『アークナイツ』、『ブルーアーカイブ』、『アズールレーン』などのソーシャルゲームの世界的ヒットタイトルを破竹の勢いで送り出す注目のゲームパブリッシャー「Yostar」。高いゲーム性はもとより、オタクカルチャーの本流をいくキャラクターや世界観設定、ユーザーフレンドリーな運営が多くのファンを引き付けてやまない。
ヒットの要因となっているのが、インハウスのクリエイティブチームがてがけるSNS広告やYoutubeを中心にして展開される、ゲームの世界観に肉薄するような印象的なプロモーション企画の数々。2020年に自社運営IPのために設立されたYostar PicturesによるアニメーションPVをはじめとして、3DCGキャラによるYoutube LiveやASMR、更にはJR新宿駅東西通路の巨大サイネージで展開されたアークナイツ2周年記念映像など、ゲームの世界とユーザーとの距離を縮める多彩な映像作品が制作されている。
現在、同社では複数タイトルのメガヒットに伴い、自社の映像制作需要が増加中。映像制作・3DCGスタッフを募集中だ。そこでYostarの自社運営IPのプロモーション映像を手がける映像・3DCGチームにインタビューを行い、熱量の高いクリエイティブが生み出される源泉を探った。
クリエイティブアートチームインタビュー
Yostarの映像デザイナーの仕事とは?
CGWORLD:皆さん、本日はどうぞ宜しくお願いいたします。「Yostarの熱量高いクリエイティブを生み出す現場」をテーマに、皆さんのこれまでのキャリアやお仕事内容をお伺いしていきたいと思います。まずはPVの実制作を担当するクリエイティブアート部 映像チームのお二方にお話をお伺いします。
宮田悠司氏(以下、宮田氏):宮田悠司と申します。もともとはフリーランスで主に広告分野の映像制作をしておりました。2018年にYostarへ入社し、現在は映像の制作・ディレクション・プランニングを行っています。2020年からはYostar独自のアニメーションスタジオ Yostar Picturesと連携して、アニメPVのプランニングなどにも関っています。
CGWORLD:入社のきっかけはなんだったんですか?
宮田氏:実はわたし自身が入社前に、リリース当時の『アズールレーン』にかなりハマっていまして 笑。とにかくYostarのタイトルはキャラクターが強いのが印象的でした。キャラの二次創作についても寛容なポリシーで、SNSでも流行していましたからね。ファンの機微を掴んだ新しいプロモーションの流れだなと感じました。自分でもぜひこの世界観の映像を作ってみたいなと思って応募しました。
CGWORLD:広告分野で様々なクライアントの案件を手がけていた前職と、自社運営IPのプロモーションを手がける現在のお仕事とでは大きな変化がありそうですね。
宮田氏:一つの案件に向き合える、時間や熱量が大きく違いますね。前職の映像会社では様々なクライアントやジャンルの案件をいただいておりましたが、「作ってはすぐに次の案件」と言った状況でしたので、少し物足りない印象でした。
一方で、Yostarの映像デザイナーの仕事はPV制作にあたっても目的にあった最適な方法を自分自身でイチから探っていくことが求められるので、自然とIPとじっくり向き合う時間が増えてきます。
例えばゲーム内イベントのPVを作るのにしても「そもそも次のイベントがどういうもので、どこが売りになるのか」、運営チームやマーケティングチームと擦り合わせるところからスタートします。キャラを売りたい、ストーリーを売りたいといった、社内の様々な声を咀嚼しながら「こういうPVにしませんか?」と提案していく流れです。
売りの方向性が決まったところで、発注先であるYostar PicturesのPV監督や演出と協力しながら、コンテ制作、選曲といった作業を進めていきます。アニメの制作は、基本的に自分で作る映像作業とは比較にならないほど、様々な人間の意思が交錯するものなので、調整の手間が非常にかかるのですが、その代わり、最終的にいい仕上がりの映像ができた時の達成感は凄まじいものがあります。
CGWORLD:映像のデザイナーというよりかは、プランナーやディレクターみたいな役割も担っていますね。これまで担当した作品の中で、特に気に入っているものを教えてください。
宮田氏:アークナイツ「闇夜に生きる」アニメPVは、シナリオの目玉キャラクターWがイベント開催時に実装されないという課題がありました。実装されるキャラクターはストーリー上の絡みがないため、この相反する要素をどのようにPVに落とし込むかを考える必要がありました。
PVのナレーションを当てる人物はピックアップ対象などのキャラクターの場合が多いですが、今回はストーリーとにらめっこをしながら「(オペラ歌手という作品内の設定を活かし)ファントムに語り部として登場してもらう」という、劇中劇の演出に決めました。最終的にアニメPVの尺に落とし込むためYSPのPV監督にも尽力していただいたのを覚えています。
こちらは『ブルーアーカイブ』がリリースしたタイミングのPVですが、イベントストーリーやキャラクターに沿って、彼女たちの魅力を伝えつつシームレスにアプリ本編へとつなげる意識で制作しています。リリース直後は便利屋のメンバーがSNSで話題になっていたので企画時点でキャラクター性にフォーカスすべきと考えました。本作は「透き通るような世界観で送る学園RPG」というキャッチコピーなのですが、ゲーム本編はもっとドタバタでコミカルな雰囲気なんです。「クールな出来る女を目指す、自称“社長”の陸八魔アルが張り切った結果、空回りしてはちゃめちゃな展開になる」という作りにすれば、そのちぐはぐさを表現できるなと思い、こういった演出にしています。展開を閃いた後、すぐに曲を合わせたラフコンテを粗編し15秒に収まりそうな感触を得たので、Yostar Picturesのコンテ演出担当と相談の機会をいれました。担当の方の協力もあり、非常にスムーズに展開が決まったのを覚えています。
CGWORLD:信じられないスピード感で企画と制作が決まっていくんですね。自グループ内でアニメーション制作会社を持っている強みも生きていると思います。
Yostarのプロモーション映像はゲームの「販促」というよりもゲーム本編の一部、世界観のピースのように感じていますが、どういった意図で制作しているのでしょうか。
宮田氏:ゲーム本編と乖離がない、地続きのものを作りたいなといつも考えています。
「PVの引きはいいけどやってみたらすぐにやめてしまう」といった一過性の盛り上がりを狙ったものではなくて、PVをきっかけにキャラクターや世界観に興味を持ってもらったユーザーが、インストール後もそのまま違和感なく遊んでくれるようなものを目指しています。
CGWORLD:タイトルの世界観とPVでの表現に齟齬がないようにするためには、世界観やキャラクターの理解が重要そうですね。
宮田氏:まさしくそう思います。自社のコンテンツをどれだけ貪欲に愛せるかが一番重要だと考えています。実は映像デザイナーの応募要件については、After EffectsやPremiere Proなどを使用して一通り納品までおこなった制作実績が必須ではありますけど、最新技術やテクニカルな部分も大事ではありますが、それよりも作品への思い入れが強く、ファン心理を理解している方が向いていると思います。
CGWORLD:入社スタッフの多くがオタクだと伺っています。
宮田氏:社内には「このジャンルでこれだけ知っている方はそうそう巡り合わないだろう」というような深淵なオタクが多くて、自分にとってはすごく馴染みが良いです。
CGWORLD:宮田さん、ありがとうございます!では続きまして同じクリエイティブアート部映像チームから、飯久保さんお願いします。
飯久保 遼氏(以下、飯久保氏):クリエイティブアート部 映像チーム 飯久保 遼と申します。前職は広告代理店のグラフィックデザイナーで、主に印刷物やチラシ、パンフなどのデザインやアーティストの写真のレタッチなど画像編集を行っていました。当時から映像制作も担当していましたが、視聴者のダイレクトな反応をもっと得たい、より多くの方が知っているコンテンツに関わりたいと考えて、自分に社風もマッチしていたYostarを志望しました。
CGWORLD:確かにゲーム分野のプロモーションは、プレイヤー数が多いので多くのリアクションが得られそうですよね。ちなみに「社風がマッチしていた」ということですが、ご自身もオタク文化を嗜まれているでしょうか?
飯久保氏:そうですね、それこそ中学生くらいからコミケに参加するくらいにはオタクです笑。『アークナイツ』はSF寄りのコンセプトアート風な世界観が気に入ってリリース当初から遊んでいました。現在は、主にアークナイツを中心に、Web広告や交通広告などを担当しています。
CGWORLD: 担当されたJR新宿駅東西自由通路で展開されたアークナイツ「2周年記念動画」は本当にリッチな作り方をしていますよね。巨大なスペースを余すことなくキャラクターの魅力で埋め尽くしているように感じます。
飯久保氏:『アークナイツ』の2周年記念動画は、今まで応援してくれたユーザーへの感謝を伝えるコンセプトで制作しました。流石にこの規模のサイネージ広告は初めてでしたので、アイデア出しから苦労の連続でした。せっかくの大型サイネージなので、単純に同じ画面を並べる形ではなく「この場所ならでは」、「このサイズ感ならでは」のクリエイティブとはなにか考え抜きました。
制作が決まった次の日には実際に通路を歩いて何秒掛かるかを測ってみたり、見る人の目線がどの程度の高さになるのかを確認するなど、具体的な場面を想定しながら制作しました。
例えば冒頭の、BGMに合わせてイベント毎に登場したキャラクター達が次々表示されていく場面では、ゆっくり歩くと動きを追うことができるペースに調整していたり、離れたところからも見てもらえるようにCGを大きく表示したりと、できるだけ多くの工夫を盛り込みました。
CGWORLD: いわゆるメインキャラや特定のキャンペーンを推すだけではなく、ひとりひとりのキャラクターの魅力に迫っているのが印象的ですね。
飯久保氏:動画の一番最後に、今までに実装されたキャラクターや、メインシナリオに登場した印象深い登場キャラクターをできるだけ並べて、「ユーザーには好きなキャラクターを見つけて楽しんで欲しい」というアイデアで制作を進めました。200人くらいのキャラクターを並べるうえで、身長差も細かく反映していて、マーケティング部や運営部の担当者と協力しながら何度も確認しながら進めました。特にシナリオに登場するキャラは身長設定が公開されておらず、ここで初めて身長差が分かるキャラも多くいたと思います。結果的に推しキャラと2ショットを撮影してSNSに掲載してくれている方もいて、すごく嬉しかったです。
キャラごとの特徴を抑えたプロモーション展開としてはこちらも紹介させてください。
君と手にする、明日の世界──#アークナイツ
— アークナイツ公式 (@ArknightsStaff) November 12, 2021
君と手にする、明日の世界──#アークナイツ
— アークナイツ公式 (@ArknightsStaff) November 18, 2021
『アークナイツ』はそれまでアニメーションPVや、実装されるキャラ等を中心に展開していたので、このときはキャラクター自体を中心にした広告物を試してみました。強さやレア度などに関わらず、それぞれのキャラクターの魅力をPRする目的でTwitter用の動画を作成しています。大人の格好いい男性をまとめた動画や、若い少年キャラクターをまとめた動画など、それぞれデザインを変えつつ制作しました。
CGWORLD:これらの反応はどうでしたか。
飯久保氏:新宿広告の方は、「自分だったらこういう記念コンテンツが嬉しいな」と思ったものがユーザーの方にも刺さったのが嬉しかったです。Twitterでもたくさんの投稿が見られました。SNS広告の方は、挑戦的なアプローチだったのですが、多くの反響を頂けて、非常に嬉しかったです。
CGWORLD:実際にユーザーの生の声が届くと、純粋にやりがいへとつながりそうですね。それではYostarの映像デザイナーに求められるスキルはどんなものでしょうか?
飯久保氏:宮田とも被りますが、自社運営タイトルを愛する気持ちは大切です。これに加えて、コンセプトを理解し、デザインに落とし込むためのコミュニケーション能力が必要です。俗に言う「コミュ力」ではなく、マーケティング部門や運営と対話しながら、作品やキャラの特徴や広告の目的を理解した上で、コンテンツ設計を行う力です。「なんとなく」ではなく、ロジカルに物事を考えて発言する能力や表現力が求められると思います。
CGWORLD:飯久保さん、ありがとうございます。それでは次にマーケティング部の技術チームのお二方にお話を伺いたいと思います。
マーケティング部 技術チームインタビュー
3DCGアーティスト・エンジニアの仕事とは?
中村 諒氏(以下、中村氏):マーケティング部 技術チーム マネージャーの中村と申します。我々の技術チームはタイトルのプロモーションの中でも、特に3DCGを駆使したクリエイティブを担当するチームです。スタジオ内にVICONを24台導入し、3DキャラクターによるYoutube向けに生配信などをおこなっています。
CGWORLD:開発部門ではなく、マーケティング部内に3DCGの技術チームが存在するというのは非常に珍しいと思います。
中村氏:元々はYostar Pictures内に技術チームがあったのですが、プロモーションにおける3DCG需要が高まるにつれ、よりタイムリーな施策を打つためには、マーケティング部に移籍したほうがいいだろうという判断があり今の形となりました。
CGWORLD:前例にないような組織改編も合理的であればスピーディーに実施されるのですね。そもそも、中村さんは元々どういったお仕事をされていたんですか?
中村氏:前職では遺伝子の解析など、データ分析に関わる仕事をしていました。ただ、子どもの頃からゲームが好きだったこともあって、1年ほどUnityを勉強してYostarに入社しました。
CGWORLD:驚きの前職ですね。それにしてもCGのキャッチアップのスピードがとんでもなく早いですね……。どういうきっかけで入社されたんですか?
中村氏:実は入社前からコミケ向けの広告用動画の制作依頼を頂いていまして……。その仕事の御縁がきっかけで入社をしています。日々、みんな良いものを作るのに一生懸命で「そのアイデアだったら、こういう方法はどうだ?」と、お互いにアイデアを載せていくようなグルーヴ感がとても気に入ってます。
CGWORLD:大学のサークル活動や、文化祭の時のあの高揚した感覚ですね。技術チームのマネージャー職として、普段どのような業務を行っているのでしょうか。
中村氏:システム開発からコンテンツ制作まで幅広く行っていますが、チームの規模が年々拡大しているため、私自身は案件のディレクションに専念しています。いまはほぼすべての3Dコンテンツに関わっている状態ですね。挑戦的な要素のある技術要件に取り組んだり、キャラクターのルック全般を任せて頂いたり、監修元との間に立って意見交換を行いながら制作を進めることが多いかも知れません。
CGWORLD:システム開発から3Dのアート周り全般の監修を担当されているということですね。ご自身でディレクションされた案件の中で、特に気に入っているものがあれば教えてください。
中村氏:特に深く関わったのは「パーミャチ・メルクーリヤとおしゃべりLIVE バレンタインSP」でしょうか。キャラクターとユーザーがコミュニケーションを取れるという内容の生配信の企画だったのですが、キャラクターの衣装が複雑だったために自分自身がヘルプで入って、設定などを行いました。
CGWORLD:生番組の中でお客さんとダイレクトにコミュニケーションを取る施策なので、フットワークの軽さや想定外のオーダーにも応えられるような柔軟な設計が求められそうですね。
中村氏:そうですね。「特に誰からも依頼は来ていないが、いま作っているコンテンツに対してなにか要素を追加したい」と思ったとき、アイデアが面白いものであればパッと作ったものでも本番の動画でいきなり採用されたりします。「それ、良いよね!」という感覚を大事にしていますし、「そうくるなら、こうしたらもっと良くなるんじゃない?」というフィードバックも活発です。コンテンツを皆で高め合っているという印象があります。
CGWORLD:まさにLIVEの醍醐味ですね。技術チームに向いている方というのはどんな方ですか?
中村氏:可愛く見せる、格好良く見せるためには、キャラクター自身に強い興味を持っていなければいけません。その意味では、ゲームのキャラクター全般が好きな方が望ましいと考えています。常にゲームやアニメなどを見て、登場するキャラクターの良さがどういった部分にあるのかを考えている方は適正があると思います。もうひとつ挙げるとすれば「日々を楽しく生きている人」です。Yostarは、やっぱり楽しいことをやる会社ですので、明るさは大切です。自分が楽しくないとアウトプットも辛くなってしまいますので、笑顔が大事ですね。
CGWORLD:中村様、ありがとうございます。それでは引き続き小倉様お願いいたします。
小倉聖氏(以下、小倉氏):マーケティング部 技術チームの小倉 聖です。学生時代からモーションキャプチャを学んでおり、ゲーム・遊技機を手がけるCGプロダクションで6年ほど3Dアニメーターとしての実務経験を積んだ後にYostarに入社しました。私はモーションキャプチャ撮影の際の撮影補助やバーチャルカメラを使用する際のカメラマンなど、撮影からアニメーション修正までを一手に引き受けています。
CGWORLD:モーションキャプチャに関わる業務全般とのことですが、Yostarでの業務は前職の仕事と比較していかがですか。
小倉氏:リアルタイムの配信は初めての経験でしたが、やってみると、かなり面白かったです。もちろん緊張はしましたけど。
Yostarでの仕事はIPの特性上、可愛い女の子のモーション制作が多いのと、表現としても攻めた演出が求められるので、個人的に非常にやりがいを感じていますね。
また、仕事のペースも特徴的で、前職ではクライアントから発注をいただいた後、色々条件を整えてから作業をスタートするといった、ある程度順序立てられた仕事の進め方でしたが、現職ではひょんな会話の中の「こんなことできたら楽しいよね」といった言葉からプロジェクトがスタートし、気づけばR&Dやプロダクションが始まっているという、テンポの速さが大きな特徴だと思います。
CGWORLD:自社運営IP案件ならでは、お客さんの要望に対して臨機応変にプロジェクトが進行していくわけですね。担当した作品の中で、特に気に入っているものがあれば教えてください。
小倉氏:こちらは『ブルーアーカイブ』のエイプリルフール企画にあたる映像作品です。エイプリルフール企画といえば、現実世界でゲームに関連したサプライズを行うというのが定番だと思いますが、私たちは「ゲームの世界の中で」生徒たちがエイプリルフールで先生をドッキリさせるという企画を実施しました。
ゲームの世界と現実とのつながりを高めたかったんです。当時はゲームのキャラクターソングがなかったことも踏まえ、ユーザーメリットが大きいだろうという判断で「生徒がアイドルになり、歌って踊る」という企画が決定しました。
ダンスパートのモーション修正は全て自分が行っています。限られた工数の中で可愛さを追求するために、指の形と手の演技によってキャラクターの活き活きとした感じを演出しています。短いスケジュールながら、最後の最後まで何度も修正を繰り返して完成した作品なので、思い入れが強いですね。
CGWORLD:ありがとうございます。これほど高いクオリティのライブを、エイプリルフール企画の中でやりきる、しかもはじめての挑戦で。(よ、良くOKっていいましたね…。) そんなタフな技術チームですが、どんな方だと向いていますか?
小倉氏:積極性のある方です。かくいう私もそこまで積極性があるかは分からないのですが、例えばモーションキャプチャの収録が予定よりも早く終わった時は「自分だったらどういう演技をするだろう」、「自分だったらあのチャンネルのオープニングをどうしたいだろう」など、空いた時間で制作をしています。コンテンツのために自主的に手を動かしてアウトプットすることが大切だと思います。
CGWORLD:小倉さん、ありがとうございます。それでは最後にマーケティング部 部長の實川(じつかわ)さんより、求人背景や求める人物像、そして今後の目標について教えていただいてもよろしいでしょうか?
「ファンが喜ぶなら、なんでもやりますよ 」
スタッフが全員オタクだからこそ実現できる、振り切ったクリエイティブ。
實川昂太氏(以下、實川氏):マーケティング部でマーケティングプロデューサーを担当している實川昂太です。マーケティングやプロモーションの統括をしております。Yostarに入社したきっかけは、前職時代から面識のあった弊社代表とコミケで偶然出会い、お声掛けいただいたからです。
CGWORLD:今回のインタビューを通じて、貴社のアウトプットの質の高さは、マーケティング部、クリエイティブアート部の映像チームが密接に関わって制作した熱量の総和のような気がしています。みんな「オタク」という共通の土壌があるから、ここまで振り切った表現ができるんでしょうか?
實川氏:そうかもしれませんね。共通の経験・バックグランドを持つ人が多いので「これは面白い/面白くない」といった議論が、日常的に行われていますし、制作過程で「これ追加したら面白いよね」ということに気づいてしまったら、時間がない中でもギリギリまで粘ってクオリティを追求するようなサービス精神が根付いています。皆さまからもご評価いただいている通り、映像・3DCG制作チームは弊社が持ついくつかの武器の中でも「最強の矛」だと思っています。
CGWORLD:それでは今回の求人背景について教えていただいてもよろしいでしょうか?
實川氏:弊社のタイトルは、遊んでくださるユーザーさんのおかげで盛り上がり続けています。それに伴い、弊社が提供する全体のコンテンツ量もどんどん増えている状況にあります。また、いまのスマートフォン向けゲームの市場は激化しています。3Dチームも動画チームも総力を上げて、私たちの想いや”勢い”をタイムリーに市場にぶつける必要があります。弊社の持つ勢いをそのままぶつけられるだけのパワーがチームには必要で、そこに参加していただけるクリエイターを欲しています。
CGWORLD:より強度のある表現がタイムリーに求められているということですね。
では定番の質問ではありますが、Yostarだからこそ「挑戦できること」はありますか?
實川氏:「最終的にユーザーが喜べばそれが正義」というのが基本方針です。ユーザーが喜ぶことが最終的に会社のメリットに繋がるという考え方です。これくらいしか方針がないので、比較的自由に色々な施策に取り組めます。
弊社は代表自身もかなりのオタクですが、ファンの気持ちの機微を呼んで、適切なプランニングを行う。そうすれば、何をやるにも承認が通りやすい現場です。こうしたい、ああしたいというのが現場レベルでも企画として上がってきた場合には、積極的に応援します。クリエイター達も私たちの発案に対して「やります」と力強く言っていただけるので、本当にありがたく思っています。
CGWORLD:クリエイターの挑戦を応援する施策や、チームの生産性を上げるための工夫はありますか?
實川氏:マネジメントの立場から言えば「否定から入らない」というのは意識しています。どのようなアウトプットでも、まずは良いところを褒めるところからスタートします。その上で、一緒に議論を重ねながらユーザーが喜ぶ形に持っていくという形です。動画がつくれるのは間違いなく彼らクリエイターの能動的な努力があるからです。彼らの力を絶対に止めないように意識しています。その意味では、クリエイター個人への投資も会社として行っています。技術イベントでも書籍購入でも、必要であればどうぞという。クリエイターの能力が伸びることは、会社にとっても非常に重要です。
CGWORLD:ありがとうございます。それは最後に、会社としてのこれからの挑戦を教えてください。
實川氏:パブリッシャーである以上、多くの方にゲームを遊んでいただくのが究極的な目的です。ただ、PVや3DCGによるコンテンツ開発については、「どれだけの人に感動を与えられるか?いい意味でその人生観を狂わせられるか?」が目標になると思っています。自分自身もオタクとして生きてきて、やっぱり人生のターニングポイントになった作品はいくつもあります。そういった存在のひとつに、私たちが扱う作品や、弊社が作った動画コンテンツがなれたら良いと思っています。そしていつか、それを観てくれていた世代が自分たちの仲間になってくれたら、これほど嬉しいことはありません。
また、もう少し具体的なことを言うと、現在は徐々にリアルイベントが解禁されている状況であることから、今後はリアルな空間でもさまざまな施策を試していきたいです。あくまでユーザーが喜ぶことが第一ですが、弊社クリエイター自身がやりたいことを発露する場所としてイベントの企画に取り組んでいきたいです。
▼求人情報
▼求人情報はこちら
https://cgworld.jp/jobs/30681.html
▼募集職種
①映像デザイナー
②Unityエンジニア
③Unityデザイナー
④モーションデザイナー
⑤3DCGリガ―
TEXT_神山大輝
INTERVIEW&EDIT_池田大樹(CGWORLD)
PHOTO_竹下 朋宏