トピック7:アレルギー・発熱・謝り疲れ
南家:さて、次のトピックは中西さんが選んでください。子育てのあるあるトークをしましょう。
中西:「ご飯」はどうでしょう? 息子の良いところは、ご飯をよく食べることです。先日は、夫用に買ってあったケーキを全部食べちゃったんです。次は何を食べさせようかな? 何を食べたら喜ぶかな? と考えるのが本当に楽しいです。生で食べるものや、アレルギーの可能性があるものは、最初に与えるタイミングを慎重に考えなきゃいけないんです。どの食材を、どの時期に、どんな調理方法で与えるか、息子の食事について考えることが今の楽しみになっています。
箱崎:蕎麦は食べさせました?
中西:食べました! 大好きですよ!
箱崎:うちはまだ試してないんですよね。今年の年越し蕎麦(※)は一緒に食べられないんじゃないかな。「新しい食材を子供に食べさせるときは、万が一を考えて病院が開いている時間に」という指導を受けたのですが、共働きなので平日は難しく、試せるタイミングは土曜日しかないんですよ。でも土曜日って意外と予定が入ってしまい、蕎麦を試すタイミングを逸しています。
※2019年12月取材のため、同年末の年越し蕎麦について語っています。
T:私はそこまで気にしなかったですね。息子と一緒に外食したときにうどんを食べたのですが、お店では、うどんも蕎麦も一緒に茹でているケースが多いですよね。そこでアレルギー反応が出なかったので、大丈夫かなと思ったんです。息子の保育園の対応がしっかりしていて、アレルギーが心配される食材を提供するときには事前確認があったので、心配が少なかったです。一度、魚を食べたときに唇がすごく腫れて心配しましたが、それ以来同じことは起きておらず大丈夫そうです。
南家:中西さんの息子さんは、食事に関する心配事はまったくありませんでしたか?
中西:今は健康優良児ですが、心配な時期もありました。乳糖不耐症でずっと下痢が続き、看病のために出社できない日が続いたんです。ただ、育児の先輩であるTが、入園後の最初の6ヶ月くらいはいろいろなトラブルが待ち構えていて、半月以上出社できないような事件も容易に発生すると事前に教えてくれました。その助言があったから、子供の看護が長引いても「Tさんの言った通りだった!」と驚きつつも受け止めることができたし、焦らず子供の体調に寄り添うことができました。そんな私の状況を、社長やスタッフも理解してくださったので、なんとか乗り越えられました。
T:入園当初は、新しい菌を挨拶代わりにもらってくることがよくあるんですよね。治ったと思ったら次の病気、みたいな(笑)。
中西:そういう大変な時期を経て、今は本当に健康に育っています。
南家:子供の病気などで急なお迎えや欠勤が発生した場合は、どうなさっていますか?
中西:たまにかかってくる、保育園からの「発熱しました」という電話は怖いです。仕事に集中していた気持ちが、急激に動揺してしまいます。
箱崎:仕事のスケジュールも吹っ飛びますしね。
中西:基本的に、私が迎えに行くようにしています。息子にとっては私の方が落ち着くようなので。ただ連日の看護は難しいので、初日は私が担当して、2日目は夫が担当するなど、交互に仕事を休んで、お互いの仕事に大きな影響が出ないようにしています。融通の効く時期であれば私が多めに休み、多忙な時期であれば「今、会社を休むことは無理」と夫に伝えて交渉します。社長は、保育園から電話がかかってくると、ご自分で迎えに行きますよね。
箱崎:はい。妻の職場は保育園から遠く、私の方が近いからです。お迎え後の看護は、仕事の状況によって、妻と分担しています。例えば、私がお迎えに行ってから帰宅し、遅れて帰宅した妻に看護をバトンタッチして、再び会社に戻る場合もあります。子供の看護は試行錯誤しないとやっていけないですね。こういった発熱やお迎えの対応も含め、私もTから事前にいろいろ教わっていたのでありがたかったです。
南家:経験豊かなTさんの存在は大きいですね。
中西:そうなんです。Tから事前に聞いていた事象が、実際に発生することが多くて、その度に「お聞きしていたことが起きました!」と報告しています(笑)。
箱崎:私がそれを実感したのは「ゲップ」ですね。「ゲップが出たんだか、出てないんだかわからなくて、悩んでしまった」という話を事前にTから聞いていたので、実際に自分がその立場になったとき「こういうことか!」と納得しました。
T:生まれたばかりの時期って、ゲップひとつに悩み、体重が減ったと医師に言われては悩みと、気を使いますよね。
南家:皆さんは、以前からよく話す間柄でしたか?
箱崎:自分が子供をもってから、会話をする機会が増えましたね。身近にTの存在があったので、「ほかのご家庭はどうだったんだろう」と聞いてみたくなり、話しかける頻度が増えました。後日、その会話に中西も加わった次第です。
南家:3人の会話をお聞きしているだけで、普段からよくお話されている雰囲気が伝わってきました。アレルギーや発熱への対応は、子育ての大きな心配事ですよね。育児の経験を共有してくださるTさんの存在はもちろん、社長が「蕎麦は食べさせました?」と気軽に聞いてくれたり、あえて「すみません」と書かないよう心がける環境って、本当に大切だと思います。
箱崎:以前、Tと「謝り疲れ」の話をしたんですよね。
T:子供が泣いたら「すみません」、電車に乗っても「すみません」、抱っこしてる子供の足が当たったら「すみません」、いつもいつも「すみません、すみません」。とにかく人に気を使って謝らなければいけない機会が多すぎて、どこか誰もいない場所に行きたいと思うことがある、という話をしました。
箱崎:そうなんですよね。「なんでこんなに謝ってるんだろう?!」と感じます。特に女性は「責められている」と感じる機会が多いようです。私が「男の子だから、多少騒いでも、こんなもんじゃないかな」「まあいいか」と思うような状況でも、妻は私よりずっと気を使い、静かにさせようと一生懸命努力してくれます。
T:世間的には、お父さんが子供の世話をしていると「微笑ましい」と感じる空気があります。でもお母さんが子供の世話をすることは当然で、少しでも目を離すと「母親のくせに何やってんの!」と叱責されますよね。
中西:確かにそうですね。
箱崎:そうなんですか? じゃあ私はそもそも育児能力レベルが「低い」と見られているのかなあ。
南家:育児において「夫(父親)」の立場を下に見る風潮に対し、私も疑問を感じることがあります。家事育児に参画しない夫へのアプローチとして「ご主人を褒めて伸ばしてあげましょう」「ダンナを手玉にとる方法」などの言葉を目にしますが、この言い方がそもそも対等じゃないですよね。パートナーなんだから普通に話せばいいのになと思います。男女の役割に対する固定観念は困ったものですね。箱崎さんは、男性として、そういう風調が気になることはありますか?
箱崎:ありますね。保育園からの連絡帳には、大抵の場合「ママへ」と書かれているんです。でも、家庭への連絡だから私も読んでいるんですよ。なぜ「パパ・ママへ」と書かないのかと疑問に感じています。
- それから子供の通院時に、私のようにパパ1人が付き添うケースは少ないんです。大抵、ママが付き添うか、パパがいてもママの付き添いという感じです。ママ同士は初対面でも「何ヶ月ですか〜?」というように会話が弾むのですが、私との間には見えない壁があって、男性が1人で子供を抱えていても、誰も話しかけてこないんです! だからこちらも気を使ってしまい、さっさと用件を済ませて帰るのが常ですね。自分自身、なんとなく男性が女性に子育ての話をふるのは変なのかな? と感じており、自分から話しかけることができないんです。
南家:そんなとき、女性は箱崎さんに話しかけてもいいということですか?
箱崎:全然いいです! 私から女性に話しかけることもOKでしょうか? 変じゃないですか?
中西:全然いいと思います。
T:女性・男性関係なく「親」ですもんね。