>   >  Spineと連携し「動くイラスト」を作成! ドット絵+3D背景による『ラストクラウディア』のSPARK GEAR採用事例〜CEDEC 2019(2)
Spineと連携し「動くイラスト」を作成! ドット絵+3D背景による『ラストクラウディア』のSPARK GEAR採用事例〜CEDEC 2019(2)

Spineと連携し「動くイラスト」を作成! ドット絵+3D背景による『ラストクラウディア』のSPARK GEAR採用事例〜CEDEC 2019(2)

スマートフォン用RPG『ラストクラウディア』は、ドット絵で描かれる2Dキャラクターと3D背景を融合させることで、懐かしくも新しい独特なビジュアルを打ち出している。その特徴的なビジュアルに沿うエフェクト制作に採用されているのが、ゲームエフェクトミドルウェアのSPARK GEARだ。9月4日(水)から6日(金)までパシフィコ横浜で開催されたCEDEC 2019では、『ラストクラウディア』でいかにSPARK GEARが活用されているかが明かされる講演が行われた。

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TEXT&PHOTO_安田俊亮 / Shunsuke Yasuda
EDIT_小村仁美 / Hitomi Komura(CGWORLD)

■2Dにも3Dにも! 多彩なエフェクト表現を最大限活用

登壇したのは、『ラストクラウディア』を開発するアイディス デザイン部 SVP/アートディレクターの岩崎 優氏。岩崎氏はSPARK GEARを採用した理由について、以下のような理由を挙げた。

岩崎 優氏(アイディス デザイン部 SVP/アートディレクター)

・制作の業務効率
・機能の高さ
・表現の多彩さ
・ライセンスコストの明確さ

まず、業務効率を上げるためにデザイナーのみでVFX制作が完結できるミドルウェアを採用したかったという。さらに、SPARK GEARであれば簡単なテクスチャやモデル制作はSPARK GEAR内部で完結でき、3Dモデリングツールとの連携がなくてもある程度の制作を進められる点が良かったとした。

また表現も多彩であり、メッシュや複数枚のテクスチャを使用できたり、歪みの表現、2DアニメーションツールのSpineと連携できるなど、「できることの多さ」も魅力的だったという。

最後のコストについては、SPARK GEARの公式サイトにも導入価格が「初期費用100万円+月額20万円」とはっきりと示されており、他のミドルウェアと比べても割安だったとした。『ラストクラウディア』では海外展開を開発段階から視野に入れており、ミドルウェアによって展開地域ごとにライセンス費用がかかる場合もあるが、SPARK GEARはそれがないことが「良心的であり、強み」だと話した。

具体的な制作事例は、同社のリードVFXデザイナーの和泉森人氏から紹介があった。

和泉森人氏(アイディス リードVFXデザイナー)

『ラストクラウディア』では、SPARK GEARは主に戦闘シーンなどに使われている。キャラクターはドット絵で描かれるが、「ドット絵以外はほぼ全てSPARK GEAR」。超必殺技の場合は、Unityに組み込んだ内製のオーサリングツールなどでカメラワークなどを調整し、最終的なものに仕上げているという。

またバトル画面以外にも、様々な場面でSPARK GEARが活用されている。タイトル画面の"モヤ"のながれだったり、ワールドマップ、経験値獲得演出などがその一例となる。これは、ユーザーを飽きさせないために「常に画面上のどこかしらを動かしていたい」という思いがあるからだそうだ。

超必殺技のエフェクト例

さらにバトル時のエフェクトのこだわりとして、ドット絵とそれに合わせた3D背景にマッチするように、エッジのはっきりとしたエフェクトをデザインしている。とはいえ、これらのエフェクトは新規で作成せずに、社内のライブラリを使用しているそう。

というのも、SPARK GEARのパレットテクスチャ機能を使用すると、新しくテクスチャを用意しなくてもシャープな印象のエフェクトを得られるから。この機能は『ラストクラウディア』の世界観を表現する上でとても役立ったとした。

ヒットエフェクトは、作品のウリであるドット絵をできるだけ見せるような形で表現。画面づくりの上では、SNSでの共有なども意識してキャラクターが映えるようにしているという。

バトルエフェクト

このほか、ゲームに登場する装備品「アーク」や、各ユニットの詳細画面にもSPARK GEARが使われている。パッと見は描きこまれた1枚絵のイラストのようだが、よく見るとアニメーションしている。中には2,000フレームあるアニメーションを入れることもあり、ただ見ているだけも楽しめるものが目指されている。

アークとユニット詳細については、元となるイラストを5階層に分解し、SPARK GEARによる3層、Spineによる2層を交互に挟むことで「動くイラスト」を実現している。またSpineとの連携もこだわりどころで、たとえば「謎の少女ティリア」では、揺らぐ剣の動き(Spine)にピッタリ合わせる形で、輝く剣表面のエフェクト(SPARK GEAR)が動いている。

また「黒キ死神メルザ」のドクロの火の玉は、炎のゆらめきをイラストの形に合わせたメッシュとマスク付きディストーションマップを活用することで表現している。いずれも綿密な連携が必要だが、その分高いクオリティに仕上げられたという。「SPARK GEARは3Dのエフェクトツールだと見られがちだが、2Dでも十分活用できる余地がある」と締めくくった。

アーク、ユニット詳細の制作方法

SPARK GEARの今後のバージョンアップについてもアナウンスがあった

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