2017年9月に秋葉原に設立された気鋭のアニメスタジオ・萌が新規スタッフを大募集中だ。
もともとCGアーティストだった代表の平岡正浩氏が、恩師でCGモデラーの木村貴之氏とともに創設したこのスタジオ。『プラネット・ウィズ』(2018)や『ワンパンマン SEASON 2』(2019)でCGディレクションを務めるとその実力はたちまち業界内で評判となり、『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』(2021)などでも腕を振るい、現在は撮影や背景美術、デジタル作画まで網羅するスタジオに急成長。
今後、初の元請けアニメ作品の公開も控えており、100人規模のスタジオを目指しているという。この募集にあたり、若手スタッフに仕事の進め方やスタジオの様子などを聞いた。
求人情報
<積極採用中!>
▼制作進行【経験者/未経験者】
▼デジタル作画【経験者/未経験者】
▼CGキャラクターモデリングディレクター【経験者】
<その他職種も募集中>
▼CGアニメーションディレクター【経験者】
▼CGアニメーター【経験者/未経験】
▼CGキャラクターモデラー【経験者/未経験者】
▼美術背景【経験者】
▼テクニカルディレクター【経験者】
▼リガー【経験者】
▼CGディレクター【経験者】
▼VFXアーティスト【経験者】
▼CG開発プログラマー【経験者】
CGと作画のハイブリッドな画づくりをより強化したい
CGWORLD(以下、CGW):萌の特長はどんなところにありますか?
代表取締役・平岡正浩氏(以下、平岡):CG、作画、背景、撮影のセクションが社内に揃っているところです。CGからスタートした会社ですが、徐々に広げていき、2021年7月からは作画の部門を立ち上げ、作画とCGのハイブリッドな画づくりができる体制になりました。
今年だけでも、TVアニメ『賭ケグルイ双』や『THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 10th Anniversary Celebration Animation』のCGディレクション、TVアニメ『夫婦以上、恋人未満。』の撮影監修などに加え、元請けとして『ポケモンカードゲームCM「Battle with Pokémon篇」』なども手がけています。
CGW:今回の求人拡大の背景について教えてください。
平岡:ありがたいことに、元請け制作として非常に多くの案件のお引き合いをいただき、クリエイターや制作スタッフの募集をかけることになりました。現在は80名ほどなのですが、様々な仕事が増える中で、これを100人規模の体制をつくる必要が出てきましたのでスタッフを募集したいと考えています。
設立からこだわっているのは、「アニメーション作品を制作する会社である」ことです。そのなかでCGと作画のハイブリッドの画面づくりを強みにしていきたいと考えています。当社では基本的に実写作品やリアルタイムのゲームは扱いませんので、アニメーション作品を作ることに強くこだわりがある方と一緒に働きたいですね。
CGW:今回の募集で特に求めているのはどのセクションですか?
平岡:特に募集しているのはデジタル作画と制作進行、キャラクターモデリングディレクターです。他にも背景のモデラーと撮影スタッフも募集しており、各セクションのディレクターの層を厚くしていきたいと思っています。当社のディレクター陣は業界歴20年ほどですので、同じくらいのキャリアがあって元請けの立場でディレクションをしたいと考えている方にはぜひ来ていただきたいですね。
自分の担当を制限せず挑戦できる〜それぞれのセクションからみた「萌」の魅力
CGW:それでは、今回募集されるセクションのみなさまから、入社のきっかけやお仕事の様子をお伺いしたいと思います。まずは自己紹介をお願いします。
東野恭幸氏(以下、東野):制作進行の東野です。作画のスタジオで4年、CGのスタジオで1年制作進行を担当してきました。これまでの経験上、背景と撮影の部署が最後の画面づくりを左右することが多く、萌はそれらの部署が自社にあってクオリティ管理を密にできることが良い作品をつくる上で非常に有利だと思い、2022年6月に入社しました。
浅間英裕氏(以下、浅間):デジタル作画アニメーターの浅間です。京都アニメーションで9年間、手描きのアニメーターを務め、2021年7月に入社しました。先ほどの『ポケモンカードバトル』CMでキャラクターデザインを担当しています。
木村貴之氏(以下、木村):CG部の部長でモデリングディレクターと社内のコンプライアンス担当をしている木村です。平岡とともに萌を立ち上げた創業メンバーでもあります。
CGW:実際に入社してみて、魅力に感じたのはどんなところですか?
東野:僕は制作進行という仕事上、様々な部署のクリエイターと関わるのですが、皆さん良い人だなと感じます。CGアーティストの方は基本的にスケジュールを守ってくれるので助かります。制作進行はマネジメントが主な仕事ですが、当社では基本的にデジタル制作環境なので外部の方ともデータでやりとりをします。そのため、作画のスタジオにいた頃に比べて雑務が圧倒的に少なくなり、おかげでクリエイティブなことに時間を使うことができるようになりました。
制作進行はクリエイターに比べてまだ圧倒的に人数が少ないのですが、進行管理の上で、ShotGridを導入していることが非常に大きなポイントだと思います。これなしでの進行管理は考えられないです。社内に開発チームがいて、ShotGridを管理しやすいかたちに改造してもらったり、木村さんのようなディレクターの立場の方も管理側として立ってくれたりと、社内で協力しながら1つの作品をつくっています。
浅間:僕は作画で入ったのですが、3DCGのモデリングやアニメーションも少し担当させてもらったり、3Dモデルをつくるためのキャラデザを担当したりと、自分ができることの範囲を少しずつ広げられています。最初は本当に何もできなかったのですが、周りの先輩から優しく丁寧に教えていただきました。
木村:チャンスがあれば職種を飛び越えて仕事をすることもできます。そのあたりは柔軟です。
東野:CGアーティストで入社されたとしても、撮影やデジタル背景に挑戦していただいても構いません。むしろ、社内で担当していただけるカットが増えるぶん、こまめに相談できるので作品のクオリティアップに繋がります。
CGW:作品のクオリティアップの話が出ましたが、クオリティアップのために、皆さんがそれぞれで行なっている工夫があれば教えてください。
東野:制作進行としては、クリエイターが作業に集中できるよう、いかに無駄なことを省いて円滑に進めるかがポイントだと思います。そのためにはきちんとコミュニケーションを取って、問題が起きそうであれば先回りして解決していくことが大事です。
言いづらい話をするときも、単にそれだけを伝えるとモチベーションが下がるので、まずは今季のアニメの話でもして雰囲気を和ませて(笑)、ワンクッション置いてから伝えるなどの工夫はしていますね。スケジュール管理とクリエイターが本来やりたいことは時に相対することもありますが、その中でいかに近づけられるかが制作進行の腕の見せどころ。実現できたときは同じくらい嬉しくなりますね。
浅間:いかに作業に集中できるかは確かに重要ですね。3DCGに触る機会も増え、ある作業にどれだけの時間がかかるかを自分で把握していないとスケジュール全体が破綻してしまうので、そのコミュニケーションはしっかりと取るように心がけています。
木村:とはいえ、上の立場から「コミュニケーションをしろ」と言われてもできるものではないので、今の若い人の価値観に合わせて周りの環境を整えて話しやすい雰囲気をつくっています。
何らかの問題が発生した場合、放置したり任せきりにしたりせず、一緒に問題を解決していくようにしています。僕自身が回ることもありますし、そのときどきのプロジェクトの上長に相談しつつ、法的な問題が生じたときには社労士などの専門家に相談できる体制を整えています。
"良い作品づくり"を第一に整えられた制作環境
CGW:実際の働き方のモデルケースや休日などについて教えて下さい。
木村:当社は基本的に土日祝日が休業で、月・水・金を出社日、火・木をリモートワーク日としています。出社時間はコアタイムを13~18時に置いた裁量労働制です。12時~21時で働く人が多いですね。22時以降は深夜手当が付きます。クライアントの都合で休日にアサインされるときは、もちろん振替休日があります。ただ、実際のところ休日や深夜の作業は全体の1%あるかないかだと思います。
東野:毎週水曜日に美味しいお弁当が支給されるので、本気でモチベーションになっています(笑)。これは平岡社長の提案です。
平岡:これもコロナ禍以前から行なっていました。もともと自分や会社にお金を溜め込みたくて始めた会社ではなく、良い作品づくりをしたい思いが根底にあるので、少しでもスタッフに還元できることがあれば、お弁当に限らずこれからもどんどん続けていきたい考えです。
東野:平岡は自身もクリエイターなので、制作環境を整えることを自分ごととして考えています。机や椅子にもこだわりがあるんですよね。
平岡:机はオーダーメイドでつくってもらっています。僕自身がかつて「ここに段差があればいいのに」と思った経験があるので、かなりこだわって作業しやすいかたちに整えてもらっていますね。
木村:木製だから冷たい感じがしないのもいいですよね。スタジオが殺風景にならないように、ゾーンごとに異なる柄の壁紙が貼られているのが特徴です。パーティションも1人当たりのスペースを広めに取っているので、窮屈に感じないようにしています。
一緒に歩みを進められるパートナーであれる人に来てほしい
CGW:ご自身の職種の立場から、どういった人に来てほしいと思いますか?
東野:制作進行の観点からいえば、コミュニケーション能力のある人ですね。といっても、ただ単にお喋り好きだとか陽キャラだとかいった意味ではありません。相手の意見を汲みつつ、落としどころをどうやってつくっていけるか。つまり、相手に寄り添う力だと思います。
クリエイターの皆さんは、ご自分の作業にこだわりがあるので1人で抱え込んでしまったり、忙しいと声を発信できなかったりします。それをいち早く察知して、コミュニケーションを密にとって、問題があれば一緒になって解決する。ワークフローの流れを精査し、自分の領域で余るようであれば上長やディレクターの助けを借ります。ツールも含めてその環境は整っていますので、安心してみんなの力で作品をつくっていきましょう。
浅間:アニメーターはやはり、絵を描いて何かと伝えたいとか心を動かしたいと思っている人が向いていると思います。僕自身は日常芝居が好きなので、同志だと嬉しいかな(笑)。でも、それぞれの得意分野や作品に合ったかたちでアサインしてくれますので大丈夫です。僕もアナログの作画出身なので、アナログ作画の経験があってこれからデジタル作画やCGをやってみたいと思う人は大歓迎です。
木村:やっぱり熱量のある方ですね。技術・精神・肉体的なこともありますが、最後に頼れるのはやっぱり熱量。ちょっと古臭い考えなんですが、浅間が言った通り、心を動かすことが我々が成し遂げたいところですので。仲間というよりも、どこに行き着きたいのかをわかってくれる盟友が欲しいですね。雇用形態や働き方、契約形態などはそれぞれの事情をできるだけ汲みますので、新人でも一緒に歩みを進められるパートナーであってほしいなと思います。
CGW:ありがとうございました。
求人情報
<積極採用中!>
▼制作進行【経験者/未経験者】
▼デジタル作画【経験者】
▼CGキャラクターモデリングディレクター【経験者】
<その他職種も募集中>
▼CGアニメーションディレクター【経験者】
▼CGアニメーター【経験者/未経験】
▼CGキャラクターモデラー【経験者】
▼美術背景【美術監督経験者】
▼テクニカルディレクター【経験者】
▼リガー【経験者/未経験】
▼CGディレクター【経験者】
▼VFXアーティスト【経験者】
▼CG開発プログラマー【経験者】
TEXT_日詰明嘉 / Akiyoshi Hizume
EDIT_小村仁美 / Hitomi Komura(CGWORLD)