シミュレーションRPGの草分け的存在である『ファイアーエムブレム』シリーズ最新作。Mika Pikazo氏デザインによる色鮮やかなキャラクターを軸に、初採用のUnityで挑んだその開発について、インテリジェントシステムズの面々に聞いた。

記事の目次

    ※本記事は月刊「CGWORLD + digital video」vol. 303(2023年11月号)からの転載となります。

    Information

    『ファイアーエムブレム エンゲージ』
    発売:任天堂
    開発:インテリジェントシステムズ
    リリース:発売中
    価格:7,678円(パッケージ版)、7,600円(ダウンロード版)
    Platform:Nintendo Switch
    ジャンル:ロールプレイングシミュレーションゲーム
    www.nintendo.co.jp/switch/ayfna
    ©Nintendo / INTELLIGENT SYSTEMS

    シリーズ初心者にも馴染むルックで裾野を拡げる最新作

    30年を超える人気シリーズの最新作『ファイアーエムブレム エンゲージ』。開発を担当したのは、京都に本拠を置くインテリジェントシステムズだ。

    ディレクターを務めた鄭 勉氏は、今回シリーズのファンはもちろん、新規ユーザーにも楽しんでもらえるよう、わかりやすいシステムとグラフィックを盛り込んだ。「シリーズに登場するキャラクターの一部をご存じでも、まだ遊ばれたことがない方もいらっしゃるので、その方々に遊んでもらえるゲームを目指しました」(鄭氏)。

    ストーリーパートとバトルマップを交互にプレイするという、シリーズの基本システムはそのままに、シリーズ初心者でも入り込みやすい世界設定となっている。

    ▲写真左から ディレクター・鄭 勉氏、アートディレクター・寺岡尚史氏、背景アートリード・鵜飼美里氏、グラフィックエンジニア・中島 圭氏、キャラクターアートリード・小野木 誠氏、以上、インテリジェントシステムズ

    また今回、シリーズ2作目のNintendo Switch向けタイトルということで、そのクオリティにはこだわった。「何よりもキャラクターを魅力的に見せることです。作品世界にキャラクターがしっかりいる、実在感のあるルックをコンセプトにしています」(アートディレクター・寺岡尚史氏)。

    なお、バトルマップのグリッドは従来の1マス10mから実際のスケールに近い5mに変更。ハードウェア性能を活かして密度感の高い画づくりを目指した。

    開発環境は従来の内製環境からUnityに切り替え、メンバーの少ない段階からデザイナー主導でプロトタイピングを開始、その後本格開発へと移行した。メインツールはMaya、テクスチャにSubstance 3D、ノーマルベイクにZBrushを使用し、エフェクトはShurikenで描いた。

    なお、Unityはグラフィックエンジニアの中島 圭氏が合流したプロジェクト中盤時点でレンダーパイプラインをカスタマイズしており、パスの追加や多機能化、高速化など要件に合わせて最適化を施したとのこと。それでは詳しくみていこう。

    魅力的なキャラクターたちを実在感のある表現で描く

    従来作品では2Dアートで表現されていた、ステータス表示などのキャラクターも本作では全て3D モデルで表現するため、アップに堪えるキャラクターモデルを完成させた。

    Mika Pikazo氏がデザインした色鮮やかなキャラクター群

    シリーズ屈指の鮮やかな色づかいとポップさが際立つキャラクターデザインはMika Pikazo氏によるもの。その魅力を引き出し、セル調のルックを保ちつつ実在感を表現していくことが、スタッフに課せられた大きなテーマのひとつとなった。

    ▲主人公・リュール(男)のデザイン画
    ▲完成した主要キャラクターモデル。高彩度の配色や各所の×記号などから、ひと目でMika Pikazo氏のデザインだということがわかる

    過去作の英雄や紋章士については、デザイン自体には変更を加えないが、画のタッチを本作に揃えるため、Mika Pikazo氏が頭部のみデザイン画を起こしている。「これまでに3D化されていないキャラクターもいたので、資料を掘り起こしたり、当時のスタッフからドット絵の解釈を尋ねたりしながら造形しました」(キャラクターアートリード・小野木 誠氏)。

    ▲紋章士マルスのデザイン画
    • ▲紋章士シグルド。初めて3D化されたキャラクターのひとり
    • ▲紋章士ベレト

    Mika Pikazo氏によるキャラクター監修

    キャラクターを魅力的に描くため、Mika Pikazo氏によるモデル監修を徹底して実施。リモートでのチェックだけでなく、京都のインテリジェントシステムズ本社に来てもらい、顔を合わせながらのチェックも複数回行われた。

    ▲キャラクタービューアでの体型チェック。後述する体型変形のしくみを利用して、プロポーションをその場で微調整しながら細部のバランスを詰めた。開発者用のビューアを見ながら、1体ずつ詳細に監修指示を出す場面もあったという
    • ▲チェック会ではモデルと設定画を並べて印刷したものを全キャラクター分用意。Mika Pikazo氏がそこに直接フィードバックを描き込んだ。画像はセリーヌの例で、胴とスカートのバランスや装飾などについての修正指示がある
    • ▲フランのモデルの変遷(左から右に調整)。監修は何段階にもわたり、初期に取りかかったキャラクターはリテイク回数も多かったとのこと

    要素分解して描く印象的な瞳

    目のシェーダは衣装・肌のそれとは異なるものを設計。虹彩は男女共に規格化して統一感を保っている。「Mika Pikazoさんのキャラクターデザインは瞳の表現が特徴的です。様々なイラスト作品を見比べながら検証し、今回、それを要素ごとに分解しました」(寺岡氏)。

    • ▲3D化にあたって要素分解した男性の瞳。右下は主要素を単純化したもの
    • ▲女性と子供の瞳。【左画像】と比較して瞳はわずかに縦長になり、まつ毛の主張が強くなっている。「画として成立しているまつ毛を、瞬きで動かしても大丈夫なようにどう3D化するか。モデラーの腕の見せどころでした」(小野木氏)
    ▲最大4枚のマスクデカールが重ねて描画されており、それぞれに色と動きを設定できる
    ▲目の中にマークがあるなどの特徴をもつキャラクターは、マスクデカールの差し替えで対応している

    キャラクターのシェーダとマテリアル

    キャラクターのシェーダ構成と頂点カラーによるアウトライン描画。

    • ▲キャラクターのシェーダ。アルベド、Multi Map(ラフネス、メタリックなどをパッキング)、ノーマルといった一般的なPBR構成に加えて、トゥーン調や金属質感に利用するRampマップなどをもつ。その他、アウトライン描画用のパラメータなども用意
    • ▲マテリアルプリセットを切り替えることで、戦闘中のエンゲージ状態などの状態変化を同一モデルで表現できる。画像はリュール(男)のエンゲージ状態と通常時
    ▲アウトラインは背面法による描画。頂点カラーのR(赤)で太さを変更できるようになっており、イラストとして太すぎたり細すぎたりが出ないよう調整する。また、アウトラインカラーは付近のテクスチャの色を拾って調色するしくみ
    ▲表情を伝わりやすくするため、眉・まつ毛を前髪の手前に表示できるしくみもある。また、画像の下段、マロンのような目隠れキャラクターのために、デザインに合わせて部位ごとに透過を指定できる

    キャラクターの実在感を補完する衣類の素材表現

    実在感を高める施策のひとつとして、ノーマルマップをもたせることで、トゥーン階調の境界に素材感が出るようにした。「3Dモデルならではの表現で、ディテール面での存在感を出しています。イラストをそのまま再現するのではない、本作独自のグラフィックを着地点としました」(寺岡氏)。

    ▲ライティングによる素材感の変化。肌などはくっきりと陰影が付くが、衣類は境界面に素材感が現れる。日向側ではディテールを省略し、くどくならないようにしている
    ▲金属の素材感。手描きのRampテクスチャで、いわゆる“ワカメ影”のような揺らぎをもたせた

    キャラクターモデルのLODとバトルマップ用のモデル

    本作では2段階のLODを用意しているが、キャラクターはほとんどの場合、最も精細なモデルが表示される。「カットシーンや寄りに対応できるように、ポリゴン数を増やしたモデルも検討しましたが、そもそもイベントや戦闘中などでも頻繁にアップになるので、カットシーン含め常にアップに堪えられるモデルを用意することにしたんです」(小野木氏)。

    ▲2段階のLOD
    ▲バトルマップのキャラクターはフルスクラッチモデル。リダクションでは削がれてしまうようなキャラクターの特徴を抽出して、見下ろしと引きの両方で同じ印象に見えるようにデフォルメした

    全体型対応の共通リグでモーション制作を効率化

    多数のキャラクターが様々にクラスチェンジし、衣装や配色、アニメーションが多種多様に変化する本作。その膨大な組み合わせを支えたのはリグやマテリアルの工夫だ。

    共通リグの活用で体型変化を効率化

    衣装替えは『ファイアーエムブレム』シリーズではお馴染みだが、その組み合わせは膨大。そのため、ひとつの骨格で全キャラクターの体型に対応できるよう、部位ごとに体型を変形できる共通リグを構築した。キャラクターや衣装など、パーツごとにシーンを分けて出力している。

    「まずはMayaのエクスプレッションで体型変化のしくみをつくって、それをエンジニアがUnityで再現しています。人型キャラクターは同じベースリグで、モンスターなどは個別にリグを組みました」(寺岡氏)。

    ▲ベースリグ。揺れものなど、衣装変え対象のパーツとは分けてある
    ▲共通リグで全体型に対応する
    ▲モーション作業をサポートするリグセレクタ。武器類にもここからアクセスでき、全キャラクターが全武器を装備できる
    • ▲Mayaの体型変化パラメータ
    • ▲Unityの体型変化パラメータ。双方でパラメータを共有しており、値を渡せば同じ体型を再現できる

    キャラクターを魅力的に見せるための手付けモーション

    本作では会話イベントとカットシーンにはモーションキャプチャを活用しているが、それ以外のバトルモーションなどは全て手付け。

    アートディレクターとモーションリードを兼任した寺岡氏は「キャラクターをどう魅力的に見せるかを考えると、カラーや造形のポップさから、生々しいモーションはちがうなと。本作では超人的な動きもあるので、自分が慣れた手法で安心感をもって進めようということで、開発初期から手付けにしようと決めていました」と語る。

    ▲手付けで制作したバトルモーションの例
    ▲UIに乗るキャラクターアートも本作では3D化され、手付けモーションで動いている
    ▲衣装が変わってもポーズとモーションは共通のものを使う
    ▲紋章士エイリークのエンゲージ技「ツインストライク」のコンテ。バトルモーションは文字ベースの指示が基本だが、エンゲージ技など特別な演出にはコンテを用意した

    キャラクターの成長に伴い変化するモーション

    モーションはキャラクターの成長に伴って動きが進化する。そうしたバリエーションはランタイム上で加工して制作している。

    ▲ランタイム上で動作パラメータを調整。同じモーションでも、身のこなしが軽いキャラクターとアーマーナイトとでは予備動作や連撃のテンポ感が異なってくる。「地味なので見比べないとわからないかもしれませんが、レベルアップに伴ってキャラクターの動きが洗練されていくんです。キャラクターの成長を感じることができる、キャラクターの実在感につながるひとつのこだわりです」(寺岡氏)
    ▲攻撃をかわすリアクションの変化。回避【上】をしていたキャラクターが、上級職に成長するとパリィ【下】を行なったり矢を切り落としたりと、戦闘技術が向上する

    手付けとプログラムを併用したフェイシャルモーション

    フェイシャルモーションは、ほぼ全てを社内のフェイシャルのスペシャリストに一任して、手付けで制作。インゲームでは表情パターンをプログラムで切り替えているが、間にまばたきを挟むなどして機械的な印象を和らげ、実在感を高めている。

    ▲オルテンシアのフェイシャルリグ。メッシュは全キャラクター共通のトポロジーなので、頂点番号などを利用してリグ構築を自動化
    ▲フェイシャル作業の様子
    ▲キャラクターモデラーが用意したベースモーフ(上部のお面、ローポリのおおまかな表情モデル)を介してジョイントを動かす。これは往年の作品をヒントにした手法とのこと
    • ▲以下、表情の例。悲しみ
    • ▲戦闘予測画面時
    • ▲死亡時
    • ▲照れ
    • ▲痛み
    • ▲笑み
    ▲瞳のモーション。上から通常、警戒、喜び。生理現象として瞳が微動するアイダート(サッカード)をプログラムで再現しているほか、シェーダで瞳の中にあるマスクごとにUVを揺らし、キラキラを演出している

    長髪と揺れものの干渉対策

    本作には長髪のキャラクターが多いため、髪とマント・衣装との干渉が課題となった。「ユニークキャラクターがクラスチェンジするとどの衣装になる、というのをグループ分けして、差分を細かく用意することで、何とか違和感が出ないように調整しました」(小野木氏)。

    ▲最も調整に苦労したという、セピアの揺れものジョイント
    • ▲セピアの実機での様子。後ろ髪だけでなく、前方の髪も長い毛束が多い
    • ▲衣装の揺れものも多く、戦闘時にはドラゴンに騎乗するなど、調整難易度の高さが窺える
    • ▲リュール(女)は長髪とマントが干渉するため、歩きや走りで髪とマントが相貫しないよう念入りに調整した
    • ▲なお、本作の揺れものは全てSpring Boneで処理したとのこと

    キャラクターのルックと馴染むHDらしい情報量豊かな背景

    HD グラフィックにふさわしい密度感と実在感を求め、マテリアルなどに工夫を凝らして仕上げた背景。ディテールが豊かな拠点マップのカリング作業には苦労した。

    背景制作のながれ

    第二章のマップを例に、背景制作のながれを解説する。

    ▲アート班がバトルマップの概要を説明するスケッチ案を作成
    ▲背景デザイナーは上記のスケッチ案とレベルデザイナーが用意したマスの属性などを指示した2D情報を使い、引き視点と寄り視点のモックモデル(アートプロトタイプモデル)を作成
    ▲モックモデルの作業時にはカラースクリプトを使用。「ライティング、ポスプロ作業時に、事前にアートスタッフからもらっています。これを使って配色とライティングを進めます」(背景アートリード・鵜飼美里氏)。全体の雰囲気が定着したら、量産に入るためにアセットリストを作成し、モデル制作を進めていく
    • ▲完成したマップ。雰囲気を固めるため、アート班に追加でレタッチを依頼することもあった
    • ▲なお、草の配置やコリジョン作成には内製ツールも活用している

    トゥーンとPBRが混和した背景のマテリアル

    背景マテリアルは、キャラクターのルックと馴染むだけでなく、背景としての実在感もしっかり出すという方向性で制作を進めた。PBRをベースに、トゥーンやリムライトなど、副次的な要素もブレンドしている。

    • ▲シェーダ設定前
    • ▲シェーダ設定後。「ToonRampを効かせてキャラクターに似せたルックにできます。適用具合も調整できるので、リアリティのある範囲内でトゥーン感を加えています」(鵜飼氏)。なお、テクスチャはSubstance 3Dを活かしたリアル寄りのものを使用している
    • ▲地面など広い面積のテクスチャ。遠景のリピート感が目立ってしまっていた
    • ▲対策として、上方向から撮っておいた、地形のベースカラーを距離に応じて投影。遠景の情報量を潰すパラメータを用意して馴染ませている
    ▲投影している、ブレンドしたアルベドテクスチャ

    「拠点」はエリアごとにカリングして最適化

    背景のLODは0~5の6段階用意してあるが、LOD5は拠点「ソラネル」でのみ使用している。「拠点はアセット数が多いので細かく調整しています。アセットによっては、ほしいタイミングで切り替わらないこともあったので、個別に切り替え距離を設定しています」(鵜飼氏)。

    ▲ソラネルの全体像
    ▲ソラネルのカリングエリア設定。40程度のエリアに分割し、カリングしている。オクルージョンカリングも検討したが本作で用いるには課題が残り、手動で行うことにした。「ストーリーが進行するにつれて拠点に登場するキャラクターもどんどん増えるので、最適化作業には苦労しました。背景のオブジェクトについてもある程度の単位でマージして配置してもらいました」(中島氏)。マージされたバウンディングボックスでLODが切り替わるため、デザイナーが最適な切り替え距離を設定していった

    最適化と工夫で実現したリッチで美しいエフェクト

    実機負荷の高いエフェクト制作では最適化に時間を費やし、負荷を抑えながらもリッチな表現を追い求めた。斬撃エフェクトではメッシュを使うという工夫も。

    エフェクトは戦闘用と環境用の2種類

    本作では戦闘用と環境用の2種類のエフェクトを用意した。

    • ▲戦闘エフェクト。戦闘中の魔法や炎、バフや魔法の効果など、キャラクターに起因するエフェクトが中心となる
    • ▲キャラクターとルックを合わせたスタイライズド表現で、消える際も半透明ではなくカットアウトしながら消えていく
    • ▲環境エフェクト
    • ▲松明や大気の塵など、半透明を用いたリッチな表現である

    エフェクトの最適化

    エフェクトは実機負荷が高いため、レンダリング解像度やメッシュ構造などを最適化した。

    • ▲紋章士のエフェクト
    • ▲紋章士のエフェクト。特別感を出すために、当初はパーティクルをキャラクターのメッシュからエミットするというリッチなつくりを予定していたが、負荷が高くなり、見映えが確保できる範囲内で最適化した
    ▲メッシュを動的に生成して表現する斬撃エフェクト。1フレームでバッサリと切り落とすケレン味あるモーションだが、綺麗な軌跡を描くため、アニメーションカーブ情報を事前計算してメッシュを展開
    • ▲展開前の基となるメッシュ
    • ▲【左画像】をUnityで表示したところ。「ペラペラに見えないように、厚みをもたせてあります。過去作でもこの手法の斬撃エフェクトはありましたが、当時はプログラムで生成していました。今回はより綺麗に仕上げるために、メッシュを用意したんです」(寺岡氏)

    ライティングの効率化と表現にこだわったイベント

    Jenkinsを活用したライトベイク、建物などからキャラに落ちる影の生成自動化など細かな工夫が光る。全編3D化した各種イベントシーンも見どころだ。

    ライティング設定

    ライティングには混合ライトを用いており、直接光はリアルタイムで、間接光にはライトマップを使用している。

    ▲ライティング設定。ライトマップの解像度は2,048ピクセル四方で、バトルマップで最大4枚(マップの広さにより変化)、拠点では5枚使用している。また、エフェクトや紋章士、スペキュラを際立たせたいオブジェクト(シャンデリアなど)にはポイントライトを配置した。一部、引き視点は視認性、寄り視点ではコンセプトアートの雰囲気を優先、とライティングを分けたマップもある
    ▲計算時間が長くなりがちなライトマップベイクは、専用マシンを用意してローカルからJenkins(オープンソースの自動化サーバ)経由でタスクを飛ばせるしくみを構築し、手元でのベイクを不要にした。「ちなみに、容量的な厳しい制約でブロックノイズが発生してしまったので、ベイク後の格納方式をカスタマイズしました」(中島氏)

    ツールを活用したキャラクターへの落ち影生成

    キャラクターへの落ち影の描画。

    ▲建物にはCharaShadowModelという影用のモデルを用意しており、キャラクターへの動的な落ち影の描画にはこれを利用している
    • ▲CharaShadowModelの適用前。地面にはキャラクター足元のオクルージョンとベイクされた影が落ちているが、キャラクターへの落ち影はない
    • ▲適用後。建物の影が落ちている
    • ▲効率的にCharaShadowModelを生成するため、Maya用の自動化ツールを開発した
    • ▲自動化ツールの利用例。木が3本まとまったアセットの影モデルとして「3本まとめて省略した直方体」、「より省略した直方体」、「省略した木」の3つが自動生成された。なお、自動リダクションにはマイクロソフトのSimplygonを利用している

    カットシーンとパペットデモ

    会話ウインドウのフェイス表示など一部2Dイラストで演出していたイベントシーンは、今回全て3D化。「これまでより動きのある表現にするため、3Dに切り替えました。大きなチャレンジでしたが、表現できることが増えたという収穫がありました」と鄭氏は語る。

    イベントシーンで用いられるモーションはキャプチャベース。カットシーンイベントはコンテから外部チームと協力して、インゲームよりもエフェクトやライティングをリッチに仕上げた。また、スクリプトベースの会話イベント「パペットデモ」は社内チームが中心となって手がけ、口パクはCRI LipSyncによる音声解析で駆動させている。

    • ▲カットシーンの編集。TimelineエディタはUnity標準のものを使用している
    • ▲実機映像
    ▲パペットデモの例

    CGWORLD 2023年11月号 vol.303

    特集:『漫画×3DCGの現在地』
    判型:A4ワイド
    総ページ数:112
    発売日:2023年10月10日
    価格:1,540 円(税込)

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    EDIT_小村仁美 / Hitomi Komura(CGWORLD)、山田桃子 / Momoko Yamada