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Pythonの活用法から制作事例の紹介、Blender2.8の情報まで~Blenderユーザーのためのイベント「BlendexJP3」レポート

Pythonの活用法から制作事例の紹介、Blender2.8の情報まで~Blenderユーザーのためのイベント「BlendexJP3」レポート

10月27日(土)、渋谷にあるTECH PLAY SHIBUYAのイベント会場で年に1度のBlender界のイベント「BlendxJP3」が、株式会社ブルームスキームの協賛により開催された。今年で3回目となる同イベントは、関東圏だけでなく日本各地からBlednerユーザーが集まる一大イベント。とくに今回は参加者の年齢層が10代~50代までと幅広く、中でも10代~20代までの若いユーザーや女性の参加者が増えたようで、今後、日本におけるBlenderの広がりを暗示するようだった。では、そのイベントの様子をレポートしていく。

TEXT_藤堂++
PHOTO_髙畑颯人(@sncomet)、藤堂++
EDIT_山田桃子 / Momoko Yamada

定型処理からワークフローアドオン、サーバーサイド実行まで「なんでもできる!」BlenderにおけるPythonの活用

最初に行なわれたのは藤原佑介氏(@GhostBrain3dex)によるPythonに関する講演「制御せよBlender!blenderとpython なんでも、どこまでも―定型処理からワークフローアドオン、サーバーサイド実行まで―」。藤原氏はBlenderを活用した漫画制作の方法などをWebで公開しており、Blenderの作業をPythonで自動化していることでも有名だ。藤原氏によるとBlenderとPythonはとても親和性が良いとのことで、講演は「Blenderは自分以上の力を引き出せるツール。自動化パワーを手に入れなければならない!」という熱い宣言から幕を開けた。

藤原氏はPythonコードを書くための基本を分解して説明し、具体例として4K画像の解像度を下げるサンプルプログラムのつくり方を解説。また、Blenderには標準搭載のPythonコンソールがあり「オートコンプリート」機能を使うと、Python APIに必要な引数やメソッド候補を表示してくれるというノウハウも披露された。藤原氏はBlenderとPythonについて「Blenderは3DCGソフトだが、Pythonでプログラミングすることができる。だから、なんでもできるPythonを搭載したBlenderはなんでもできる! サーバーサイドのツールもつくることができる!」と、熱く語ってくれた。

VRアドベンチャー『東京クロノス』イメージアニメPV制作事例

「東京クロノス」第1弾トレイラー映像 / VRミステリーアドベンチャー

MyDearestのVRミステリーアドベンチャーゲーム『東京クロノス』監督の柏倉晴樹氏(@Akitsuki_dash)による講演「VRアドベンチャー『東京クロノス』イメージアニメPV制作事例」では、BlenderをつかったPVのメイキングが紹介された。

全体の制作のながれは――

①BlenderとMayaを使ってキャラクターモデル制作
②Blenderでリギングおよびアニメーション
After Effectsに連番素材を取り込んで従来のアニメと同様の手法でコンポジット

――とのこと。リギングにおいては、BlenderのアドオンであるAuto-Rig Proが使用された。Auto-Rig Proは有償のアドオンで比較的簡単にリギングが行えるツールである。柏倉氏によれば、昔からよくあるアニメの演出で、カメラに向かって手を伸ばしてビヨーンという効果をつける際、このAuto-Rig Proには腕を伸ばす機能が標準搭載されており、簡単に設定することができたという。

今ではBlenderを使いこなしている柏倉氏だが、もともとは3ds Maxユーザーだったそう。そのため柏倉氏は、3ds Maxと比べてBlenderの「起動時間は爆速!」、「パーティクルのガラス破片を作るのが楽」、「カメラビューを標準で拡大縮小、Panできるのが地味に良い」といったメリットからデメリットまで、他のCGソフトの経験者ならではの所感を聞くことができた。今後はBlenderを使った効率的な作業フローを考えていきたいとのことだったので、次回のBlendxJPで発表してくれることを期待したい。

Blender 2.8の主要機能を紹介

CGSLABのハヤシヒカル氏(@hayashi_cg)とk.naoki氏(@kurono73)による講演「イーブィとサイクリング!」では、来年に安定版がリリースされる予定のBlender 2.8の主要機能が紹介された。

Blender2.8となると、リアルタイム物理レンダラのEEVEEに注目しがちだが、両氏の発表ではそのほかにBevel Shaderで簡単に角の面取りができること(Hard Surfaceモデリングに便利)、ベクター・ディスプレイスメント・レンダリングが可能になること、SSSにRandom Walkメソッドが実装されることにより正確なSSSが実現できるなど、重要な点をサンプル画像を用いてしっかり紹介。会場にいたBlenderユーザーにとって、興味深い情報が盛りだくさんであった。

続いて、EEVEEと従来のCyclesレンダリングによる画像の比較についても説明。EEVEEの苦手な表現と、同じマテリアル設定におけるEEVEEとCyclesのレンダリング結果のシーンの明るさの差について、詳しく説明された。これには「なるほど!」と、膝を打った来場者も多かったようだ。ちなみにEEVEEとは「Extra Easy Virtual Environment Engine」の略であるとのこと。わかりにくいネーミングだが、Blenderユーザーとして(?)しっかり心に留めておかねばなるまい。

アニメ制作におけるBlenderの活用

「"アニメネイチャー"の社会におけるAnImeとの付き合い方」では、エクスペリメントラボトワフロのりょーちも氏(@ryo_timo)と迫田祐樹氏(@yuuki_sakoda)による、Blenderを利用した2Dアニメーション制作に関する講演が行われた。

Blenderはコンテ制作から(作品やカットの内容によっては)仕上げ作業まで可能であり、両氏によれば、Blenderを使っているうちに効率的に使える部分と、既存のアニメ制作フローに当てはめるのが難しい部分が、どんどん明らかになってきたという。

コンテ制作では、Blenderのグリースペンシル機能でアニマティクスをつくり、一般的なアニメの絵コンテだけでは読み切れない部分をプロジェクトの早い段階でクライアントに提示し、演出の確認などができることでリテイクが減り生産効率が上がったとのことだ。また、りょーちも氏による自動中割り機能とグリースペンシル機能をうまく組み合わせ、煙や炎などのエフェクト系を素早く作成するパフォーマンスが披露されると、会場から驚きの歓声が上がった。Z軸の回転系エフェクトなどを含めたこのような使い方ができるのはBlenderだけで「ほかのどんなソフトもできない」と言う。


以上、BlendxJP3における講演内容の概要をレポートしたが、このほかにもブルームスキームや公募によるLT(ライトニングトーク)、そして懇親会など盛りだくさんの内容であった。ちなみにその日、会場となった渋谷にはハロウィンで仮装した群衆が溢れかえっており......BlendxJP3の熱量ともあいまって記憶に残るイベントとなったのではないだろうか。

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