CGWORLD vol.310(2024年6月号)、「ローポリから始める3DCG」特集号にて、表紙グラフィックを手がけた、キャラクターアーティストのTom氏にマウスコンピューターのクリエイター向けPC「DAIV」を使用していただき、実機検証を経て、その性能の高さについて伺った。
実機検証ではノートPCとデスクトップ、Tom氏の個人PCの3台でBlender Cyclesのレンダリング時間とBlenderビューポートのパフォーマンスを比較した。
キャラクターアーティストTom氏
キャラクターアーティストTom
映像会社に7年勤め、現在はフリーランスとして活動中。普段はSNSでゆるいキャラクターの作品を投稿しつつ、お仕事では2Dデザイン → 3DCGキャラクターモデリングをメインに様々な分野にて制作。
■YouTube
@TomStudioCG
■X
@Txx_CG
Tom氏の普段の制作スタイルや、手がけられているお仕事は?
映像会社に7年ほど勤めた後、昨年、フリーランスのキャラクターアーティストとして独立しました。キャラクターモデリングのお仕事と並行して、半分趣味としてYouTube配信もやっています。趣味でやっていたYouTube配信でしたが、登録者が徐々に増えて、海外の方にも見てもらえるようになりました。
直近だと、YouTuberの「水溜りボンド」のカンタさんと一緒に「ふーごん。」というキャラクターが活躍するYouTubeチャンネルの3DCGパートのお手伝いをさせてもらっています。
制作に使用している機材やツールは?
普段使っているPCはデスクトップのゲーミングPCです。細かいスペックは気にしていませんでしたが、最新のゲーミングPCであれば3DCGソフトの要求するスペックも満たしているだろうという考えで選びました。正直、僕はPCの知識はあまりないので、ピカピカ光るデザインに惹かれて選びました。
普段使っている制作ツールとしてはBlender、Substance 3D Painter、Photoshopなどを使用しています。また自主制作やYouTube動画にDaVinci Resolveを使用しています。DaVinci Resolveを使っている理由は、無料であることと、フィルムルックに色味をいじりやすいからです。
- OS
Windows 11
- CPU
インテル Core i7-10700K
- GPU
NVIDIA GeForce RTX 3080
- メモリ
32GB
検証1:Blender Cyclesのレンダリング時間を試す!
ここからはDAIVのパフォーマンスについて、検証を交えて解説してもらう。Tom氏には、CGWORLD310号の表紙にも使われているCGについて、DAIV FX-I7G7S、DAIV Z6-I7G60SR-A、個人所有のPCの3機でレンダリング速度とビューポートのパフォーマンス比較検証をしていただいた。
- 解像度
1,598×2,087
- ノイズしきい値
0.0100
- 最大サンプル数
512
- デノイズ
ON
検証結果
Tom氏(以下、Tom):今回のレンダリング検証はCyclesのGPUレンダリングで行いました。キャラと背景の両方があるシーンで、サブサーフェスあり、毛もあり、フォグもありで約21万ポリゴンと、割と重ためのシーンだと思います。
CGWORLD(以下、CGW):レンダリング結果はいかがでしたか?
Tom:結果としては、1位がDAIV FX-I7G7S、2位が自分のマシン、3位がDAIV Z6-I7G60SR-Aという結果でした。DAIV FX-I7G7Sは圧倒的に速く、自分のマシンの1.3倍のスピードでレンダリングが完了しました。
CGW:これはシンプルにGPUのパフォーマンスの差が出たかたちですね。DAIV FX-I7G7S搭載のGeForce RTX 4070 SUPERは、Tomさん所有マシンのGeForce RTX 3080よりグレードでは劣りますが、1世代新しいので、パフォーマンスが上回ったという結果ですね。
一方、ノートPCのDAIV Z6-I7G60SR-A搭載のGPUはGeForce RTX 4060Laptop GPUで、世代は新しいですが、グレードがエントリークラスでかつノートPC向けなので、パフォーマンスでは少し負けてしまいました。
Tom:いえ、むしろノートPCなのにこんなに頑張ってくれたのかという印象です。カフェでレンダリングを回すなら、お茶を1杯飲んでいれば待てる時間なので(笑)。
検証2:Blenderビューポートのパフォーマンスを測る!
CGW:Tomさんには、同様にビューポートについても比較検証していただきました。まずは検証内容を教えてください。
Tom:検証に使用したのは、以前にYouTubeでデモ公開した「泳げない鳥 - 強風に耐える」のショートのシーンです。木の揺れやキャラクターのアニメーションがある、そこそこ重たいデータシーンのフレームレートを24に設定して、ビューポートでアニメーションを再生した際に何フレーム出るのかを検証しました。
CGW:ビューポートのフレームレートと作業のしやすさはどう関係してくるのでしょうか?
Tom:Blenderでは24fpsがデフォルトに設定されているので、ここを下回るとちょっと作業しにくいなと思っています。普段のPCだと、20~21fps前後を行ったり来たりで、24fpsは出ませんでした。
CGW:検証結果はいかがでしたか?
Tom:まず驚いたのが、ノートPCのDAIV Z6-I7G60SR-Aが、まさかの24fpsを叩き出したことです。しかも安定していて、アニメーション再生に関しては普段使っているPCより優れた結果になりました。これは何に由来するのでしょうか?
CGW:ビューポートはCPUのパフォーマンスに依存するのですが、DAIV Z6-I7G60SR-A のCPUはインテル Core i7-13700H プロセッサーで、TomさんのPCよりより3世代ほど新しいからだと考えられます。デスクトップPCのDAIV FX-I7G7Sはいかがでしたか?
Tom:こちらはもう別次元でしたね。余裕で24fpsを叩き出して、何ならオーバースペックなのか、25~27fpsぐらいまで出ています。シーンのフレームレートを上限60に上げて再生したところ、38~40fpsまで出ました。これは僕が使っているPCの倍ですね。
Tom氏によるクリエイターPC「DAIV」の評価
DAIV Z6-I7G60SR-A
【OS】
Windows 11 Home 64ビット
【CPU】
インテル Core i7-13700H プロセッサー
【GPU】
GeForce RTX 4060 Laptop GPU
【メモリ】
16GB(8GB×2 / デュアルチャネル)
【ストレージ】
M.2 SSD 500GB (NVMe Gen4×4)
これなら外でも CGの作業ができる!
まず、めちゃくちゃ軽くて携帯性が高いことに驚きました。ハイスペックなノートPCってもっと重いイメージだったんですが、これなら気軽に持ち運べる重さですよね。それに電源コードも1本だけで、かさばらないのが便利でいいですね。キーボードの打った感じも良かったですし、デザインもスタイリッシュで気に入っています。
肝心の性能も、自分が使っているマシンと遜色がないくらい高いと感じました。もともとカフェなど外で仕事をしたいという憧れはあったんですが、一般的なノートPCで3DCGを扱うのはスペック不足で断念していました。でも、この「DAIV Z6-I7G60SR-A」ならノマド的な仕事のスタイルも十分に可能でしょうね。今回は21万ポリゴンくらいのデータを扱ってみたんですが、問題なく作業できました。
スペック面で3DCGを扱うのは厳しいという、僕が抱いていたノートPCへの印象が完全に覆されました。セットアップの手軽さや持ち運びに優れたノートPCでここまでの性能が発揮されているのは信じられないです。このマシンなら外でも気軽に3DCGの作業ができますね!
DAIV FX-I7G7S
【OS】
Windows 11 Home 64ビット
【CPU】
インテル Core i7-14700F プロセッサー
【GPU】
NVIDIA GeForce RTX 4070 SUPER / 12GB
【メモリ】
32GB(16GBx2)
【ストレージ】
M.2 SSD 1TB + HDD 2TB
正直お金があれば すぐにでも買い替えたい!
とにかくマシンパワーが圧倒的に高いですね。シーンデータの操作も普段使っているマシンよりはるかに軽くて、同じシーンでもこんなに違うのかと感動しました。ほとんどの作業がストレスフリーで、このパワーを一度体感してしまうと、もとのPCには戻りづらいですね(笑)。
それに普段のPCはレンダリング時に爆音がするんですが、このマシンは静音性がとても高く、音を気にせず夜中でもレンダリングを回せそうです。丸みを帯びた筐体のデザインやマットな質感も格好良いと思いました。これなら家に置いていてもインテリアとして違和感がないでしょうね。
とにかくスペックの高さが圧倒的で、動作も断トツで安定していました。その上静音性にも優れていて、レンダリング中もかなり静かでノンストレスでした。正直、お金があればすぐにでも買い替えたいです!
お問い合わせ
株式会社マウスコンピューター
www.mouse-jp.co.jp
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PHOTO_大沼洋平