中高生のための3DCGコンテストとして本年から開始した「CG部ネクストスタ―ズ」。第一回のテーマは「欲望」。
「動画部門」「画像部門」に分けての募集で、動画部門ではコラボミュージシャンとして今年で全員20歳を迎えるギターレス3ピースバンド「ココラシカ」が課題曲『本能』を提供。
審査は最前線で活躍する審査員6名によって行われ、最終審査ならびに結果発表は11月23日の「CGWORLD 2025 CREATIVE CONFERENCE」内で実施された。
このページでは全部門の入賞作&審査員講評コメントをご紹介する。※コメントは全て原文ママ
作品募集ページ
CG部ネクストスターズ
結果発表イベント
CGWORLD 2025 クリエイティブカンファレンス
作品応募条件・審査方法について
応募作品テーマは「欲望」。
テーマは2025年7月に公開され、10月16日にエントリー締切・10月23日に作品応募締切。
ファイナリストに選ばれた計10名が、CGWORLD 2025 CREATIVE CONFERENCE内にてプレゼンを実施し、その内容も加味した最終審査と結果発表が行われた。
参加対象は中・高校生。アセット素材は申告の必要あり、AI生成のみの作品は応募不可(リファレンスやアイデアなどは可)。
制作画面のキャプチャーやデータ確認あり。
審査員・コラボミュージシャン
審査員
かとうみさと
www.instagram.com/misato_kato
映像監督・アートディレクター
宮城県仙台市出身。 東北芸術工科大学を卒業後、CGをデジタルハリウッドにて学ぶ。MVや企業広告、空間美術監督まで数々のクリエイションにも携わる。MTV VMAJ 2018にて、Official髭男dism -「ノーダウト」が最優秀邦楽新人アーティストビデオ賞に選出。
神戸雄平
www.instagram.com/mesoism
デジタルアーティスト
PERIMETRON 所属、東京を拠点に活動。ストリートとアニメカルチャーを融合した独自のスタイルで、リアルにとらわれず自由な表現を展開。数多くの日本人アーティストのMVや 映像を手がける。代表作にKing Gnu「Flash!!!」など。
牧野 惇
www.instagram.com/atsu.ucho
映像ディレクター・アートディレクター
チェコ UMPRUM、東京藝大大学院 でアニメーションを学ぶ。実写・アニメを横断し、映像やアートディレクション、キャラクターデザインなどを手がける。代表作にYOASOBI「群青」2027年花博キャラクター「トゥンクトゥンク」など。
YUKARI
www.instagram.com/yu.kari7
アートディレクター・映像監督・3DCGアーティスト
OFBYFOR TOKYO 所属。独自の世界観を武器にファッション・音楽・広告などの幅広い分野で活動。代表作に、PARCOグランバザールCM、乃木坂46「Actually…」、黒柳徹子「GLAM」など。
涌井 嶺
www.instagram.com/veable_tokyo
VFXアーティスト・映像ディレクター
東京大学大学院で航空宇宙工学を学ぶ。在学中に映像制作を始め、THE SIXTH LIE「Everything Lost」で注目を集める。VFX を駆使し、多数のアーティスト作品を手がけるほか、「映像作家 100人 2025」にも選出されるなど幅広く活躍
wanoco4D
www.instagram.com/wanoco4d
CG アーティスト・ディレクター
KASSEN所属。マシン好きで、高校1年生のときBlenderでCGを始めた。京大工学部で機械を専攻し、修士課程ではジェネレーティブデザインの分野で研究、そこで得たメカ関係のインスピレーションを傍らのCG制作に注いでいた。2024年 Forbes JAPAN「30 UNDER 30」に選出。
コラボミュージシャン
ココラシカ
cocolashika.com
今年で全員20歳のギターレス3ピースバンド。
賞の一覧
プラチナスタートロフィー
今回、プラチナスター受賞者には特製トロフィーが授与された。
トロフィーの共同制作を務めたのは3Dプリントを活用した作品制作で知られる彫刻家の萩原 亮氏。
"ネクストスターズ"をイメージしてデザイン・制作された3DCGデータを金属3Dプリントで造形し、丹念な研磨を経て完成した特製品だ。
1985年神奈川県生まれ。2011年に東京藝術大学彫刻科を卒業、2013年に東京藝術大学大学院彫刻専攻を修了。「人は対象の何を見てそのものらしさを感じるのか」というコンセプトの下、主に動物をモチーフとした彫刻作品を制作している。学生時代から3DCGを積極的に活用。「彫刻をアップデートする」という考えを根底に、過去の彫刻と接続しつつ、新しい価値観や考え方を上乗せすることを探求する。2021年より、横浜美術大学の非常勤講師も務めている。
ryohagiwara.com
最終審査&授賞式
本コンテストの最終審査は、11月23日に行われたCGWORLD 2025 CREATIVE CONFERENCE内で行われた。
審査員や観覧者たちが見守る中、動画・画像両部門のファイナリストがそれぞれプレゼンを行い、その内容も加味した最終審査を経て、各賞の受賞者が決定。
授賞式では、プラチナスターのトロフィーをはじめとした各賞と、サポーターからの豪華賞品が贈られた。
受賞作
プラチナスター:『擬態と欲望』 蓬田 悠太
ゴールドスター 画像部門:『あいちゃん do it ‼』 鹿又 藍
ゴールドスター 動画部門:『非現実を現実に』 千
シルバースター 画像部門:『新生活』totototo
シルバースター 動画部門:『車で空へぶっ飛びたい』カタクチイワシ
ブロンズスター 画像部門:『I'M HERE!!!!!』おばけ
ブロンズスター 動画部門:『夏休みには必要ない!』しろはなだ
特別賞
審査員特別賞 かとうみさと:『創作欲』3DCG-Suma
審査員特別賞 神戸雄平:『非現実を現実に』千
審査員特別賞 牧野 惇:『新生活』totototo
審査員特別賞 YUKARI:『顕現する欲望』虫
審査員特別賞 涌井 嶺:『非現実を現実に』千
審査員特別賞 wanoco4D:『車で空へぶっ飛びたい』カタクチイワシ
CG-ARTS賞 画像部門:『あいちゃん do it ‼』 鹿又 藍
CG-ARTS賞 動画部門:『車で空へぶっ飛びたい』カタクチイワシ
ココラシカ賞:『顕現する欲望』虫
CGWORLD賞 画像部門:『明け方の徘徊』イオリ
CGWORLD賞 動画部門:『EVENTUALLY』松本 優馬
受賞作品
プラチナスター:『擬態と欲望』 蓬田 悠太
■作品の説明
憧れの恐竜の姿に変身したい欲望を持つカメレオンの子供が、パソコンで恐竜を見ながら擬態しようとしているけれど、まだ下手くそでテキストやアイコンまで取り入れてしまっているというファンタジーな作品です。体の色が変わっている途中のような、スキャンして取り入れているような雰囲気にしました。
この作品は自分を投影していて、クリエイターを目指している未熟な子供が夢に向かって燃えている様子を面白く表現しようと思い、夢に向かう純粋な動機を「欲望」として表現して作りました。カメレオンが大人か子供か分かりずらいのでアイテムやポーズで子供らしさを演出し、この子の性格まで伝わるような絵作りを頑張りました。
■欲望について
僕自身の憧れ、未熟さ、欲望を投影しました。他にも色々アイデアを考えましたが、実は僕はまだ人体が上手く作れず、背景との差が目立って作品のテイストに統一感がなくなるので、人物を出さず自分の作風と魅力を出すにはどうしようか考えてこのアイデアに辿り着きました。リアルで綺麗な作品を作る人は山ほど居る中で、その中でも僕の作品に魅力を感じてもらいたい、何とか作品を楽しんでもらいたい「欲望」にも向き合いました。
■使用ソフト
Blender、Adobe Substance 3D Painter、ZBrush、Adobe photoshop、Canva
プラチナスター賞品「DAIV KM-I7G6T」「Orbital2 STERNA」をプレゼント!
DAIV KM-I7G6T
(マウスコンピューター 提供)
Orbital2 STERNA
(デジタルハリウッド大学 提供)
ゴールドスター 画像部門:『あいちゃん do it ‼』 鹿又 藍
【CG-ARTS賞 画像部門】も同時受賞
■作品の説明
応募するにあたり、まずパソコンを買ってもらった。キャラクターは私を表している。足元の白い破片は、その過程で踏みにじられる犠牲を表し、奥の巨大な手は、私たちを誘惑し、運命を操っている。はじめは、情熱を表す赤を中心に欲望の持つ危険性を表していたが、欲望の「夢を追う高潔さ」を見せたいと考え、メインカラーを青や紫に変えた。ライトを後ろから当てることで、緊迫感を出した。光と闇、希望と危うさが交錯する空間で、前に進めるのであろうか?
■欲望について
日々の生活の中で、私は目標達成や成功といった自己実現の欲望に突き動かされ、欲望の道(我が道)を進んでいる。キャラの表情は固い決意を秘めつつも、本音では「やれるのか?」という不安や葛藤を抱えている、今の私を表現している。と、同時に、JKである私はやっぱり、食欲、推し活等への欲望は増えるばかりである。
■使用ソフト
Blender
■審査員コメント
CG-ARTS
まず、ご自身を表現したという女の子の、強い決意を秘めたまなざしがとても印象的でした。
足元に広がるさまざまな欲望や、目から放たれるビームとして描かれた不安の気持ち、さらに奥の手の存在が、混沌としながらも心の中の葛藤を巧みに表現しています。
ユーモアを交えつつも感情の揺れをしっかりと描いたバランス感覚が独特で、作者ならではの個性として高く評価しました。
ゴールドスター賞品「Artist Pro14(Gen 2)」をプレゼント!
Artist Pro14(Gen 2)
(XPPen提供)
ゴールドスター 動画部門:『非現実を現実に』 千
【審査員賞 神戸雄平】・【審査員賞 涌井 嶺】も同時受賞
■作品の説明
自分の考えたものを絵にして、音楽にして、3Dにして、現実にする。
■欲望について
自分は、非現実的なものや非日常への憧れが強いです。
なので、自分の憧れる世界観を自分で作り上げることによって、それらを現実に生み出して非日常に触れたいという欲望です。
■使用ソフト
Blender、AviUtl、ibisPaint
■審査員コメント
神戸雄平
演出のデフォルメ表現にオリジナリティを感じた点がとても良かったです。
わたしは非現実の世界に取り込まれたいと思う側だが、
その辺の性質の違いも大変興味深く感じます。
涌井 嶺
評価する上で、一見して表現すべき内容が伝わってくるか、というのを重視していました。そんな中で、映像としてのテンポ感、カメラワークや色味、キャラクターの表情など全てが見事に組み合わさっていて、初見でかなりのめり込んで見てしまいました。よくよく見ていくと、真面目にやろうとしたら表現が難しいところを適度に抽象化していたり、簡易的な解決策を用いたりしていますが、それは表現力に裏打ちされたもので、その結果映像が伝わりやすくなっている印象を受けました。
ゴールドスター賞品「Artist Pro14(Gen 2)」をプレゼント!
Artist Pro14(Gen 2)
(XPPen提供)
シルバースター 画像部門:『新生活』totototo
【審査員賞 牧野 惇】も同時受賞
■作品の説明
大学入学をきっかけに始めた初めての一人暮らし。その新居で、何気なく撮った写真のような構図を意識して制作しました。新しい生活の中で感じた静けさや、日常にある小さな発見を表現しています。
■欲望について
お題「欲望」に込めたのは、「一人で生活をしてみたい」という思いです。引っ越したばかりの部屋に流れる静かな時間や、まだ何もない空間に漂う期待と少しの寂しさを表現しました。新しい生活の始まりを静かに描いています。
■使用ソフト
Blender、Illustrator、Photoshop
■審査員コメント
牧野 惇
引っ越し業者の段ボールで荷物を運んできたということは、それなりに遠くからの引っ越しだったのだろう。ひとつの段ボールだけガムテープが剥がされていて、そこから電源タップだけが取り出されている。携帯の充電ケーブルはCタイプで、長距離の移動で電池が減っていたのかもしれない。窓の外に見える家の窓の反射に映った屋根を見ると、この建物も二階建てほどの瓦屋根の家のようだ。
この静かなモチーフの作品には、驚くほど多くの情報が詰め込まれている。自分を表現したくてたまらない時期に、あえてこのような静かな題材を選んだことも印象的だが、それ以上に、細やかな観察力と描写力に驚かされた。
シルバースター賞品「ProLite XUB2797QSN-B1」をプレゼント!
シルバースター 動画部門:『車で空へぶっ飛びたい』カタクチイワシ
【審査員賞 Wanoco4D】・【CG-ARTS賞 動画部門】も同時受賞
■作品の説明
峠道で緊急退避所を見た際に、見た目がジャンプ台のようだと感じ、そこから車で空へ飛ぶことが出来たら面白いのでは!?と思いこの作品を制作しました。CGの良さを生かした表現をしたいと考え、現実ではあり得ないような挙動で車からジェットエンジンや翼が展開して、空へ飛んでいくようにしました。また、車のデザインは世の中に存在する様々な車を参考にして、架空のデザインへと落とし込んでいます。そして、緊急退避所付近のガードレールや看板などは、資料を集め峠道特有の雰囲気が出るようこだわって制作しました。
■欲望について
自分は車の中でも特にハッチバックタイプが好きです。そして、一見普通に見えるハッチバック車で変形して空へ飛んでみたい!その気持ちがこの作品に込めた自分の欲望です。
■使用ソフト
Blender、GIMP、Adobe Illustrator、MovieMaker4 Lite
■審査員コメント
Wanoco4D
車が確かに架空のデザイン。後ろがジャガーっぽいのは珍しいチョイスと思った。
CG部として部活を学校に定着させるうえで、権利的問題を避けるため架空のデザインを自作する方向性は健全で、奨めたい。そのため選定しました。
学習タイパ的に完全オリジナルを追究するのは険しすぎる道なので勧めません。特にクルマは。人類の巨大産業たる実際のクルマを参考にするのは、デザインの勉強になります!おすすめです。
作成したクルマをいろんな角度から見れておいしい。室内からも見てみたい(私も車の室内映すことが少ないが、実は今後増やしたい!)。
翼やジェットエンジン(ロケット?)を素直に設置するのはリアルでないと思うかもしれないが、あり得るデザインと思う。言ってしまえばCGで作れるものは実現しうる。
そこから、ソレが実在する世界をいろんな角度、場面から見せて、その存在を実感させるのが大事と思う。車が飛行機のようにロール、ピッチで飛んでる所は、この車の性質を表現している要素の1つといえる。
また、フェンスを突飛ばしたり、ジャンプして放物線を描いたり、空中にいるときタイヤの回転が少しずつ減衰したりといった物理現象の描写も、この主役のクルマの実在感につながっている。
複雑なシーンを、背景と車が現実的なスケール感で作ることで実現できている。
CG制作では作ったモデルを自在に操れるので、それを3dシーンでこねくり回すのが合理的。
カメラでいろんなところから見たり、何かにぶつけたりして、いくつか実験を経て作品を作ると面白くなると思っている。それができていると感じた。
コンクリや草原、ジャンプした時下に見える地面と海、または車周りのエフェクト、どうブラッシュアップするか?については、とにかくこのクルマの動きを正確に感じさせることのみ目標にすれば推測できると思います。
コンクリの壁に実際よくある突起があればスケール感がわかります。海は距離感表現が難しいと思えば、砂浜をおくと表現しやすいかもしれません。
車の翼から水蒸気が出たり、ジェットの火花が軌跡に残ったりすれば、よりダイナミックに見えます。
CG制作はいくらでも手数をかけられてモノを増やせてしまうのですが、背景をがんがん盛るより、主役を際立たせる要素のみで作って、ほかはもはや何も置かないくらいがちょうどいいと思います。
カット割りやカメラがかなり映画っぽく、観るのも作るのも慣れている印象を受けた。
しかしながら、このようなダイナミックなシーンはカメラをもっと広角(20mmとか)にすると、より伝わりやすいと私は経験的に思う。
映画は高価なカメラで遠くから撮るため望遠気味なアクションシーンが多いが、実は近くで撮りたいというのが率直な欲だと思う。
他の作品をみてもカメラで苦労している人が多そうだったが、広角にすると自然に作れそうなものが多く見受けられた。
CG-ARTS
峠道や緊急退避所、車のデザインにいたるまで細部まで丁寧に作り込まれており、実写のような高いリアリティが作品全体の説得力を高めています。
その上で、車が変形して空を飛ぶという“CGならではの非現実的な表現”が際立ち、観る人を引き込む魅力につながっていました。
また、豊富なリファレンス研究に基づいた緻密な再現性から、作者の実直な姿勢が伝わってきます。音楽との相性、カット割りやカメラアングルなど演出も良く、レイアウトの美しさや映像の迫力も含め、総合的に完成度の高い作品として評価しました。
シルバースター賞品「ProLite XUB2797QSN-B1」をプレゼント!
ブロンズスター 画像部門:『I'M HERE!!!!!』おばけ
■作品の説明
自分のキャラクターが好きなものと一緒に楽しく創作をしているところをレンダリングしました!パソコンで作業をすることが多いのでパソコンモチーフのものもいくつか配置したり、衣装のモチーフが宇宙服なので宇宙を背景にしたりもしてみました。創ることが好きなので、タイトルとキャラクターも含め自分の存在証明のような作品です
■欲望について
レンダリングの中心のキャラクター自体が自分のなりたい姿、使っているアバターです。この姿でいつまでもずっと創作していたい!という欲望をたくさんの好きなものと一緒に込めてみました。宇宙もおばけもお菓子も大好きです
■使用ソフト
Blender、Unity、ibisPaint
ブロンズスター賞品「CG-ARTS パッケージ」「CGWORLD 定期購読(1年分)」をプレゼント!
CG-ARTS パッケージ
・メディアサイト「CG-ARTS One」での活動紹介
・ギフトカード(1万円分)
・CG-ARTS 協会発行書籍&グッズ
・ご希望によりプロダクションスタジオツアーご招待
・ご希望によりCG-ARTS検定無料受験チケット
(CG-ARTS提供)
CGWORLD 定期購読(1年分)
ブロンズスター 動画部門:『夏休みには必要ない!』しろはなだ
■作品の説明
今回、この作品を作るときに考えたことは、テンポ感を意識してカットを繋げることと、どうしたら変に見えずにできるかを考えながらCGと編集をやりました。宿題を爆破するという思い付きのアイデアを形にするのは大変でしたが、最終的にどういう映像にしたいかを最初に考えたので、想像していたよりもスムーズに作ることができました。最後の爆発のカットは個人的に良い感じに作ることができたと思います。
■欲望について
私が、この作品に込めた欲望は、今までの人生で「夏休み」というものが来るたびに抱いてきた「宿題」への憎悪。数の多い宿題を計画的にやろうとしてきたこともありましたが、結局面倒くさくて最後に苦しんだ過去から、この夏休みの宿題というものへの思いを込めて作りました。
■使用ソフト
Blender、ibisPaintX、Adobe Fresco
ブロンズスター賞品「CG-ARTS パッケージ」「CGWORLD 定期購読(1年分)」をプレゼント!
CG-ARTS パッケージ
・メディアサイト「CG-ARTS One」での活動紹介
・ギフトカード(1万円分)
・CG-ARTS 協会発行書籍&グッズ
・ご希望によりプロダクションスタジオツアーご招待
・ご希望によりCG-ARTS検定無料受験チケット
(CG-ARTS提供)
CGWORLD 定期購読(1年分)
特別賞のみ受賞の作品
審査員賞 かとうみさと:『創作欲』3DCG-Suma
■作品の説明
目から心の中に入ります。頭上から文字が沢山降って来ますがこれは気持ちを表しています。1つでは大した事はないですが大量だと悩みになり、心の世界を傷つけていきます。創作活動がしたいという欲望はあるのに自分の作品が上手ではないという考えが意欲を抑えたり、行き詰まる様子。空も赤くてひび割れて、ハートの色も悪くなっています。そんな中、創作欲が更に湧き出た瞬間にハートは赤くなり、殻を破って心の外に出ます。普通に見れば街中の風景ですが目に映るもの全てが刺激となりアイデアが浮かんできます。創作時に悩む心の様子とこれからどんな創作をしようか想像するだけで楽しくなる創作意欲の一連の心の動きを映像にしました。
■欲望について
僕は映像、音楽、工作と『創る』事が好きです。でも自分の創る作品が上手くいかないと、心の中で「課題」、「不満」、「苦労」、「夢」、「希望」、「欲求」等の考えで塞ぎ込みモヤモヤします。まだ悩みが残る中、ふと外を歩くと色々なものを見てアイデアが浮かんだり、創作したくなって再度立ち上がろうと湧き出てくる感覚があります。その気持ちが日々の僕の感覚で生きている間は創作していたいという欲望に満ち溢れています。
■使用ソフト
Blender4.1、PremierePro
■審査員コメント
かとうみさと
とっても引き込まれました!実写にはできないCGの良さを表現できていて、かつ15秒にちゃんと起承転結があり、音楽に合わせた構成力が高いです。
想像する余地も与えてくれる作品ですが、創作へのピュアな欲望だけは確かにあることが伝わってくる作品です。
心の変化や葛藤、現実と非現実の混ざり方が素敵で、3DCG-Sumaさんの見ている景色が他の人とは違うんだなというのが明確でした。
審査員賞 YUKARI・ココラシカ賞:『顕現する欲望』虫
■作品の説明
元々この作品は静止画として作り始めました。よって非常に細かく作成しています、ぜひ拡大などをして隅々まで見てほしいです。リアリズムを追及しています、そのために表情筋や、頭蓋骨、その関係を学びました。筋肉構造は、設定上できるだけリアルに作りました。血管はすべて手書き、モデルは左右非対称、テクスチャは一から作っており、こだわりと情熱をこめています。最初のシーン、ポッドと人間の説明です。ポッド=作品、人間=私、空間=欲望というテーマです。テーマ上で展開する私の欲望の答えを作品で示しました。言わば私がコンテストを始め終わるまでのストーリーとかけられています。
■欲望について
作中では5つの球体が登場します。それぞれマズローの五段階欲求に沿って製作しています。欲求と欲望は密接に関係していると考えています。作中では球体とともに顔が開きます。顔が開いた状態は人ではなく、欲望そのものです。これは欲求が満たされたことにより新たな欲望が生まれる瞬間を表現しました。誕生した欲望は一見怖いですが、また人間の一部であり、進化の中で排除されなかったものです。
■使用ソフト
Zbrush, Blender, Substance 3D Painter, davinci resolve,
■審査員コメント
YUKARI
まず、この作品の表現方法にはすごく視覚的なインパクトがあって、とても印象的でした。
骨格や皮下組織、血管といった、ちょっと挑戦的で見る人を選ぶようなモチーフをあえて選んでいるところに、冒険心と攻める覚悟を感じましたし、抽象的な表現と組み合わせたところもとても魅力的だと思います。
アイデア面でも哲学的な視点からのアプローチがされていて、個人的にすごくすきなポイントです。
そして、ただコンセプトが良いだけじゃなくて、実現するための技術的な部分にもすごくこだわっているのが伝わってきて、その熱量や探究心にとても感動しました。
こういう、思い切ったテーマに本気で取り組んでいる作品って、すごく応援したくなります。
ココラシカ
僕らの楽曲に最もマッチしているという理由と、欲望に対する解釈とその欲望の表現の仕方が繊細かつ丁寧で、僕らの心にしっかりと伝わってきた。今回に限らず、また関わってみたいなと思えた作品でした。
ココラシカ賞 賞品「ライブご招待」「オリジナルグッズ」をプレゼント!
ライブご招待・オリジナルグッズ
CGWORLD賞 画像部門:『明け方の徘徊』イオリ
■作品の説明
夜明け前の路地を制作しました。
まだみんなが眠っている時間に、ひとりで日常の寂しさを感じ、センチメンタルな気分に誘われ、徘徊したいという欲が掻き立てられる。そんなイメージの町並みを表現しました。
なんとなくもう少し歩いて帰ろうと思わせられる、街の一角に仕上げました。
■欲望について
徘徊欲。
まだ少し暗い明け方の道を理由もなくただ歩き、遠回りして帰りたくなるような、そんな欲望を込めた町並みにしました。
■使用ソフト
Blender、Photoshop、PureRef
■審査員コメント
池田大樹(CGWORLD編集長)
全体に青みがかった空気が印象的で、初春のまだ冷たい明け方を思わせます。細い通りに面して建つのは、増改築を何度も重ねたような雑居ビル。雨だれやサビ、コンクリートのラフネス変化など「汚し」のテクスチャの粗密の具合も見事で、素材ごとの質感差がしっかり出ているのが印象的です。 そして、ぽつんと置かれた自転車と、そこからこぼれる窓明かりが、その場に確かに人の生活があることを静かに語っています。普段なら何も感じず通り過ぎてしまうような風景なのに、この瞬間だけは「自分だけが見つけた景色」として立ち上がってくる、その感覚がよく伝わってきました。徘徊欲を見事に刺激されました。
CGWORLD賞 動画部門:『EVENTUALLY』松本 優馬
■作品の説明
構想が形になるまでには長い時間と無数の試行錯誤がある。突如閃くボールはアイデアとして脳内という無限の宇宙を漂い、思考や感情と衝突しながら形を変えていく。本作はその見えない創造の過程を可視化したモーショングラフィックスである。やがてボールはその先に広がる、創造が現実へと転化する瞬間への扉となる。 扉を抜けたアイデアは、私たちの“目”の中に飛び込み、最終的に可視できるようになる。つまり、現実として立ち上がる。創造とは、脳内に広がる宇宙を可視化することである。
■欲望について
『創造欲』
言葉になる前に生まれ、脳内を彷徨いながら姿を求めて変化していくアイデアというものは、衝突し、歪み、崩れ、再び立ち上がる。それこそが『創造欲』というものであり、現実に向かって形を変えていく。本作はその欲望が実際に可視化するまでの過程を映像化したものである。
■使用ソフト
Adobe After Effects
■審査員コメント
池田大樹(CGWORLD編集長)
今回ほぼ唯一ともいえる、モーショングラフィックス作品。幾何学の動きだけで、クリエイターの頭の中の葛藤や、可視化された時の気持ちよさを表現しようとしたその心意気が素晴らしいなと思いました。アニメーションのタイミングもちょうどいいですし、色味もかっこいい!展開も転換もバラエティに富んで隙が無く、完成度がずば抜けて高い作品です。ご本人にもお会いしていったいどのように技術を吸収したいのか、ぜひ伺いたいなと思いました。
サポーター
デジタルハリウッド大学
www.dhw.ac.jp
マウスコンピューター
www.mouse-jp.co.jp
FOUNDRY
www.foundry.com/ja/education
CG-ARTS
www.cgarts.or.jp