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Adobeが2018年後半のビデオ関連製品バージョンアップ予定を公開~VTuberやVRなど新たなコンテンツ制作に対応する機能拡張

Adobeが2018年後半のビデオ関連製品バージョンアップ予定を公開~VTuberやVRなど新たなコンテンツ制作に対応する機能拡張

欧州最大の放送・映像業界のイベントIBC 2018で発表されたAdobe Creative Cloudのバージョンアップから、映像関係のソフトウェアに焦点を絞って情報を紹介する。今回のバージョンアップはVRやスマートフォンといった新しい視聴環境により柔軟に対応するための機能拡張や制作ツールの追加がメインで、本年後半に提供が予定されている。

TEXT_石坂アツシ / Atsushi Ishizaka
EDIT_小村仁美 / Hitomi Komura(CGWORLD)

VR制作機能の強化

Googleが提唱している「VR180」は前方180度のみ立体視できるフォーマットで、360度映像に比べて比較的容易に作成できることからYouTubeを中心にした飛躍的な展開が期待されている。Premiere ProとAfter Effectsも今回のバージョンアップでこのフォーマットに対応する。その他、モニタ上でVR空間をプレビューする「シアターモード」が加わり、Premeiere Proには、ヘッドセットを着けてビデオをプレビューしながらマーカーやコメントを付加できる「空間マーカー」機能が追加されるなど、イマーシブ環境の強化が行われている。


  • Premiere ProでVR空間にマーカーを付加する「空間マーカー」

VR180に対応したPremiere Pro

Lumetriカラーの機能拡張

Premiere ProとAfter Effectsでカラーグレーディングを行うLumetriカラーでは、カーブのプロパティに「色相vs彩度」や「色相vs色相」といった色空間のカーブが加わった。それぞれの項目がグラフの縦軸と横軸に対応しており、カーブを調整することにより、例えば特定の色領域だけ彩度を上げるといった操作が可能になる。

Lumetriカラーのプロパティに色空間のカーブが追加された

キャラクターメイキングソフトCharacter Animatorの機能拡張

Character Animatorは、PhotoshopやIllustratorで作成したアートワークを、カメラを使ったモーションキャプチャでリアルタイムに動かすことのできるアニメーション作成ソフトだ。使用するアートワークは顔や目、口、腕などがレイヤー分けされたファイルで、口の形状やまばたきなどもパーツごとにレイヤー分けしておけばリアルタイムに切り替えられる。

VTuberなどのバーチャルキャラクターコンテンツが今後も増え続けると思われる中、Character Animatorがどのような位置づけになっていくのか興味深いが、現状抱えているハードルはキャラクターづくりの難易度だ。特徴のあるキャラクターを描くには絵心が必要であり、単に顔写真を使ったのでは面白味がない。しかも、バラエティのある動きをさせようと思ったら、それなりのパーツが必要だ。

今回のバージョンアップで搭載されるキャラクタライザは、顔写真をイラスト調やブラシタッチに加工する機能で、加工された顔はすぐにリアルタイムでアニメーションさせることができ、簡単にオリジナルのバーチャルキャラクターを作成することが可能だ。バーチャルキャラクターの発展はまだ未知数であるが、より手軽な作成を可能とし制作者の裾野を広げるという意味では、このキャラクタライザは大きな効果が見込める機能と言えるだろう。

Character Animatorに加わったキャラクタライザは顔写真を基にオリジナルキャラクターを作成できる

マルチデバイスでの制作と配信をサポートする新ソフト「Project Rush」

今やタブレットは重要なクリエイティブデバイスであり、それは映像においても同様である。今回発表されたビデオ編集ソフト「Project Rush」は、PC、タブレット、スマートフォンといった複数デバイスにおいて同じ操作でビデオ制作と配信が行える。プロジェクトはクラウド上で同期されるため、デバイスや場所を問わずに編集作業をすることができる。残念ながら具体的な操作方法は現状不明だが、配信動画の制作者にとって心強いツールとなるだろう。

After Effects:その他のバージョンアップ

After Effectsのその他のバージョンアップとしては、まず既存のClassic 3DおよびCINEMA 4Dレンダラを使用し、After Effectsの内部で深度パスを生成できるようになった。アニメーション関係ではパペットツールが拡張され、位置を固定したまま特定領域の拡大などを行う変形ピンや、リアルな動きをアニメーションするためのメッシュ編集ツールが追加された。また、エクスプレッションがJavaScriptに対応したことも高度なアニメーション作成の大きな助けとなるだろう。

3Dの深度マップがAfter Effects上で生成できるようになった

パペットツールに変形ツールが追加された

機能とは関係ないが、スタートアップスクリーンに表示されるアートワークに日本人のモーショングラフィックス・VFXアーティスト、佐藤隆之氏の作品が採用されたことも嬉しいニュースだ。

After Effectsのスタートアップスクリーンに佐藤隆之氏の作品が起用

Premiere Pro:その他のバージョンアップ

Premiere Proのその他のバージョンアップでは新たな対応フォーマットとして、ARRI Alexa LFに対応した。また、Mac版では画像フォーマットHEIFに対応し、Intel H264/HEVCのサポートが拡張された。他には、モーショングラフィックステンプレートもバージョンアップされるが、実際にどのようなテンプレートが追加されるかは今のところ不明だ。

日々生まれる新フォーマットやデバイスに対応し続けるのがソフトウェアの使命だが、Adobe Creative Cloudはその点を柔軟にこなしていると言える。新たなテクノロジに新しいソフトウェアで対応するのは自然なことだが、そこにこれまで使い慣れたソフトウェアと似た操作性が継承されているかどうかは重要であり、Adobeはその点にも配慮しているように思える。

ニーズに応じた新機能を加えつつ、これまでの操作性と安定性を維持する。それが第一線のソフトウェアラインアップを抱えるAdobeに常に求められることであるが、今回のバージョンアップではさらにクリエイティブの土壌を拡大しようとする意欲もみられる。Adobe製品を日々使っている1ユーザーとしても、今回のバージョンアップと今後の展開に期待したい。

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