「北海道で働く」をテーマに北海道の会社で働くデジタル・アーティスト3名による座談会が開催された。参加メンバーは東京からUターンで札幌に帰ってきた野中稜也氏（株式会社アレクト）、川口 悠氏（exsa株式会社）、そして生まれも育ちも就職も北海道という生粋の道産子・小川隼人氏（エヌディーキューブ株式会社）。「北海道で働く」ことを選んだ彼らが語る「北海道の魅力」とは、どのようなものだろうか。奇しくも、近年まれに見る大雪の日の開催となった座談会の様子を紹介する。

■年々増えるU・Iターン社員

――お集まりいただいてありがとうございます。話には聞いてましたが雪がすごいですね！ びっくりしました。

川口　今年はとくに雪が多くて、びっくりしちゃいますよね。

小川　今日はこれでも暖かい方なんですよ（笑）。

――これで暖かいとは……。

野中　だけど室内にいると、東京より札幌の方が暖かく感じるんです。東京だと窓からの冷気がすごかったりして……。建物の断熱性能がぜんぜん違うからでしょうね。こちらでは冬に暖かい部屋で食べるアイスが最高です（笑）。

――たしかに、それはなんとなくわかります！ ……と、唐突に話が始まってしまいましたが、改めて皆さんの自己紹介をお願いします。

小川　エヌディーキューブの小川です。会社では背景デザインや技術面の研究およびサポートを担当しています。当別町出身で、生まれも育ちも就職もずっと北海道です。

川口　exsaの川口です。小樽出身で、新卒で札幌で就職した後、東京のゲーム会社で働きました。4年前にUターンで札幌に戻り、現在の会社ではエフェクトチームのディレクターとして版権もののスマホゲームなどを担当しています。

野中　アレクトの野中です。北海道で生まれ、札幌の工業高校卒業後、専門学校ではじめてCGを学びました。僕もUターン組でして、新卒で東京で就職してから5年前に札幌に戻ってきました。現在の会社ではリギングチームのリードデザイナーとして働いています。

――みなさん北海道のご出身なんですね。会社には道外の出身者もいらっしゃるんでしょうか？

小川　エヌディーキューブは60％が道外出身者、40％が道内出身者という比率です。道外出身者の方が多くて、道外から来る人が年々増えてきている印象ですね。

野中　たしかに、弊社でも道外からIターン就職で来る新卒社員が多くなってきています。関東圏のほかに福岡から来た社員もいますよ。

――事前にとったアンケート（※）では「札幌に来る前に不安に思っていたことは？」という質問があったのですが、その中で「情報収集が難しそう」という声がありました。その点について、実際に働いてみていかがですか？

※道内企業のデジタル・アーティスト33名が回答／2021年1月実施

北海道に来る前に不安に思っていたことは？

・いきなり遠い地で一人暮らしを始めることになるので、覚悟がいるなと思いました。実際に暮らしてみると自然が好きな私には合ってました。寒さ対策も会社の先輩が教えてくださったので困ることはありませんでした。

・寒さが苦手なため、寒さや雪に自分が対応できるのかと不安でした。周りに知り合いや友人もほぼいない土地だったので、そういった意味での不安もありました。しかし、人間意外と色々なことに体が慣れ、適応できるものなのだなと思いました。

・都内と比べると情報収集ができないのではないかと不安でした。実際に、触れる情報量は減りましたが、コロナの影響でウェビナーへの移行や、個人的な交友関係から必要な情報が手に入るので、思ったほど不便ではありませんでした。

小川　うちの会社では出張やセミナーをかなりサポートしているので、あまり問題に感じたことはないですね。

川口　弊社も東京に本社があって日常的にやりとりしているので、情報の遅れを感じることは特にありません。

野中　それに現在ですと、オンラインセミナーがデフォルトになってきてますから。地方でも情報収集しやすくなっていると思います。

――あとは寒さが不安という声が多かったようですが……。

小川　寒さはさっきの話にもあったように、室内にいればむしろ暖かいくらいです。

川口　それよりも気をつけてほしいのは路面状況ですね。凍ると、滑ります。

野中　ペンギン歩きをマスターしてください（笑）。

■ストレスフリーな住環境は地方都市ならでは

――北海道で働いてよかったと思うのはどんな点でしょうか？

小川　ほかの社員にも聞いてみたのですが、やはり家賃の安さが魅力という意見が多かったです。

川口　それは確かにありますね。私は今、札幌駅まで歩いて行けるほど都心に住んでいるのですが、東京だとこうはいかないですから。

野中　首都圏だとトイレと風呂が別というだけで家賃が高いですよね。しかし札幌だとトイレと風呂が一緒の部屋のほうが少ないくらいです。6万円も出せばリビングの他に2・3部屋ある広い部屋に住めると思いますよ。　

――職場の近くで広い部屋に住めるというのは魅力ですね。通勤のストレスからも解放されそうです。

小川　住環境に関するストレスが少ないというのは大きなメリットだと思います。余計なストレスがたまらない分、仕事に集中できますしね。それに休日にはスキーやキャンプなど、少し脚を伸ばせば自然いっぱいのレジャースポットがたくさんあるのも魅力です。我が家にはまだ小さい子供がいるんですが、子供にとっても良い経験ができる場所がたくさんあって、子育てがしやすいと感じています。こういった点も長く働ける理由になるのではないでしょうか。

川口　レジャースポットと言えば、私は温泉が大好きなんですが、札幌近郊には豊平峡温泉のほか定山渓や支笏湖、洞爺湖など温泉街が充実していて、そちらもオススメですよ。

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北海道デジタル・アーティスト アンケート
※道内企業のデジタル・アーティスト33名が回答／2021年1月実施

仕事面で、北海道で働いていて良かったと感じたところ

・今は在宅勤務が続いておりますが電車通勤の時間が短くて負担が少ないです。札幌は家賃が安いので仕事場から近い場所に住めます。

・札幌の地下鉄はあまり混まないので、通退勤時のストレスは少ないです。

・東京で働いていたときよりも、会社から近くて安くて広い部屋を借りられました。札幌だと電車の感覚も短いのでそんなに待たないので、通勤環境は北海道の方が良いです。

・大通公園など身近な場所で自然に触れることができるため、アイディアに行き詰ったときやリフレッシュにも困らないと思います。

・もともとデジタル産業の発展に力を入れている都市なので、何かやりたい事がある時にも公的な補助も受けやすく、多方面のクリエイターが増えていると思います。

北海道デジタル・アーティスト アンケート
※道内企業のデジタル・アーティスト33名が回答／2021年1月実施

プライベート面で、北海道で働いていて良かったと感じたところ

・部屋が広く、巣ごもりが快適です。

・観光スポットが無限にあるので30年住んでいても、まだ行った事のない、行ってみたい場所がたくさんあることです。
あとはゴキブリを映像の中でしか見たことがないことです。

・札幌中心部から1～2時間でスキー場に行けたり星空を観に行けることです。東京だと遊ぶ場所は多いですが自然に触れるには他県まで高速道路で3時間以上掛けたりしていたので時間や体力面、金銭面でも非常に楽になった上に本州では見れない景色が多く毎週末が楽しみです。

・北海道やアイヌ文化を用いている作品の聖地巡礼ができるところ。

・何食べても美味しいので適当に店を選んでも失敗しない。ベンチや休憩所が多く、東京と違って道行く人がせかせかしてない印象。銭湯が点在してて格安なので週末の夜によく利用する。

・通勤時間が短い！家賃が安い！夏涼しい！

■仕事の活力を支えてくれる食の魅力

――北海道の魅力というと、やはり食べ物も欠かせないですね。

野中　東京にいたころは「やきそば弁当」（※）が食べたくて仕方ありませんでした……。

※北海道のご当地カップ焼きそば

川口　やっぱり道民は「やきそば弁当」じゃないと。

――北海道グルメの話題で、まさかカップ焼きそばの話になるとは（笑）。

川口　もちろん、野菜などもとても美味しいですよ（笑）。普通のスーパーで売ってる野菜も東京で売ってるものより全然大きくて。値段も安いですしね。

小川　僕は道の駅めぐりが趣味なんですが、富良野の道の駅にはものすごくいい野菜がありました。

川口　わかります！　北海道の野菜を見てると、料理する意欲がわいてきますよね。

小川　あとは積丹で食べたウニ丼にも感動しました。僕は普通に売られてるウニは食べられないんですが積丹のウニは本当に美味しい！　北海道にいらしたら、ぜひ食べて欲しいです。

野中　魚介系も美味しいですが北海道は肉も美味いんです。豚肉も牛肉も羊肉も。道内だと「BEEF IMPACT（ビーフインパクト）」というステーキチェーン店が有名で、とても美味しいです。

川口　スープカレーだと、北海道以外にも展開してますが「マジックスパイス」が美味しくて……。

野中　発寒にある「八乃木（ハチノキ）」というラーメン屋もすごく美味しい……。こんな感じで、北海道の人はグルメについて語りだすと止まらない。みんな食に貪欲なんでしょうね（笑）。

――なるほど……ではお腹が減ってきたので、今回の座談会はこの辺りで終了ということで。

小川・川口・野中　（笑）。


住環境の充実やたくさんの美味しいものなど、札幌の魅力がたっぷりと語られた座談会だった。中でも印象的だったのは、初対面だったはずの3人が「札幌」について語るとき、すぐに打ち解けてとても楽しそうだった様子だ。きっとお三方が、札幌への愛情を強く感じているからなのだと思う。先日、大手ゲーム会社の開発スタジオが札幌に新設されるという報道もあったように、これから札幌のCG業界はさらに伸びていくだろうことが予想される。もし気になっている人がいたなら、そんな北国の地に飛び込んでみてはいかがだろうか。と、同記事のライターをつとめ、自身もUターンでこの地に戻ってきた著者も、この魅力的な札幌での生活をオススメする。雪はたくさん降りますが、それもまた楽しいですよ。

●小川隼人氏おすすめ北海道の名店
回転寿司の「なごやか亭」、「トリトン」、「花まる」。ジンギスカンなら「63ジンギスカン」です

●川口 遙氏おすすめ北海道の逸品
小樽ビールをぜひ飲んでほしいです。居酒屋で出してるところもありますよ！

●野中陵也氏おすすめ北海道の王道
サッポロビール園です。ビールとジンギスカンがめちゃくちゃ美味い！ 北海道に来たなぁと感じられると思います

北海道デジタル・アーティスト アンケート
※道内企業のデジタル・アーティスト33名が回答／2021年1月実施

ぜひ立ち寄って欲しい名店を教えてください！

・スープカリー スアゲ プラス 本店
・成吉思汗 だるま
・ハンバーグ ステーキ ノースコンチネント　まちのなか
・いちご大福専門店　「ぽたぽたいちご」
・スープカレーGARAKU
・ザンギで有名な「布袋」
・いただきます。（ジンギスカン屋さん）
・タベルナ・ラ・ピッツァ
・彩未（ラーメン）
・シハチ鮮魚店 、北大マルシェ、味の三平
・北のグルメ亭
・おくしばぁちゃん（スープカレー）
・島のらーめん いちまく
・雪印パーラー
・らーめんてつや
・「パフェ、珈琲、酒、佐藤」、ナガヤマレスト、根室花まる、ノースコンチネント
・ロイズ
・はちみ（ラーメン）
・クロック（カレー屋さん）
・千寿（ラーメン）

北海道で積極求人中の企業！

エヌディーキューブ

U/Iターンでの入社
中途のU・Iターン組は多いです。ここ最近ですが、Iターンで入社の方が、増えてきております。ちなみに札幌採用の新卒入社は70％以上が北海道以外の出身です。きっかけは、元々札幌に興味があった方や就きたい仕事に合致した方面接時の対応で安心できた方など様々です。

休日の過ごし方
社員によってそれぞれですがコロナ禍以前だとアウトドア派の方は、キャンプ、ツーリング、ピクニック、野球などスポーツを楽しみ、インドア派の方はゲーム、読書、映画、カフェ巡りなどを楽しむ方が多いです。

ぜひ立ち寄って欲しい名店
美味しくて、どれかは選べません！

どんな人が企業に合いますか？
プレイヤーのためにゲームを開発したいと思っている方
チームの中で協業してゲーム開発に携われる方
アンテナを張り、スキルを磨き、ゲーム開発に楽しんで携われる方

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exsa

U/Iターンでの入社
現在、札幌スタジオに在籍しているスタッフの約3割がU/Iターンでの入社です。入社のきっかけも求人サイトからの応募や知人の紹介等、様々です。札幌で働きたいとご応募頂く事も増えているので、興味のある方は是非お問合せください。


休日の過ごし方
スタッフによって様々で、ゲームや動画観賞、休日でも自主制作を行っている人も居ます。仕事中はほぼ身体を動かさないので、休日は出来るだけ身体を動かしたり外出し気分転換を心掛けている人も多いです。ジムに通ったり冬ならウインタースポーツ、夏なら湖や海水浴、ドライブや登山、キャンプ、ＢＢＱ、温泉など少し足を延ばして自然の中で遊ぶ事が多いです。今のコロナ禍では、なかなかできない事も多いので早く収まる事を願っています。


ぜひ立ち寄って欲しい名店
だるま 本店、万次郎、こなから、タベルナ・ラ・ピッツァ、なごやか亭、彩未、おくしばぁちゃん、スタッフのおススメ店です。是非立ち寄ってみてください。


どんな人が企業に合いますか？
当社の場合、仕事内容がアニメ、ゲーム、アミューズメント、モーションキャプチャ事業など多岐に渡るので色々な内容や環境、状況でも前向きに取り組め楽しめる方です。実績はwebサイトに掲載していますので、是非ご覧下さい。

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アレクト

U/Iターンでの入社
CGWORLDの求人サイトきっかけ入っていただきました。

休日の過ごし方
料理を作ったり、歩くスキーをしています。

ぜひ立ち寄って欲しい名店
文重郎じんぎすかん

どんな人が企業に合いますか？
好奇心旺盛な方

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グラフィニカ

U/Iターンでの入社
数名おります。北海道で暮らしたいと思っていた。（札幌マネジメントグループ　グループリーダー）

休日の過ごし方
①作ったことのない料理を作る ②配信で映画を見る ③オンラインゲーム ④CG技術を勉強する（Houdini）　オンラインゲームはスタッフ同士で一緒に遊んだりしています

ぜひ立ち寄って欲しい名店
札幌市内の西の方にある「リタルコーヒー」というコーヒー屋さんがオススメです。

どんな人が企業に合いますか？
映像作品に興味がある方、何か好きなものに没頭している方、積極性があり、向上心のある方など。

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きしだ　Studio BACU

U/Iターンでの入社
数名いますし、歓迎しています。やはり北海道と言う環境の良さが魅力で希望する方は多いです。

休日の過ごし方
各々ですが、会社の遊戯室でゲーム大会を行ったり、果物狩りや小旅行なども希望者で行ったりもします。厚岸のカキ祭りは移動距離もあり、かなりな旅行になりました。

ぜひ立ち寄って欲しい名店
麵屋秘蔵

どんな人が企業に合いますか？
自分で目標立てが出来、それに向かって努力が出来る人。かつ、わりとノリの良い方。

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ハ・ン・ド

U/Iターンでの入社
います。道外企業で経験を積んだUターン組もいますし、家族や子育ての意向で札幌移住をされてきた業界経験者のIターン組も多いです。

休日の過ごし方
業界柄、ゲームや映画を楽しむスタッフが多いです。ほかにもドライブや登山、スキーやスノボといった北海道らしさを存分に楽しんでいる人も沢山います。中には平日の仕事帰りにナイタースキーへお出かけする人もいるようです！

ぜひ立ち寄って欲しい名店
スープカレー専門店に是非足を運んでみてください、１軒１軒それぞれに違う美味しさがありますので色々なお店で食べ比べてみることをオススメします。

どんな人が企業に合いますか？
ゲームクリエイターとは、日々進化する技術と向き合っていく職業です。ハ・ン・ドでは常に最新ハードウェアにあわせたゲーム開発を行っておりますので、過去の技術に縛られることなく、持ち前の発想力と想像力を１つの製品としてカタチにしたい！と、強く願う方にピッタリです。

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メタサイト

U/Iターンでの入社
道外の専門学校からの入社はありますし、問合せは多い方だと思います。

休日の過ごし方
ゲームや自習など

ぜひ立ち寄って欲しい名店
SOUP CURRY KING

どんな人が企業に合いますか？
覚悟完了している人

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