Wavy Awardsの第1回が行われた1996年から20年後。記念すべき第10回目となる『Wavy Awards 2015-2016』の受賞発表が5月21日(土)、神田淡路町のワテラスにて開催された。本稿ではその模様をレポートする。

TEXT_真狩祐志 / Yushi Makari
PHOTO_真狩祐志 / Yushi Makari & 竹中愛子 / Aiko Takenaka

改めて過去の受賞・入選者を振り返ると、伊藤有壱氏、水崎淳平氏、富岡聡氏、森田修平氏、市川量也氏、YKBX氏ら、今もなお最前線で業界をリードするクリエイターの名が数多く見られる。まさに当コンテストが登竜門となっており、今回は最終審査員にもそうした歴代の出身者の顔ぶれが見て取れる。

▲最終審査員は20年前の状況を知っている人なら誰もが納得する顔ぶれだ

今回の募集部門は静止画部門と動画アニメーション部門であった。
静止画部門の結果は下記の通り。

静止画部門


優秀賞/CGWORLD賞 『大禍刻(おおまがとき)/ Evil Gate』(伊藤学)
入選 『破壊と再生』(井上匠)
   『戦艦「大和」』(橋本豊和)
   『2.5次元』(猪野塚明人)

▲優秀賞/CGWORLD賞『大禍刻(おおまがとき)/ Evil Gate』

動画アニメーション部門

最優秀賞/CGWORLD賞 『アリスボルト』(飯田久樹/コヤマトモキ)
優秀賞 『キューボッツ』(沖誠二)
入選 『りゅうぎんVisaデビットカードCM【りゅうぎんロボ編】』(上地克也)
   『ありんこヘポ~ふたりのひみつきち~』(佐藤広大/木川田ともみ)
   『Swing High』(大久保良秀)

▲最優秀賞/CGWORLD賞 『アリスボルト』本編

最優秀賞がコールされるとコヤマ氏は絶句。「ちょっと驚いています。このような賞をもらえるとは夢にも思っていなかったので、何を言っていいのかわからないです」と戸惑っていた。飯田氏は「学生の頃からリアルタイムでWavy Awardsの賞を獲った作品を見てきたので、そうした中で賞をもらえたのは現実味がないですが、素直に喜びたいと思います」と感慨深げだった。

副賞(沖縄CGセミナー招待)の贈呈で登壇した水崎氏は「今回審査員に入っているLightWave使いや同業の人たちは、この2人は一体何者なんだろうと思ってますよ。もしかしたら既に同業者で、先輩かもしれないとかですね。芝居の運びとか演出、アクションとかのキレの良さっていう引き算の巧さを見ると、これは同じニオイがするなと察してはいるんですけど、作品について上から何か意見を出しにくい素晴らしい作品だなと思います」と讃えた。

それから「エフェクトとかカット割とか、そこに集中して存分に出せたのはLightWave自体の取り扱いの軽さとか導入のコストとか、こういう作品をつくりたいという意志の強い方に向いたツールというのが出てたのかなと感じました」と、ソフトの特性が存分に発揮されている面にも触れた。

また「僕は森田(修平)くんとかと最優秀賞を頂いたんですが、その時LightWaveを使ったセルアニメのようなのをアプローチとしてぶつけさせてもらったんですけど、こういう方向にツールが活用されていくのが嬉しいなと思っています」と述懐していた(水崎氏は森田氏、桟敷大祐氏と共に『ioCI』を制作して1999年に最優秀賞を受賞している)。

▲副賞(沖縄CGセミナー招待)の贈呈で登壇した神風動画の水崎淳平氏

総評で登壇した森田氏も「出だしは1999年のAwards」と水崎氏の話を受けた。「当時は水崎さんがいて桟敷さんがバイトで入ってたんですけども、その時に本当に偶然で『作品をつくろうよ!』って言ったものが最優秀賞を獲って、今につながるものができたキッカケになったと思ってます。そこから作品をつくるのが楽しくなって『次はこうしたいああしたい』って過去に戻らずにどんどん突き進んでいったのが楽しかったように記憶しています」と振り返った。

▲総評で登壇したYAMATOWORKSの森田修平氏

続けて現状を鑑みながら「今はフリーランスの方も少なくなり会社に所属する方が多くなっています。そういう中でこのようなアワードがあり、これをキッカケに作品をつくるということは楽しいですよね。今後も是非続けてほしいと思います」とコメントした。

締めの挨拶で阿部氏は「ノミネート作品、受賞作品は僅差の結果であり、審査員の皆様も選考に悩まれたと伺っております」と、甲乙付け難い作品が揃っていたことに言及。次回の開催を約束して閉会した。

  • Wavy Awards 2015-2016
    開催日:2016年5月21日(土)
    会場:ワテラスコモンホール(御茶ノ水)
    主催:ディストーム
    公式サイトはこちら