との連携も予定しています。SIGGRAPH Asia 2019の開催をきっかけに、CG、VR、ビジュアライゼーションのコミュニティがブリスベンに集結するような施策を考えているので、ご期待ください。

安生:期待しています。SIGGRAPH Asia 2019の追い風になるよう、SIGGRAPH Asia 2018をしっかりと盛り上げていきますから、今後もぜひサポートをお願いします。

Bednarz:もちろんです。お互い、ベストを尽くしましょう。

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