制作:石川晃之 / 石川友香(Telyuka)
Web: http://www.telyuka.com/
リアルなCG女子高生『Saya』で話題になった3DCGアーティスト Telyukaこと、石川晃之氏と友香氏の制作したキャラクター『Courir(クリール)』のモデリング、ディテール作成、テクスチャリング、ライティングの概要を見ていきましょう(Maya、ZBrush、MARI、V-Ray等使用)
キャラクター制作のワークフローと各プロセスを見ていきましょう。私たちは制作の前に、インスピレーションとなるリファレンスを探します。この作品は、 ゲーム『メトロクロス』(1985年、ナムコ(現バンダイナムコエンターテインメント)発売)にインスパイアされました。最初に、キャラクターデザインの 初期段階で重要な、正確な人体解剖図と高解像度の肌のリファレンスの収集等、各種パーツのリファレンスを集める事からスタートします。
ダイナメッシュ(DynaMesh)でスカルプトする
キャラクターのデザインを形にしていく為に、ZBrush をつかい、ダイナメッシュ(DynaMesh)でスカルプトを始めます。ダイナメッシュは、とても手軽に作業できるツールです。ベースメッシュには [Clay] [Clay Buildup] [Move][hPolish]ブラシを使いました。
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トポロジ
ディテールのスカルプトに移る前に、トポロジを修正します。ZBrush の[GoZ]で顔のオブジェクトを Maya に書き出し、[モデリング ツールキット](Modeling Toolkit)でモデルをリトポロジします。
[四角ポリゴン描画](Quad Draw)を選択、モデルのサーフェス(表面)に頂点とポリゴンをインタラクティブに配置します。続けて、作成した新しい低解像度ポリメッシュにUVマップを作成。再度、[GoZ]でUVを持つメッシュを ZBrush に戻します。
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ディテールの追加
ZBrushで肌と顔にディテールを加えていきます。この作業には[Standard]と[Dam_Standard]ブラシ、Sprayストロークとアルファを適用した[Standard]と[Clay]ブラシを使いました。
作業を終えたら、ZBrush から頭部のディスプレイスメントマップを書き出します。人体は完全なシンメトリ(左右対称)ではないので、スカルプト段階では[Symmetry]をオフにしておくと良いでしょう。
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テクスチャのペイント
MARI を使用したペイント作業に移りましょう。これが工程の中で最も重要な手順になります。
ディフューズ、バンプ、スペキュラ、スペキュラグロス、サブサーフェスマップなど、手描きでさまざまなテクスチャマップをモデルにペイントします。これが、私たちにとって、皮膚細胞のルックを制御する最も簡単な方法です。
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カラー、バンプ、スペキュラ、スペキュラグロス、ディスプレイスメント、SSSamount、SSS
シーンの作成
シーンの作成には、V-Rayマテリアルを使用。リトポロジー作業を行ったデータを Maya に読み込み、[レンダー設定]ウィンドウで[V-Ray]をオンにしてメインレンダを V-Ray に設定します。スキンシェーダマテリアルには基本的なV-Ray SSS2シェーダ、金属のシェーダマテリアルには基本的なV-Rayシェーダを設定しました。
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ライティング
新規シーンを作成し、モデルシーンをリファレンス化、マテリアルもリファレンスモデルから読み込んでいます。このシーンに V-Rayライトを追加してライティングのセットアップを行っていきます。こうしておけば、環境の変更を簡単に行えます。
最終ライティングはシンプルです。HDRイメージを1つ、キーライト、フィルライトを設定しました。
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レンダリング
最終イメージをコンポジット(合成)するため、ビューティ、ZDepth、セルフイルミネーション、[V-RayDirt]テクスチャを加えたアンビエントオクルージョンパスをレンダリング。NUKE ですべてのパスをブレンドし、色調補正を加えて完成です。
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NUKEでのコンポジット後(下)
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★ 石川晃之さん / 友香さん(Telyuka)のウェブサイト
http://www.telyuka.com/
★インタビュー記事(CGWORLD.JP)
"かぎりなく実写"な女子高生CGキャラ『Saya』で国内外から注目をあつめるデジタルアーティスト、「TELYUKA」(テルユカ)とは、何者?
http://cgworld.jp/interview/201511-saya-telyuka.html
オリジナルURL(英語):
http://www.3dtotal.com/tutorial/2025
翻訳:STUDIO LIZZ(Nao) 編集:3DTotal.jp
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