外部接続で、リアルタイム編集室のストレージとしても使える転送速度!?『SanDisk Professional』のThunderbolt3対応の超高速ストレージをデジタル・フロンティアが"現場目線"で徹底検証!
映画やドラマの実写合成VFXから、アニメ、ゲームムービー、そしてリアルタイムCGまで―――老舗のCGプロダクションとしてまさに多種多様なCGビジュアルを手掛けるデジタル・フロンティアが、Thunderbolt3接続によって史上最速クラスを誇る『SanDisk Professional』のストレージ各種を現場目線で検証。外付け爆速SSDのCGプロダクション的活用方法を探る!
INFORMATION
現場が扱うデータは常に肥大化 必要とされる高速大容量ストレージ
デジタル・フロンティアには、170名以上のCGアーティストが在籍している。アーティストが実務に集中できるよう、制作進行や管理業務については、30名ほどが在籍するプロダクションマネジメント室で行う体制となっており、その室長を舟橋俊氏が務める。これまで、CGプロデューサーとして多数の作品を担当し制作現場を効率的に管理運用する舟橋氏と、システム室に在籍しデジタル・フロンティアの機材管理を担う田村佳大氏が、今回の検証とインタビューに応じてくれた。
株式会社デジタル・フロンティア
所在地:東京都渋谷区桜丘町9番8号
設立:2000年5月
スタッフ数:250名(2020年4月現在)
事業内容:映像全般の企画、および制作
デジタル・フロンティアは、CGをはじめとしたデジタル映像の先端を切り拓いている総合映像プロダクション。映画やTVドラマ、ゲーム・ムービーなど、実写、アニメを問わず、様々なジャンルや規模の映像作品を手掛けている。高い技術力、発信力を持つスタッフたちと共に、時代の最前線(フロンティア)に立ち、さらなる飛躍を目指す。 担当作品に『竜とそばかすの姫』、『今際の国のアリス』他多数。
www.dfx.co.jp
まずデジタル・フロンティアは、純粋にCG映像を完成させ納品するだけでなく、より企画の上流から参画し、自社の編集室において映画やドラマといった実写映像を含む完成映像をフィニッシュさせる役割をも担う制作会社だ。CGを含まない映像作品を扱うこともある。ゆえに、撮影現場にも赴いて空舞台を撮影したり、撮影素材をピックアップしたりといった、“現場があってフィニッシュもある”制作体制となっている。舟橋氏は、「最近の制作データは4Kがベース、場合によっては8Kが要求されることもあり、明らかにデータ量は肥大化傾向にある」と語り、システム面でも、ワークフロー面でも課題になっていると話す。「たとえば、今の自社の編集室では、4TBの内蔵SSD×6(24TB)をRAID0で組んだストレージで、DaVinci Resolveを4Kリアルタイムプレビューの環境で動かしています。これがあっというまにパンパンになる。テイクを重ねていくとストレージが圧迫され、たとえば連続ドラマの前の話順がどうだったか、みたいな確認が入るとき前のデータまで残しておけないため、ファイルサーバーから落とすことになって待ち時間が発生してしまう(田村氏)」。ここにおいて、例えば超高速かつ大容量、それでいて拡張も容易な『G-RAID SHUTTLE SSD』の導入は有り得る、と田村氏。
「現状の編集システムではThunderbolt3に対応していませんが、たとえば次回の環境構築時にはThunderbolt3に対応する価値は大いにある。セキュリティポリシー上、弊社では個々のCGデザイナーの外部端子接続は不可となっていますが、編集室や管理業務用の機材なら別。検証結果で判断する限り、『G-RAID SHUTTLE SSD』はローカルのNVMe SSD以上のスピードが出ているわけで、4Kリアルタイムプレビューも絶対いける数値。コード1本という取り回しの良さや数珠繋ぎで増やせる拡張性まで踏まえると、かなり魅力的に映りますね(田村氏)」。
そのほか、弊社ではポリシー上難しいが、と前置きした上ではあるが、「編集室のような特殊な環境でなくとも、たとえばスピードが必要なキャッシュ先として『G-RAID SHUTTLE SSD』を用意したりということは、効率追求上あり得る」と田村氏。「大規模なエフェクトシミュレーションといった処理のプレビューキャッシュは、高速で大容量であればあるほどクオリティが上がる。特にエフェクトは、1カット2カットで2TBを超えるキャッシュになることがあります。そこにハマる可能性があります(田村氏)」。
現場を助けるのはスピード Thunderbolt3はやはり別次元
また今回、RAIDの設定その他様々な事情による振れ幅もあると思われるが、検証での数値上で前述の『G-RAID SHUTTLE SSD』さえ上回ったのが、『G-DRIVE PRO SSD』である。ポータブルながら圧倒的な転送速度のSSDだ。こちらについては“現場を抱える”CGプロダクションとして、その転送速度が確実に現場の負担を減らすはずだ、と舟橋氏は考える。「基本的に撮影スケジュールというのは常にタイトで、“今回の収録踏まえて次の2週間後の収録までに〇〇作っておいてね”といったことも普通にあります。そうなると、すぐにVFX側に撮影データやリファレンス等を送りたいわけで、遠征先からすぐデータをコピーしてネットワークで送ったり、場合によっては物理的に郵送したりもします。このとき、データコピーにかかる時間は当たり前ですが速ければ速いほど、現場に係るストレスは減る。現状、このフローではUSB3.2 Gen2インターフェースのSanDisk Extreme Portable SSDを使ったり、またデータが大きすぎる場合はいまだHDDが使われたりもしますが、SanDisk Extreme Portable SSDからThunderbolt3接続の『G-DRIVE PRO SSD』に替えただけでも倍近く速くなる、というのは、想像以上に大きな差と感じました(舟橋氏)」。
耐衝撃性と放熱性に優れ、連続稼働に強いというのも、常に持ち歩きつつ、大きなデータを読み書きし続ける撮影現場での制作陣の要求に耐えうるもの、と言える。「郵送で納品したり、協力会社に必要素材を入れて物理的にストレージを送る、といったこともまだまだある(舟橋氏)」ため、丈夫さは必須なのだ。
とにかく圧倒的に速く、デイジーチェーン接続でその高速ストレージを拡張していける容易さを備えた『SanDisk Professional』の超高速ストレージ製品は、極めてストレージへの要求が高いデジタル・フロンティアのようなCG制作現場の検証においても、非常に高い評価を得た。具体的な検証結果の数値もグラフにまとめてあるので、ぜひその性能を確かめてみてほしい。
実写VFX、ゲーム、アニメと多岐に渡る映像ジャンルを手掛ける デジタル・フロンティアによる、“現場を見据えた”ストレージ検証
このグラフは、今回の検証機である『G-DRIVE PRO SSD(Thunderbolt3)』『G-RAID SHUTTLE SSD(Thunderbolt3)』に加えて、デジタル・フロンティアが実際現場で利用している外部ストレージとしてUSB3.2Gen2接続の『SanDisk Extreme Portable SSD』と、USB3.0接続の『HDD』を用意し、実オペレーション時の速度差をテストした結果だ。グラフが短いほど短時間でコピーが終了したことを示しており、つまりはより高速であるということ。結果として、今回の検証機は2種とも、読み込み/書き込みのいずれにおいても圧倒的なスピードを誇った。
「『G-RAID SHUTTLE SSD』と『G-DRIVE PRO SSD』の差はほぼ同等と言ってもいいレベルで、どちらにしても我々が今使っている外部ストレージ環境より圧倒的に速い。これはローカルストレージと同じ感覚で扱っていいレベルで、下手をするとローカル同士のコピーよりも速い。ここまで速いと、最大32TB、拡張も容易い『G-RAID SHUTTLE SSD』は高速かつ大容量が必要なリアルタイムプレビューが必要な編集室の拡張ストレージといった扱いや、エフェクトシミュレーションやAfterEffectsのキャッシュ先に指定する、といった用途も全然あり得る(田村氏)」
「スケジュールがタイトな撮影現場は、常に速い転送速度を欲している。『G-DRIVE PRO SSD』ほど高速なら、間違いなく使いたいですね(舟橋氏)」
本検証企画に使用したPCは下記モデル。
Stealth GS66シリーズ(型番「GS66-11UH-321JP」)
CPU:第11世代インテル® Core™ i9 プロセッサー搭載
GPU:NVIDIA® GeForce RTX™ 3070 / 3080 Laptop GPU搭載
I/Oポート:Thunderbolt™ 4 Type-C(USB PD対応)×1、USB3.2 Gen2 Type-C(映像出力対応)×1、USB3.2 Gen2 Type-A ×3
https://jp.msi.com/Laptop/GS66-Stealth-11UX/Specification
問い合わせ先
エムエスアイコンピュータージャパン株式会社(MSI)
https://jp.msi.com/
製品情報
G-RAID SHUTTLE SSD
・オープン価格(8TB/16TB/32TB)受注生産品
・最大2800MB/秒の転送速度
・2基のThunderbolt 3ポート搭載
・最大5台の周辺機器をデイジーチェーン接続可能
・前面のフラップを開いて、中に8台のSSDを装填
・RAID0、1、5、10、50に対応(初期設定はRAID5)
・シンプルな直方体で、デスク周りにも収まりやすいフォルム
・持ち運びしやすい取手付き
・5年間の製品保証
【製品サイト】
https://www.westerndigital.com/ja-jp/products/external-drives/sandisk-professional-g-raid-shuttle-thunderbolt-3-ssd#SDPS24H-008T-SBAAB
G-DRIVE PRO SSD
・オープン価格(500GB/1TB/2TB)受注生産品
・最大2800MB/秒の転送速度
・Thunderbolt 3ポート(40Gbps)搭載
・最大3mからの落下保護
・1000ポンドの耐衝撃性
・5年間の製品保証
【製品サイト】
https://www.westerndigital.com/ja-jp/products/portable-drives/sandisk-professional-g-drive-pro-thunderbolt-3-ssd#SDPS51F-500G-GBANB
問い合わせ先
SanDisk Professional 公式WEBサイト
https://sandiskprofessional.com/
text_Sadamu Takagi
Photo_竹下朋宏