個人制作に取り組むクリエイターを中心にBlenderユーザーが増加している昨今、Blenderユーザーの中には、CG制作に取り組むこと自体初めてだという方も多くいるだろう。Blenderで映像制作に挑戦してみたいが、どのPCを選べばいいのかわからない.....そんなあなたに送る。
今回は、自身もコロナ禍をきっかけにBlenderを使用し始め、現在ではフルCG自主制作作品『昭和124年』シリーズで注目を集める映像ディレクター高橋悠氏が、マウスコンピューターが提供する「DAIV R4」、「DAIV Z6」、「DAIV FX-I7G70」、「DAIV FX-I9G90」をレビュー。Blenderユーザー目線で、実際のユースケースを想定し、徹底検証してもらった。
※本記事で検証に使用したFX-I9G90モデルは販売終了となり、記事内のリンク先は後継のFX-I9G90モデルのページとなっています。
「CGは何回イテレーションを繰り返せるかがクオリティに直結する」
高橋 悠氏は企業広告など実写映像の制作を手掛けるディレクターで、コロナ禍を機にBlenderによるフルCG制作を始めている。クライアントワークの傍らで3DCGを学び、2021年には自主制作シリーズ短編映像『昭和124年 0.5話』を発表。架空の東京を舞台にした独自の世界観が話題を呼び、2023年には「映像作家100人」に選出されている。
普段の制作環境はCore™ i9-13900K、NVIDIA GeForce RTX4090搭載、メモリ64GBのWindowsマシンと最上位に近い構成。この理由は、同氏がフォトリアルCGを中心に制作することに加え、「CGは何回イテレーションを繰り返せるかがクオリティに直結するため、レンダリング時間の短縮によって表現力を担保したい」という考えがあるから。「上級者はもちろん、Blenderを使い始めたばかりのユーザーでも、やりたいと思った表現が全て賄えるように最初からハイスペック機を購入するのが良いと思います」(高橋氏)。
機種の選択は、移動性か作業効率性で判断すべし
今回は、マウスコンピューターが提供するノートPC「DAIV R4」、「DAIV Z6」と、デスクトップPC「DAIV FX-I7G70」、「DAIV FX-I9G90」の性能それぞれを比較。合計4台のPCを使用し、Blenderユーザーのユースケースを考慮した方法で多角的に検証してもらった。
全機種の検証を終え、「一昔前では考えられなかったことですが、ノートPCでも問題なくCG制作ができることが分かったのが衝撃でした」と語る高橋氏。
DAIV R4については、ノンフォトリアル系CGかつ複雑なアニメーションを伴わないCG制作であれば問題なく、例えばキャラクターモデリングや静止画の制作であればスムーズに作業ができると評価した。また、本機を使用した際、ピンチでズームするなどのトラックパッド操作と3DCG制作の相性の良さに気付いたという。
DAIV Z6に関しては「自分が一番欲しいモデル」と発言している。ノートPCなのに、VRAM8GBを搭載したGeForce RTX™ 4070 Laptop GPU であれば、レンダリングまで問題なく行えることに驚いたそうだ。既にハイエンドGPU搭載のデスクトップPCを所有しているクリエイターが2台目として購入するのが特におすすめだとコメント。DAIV R4に比べてトラックパッドが大きく設計されており、Blenderユーザーにとって必須となるテンキーもあるため、レンダリング以外の実作業を場所を選ばず行えることのメリットが大きいと語られた。
デスクトップPCについては、レンダリング速度やプレビュー速度などGPUメインで行う動作において優位性がある。DAIV FX-I7G70はエントリー機種としては必要十分で、「まだ自分がどんな作品を作りたいか分からない」というユーザーにとっても、アニメーションまで含めて全方位的にカバーできるスペックとなっている。DAIV FX-I9G90はCG制作のあらゆるジャンルや作業が可能なスペックで、もし最初からこのPCを所有できていれば、その後どういった作業を行ったとしても申し分ないスペックと解説された。
ノートPCとデスクトップPCにはGPU性能面で差はあるが、検証結果が示す通りDAIV R4でも巨大シーンのレンダリングは可能であり、制作全般がノートPC単体でも概ね対応できることが示されている。また、レンダリング速度は今後クラウドレンダリングサービスの拡充で解決できる可能性もあるため、「場所を選ばず作業する」ことを重視するか、「最高の環境で作業する」ことを追求するかで購入機種を検討したい。
以降では、検証PC4機種の概要、CG制作の工程別に使用されるスペックごとの具体的な性能差について紹介している。
検証機の概要
【ノート】DAIV R4(初心者向け)
- CPU
インテル® Core™ i7-12650H プロセッサー
- GPU
NVIDIA(R) GeForce RTX(TM) 3050 Laptop GPU
- メモリ
16GB
- 価格
179,800円
【ノート】DAIV Z6(ゼネラリスト向け・エントリーモデル)
- CPU
インテル® Core™ i9-13900H プロセッサー
- GPU
NVIDIA(R) GeForce(RTX) 4070 Laptop GPU/NVIDIA® Studio ドライバー プリインストール
- メモリ
32GB (16GB×2 / デュアルチャネル)
- 価格
359,800円
NVIDIA Studio ドライバーとは?
NVIDIA独自のドライバー テクノロジーで、クリエイティブアプリとNVIDIAのハードウェアが連動する仕組みを継続的に最適化しており、最高レベルのクリエイティブ パフォーマンスが発揮できる。Game Ready ドライバーと比較しても、信頼性が高く各クリエイティブアプリの安定動作につながる。
【デスク】DAIV FX-I7G70(ゼネラリスト向け・エントリーモデル)
- CPU
インテル® Core™ i7-13700KF プロセッサー
- GPU
NVIDIA(R) GeForce RTX™ 4070
- メモリ
32GB
- 価格
299,800円
【デスク】DAIV FX-I9G90(ゼネラリスト向け・ハイエンドモデル)
- CPU
インテル® Core™ i9-13900KF プロセッサー
- GPU
NVIDIA(R) GeForce RTX™ 4090
- メモリ
64GB
- 価格
629,800円
NVIDIA GeForce RTX 40 シリーズとは?
Tensor コアは第 3 世代から第 4 世代、RT コアは第 2 世代から第 3 世代になった。第 4 世代 Tensor コアは、NVIDIA DLSS 3 などの革新的な AI 技術の実現と高速化を担い、NVIDIA DLSS 3 内の技術である DLSS Super Resolution と DLSS Frame Generation、NVIDIA Reflex によって、優れた画質を維持しながらフレームレートとパフォーマンスを向上させている。Blender向けのRTXの特長はRTコアによるレンダリングの高速化とTensorコアによるAIデノイザー、NanoVDBによるボリュームレンダリングである。
検証1:全般の操作性
3Dキャラクターが歩行するFBXデータを使用し、フレームレート24設定でプレビュー再生した際に遅延があるかを計測した。検証データの内容は人型のモデルが手前に向かって歩いてくるアニメーションで、頂点数は32,394、面は39,089、三角面は53,773、総容量は118MB。検証モードはワイヤーフレームのみを表示する「ワイヤーフレーム」、モデルの外観のみを表示する「ソリッド」、色や質感を含めて表示する「マテリアル」加えて、ライティングやマテリアルを含めてレンダリング時と近い見た目で確認できるCycles形式の「レンダープレビュー」の4通り。CyclesはBlenderに標準搭載されるレンダリングエンジンのひとつで、レンダリングにはCPUとGPUいずれかを選択して使用する。
結果は全てのマシンでも問題なく動作し、体感上の違いも特に見受けられなかった。このため、高橋氏はいずれの機種でも「簡単なキャラクターアニメーションやモデリングであれば充分なスペックである」と言及。ただし、3DCG制作においてはヘアシミュレーションやクロスシミュレーション(衣服など布類のシミュレーション)といったCPU、GPU両面で負荷のかかる作業も多いため、より複雑なアニメーションを制作する場合はフレームレートに影響が出る可能性もある。
また、意外だったのは、マテリアルプレビューよりも最終的なレンダリング結果に近いレンダープレビュー側が高速に描画されていた点。従来はCycles以外のBlenderの標準レンダリングエンジンとして、より描画速度に優れたEeveeをレンダープレビューで行うケースも考えられたが、今後は作りたい最終的な絵作りに応じて自由にレンダリングエンジンを選択するようになると考えられる。
検証2:レンダリング時間
処理負荷の高いデータを用いてレンダリング時間を計測した。レンダリングエンジンはBlender標準搭載のCyclesとEeveeを使用。CyclesではCPUレンダリングとGPUレンダリング両方を計測し、Eeveeは仕様上GPUのみのレンダリング時間計測を行った。使用したデータは『昭和124年 0.5話』の実データで、頂点数は4,092,106、面は4,550,389、三角面は8,042,098、総容量は2.83GBとなっており、テクスチャは4K解像度、ボリュームフォグなども配置されていることから描画負荷が高い内容となっている。
今回特に結果に影響をもたらしていたのはGPUの性能である。大別すると、ノートPCとデスクトップPCの性能差が顕著に現れた結果となった。
DAIV R4ではCycles(CPU)が08:44:50、その他のレンダリングは中断された。DAIV Z6ではCycles(CPU)が04:06:43、Cycles(GPU)が00:58:57、Eeveeが01:42:66という結果。ノートPCで比較すると、前述したNVIDIA® GeForce RTX™ 40シリーズGPU、そしてNVIDIA Studioドライバーを搭載しているPCを選択することは、Blenderでの作業の効率化に効果的であることがわかる。
・DAIV R4:GeForce RTX™ 3050 Laptop GPU
・DAIV Z6:GeForce RTX™ 4070 Laptop GPU+NVIDIA Studioプリインストール
DAIV Z6は、NVIDIA Studio認定を受けた16型ノートPCで、GeForce RTX 4070 Laptop GPUを搭載、NVIDIA Studioドライバーがプリインストールされており、クリエイティブアプリに最適化されている。Blender CyclesのOptiXレイトレーシングで、最速の最終フレームレンダリングを実現し、ビューポートで使用すると、モデリングやアニメーションでインタラクティブでフォトリアルなレンダリングが可能だ。またモーションブラーレンダリングが高速化され、nanoVBDでボリュームのレンダリングも容易になる。加えて、NVIDIA Omniverseにも接続可能だ。
高橋氏も、DAIV Z6に関して「自分が一番欲しいモデル」と発言している通り、今後あらゆるジャンルのCG制作に取り組んでいきたいと考えているユーザーにとっては最適なノートPCといえそうだ。
DAIV FX-I7G70ではCycles(CPU)が02:01.26、Cycles(GPU)が00.58.57、Eeveeが00:40:5。最も速かったのはスペック通りDAIV FX-I9G90で、Cycles(CPU)が、01:19.00、Cycles(GPU)が00:13.09、Eeveeが00:04:09と、デスクトップ同士を比較してもGPU面ではCyclesが4.46倍、Eeveeが10倍ほどの高速化となっており、GeForce RTX™ 4070とGeForce RTX™ 4090の性能差がそのまま現れたかたちとなる。
今回は作品の一部での検証だが、より総容量が大きいプロジェクトではこの差はより顕著に現れるだろう。このことから、大容量のVRAMを持つGPU搭載モデルへの投資は、作業の効率化に大きく寄与すると考えられる。
また、DAIV Z6とDAIV FX-I7G7でもEeveeでは2倍以上の差が表れているが、これは同型番のように見える「GeForce RTX™ 4070」がデスクトップ用かLaptop用かによって性能差が生じているからだと考えられる。
検証3:ビューポートのフレームレート数
10種類の建物モデルをジオメトリノードによって広域に配置し、さらにボリュームフォグなどを配置することでビル群を作成。このデータを検証1.と同様にプレビューした際のフレームレートについて検証した。これはゼネラリストや背景アーティストの業務として想定し得る内容で、検証2.ほど重いデータではないものの一定以上のスペックを求められる工程となっている。なお、ジオメトリノードで扱うノードには種別によってCPU、GPUいずれも活用する場合があり、どちらか一方だけが強いマシンではなくバランス型のマシンスペックが求められる。ただし、描画自体はGPUベースのため、プレビュー時のフレームレートにはGPUが関連する。
検証の結果、DAIV FX-I7G70とDAIV FX-I9G90では全てのプレビューモードで24FPSを常時維持できた。また、DAIV Z6でも、ソリッドとレンダープレビューでは遅延なく描画されており、ワイヤーフレームとマテリアルはともに13FPSとなった。DAIV R4はいずれのプレビューも11FPS前後に収まっているが、Cycles仕様の影響かレンダープレビューは13~15FPSと問題なく作業できる速度となっている。
この結果を受けて、高橋氏は「ストレスなく作業ができるのはデスクトップ側ですが、体感的にはノートPCでも全く問題がないと感じました。特にDAIV Z6とDAIV FX-I7G70は、Z6側にNVIDIA Studioドライバーが入っていることも手伝ってか、この検証においては差を感じませんでした。」とコメント。100km四方など極端に広域なビル群になればメモリやVRAMが直接的に影響するかたちとなるが、この規模であればいずれの機種も問題なく描画できており、快適に作業が可能となっている。
検証4:流体シミュレーションのベイクの所要時間、再生時フレームレート
高品質な流体シミュレーションが可能な定番アドオン「FLIP Fluid」を用いて、ボックスに水が流れ込むシンプルなプロジェクトを作成。ベイクの所要時間と、24FPS設定でソリッドビューでの再生時フレームレートを計測した。最終的な頂点数は369,974、面は365,160、三角面は732,231、容量は481KB。FLIP Fluidのシミュレーション計算ではCPUのクロック速度とスレッド数の両方に依存しており、大規模なシミュレーションを複数行う場合はメモリも重要となる。
ベイク所要時間はDAIV R4が02:34.29、DAIV Z6が02:31.24。シミュレーションが小規模だったために時間的な差は大きく表れていないが、インテル® Core™ i7-12650Hとインテル® Core™ i9-13900HではCPU世代が異なり、コア数、スレッド数ともに上位のため、より大規模なシミュレーションの場合は顕著な差が出ると考えられる。プレビュー時フレームレートはDAIV R4が4~10FPS、DAIV Z6が4~15FPSとなった。デスクトップ側は両機種ともにノートPCよりも所要時間が短く、DAIV FX-I7G70が01:45.25、DAIV FX-I9G90が01:56.51。プレビューはともに6~20FPSという結果に。ベイク時間はハイエンド機種との逆転現象が起きているが、これはクロック周波数によるものと推測される。インテル® Core i7-13700KFは16コア24スレッド、インテル® Core i9-13900KFは24コア32スレッドであり、L2,L3キャッシュにも優位性があるが、クロック周波数はインテル® Core i7-13700KFがA-コア 3.40GHz、B-コア 2.50GHzであることに対しインテル® Core i9-13900KFは3.00GHz、2.20GHzとなっている。
このように、ソフトウェア側の仕様やシミュレーションの規模によって、ベンチマークとは異なる結果が出ることも多い。
検証5:Blenderユーザーが副次的に使用する制作手法でも検証
DaVinci Resolveでレンダリング時間を計測
24秒ほどの短い4K動画をmov形式(H.264)で書き出した際のレンダリング時間を計測。カラーグレーディング等の作業は行っておらず、あくまで読み込んだ動画をエンコードする際の時間となっている。使用ツールはDaVinci Resolveで、エンコードおよびデコードではCPUのクロック周波数とコア数が重視されるため、書き出し速度はシンプルにCPU性能に依存する。もちろん、DaVinci Resolveでカラーグレーディングを行ったり、エフェクト処理やノイズリダクションを行ったりする際はGPUベースとなる上、メインメモリより優先してVRAMを使用する設計のため、実作業においてはGPUも非常に重要となる。
検証結果はDAIV R4が00:33:11、DAIV Z6が00:22:80となっている。また、デスクトップPCではDAIV FX-I7G70が00:15:09、DAIV FX-I9G90が00:13:10と、これまでの検証結果を踏まえてもほぼ予想通りの数値となった。また、高橋氏は実写映像のディレクターとしての知見から、大量のRAWファイルを扱う場合はプレビュー面で各機に差が出ることに言及。プレビュー再生で重い場合はプロキシファイルを作って作業を行うことが推奨と解説した。
なお、近年はラップトップ向けGPUも一定以上のVRAMを搭載する傾向にあり、GeForce RTX™ 3050 Laptop GPUが4GBまたは6GB GDDR6、GeForce RTX 4070 Laptop GPUが8GB GDDR6となっている。デスクトップ向けGPUはGeForce RTX 4070 Tiが12GB GDDR6X、GeForce RTX 4090 Tiが24GB GDDR6Xと高水準であり、特にGeForce RTX 4070 Tiは前世代のRTX3070 Tiが8GBまでだったため、DaVinci Resolveにおいては最新世代のGPUを使用するメリットは大きい。
モバイルモーションキャプチャのトラッキング精度
3DCG制作自体とは少し離れるが、キャラクターモデルを制作したあとに動かしたくなる人も多いはず。今回はモバイルモーションキャプチャー「mocopi」と「Rokoko Smartgloves」を組み合わせて、指先までを含む全身のトラッキングを検証した。mocopiは6個の小型センサーで構成されるモーションキャプチャーシステムで、ペアリングしたスマートフォン経由でモーションデータを外部ソフトウェアに送信する仕組み。Rokoko Smartglovesは手や指の動きをトラッキング可能なグローブ型デバイスで、7つのモーショントラッカーでキャプチャし、Wi-Fi経由で送信する。
結果はいずれの検証機も良好で、全ての機種で問題なくリアルタイムにキャプチャができていたが、DAIV R4のみ若干のかくつきが見られていた。ノートPCは両機ともにWi-Fi 6E(最大2.4Gbps)に対応しているが、DAIV Z6の方がGPU世代が新しい。今回用いた3Dキャラクターアニメーションソフトウェア「Rokoko Studio」は使用時にGPU使用率が上昇する傾向があるため、この点が影響している可能性もある。
従来のモーションキャプチャーにはVICONやOptiTrackなど光学式デバイスを用いた大規模スタジオが必要であり、比較的入手しやすい慣性センサー式のMVNやPerception Neuronも価格的に個人所有が難しいデバイスだったが、近年はmocopiに代表される個人向けシステムが登場しているほか、Webカメラ撮影をベースにクラウド側でアニメーションを生成するサービスも存在している。手軽にフルトラッキングがしたい場合も、マシンスペックそのものが大きく問われることはなさそうだ。
ハイポリゴンのフォトグラメトリデータをプレビュー再生
ハイポリゴンのオブジェクトを問題なく扱えるかをテストするため、高橋氏が撮影したフォトグラメトリデータをBlenderにインポートし、FPS24,30,60を各モードでプレビュー再生した際の遅延があるかを計測した。頂点数は295,784、面は548,316、三角形面は548,316。テクスチャは4K解像度のままで、特にリダクションは行っていない。フォトグラメトリとは、現実世界の被写体を複数のアングルから撮影し、取得した画像データを特徴点に応じて合成して3Dモデルを生み出す手法。高橋氏によれば、ランダムな形状をモデリングするのは時間が掛かるため、フォトグラメトリ素材を映像内で使用するケースは増えているとのこと。なお、撮影にはLiDAR搭載iPadおよびPolyCamが用いられている。
約30万ポリゴンのフォトグラメトリ素材だが、ワイヤーフレーム、ソリッド、マテリアル、レンダープレビューいずれにおいても、全機種とも問題なく24FPSが維持できていた。「数値上だけでなく、体感上も大きな違いは感じられませんでした。わずかにノートPC側の回転が遅いような感覚もありましたが、気になるほどではありません。フォトグラメトリ素材を単体で扱うケースは少ないですが、この規模であればDAIV R4でも全く問題なく作業ができると思います」(高橋氏)。検証1.や検証3.と同様に、プレビューについてはCyclesの速度が向上したことと、いずれの検証機も一定水準以上のGPUを搭載しているため、動作に問題は見受けられなかった。
問い合わせ
株式会社マウスコンピューター
TEL(法人):03-6636-4323(平日:9~12時/13時~18時、土日祝:9~20時)
TEL(個人):03-6636-4321(9時~20時)
https://www.mouse-jp.co.jp/store/brand/daiv/
TEXT_神山大輝 / Daiki Kamiyama(NINE GATES STUDIO)
PHOTO_大沼洋平
INTERVIEW_池田大樹(CGWORLD)
EDIT_中川裕介(CGWORLD)