キャリアも、子育ても、あきらめない。CG・映像業界で活躍する女性クリエイターたちが集結し、自らの経験をもとにリアルな悩みと向き合った「女性クリエイターなんでも相談室」がオンラインで開催された。本セッションは、マウスコンピューターの協賛により、「W Conference」内の特別企画として実施。
MCはGraffity所属の3DCGアーティストRieringo氏。ゲストには、博展テクニカルディレクターの久我尚美氏、1コマ代表でモーションデザイナーのこの氏、ポリゴン・ピクチュアズのFXスーパーバイザー橘田佳奈氏が登壇し、出産・育児とキャリアの両立や働き方、効率化の工夫まで、リアルな声が飛び交うセッションとなった。
▼4者4様のキャリアヒストリー:結婚、出産、育児──私たちの選択

Rieringo:改めまして、3DCGアーティストのRieringoです。私は服飾専門学校の在学中に自身のオリジナルブランドを立ち上げて、ファッションを中心とした幅広いクリエイティブとプロデュースを手掛けてまいりました。2021年、3DCGという魅力的な新しい表現に出会い、業界に転身します。
現在はARのエンタメ企業Graffityにて、Apple Vision Proを中心とした空間コンピューティングのコンテンツ制作に携わっております。

Rieringo
Graffity 3DCGアーティスト
服飾専門学校在学中に自身のオリジナルブランドを立ち上げ、幅広いクリエイティブを手がける。2021年3DCGの新たな表現に魅了され転身。東大発スタートアップに入社後、現在はARエンタメ企業「Graffity」にてジェネラリストとしてApple Vision Proを中心としたコンテンツ制作に携わる。将来の夢は、旅する3DCGアーティスト。
www.rieringo.com
Rieringo:プライベートな事情で言いますと、昨年結婚をしたため、子育てとキャリアの両立についてというのは非常に興味深いトピックでして、今日は憧れの皆さんにお話聞けることをすごく楽しみに学ばせていただく姿勢でやって参りました。改めまして本日はどうぞよろしくお願いいたします。
久我:私は博展でテクニカルディレクターをしています久我尚美と申します。元々、大学時代はメディアアートを勉強しておりまして、そこから新卒で映像系の制作会社に入社し、企業のセールスプロモーション用のショールームやイベントのデジタルコンテンツをつくるディレクターとして働いていました。

久我 尚美
博展/テクニカルディレクター
1988年北海道生まれ、長野県育ち。大学時代メディアアートを学びながら明和電機や千石電商でアルバイト。2011年株式会社レイに入社し、デジタルコンテンツのディレクターとして、企業ショールーム等の体験コンテンツを制作。より空間とコンテンツの一体感のある体験づくりをしたいと思い、2016年から株式会社博展に在籍。主に企業のセールスプロモーションイベント、ショールームでの体験コンテンツやインスタレーションの企画、システム設計、ディレクションを担当。
www.hakuten.co.jp
久我:その後、博展に転職をしました。博展は空間起点で体験をつくっている会社で、空間デザイナーなども在籍しています。その中で、デジタルコンテンツなどを制作する部署でテクニカルディレクターとして働いています。私は3歳の子供がいまして、育休復帰後からマネージャーの業務も始めまして、テクニカルディレクターとエンジニアのルームのルーム長をしております。
この:モーションデザイナーのこのと申します。三重県を拠点に「1コマ」というひとり会社でモーションデザインを中心に映像制作を行っています。もともとキャリアのスタートは、自動車関連の3DCGアニメーションをつくっておりました。そこから2015年に結婚を機に退職をして、三重県にUターンをしてフリーランスになったという流れになります。

この
1コマ/代表 ・ モーションデザイナー
三重県を拠点にWebCMやWebサイトのキービジュアルアニメーションを中心に制作。Adobe Community Expertとしても活動中。VGT2024 登壇。2024年9月『After Effects モーションデザイン すぐに使える実用アイデア見本帳』(MdN)共著出版。
X:@Cono_1coma
この:2022年頃からは講師業もスタートし、2024年にはAfter Effectsに関する書籍を共著で出版しました。また、「Adobe Community Expert」として、After Effectsの魅力や使い方を広く伝える活動にも力を入れています。
プライベートでは、小学生の娘と未就学児の息子を育てながら、ひとり会社で仕事を続けています。そんな私自身の経験をもとに、今日のセッションでは、皆さんのお悩みに少しでもお応えできればと思っています。
橘田:ポリゴン・ピクチュアズの橘田と申します。2024年の4月からショット部の部長として、またエフェクトのスーパーバイザーとして働いております。ポリゴン・ピクチュアズが1番最初に入った会社で、2005年よりライティングコンポジットアーティストとして業務委託で働き始めたのがきっかけです。

橘田佳奈
ポリゴン・ピクチュアズ/ショット部 部長 FXスーパーバイザー
兵庫県出身。大学卒業後、Vancouver Film Schoolで3Dアニメーションを学ぶ。2005年よりポリゴン・ピクチュアズに所属し、ライティング、コンポジットアーティストを経て、現在はFXスーパーバイザー、テクニカルアーティストとして多岐にわたる作品に携わる。管理職、1児の母としても日々奮闘中。
www.ppi.co.jp
橘田:コンポジットの仕事も楽しく取り組んでいたのですが、「少し違うことにも挑戦してみたい」と思うようになり、エフェクトアーティストに転向しました。その後、結婚と出産を経て復職し、現在に至ります。
子供も今は小学校の高学年になり、育児も少し落ち着いてきたかなというところです。今回、皆さんから寄せられたお悩みを拝見して、「ああ、わかるな」と共感することがたくさんありました。私の経験が少しでもお役に立てば嬉しいです。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
▼悩み相談01:「子供を育てながら、クリエイティブの第一線で活躍するのは難しいですか?」
続いて、いよいよお悩み相談が開始された。
最初の相談は子育てしながらキャリアアップは難しいのか、というものだ。

橘田:「自分も当時はすごく大変でした。育休中に仕事ができないことが不安っていうのはすごくわかる。正社員だったので、育休を利用して時短勤務で戻ったんですけど、時間が決められて、お迎えもいかないといけないっていう、短時間で何かしなきゃいけない時、脳みそはもうフル回転なんですね。で、子供が生まれたら、自分の思い通りにならないことって多々ある。ただ、毎日必死でやっていると、それまでとは違う脳の回路がくっつくようなことがあって。それが良かったのかスピードが昔より出るようになって、そこで仕事の成果も出るようになって評価されていきました。むしろ、その子供が生まれてお休みに入る前と後と比べると、キャリアのアップの仕方は生まれてからの方がよかったように感じていて……結論としては、むしろ「可能性が広がるんじゃないか」と思います。
この:キャリアアップに必要なものって、物量をこなすっていうことと、責任を取るっていう2つあると思うんですけど、育児が始まると物量で戦うことができなくなってしまうので、もうあえて自ら裁量権を持つところに突っ込んでいく、責任を取る方に重点的に戦い方を変えることで、キャリアアップしていけるんじゃないかなと私は思っています。
「もっと技術を高めていろんな仕事がしたくて就職を考えています」から、もしかしたら就職の方を希望として前向きに考えてらっしゃるのかなっていうのを汲み取るとすれば、「子育てしやすいからフリーランス」というふうには考えなくてもいいのではないかなと思いました。チームでやることでパワーをつけていけるので、会社に入ることはすごくいいことですから、もし希望として就職をされたいというのであれば、ぜひ就職を応援したいです。
久我:今エンジニアのチームとテクニカルディレクターのチームの2つの課長をしています。きっかけとしては育休復帰してから、私も時短で働いてたんですけれども、夜のメールだったり電話だったりとか対応だったりができないっていうところで、クライアントさんの業務っていうのがちょっと難しくなったということがありました。
それで会社の方に相談して、別の働き方がないかなっていうところで、最初はサポート業務のような感じで、デジタルコンテンツを担っている部署の全体を管理するような業務をやったり、採用などを担当して、1回現場からは退いてやっていました。
その中で、上司と一緒に今まで出ることのなかった課長会や部長会に出る機会があって、会社の人たちってこういうことを考えて色々運営してたんだな、ということをそこで知ることがあって、そういう視点で働くのも楽しいかもしれないと考えるようになりました。
以前は、自分が手がけた制作物を見て喜んでもらうことがやりがいでしたが、チームメンバーの成果を通じても同じような喜びを感じられると気付きました。その喜びを増やすためにも、働きやすく、スキルアップできるチームづくりをしていきたいと思っています。
新たな視点を得られたという意味でも、産休育休をきっかけに得たこうした経験はキャリアアップの大きなきっかけになったと感じています。
▼悩み相談02:「フリーランスで働きながら育児する経験談やアドバイスがききたい」
続いて、2つ目の質問が紹介された。

この:質問者さんは「希望としてはフリーランスでいきたい」と捉えてお答えさせていただくと、私も実は1人目を出産して、2人目を出産する間に正社員のお誘いがあり、すごく悩んだんですよ。2人目は育休を活用できるので。
ただ育休って1年じゃないですか。その制度のために、フリーランスのキャリアを断つっていうのは、短期的な視点なのかなと思いました。フリーランスでも収入を安定させるというと、集客だったり、営業が課題にはなってはくるので、この1年は大きい。
自分がこの先どうしていきたいか、フリーランスでやっていきたいのか、会社組織でやっていきたいのかって考えた時に、まだちょっとフリーランスでやってみようと思ったので、その時はお断りしたんです。なので、子育てしやすいかでは別に選ばなくてもいいのかなと。
フリーランスで働きながらのアドバイスというと、重複しちゃうんですが、裁量権の持てるお仕事をいただけるような動きをするっていうことがあるかなと思います。私も、自分でバッファを取れるというか、スケジュールのコントロールがきく規模感で、受託するお仕事の内容を意識しました。
▼悩み相談03:「出産と自己研鑽、どちらもあきらめたくない。どうすれば?」
3つ目の質問は下記のようなもの。

久我: この方の質問には、私もとても共感する部分がありました。というのも、私自身、奨学金の返済があったため「まずは仕事を続けなければならない」というのが絶対条件だったんです。そうした前提がある中で、出産のタイミングをどうするかを逆算して考えていました。
たとえば、転職してすぐに出産となると、その職場で実績を積む前に育休に入ることになってしまいます。そうなると、復帰後に「この人は何ができるのか」が見えづらくなってしまうかもしれない、と思ったんです。なので、まずは転職して4〜5年しっかり働いてから、もしタイミングが合えば出産できたらいいなと考えるようになりました。
そうすると、逆算して28歳くらいまでには転職しておかないと……という計画を立てるようになったんです。とはいえ、28歳頃って、会社に入って5年目くらいで、ちょうど「この業界、ちょっと疲れたな」とか「転職しようかな」って迷っていた時期でもあって。1度辞めて、業界を変えるべきかどうか、すごく悩みました。
当時は、裁量労働制が当たり前の時代で、「この働き方のままでライフイベントを迎えられるのか?」という不安もありました。定時で帰れるような会社に移ろうかとも考えていたんですが、その転職を前に、ふと思い立って一人旅に出たんです。
弾丸で世界一周旅行に出たのですが、その中でも現代美術館や科学博物館に行って、気づくとプロジェクターやセンサーの位置を気にして見ていて、やっぱり自分はこの業界が好きなんだなと再認識することができたので、もう一度戻ってみようと決心できました。
おっしゃる通り制限はあるなと思っていて、奨学金はあるとか出産には期限があるとか、いろんなことが制限になってくるとは思うんですけど、その制限があるからこそ輝くみたいなこともあるのかなと思っています。たとえば学生時代の部活動とかも、その3年間とか4年間だから頑張れるみたいなことがあるじゃないですか。ライフベントに向けて今やってる働き方があと3年とか4年とかかなと思った時に、もうこんなにがむしゃらに働けるのって、あと4年なんだ、これはもう青春だ、これ部活だって思ったら、夜遅くまで働いたり、現場でプチプチにくるまって寝たりとかしても、これは全部青春だなみたいな。
私も30代とか出産の時までをゴールにして考えてたんですけど、今日お2人の話聞いてると、そこがゴールではなくて、その先のキャリアっていうのがあるんだなと改めて気付かされて、私の考えてることって全然まだ短いスパンの話なのかなとも思えました。アドバイスになってるか心配ですが、制限も考え方によってちょっと前向きに捉えられるかなって思っています。
橘田:私自身は、正直なところ「どうしても子どもが欲しい」という強い気持ちがあったわけではなく、自然に授かることがあれば嬉しいというスタンスだったんですね。ちょうど色々、エフェクトスーパーバイザーをやり始めてっていうところで、出産というか妊娠が分かったので、その時はすごくどうしようっていう風な焦りがありました。このまま私の仕事は終わってしまうんだろうか、みたいな不安はすごくあったんですけど、周りのサポートもあって無事に戻って来られました。
その時々選ばないといけないことってあると思うんですよね。常に選択肢があって、どっちを選ぶかみたいな。その時自分で考えて選んだことなので、諦めたっていう感じではないなと思いますね。精一杯自分がやりたいことを掴んでいくみたいな。一生懸命やってたら、周りもきっと助けてくれるんじゃないかなと思います。
この:先ほど久我さんから青春っていうお話があったと思うんですけども、子育てもずっと大変が続くわけじゃないんですよね。うちは子どもが小学生になったので、ちょっと楽になってきました。質問者さんは20代後半ということですが、私もその時期に、ライフイベントが一気に見えてきて、どれからしたらいいのとパニックだったんですけど、先ほど計画のお話があったみたいに、縦に並べるしかないんですよね。この年は子育て、この年は仕事に比重をおく、といった感じで。1度に見えてきて、ちょっと混乱しちゃう時期かもしれないですけど、そこまで心配されなくても大丈夫かなと思います。
▼悩み相談04:「男性社員たちと趣味の話題が合いません。共通の話題を持つ方法は?」

橘田:弊社は業界内では女性比率が高い会社だとは思いますが、それでも男性のほうが多いです。たとえばバレーボールとかのイベントを企画してくれるメンバーがいて、一緒に汗をかいたりすると、結構その人の人となりがわかるというか。飲みニュケーションとか言いますが、今はなかなか難しいので、ランチミーティング的なものを一緒にやったりとかして、お互いを知るところから始めていたりします。
久我:うちは会社全体で言うとほぼ男女半々ぐらいです。確かにエンジニアであったりテクニカルディレクターは、世の中的にはものすごく男性比率が多い状態ではあるんですけど、うちのチームは女性も多いですね。
やはり目的が一緒になると興味を持ってもらえるんじゃないかと思います。例えば会社的に新規開拓というか、新しい事業を始めたいとか、今までターゲット層じゃなかった層にもメタバースを楽しんでもらいたいみたいなことであれば、今までいなかった層を分析したら、例えばそこが女性で、これぐらいのパイがあるんですよ、というところから男性陣に伝えれば、やんなきゃいけないんだなと思うようになるかもしれないです。
私も化粧品会社の仕事を結構やってたんですけども、男性だとやはり使用感というか、分かりきれない部分を話すことができたりして、それをコンテンツに取り入れたりというところで重宝されたということがあるので、仕事に巻き込んじゃうということはありかなと思いました。
▼聞かせて!効率化の工夫
続いて「聞かせて!効率化の工夫」というトピックについてのトークセッションが開始された。相談室に寄せられた悩みの中には、時間管理についての悩みがたくさんあった。そこで、業務効率化や作業環境などで工夫していることについて、ゲストにお話しいただくことに。
Rieringo:私はとにかくNotionが好きで、何でもかんでもNotionで管理してるんですね。例えば業務についても、日々のタスク管理を全てNotionで一元化して、1か月の振り返りのフォーマットとかも作って、それで自分の肯定感をあげたりしています。
あとは最近で言いますと、AIの活用とかですね。ディープリサーチで幅広い情報を調べたり、企画の壁打ちをしたり。あとは勇気を出して作品や会議中の自分の発言に対してフィードバックをもらったり。クリエイターとしても社会人としても、いかにAIを活用するかが自己の成長において重要なカギを握っているようにも思います。
久我:子育てをしながら、クリエイターとしてキャリアアップやスキルアップ、視野を広げることも続けていかないと、と思ったときに、まず「時間がない」という壁にぶつかりました。
そこで考えたのが、“学びと子育てを両立させる”ということ。遊びに出かけるときも、子どもと一緒に展示を見に行くようにして、土日はひたすら視察の日に。子どもがいないと入れない場所にも行けますし、週末は「一緒に出かけて、自分も学ぶ」時間にしていました。SNSにその様子を投稿していたら、「良い展示にたくさん行っていてすごいですね、今度話を聞かせてください」と声をかけられることも増えました。
正直、独身だったら昼過ぎまで寝ていたと思います(笑)。でも子どもがいると、朝から起こされる。だったらその時間を使って、自分のインプットに変えようと考えたんです。
昔、あるクライアントさんが「夜出歩くのは特別なことだ」と話していたのを思い出すんですが、出産後はたしかに夜の外出が難しくなりました。ワンオペだと寝かしつけた後でも出かけられないし、唯一の外でのひとり時間は通勤時間くらい。ただ、うちは夫が主に家事育児をするタイプなので、2人で寝かしつけがうまく行った日は、「今なら出られるかも!」と思って、交互に深夜銭湯に行ったり、レイトショーを観に行ったりしています。
この:私も、子どもが寝た後の時間はおすすめです。ママ友と夜の10時ぐらいからお茶をするということもやっています。
効率化で言うと、私は自宅で仕事しているので、家事、育児と仕事のスイッチがすごく軽いんです。前までだと、1時間くらいまとまった時間がないとできなかったんですが、今子どもがYouTubeを見ている→仕事できる、みたいな感じで10分だけ作業したりとか、細かい時間で隙あらば仕事をしています。「これは2時間集中しないと考えられないこと」は最初に仕分けしておいて、この間にできるとか、細かくタスクを分けています。環境としてはキッチンの隣の部屋を仕事の部屋にしていて、すぐ行けるというふうにしています。PCはデスクトップもあるんですけど、ノートPCでリビングでも仕事をしたりとか、仕事とプライベートをあまり分けないようにしていますね。
橘田:私の場合は、週に1回から3回ぐらい出社して、あとはリモートで家から勤務しているんですけど、会社に行ってる時は、もう会社で全部終わらせて会社を出たら仕事のことはなるべく忘れる、ということにしています。家でリモートでやっている時は、自分のキリのいいとこまでやって、土日にはなるべく持ち越さない、みたいなスタイルです。そして、休みの日は仕事を忘れる。そうやってうまく脳を切り替えるのは結構気を付けてやっています。
ただ、それができるようになるまでは結構大変でした。出産前までは、時間に任せて長時間働けるのが私の強みです! みたいな感じの働き方だったのが、出産後は違う武器を持たないとと思って、とりあえず色んな本を読みました。
あるとき、「新入社員はこういうことをしてます」みたいな本を読んだんですけど、そこに「日報を書きます」みたいなことが書いてあったんです。朝何やって、午後何やって、次の日何をやるかっていうのを全部書いてから帰って、また次の日会社に来て、何をやらないといけないかっていうのを日報で確認して……ということをどんどん繰り返していると、整理されてきて、自分の中でプライオリティをつけられるようになる。
この方法を私も2年間続けました。これは後でいいやとか、これ、この間もミスったよね、みたいなことがわかってくるので、同じ間違いをしなくなるっていうところで特にスピードは上がったかなと思います。はじめは1時間ごとに書いていたのが、午前午後になり、1日になり、みたいな感じにはなっていきました。それが習慣づくと、もう何も書かなくてもいけるようになったので、これは騙されたと思ってやってもらいたいです。
▼軽量なのにハイパフォーマンス。在宅でも扱いやすいクリエイター向けノートPC「DAIV」の魅力とは?
最後にセッションの締めくくりとして、協賛のマウスコンピューターより提供された、女性クリエイター向けのPCとディスプレイが紹介された。まず紹介されたのはノートPC「DAIV Z6-I7G60SR-A」だ。
1.6Kgという片手で持てるような軽量・スタイリッシュなデザインながら、ノートPCとは思えないほどのパワフルさを特徴としたDAIV Z6。
日頃からBlenderやAdobe Substance 3D、Photoshop、Unityなど複数のツールを使い分けるRieringo氏は、普段MacBook M2 Maxを使用しており、「スペック的に劣ることはないだろう」と思っていたという。しかし実際にDAIV Z6を試したところ、その処理性能に驚かされた。
たとえばBlenderのCyclesによるGPUレンダリングでは、手持ちのPCで約8分45秒かかっていた処理が、DAIV Z6ではわずか1分8秒で完了。「これは一体どういうこと!?」と驚いたという。その上で、約1.6kgという軽さや16型の広い画面サイズ、スタイリッシュなデザインも評価。「持ち運びやすく、外でも堂々と使えるデザイン性も魅力。もっと早く出会っていたかった」と語るほどだった。この氏も同一スペックのDAIVユーザーということで、そのスリムさとパワフルな性能を高く評価していると語った。

続いて紹介されたディスプレイはiiyamaの「ProLite XB3288UHSU」だ。
31.5インチの大画面で、4K対応のノングレアVAパネルを採用、コントラストも高く、動画製作やCG製作など、クリエイター向けのディスプレイとなっていて、ディスプレイポートは4K/60Hz出力や4K放送に対応したHDMI端子×2と、DisplayPort端子×1の2系統3入力の映像端子のほかUSB 3.0ハブ(計2ポート)を搭載を装備することでマウスやキーボードなどの接続が容易にできる。4K解像度、sRGB100%カバーの色再現性、広い視野角により「Blenderの表示がとても美しく、色の違和感もまったくなかった」とのこと。大画面でも角度による見づらさがなく、長時間の制作にも安心して使えると実感したという。


DAIV Z6シリーズと、iiyamaのProLiteシリーズをもっと知りたい方は、Rieringo氏による詳細レビューもぜひチェックしてみてほしい。
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以上の紹介をもって、セッションは終了した。
育児やライフイベントと向き合いながら、それぞれのやり方でキャリアを築いてきた登壇者たちの言葉は、多くの参加者に勇気とヒントを与えたはずだ。環境や選択肢が多様化する今だからこそ、自分らしい働き方を模索することの大切さが改めて浮かび上がったセッションとなった。
セッションのアーカイブ動画はこちらから
TEXT_オムライス駆
EDIT_池田大樹(CGWORLD)