「可愛い」アニメ表現を得意とし、2024年4月に放送予定の水島 努監督オリジナルTVアニメーション『終末トレインどこへいく?』を手がけるEMTスクエアードが、さらなる飛躍に向けて3DCGアニメーター、ディレクターを募集中だ。
今回は『終末トレインどこへいく?』で新たな表現に挑戦した同社3DCG部の3名と、代表取締役社長の宮本秀晃氏に、EMTスクエアードが取り組んでいる仕事の内容、社風、そして求める人材像まで幅広く語ってもらった。
作品情報
『終末トレインどこへいく?』
監督:水島努
シリーズ構成:横手美智子
キャラクターデザイン:西田亜沙子
アニメーション制作:EMTスクエアード
©apogeego/「終末トレインどこへいく?」製作委員会
EMTスクエアードの全ての作品に携わる3DCG部
CGWORLD(以下、CGW):まずは御社の3DCG部のチーム構成や、業務内容について教えてください。
柴田 渉氏(以下、柴田):EMTスクエアードでプロデューサーをしております、柴田です。
柴田:現在3DCG部は、プロデューサーの私を除くと、モデラーの志村、アニメーターの岡を含めた4名体制です。まだ人数が少ないということもあって、基本的にEMTスクエアードが携わる案件は3DCG部の全員が関与しています。そのために鍛えられて実力がついていくというのも事実なのですが、「メンバーが増えればもっとできることやこだわりたいことがあるのにな」と思うことも多く、それが今回の求人の背景となっています。
CGW:3DCG部で使用しているツールについて教えてください。
志村英一郎氏(以下、志村):基本的にはMayaを使っています。簡単なモデルであれば、BlenderでつくってそれをMayaへ持っていくケースもあります。
岡 恭生氏(以下、岡):レンダラはV-Rayです。レンダリングした素材は、PhotoshopやAfter Effectsなどで加工しています。
西武鉄道2000系 完全再現への挑戦
CGW:『終末トレインどこへいく?』には、どのような関わり方をされているのでしょうか?
柴田:主に電車の3Dモデルの制作を担当しています。電車の他に、一部のキャラクターも3Dで制作しています。
今回、水島監督から西武鉄道2000系の電車を完全再現したい、電車の走るシーンをかっこよく魅せたいというお話があり、実物の車両を3Dスキャンしてモデルを制作することにしました。また、3Dスキャンするだけでなく、小手指町の車両基地に足を運んで運転操作を教えていただいたり、実際の車両を見せていただいたりもしました。
CGW:車両の完全再現となると、苦労したことも多かったのではないでしょうか?
志村:リファレンスの量が1,000枚近くと膨大で、ひとつミスが見つかると全部見返さなければならないことも多く、大変でした。一方で、車体の下のメカメカしい、情報量の多い部分はつくっていてとても楽しかったですね。
岡:現実の動きに忠実に電車にリグを組み、動きを付けてしまうと、サスペンションやブレーキの動きなどがどうしてもつまらなくなってしまうことがありました。そういうシーンでは現実を完全再現するのではなく、パーツに少しオーバーに動きを付けたり、つり革を激しく揺らしたりすることで、説得力のある表現を追及しています。
試行錯誤しながら一緒に作品を作り上げる EMTスクエアード3DCG部の魅力
CGW:3DCG部の今後の展望についてお聞かせください。
岡:これまでは背景や無機物を制作することが多かったのですが、これからはキャラクターもつくっていきたいと考えています。そのためにも、フル3DCGの作品に携わっていきたいですね。
CGW:現在募集している職種についても、詳しく教えてください。
柴田:すぐにでも入社していただきたいのは、アニメーターとディレクターです。
アニメーターは現在岡ひとりだけなので、モデルが出来上がってもすぐに手をつけられない状況です。うちは若手が多いので、若手の方はもちろん大歓迎ですし、ベテランの方に入っていただけるなら、それもいい刺激になると思います。ディレクターに関しては、コンテが上がってきたときにどうやったらカットが成立するのか考えて落とし込める、経験のある人にぜひ来ていただきたいですね。
また、モデラーも随時募集しています。
CGW:技術的な面とは別に、パーソナリティとして期待する点はありますか?
柴田:弊社が他社さんと違うところは、少人数であるがゆえに、チーム全員でコミュニケーションを取って試行錯誤しながら進んでいくところだと思っています。初めて取り組む題材を与えられたときに「やったことがないからできない」ではなく、「どうやってやろうか?」と一緒に前向きに考えられる、自分ができることを増やすことを楽しめる人に入社していただきたいですね。
CGW:最後に、EMTスクエアードで働くことのやりがいや魅力について教えてください。
志村:任される裁量が大きいところが魅力です。そのおかげで徹底的にこだわって作品をつくり込めます。たまに「つくり込みすぎ」って言われることもあるんですが(笑)
岡:そのつくり込まれたモデルを、「ここも動かした方がいいのかな?」なんて迷いつつ動かしていくのもまた楽しいです(笑)。そうやって完成したものが多くの人に観ていただけることに、やりがいを感じますね。
柴田:作品によってやることが全然違うので、毎回みんなでイチから制作フローを考えていくのですが、試行錯誤した経験を活かしてつくったものがバシッと決まって武器が増えていくのが、とても楽しいです。
「可愛い」を3DCGで追及していくために、新しい仲間を募集中
CGW:続いて、EMTスクエアードの代表取締役社長、宮本秀晃氏にお話を伺います。まずはEMTスクエアードの設立経緯について教えてください。
宮本秀晃氏(以下、宮本):私はもともとトムス・エンタテインメントという会社で様々なアニメ作品の制作に携わっていました。
経験を積み、プロデューサーとして自分がつくりたいものが明確になってきたということと、スタッフとより距離が近い会社をつくってみたいと思うようになり、独立してEMTスクエアードを設立しました。できるだけ近いところで、みんなでわいわいとやりたいという気持ちがあります。
CGW:社員の皆さんの距離の近さは、先ほどのインタビューでも感じました。EMTスクエアードはどんな方が多い会社ですか?
宮本:「可愛い」ものが好きな人が集まっている会社であるということは言えますね。私自身も可愛いものが好きで、スタッフ採用のポートフォリオでもそういう表現ができているかを見ています。
「可愛い」には、例えばあるキャラクターの見た目が可愛い、という表現ももちろん含まれますが、それだけではなく、動物の触ったら柔らかそうな質感や、キャラクターの軽快で楽しげな動きにも表現される可愛さはあると思っています。
企画の段階から「可愛い」が表現できる作品かどうかは気にしています。基本的には社員みんなが好きそうな作品を選びますし、そうでなければお断りすることもあります。また、私が取ってきた企画でなくても、スタッフが「これをやりたいです!」と言ってきたら、それを前向きに受け止めますし、実際に制作が決まった案件もあります。
CGW:これからEMTスクエアードがつくっていきたい作品の方向性も、やはり「可愛い」に重点が置かれるのでしょうか?
宮本:はい、この5年で3D作品がつくれる体制を整えて、次の5年で「可愛い」を活かした3D作品をつくっていきたいです。「可愛い造形」はスタッフとキャッチボールしていけばつくれる土壌がすでにありますが、「可愛い動き」はまだまだ追及していく必要があると考えています。
今年の目標は3DCG部の強化です。『終末トレインどこへいく?』では西武鉄道2000系の完全再現に挑戦しましたが、今後はさらに「可愛い」を3DCGで表現していける会社になっていきたいですね。そしてそのためにも、3DCG部に新しいメンバーを迎えていきたいと思っています。
CGW:どのような方に入社してほしいですか?
宮本:やはり、仕事を楽しんでくれる方が絶対条件ですね。あとは何かを教えてもらうことを期待している方ではなく、「勝手にここまでやってみちゃいました!」というくらいの、自分から行動できる方に来てもらえたら嬉しいですね。
CGW:ありがとうございました。
求人情報
EMTスクエアード
emt2.co.jp
▼募集職種
①3DCGアニメーター
②3DCGディレクター
③3DCGモデラー
TEXT_オムライス駆
EDIT_Mana Okubo(CGWORLD)
PHOTO_弘田 充 / Mitsuru Hirota