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VRゲーム『TITAN SLAYER Ⅱ』UE4によるPBR導入で、前作に優るグラフィックスを実現/No.1 キャラクターモデル&モーション編

VRゲーム『TITAN SLAYER Ⅱ』UE4によるPBR導入で、前作に優るグラフィックスを実現/No.1 キャラクターモデル&モーション編

2018年11月に早期アクセス版が公開され、その後フルパッケージ版がリリースされた『TITAN SLAYER Ⅱ』。本作は巨人と戦う体感型VRアクションゲームで、新たに導入されたUE4によるPBRや移動システムにより、グラフィックスもアクションの幅も大きく向上した。本作を発売・開発しているコロプラにて、同社のデザイナーチームに話を聞いた。なお、本記事はキャラクターモデル&モーション編、ステージ編(4月25日(木)公開)、エフェクト編(4月26日(金)公開)の全3回に分けてお届けする。

※本記事は月刊『CGWORLD + digital video』vol. 248(2019年4月号)掲載の「UE4によるPBR導入で前作に優るグラフィックスを実現 VRゲーム『TITAN SLAYER Ⅱ』」に加筆したものです。また、記事内の画面は開発中のものも含みます。

TEXT_石田賀津男 / Katsuo Ishida(ougi.net
EDIT_尾形美幸 / Miyuki Ogata(CGWORLD)
PHOTO_弘田 充 / Mitsuru Hirota

▲『TITAN SLAYER Ⅱ』トレイラー

よりフォトリアルなグラフィックスを目指し、UnityからUE4へ変更

2017年4月にリリースされ、本誌228号でメイキングを紹介した『TITAN SLAYER』は、VRならではのアクション性が高く評価された半面、開発チームはグラフィックスの出来に満足していなかったという。そこで第2弾となる本作では、よりフォトリアルなグラフィックスを目指し、ゲームエンジンをUnityからUnreal Engine 4(以下、UE4)に変更した。


  • D.S氏(キャラクターモデル担当)
  • 「前作の展示と視察を兼ねてVRLA Expo 2017に出張した際、会場内のフォトリアルなVRゲームはどれもUE4で開発されていたことを知り驚きました」とキャラクターモデル担当のD.S氏はふり返る。



  • 多田和輝氏(モーション担当)
  • そこで帰国後に前作をUE4へ移植するテストを実施。UE4のPBRへ対応させた上で比較した結果、グラフィックスが改善した一方で処理落ちは発生しなかったため、2017年末から本格的な第2弾の開発を始めたとモーション担当の多田和輝氏は語る。


▲【左列】Unityで制作した前作/【右列】UE4へ移植した本作。UE4によるPBRを検討するため、モンスターはあえて同じポリゴンデータを使い、テクスチャとマテリアルの設定のみを変更している


グラフィックス改善をねらってのUE4採用だったが、作業的なメリットもあった。「UE4は操作方法がわかりやすくデザイナーフレンドリーなので、マテリアル制作をデザイナーだけで完結できました」(D.S氏)。


  • 安藤彰二氏(ステージ担当)
  • 「従来の開発では、ソフト間でデータを入出力するためのツールを最初につくってきましたが、UE4はすんなりデータを読み込んでくれたので、ツール開発の必要がありませんでした」とステージ担当の安藤彰二氏は補足する。


ステージ1のみが披露された早期アクセス版の段階でも、本作のグラフィックスはプレイヤーから高く評価されたため、当初のねらいは達成できたと言えそうだ。しかし開発が全て順調に進んだわけではなかった。グラフィックスを優先した結果マテリアルの処理負荷が高くなったり、デザイナーとエンジニアが別々の実装方法を考えてしまい後日の調整が必要になったりといった問題が発生し、ワークフローやデータを見直す必要性も出てきた。以降では、各パートにおける開発のポイントとなった部分を紹介する。

仮モデルでトライ&エラーを実施した後、本格的な制作に着手

UE4を導入してマテリアルを最適化した結果、キャラクター1体に使用できるポリゴン数やテクスチャ解像度が増え、表現の幅が広がったとD.S氏は語る。「前作の倍近くのポリゴン数を使っているキャラクターが多いです。テクスチャ解像度は前作だと2,048×2,048でしたが、本作では4,096×4,096です。さらにテクスチャのRGBチャンネルとアルファチャンネルを駆使して、マップの種類も増やしました。1枚のテクスチャのRチャンネルにアンビエントオクルージョン、Gチャンネルにラフネス、Bチャンネルにメタリックのマップを格納するといった使い方をしています」(D.S氏)。

パラメータに入力できる値も増えたため、例えば体内に溶岩を蓄えた巨人を表現する場合、溶岩の赤色に加え、その周囲のぼんやりとした発光まで表現できるようになり、前作以上に「熱そうな感じ」が伝わるようになった。

▲【左】Unityで制作した前作の溶岩/【右】UE4へ移植した本作の溶岩


しかしコンシューマゲームとは異なり、まだまだノウハウが蓄積されていないVRゲーム開発ではプランナーやエンジニアによるトライ&エラーがくり返されるため、仕様確定までには時間を要する。なおかつ、処理落ちはプレイヤーのVR酔いを誘発するので、これを防ぐ必要もあった。そこで、まずは想定される容量のポリゴンとテクスチャを割り当てた仮モデルでトライ&エラーを実施してもらい、ある程度の仕様が決まった後、本格的なモデル制作に着手したという。この段階でも、先々を見越してなるべく省ポリゴン・省マテリアルを心がけた結果、同時に表示できるキャラクターの数が増えるなど、新たな遊びの追加につながった。

© 2018-2019 COLOPL, Inc./©2019 Valve Corporation. All rights reserved./Unreal® Engine, Copyright 1998〜2019, Epic Games, Inc. All rights reserved.

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サイクロプスのモデル制作

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