SideFXは6月27日(木)、「Houdini 20.5」の最新機能を紹介する動画「Houdini 20.5 Keynote」を、同社YouTubeチャンネルにて公開した。
COP(Copernicus)は、Houdini 20.5で導入された新機能で、Houdini内でプロシージャルテクスチャを作成するためのツールだ。従来、テクスチャの作成には他の専用ツールを使用する必要があったが、COPを使用することでHoudini内で完結するワークフローが実現。これにより、アーティストはモデリングからテクスチャリングまでの一連の作業を一つのプラットフォームで効率的に行うことができるようになった。
このCOPを使ってリードゲームアーティストのNikola Damjanov氏はXに作品をいくつかあげている。このインタビューではNikola Damjanov氏に話を伺った。
HoudiniユーザーにとってCOPは効率的
CGW:自己紹介をお願いします。
Nikola Damjanov:Nikola Damjanovです。Nordeusでリードゲームアーティストとして働いています。
Nikola Damjanov氏
15年の経験を持つリードゲームアーティスト。
キャリアの早い段階でエンジニアリングからインタラクティブメディアに転向。ミュージックビデオや映画のモデル、アニメーション、VFXの作成から始めて、後に建築や製品の視覚化、グラフィックス、Webデザイン、インタラクティブアートインスタレーションに取り組む。
その後ゲームアーティストとして最新情報を入手することで、スキルを磨き続けている。現在はNordeusでリードゲームアーティストとして働いており、メンタリング、採用、ゲームアートコミュニティへの積極的な関与を通じて、会社の文化を形成することに専念している。
X:x.com/damjanmx
CGW:Houdini 20.5にてCopernicusが追加され、Houdiniでプロシージャルテクスチャが作れるようになって、どのように制作ワークフローが変わると思いますか?
Nikola Damjanov:私の職歴の大部分はゲーム業界で築いたものですので、その前提で回答させていただきます。
Houdini以外のテクスチャリングツールを用いて製作工程を確立している大規模なスタジオにとってはさほど大きな利点はないと思います。しかし、小規模なスタジオや個人クリエイターには利点が多く、このCOPを採用しているのを目にします。
すべてを1つのツールにまとめておくことは、ワークフローを組むうえでは非常に効率的です。Houdiniをモデリングに使用することに慣れているアーティストは、プロシージャルテクスチャリングにもHoudiniを使用することに簡単に適応できると思います。
COPの可能性
CGW:プロシージャルテクスチャを作るうえでCOPを使うことにはどのようなメリットまたは魅力がありますか?
Nikola Damjanov:COPの現状の機能について他社製品と比較したとき、大きな利点があるわけではありません。
他の製品と同等の機能すらないと感じてしまう点もあるかもしれませんが、それは間違いです。COPの利点が実際に発揮されるのは、Houdini全体の機能を統合的に使用したときです。COPはHoudiniの一部であるため、制作のどのステップでもCOPを使用できます。
たとえばジオメトリ(SOP)ネットワークを使用してCOPを駆動し、そのCOPで他のSOPを駆動することができるなど、非常に大きな可能性を秘めています。
CGW:Xの投稿を拝見すると、HoudiniやSubstance Designerなどのソフトを使って、これまで多くの作品やプロシージャルテクスチャをつくっていらっしゃいます。今後、COPを使ってつくりたい作品や挑戦したプロジェクトがあれば教えてください。
Nikola Damjanov:今後、COPを使って試してみたいことがたくさんあります。これまで特定のマテリアルを使って様々な実験を行なってきました。
Space!
— Nikola Damjanov (@damjanmx) July 8, 2024
Made with Houdini, textured in COPs, rendered with displacement.
Who gets the reference?https://t.co/zOPHvqS7ZE pic.twitter.com/U9sJMyjxak
I'll be spamming these scenes for the next couple of days :)
— Nikola Damjanov (@damjanmx) July 3, 2024
Made with Houdini, textured in COPs, rendered with displacement.https://t.co/CYzmxOHeoV pic.twitter.com/CNBGMO9Drw
Metal vs time
— Nikola Damjanov (@damjanmx) July 9, 2024
Made with Houdini, textured in COPs, rendered with displacement. https://t.co/zOPHvqS7ZE pic.twitter.com/jcn6xbwPVC
Nikola Damjanov:次のプロジェクトでは、自動テクスチャリングのためのより複雑なシステムの構築を試して、システムがどのように拡張できるかを確認したいと思っています。
CGW:なるほど。テクスチャ作成に限らず、Houdiniに追加してほしい機能はありますか?また、注目しているソフトや技術があれば教えてほしいです。
Nikola Damjanov:テクスチャ作成の技術が再注目されていますが、今後も引き続きその流れが続くことを願っています。それから、チャンネルノード(CHOP)ネットワークにも同様のオーバーホールが行なわれることを望みます。
CGW:昨今の日本のゲーム業界では、Houdiniを制作ツールとして取り入れることが増えてきました。ゲームに関わるクリエイティブ制作においてHoudiniはどのように役立つでしょうか?
Nikola Damjanov:様々な場面で活躍するでしょう! これまでHoudiniは「大規模スタジオ向けのVFX専用ツール」という汚名を背負っていました。ただ現在はそれをはるかに超えて利用されており、あらゆる規模のCG制作に役立つと思います。
個々のアーティストがヒーローアセットを磨き上げるサポートから、小規模チームが大規模でより良い制作環境をつくること、そして大規模スタジオが制作工程を合理化することに至るまで、あらゆる場面で力を発揮します。
まずは挑戦してみよう!
CGW:これからプロシージャルテクスチャに興味をもって制作を始めるクリエイターに対してアドバイスをいただくことはできますか?
Nikola Damjanov:基本から始めましょう! 学習のためのチュートリアルはたくさんあります。まずはつくろうとしているマテリアルをその構成要素に分解してみてください。また、できる限りHoudiniのソースファイルを入手して、他のクリエイターの制作過程などの情報を分析してみることをオススメします。とても勉強になりますよ! また、プロシージャルテクスチャリングのスキルのほとんどはツール間で取得できます。
CGW:ありがとうございました。