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BULLET RENDER FARMは、WEBブラウザベースでレンダリングを実行するクラウドレンダーファームだ。サービス側のGPUを使って一斉にレンダリングを行うため、高速処理が可能となっている。事前のセッティング一切なしで高速なレンダリングができることから、今注目されているサービスだ。

BULLET RENDER FARMは主要なCGツールで利用でき、Houdiniもそのひとつとなっている。本記事では、8月28日に開催された「CGWORLD JAM Online Vol.1」の講演「Houdiniの最新レンダリング事情 クラウドレンダリングとその検証」の模様をお伝えする。
なお、下記にてアーカイブ動画も用意しているので、当日見逃してしまった方はぜひあわせてチェックしてもらいたい。

TEXT_安田俊亮


  • BULLET RENDER FARM


    従来のレンダーファームとは異なり、数千枚にものぼる圧倒的なボリュームのGPUを接続させ、一気にレンダリング処理を行うクラウドレンダリングサービス。レンダリング処理速度が非常に速いことが特徴。全フレームを同数のGPUで同時に処理するため、レンダリングにかかる時間は実質1フレームを処理する時間のみ。
    www.bulletrenderfarm.com/ja/

CGWORLD JAM online アーカイブ動画

Houdiniの最新レンダリング事情 クラウドレンダリングとその検証 from ボーンデジタルマーケティング on Vimeo.

初期投資なしでいきなり高品質レンダリング

BULLET RENDER FARMの登場によって、「Houdiniのレンダリングに大きな選択肢がひとつ増えた」。トランジスタ・スタジオ CGディレクター・取締役副社長の秋元純一氏は講演の中でそう語った。

  • トランジスタ・スタジオ/CGディレクター・取締役副社長
    秋元純一氏


    2006年に株式会社トランジスタ・スタジオ入社。専門学校時代よりHoudiniを使用し続けて現在ではCGWORLD.jpにて「Houdini Cook Book」を連載中。
    http://www.transistorstudio.co.jp/

レンダリングの高速化が話題にのぼりやすいHoudini。学生時代からずっとHoudiniを使用し続けている秋元氏もそう感じており、ゆえにHoudiniとレンダリングは常に氏が追求しているテーマでもあったのだが、BULLET RENDER FARMはかなりのインパクトを与えたそうだ。

▲今回のレンダリング検証と講演のために制作された秋元氏の新作。BULLET RENDER FARMの頭文字を表したボールが転がるブランドのモーションロゴとなっている。
そもそもBULLET RENDER FARMは、A.L.I. Technologiesが提供するGPUベースのクラウドレンダリングサービスで、AMDのProRenderに対応しており、RPR形式のファイルをアップロードすることでクラウド上でレンダリングしてくれる。

そのメリットについて、秋元氏は「費用」、「GPUの駆動数」、「サービスの独自性」の3つを挙げた。

まず「費用」は、インフラの維持費とライセンス費用の双方を意味している。GPUにそれなりのスペックを求めると、ひとつで10万円ほどかかる上、そのスペックも2~3年で限界が来てしまう。また、レンダリング用のマシンを複数導入するとなると、その分だけマシン代、ライセンス代、専有スペースの確保、空調管理といった支払うべきコストが増えていく。しかしクラウドサービスであれば、そういった初期投資をまったくかけずいきなり高品質なレンダリングが可能になる。

さらに「GPUの駆動数」はBULLET RENDER FARM側に大量にある。多数のGPUが膨大なフレーム数を並列処理で計算していくので、つまるところがレンダリング速度も文句なしというわけだ。加えてGPUの使用数によって、利用価格が変動することがないのもメリットだとした。

そして「独自性」の点では、A.L.I. Technologiesが日本企業であることが大きいという。Houdiniに対応したGPUクラウドサーバーの時点でも希少だが、「日本語で細やかなサポートを受けられる」ことが快適であり、事前に費用がきっちり提示される「明朗会計」なシステムも安心できる部分だとした。

「とにかく初期投資がいらないので、社内のリソースがいっぱいだったり、フリーランスや学生の方は利用価値があるのでは。僕自身、今ではもうクラウドなしの生活は考えられないくらいになっている。クラウドレンダリングは高いイメージもあるが、手を出してみると意外と安いとなるケースが今後は多く出てくると思う。」(秋元氏)

操作に迷わないシンプル設計今後のスピード対応にも期待

Bullet Render Farm公式サイト
https://www.bulletrenderfarm.com/ja/

では、実際にはどのようなステップでBULLET RENDER FARMを利用するのだろうか。秋元氏は、最初にProRenderの導入から説明していった。

BULLET RENDER FARMはProRenderというレンダラーに対応しているため、まずHoudiniにProRenderを導入する必要がある。ProRenderはAMD以外のGPU/CPUでも稼働し、ライセンス料が無料なほか、USD(Universal Scene Description)にも対応している。Houdini 18にはUSDを用いて管理できるシステム「Solaris」が搭載されており、この機能でシーンを構築することでProRender対応のファイル出力が可能になる仕組みだ。Solarisで構築したシーンはひとつのRPRファイルに出力されるシンプル設計。「Houdiniに触ったことある人なら1日でBULLET RENDER FARMまで使えるようになると思う」と秋元氏は話した。

HoudiniにはもともとのレンダラーにMantraとKarmaがあるが、ProRenderを導入すると出力形式に「RPR」という項目が登場する。このRPRファイル(ProRender向けの中間ファイル)を使用して、BULLET RENDER FARMでいよいよレンダリングを行っていく。







▲BULLET RENDER FARMを使うには、HoudiniにProRenderをセットアップしておく必要がある。
詳細手順はこちらから参照してもらいたい

BULLET RENDER FARMでは、サイトにログインしてRPRファイルをアップロードすることで準備が完了する。UIそのものはスッキリしていて、サイト上での操作もごくごくシンプルにまとまっている。

注意点としては、RPRファイルをZIPに圧縮して、このZIPファイルをアップロードする必要があること。ひと手間かかるが、講演中に要望を上げたところA.L.I.スタッフが「開発する」と即答する一幕もあった。

▲ZIPファイルをブラウザ上でドロップするだけで準備が整う

▲迷う余地のないほどシンプルなUI。

アップロードを終えると、画面サイズやAOVsなどの出力形式が指定できる。BULLET RENDER FARMではここで「概算見積もり」が可能で、費用とレンダリングにかかる時間が表示される。見積もりで算出された金額を支払えば、レンダリング進捗とファイルのダウンロード画面に進むことができる。なお仕組みとしては概算見積もりをした時点でレンダリングが始まっているため、時間的にも効率的だ。

BULLET RENDER FARMの印象について、秋元氏は「クラウドレンダリングの基本の仕組みは当然備わっているが、際立つのはシンプルさ。操作していて迷うことがなかった。ネットワークを介するのでその分の手間はあるが、並行処理することを考えると時間的には待てる。煩わしいセッティングがいらないので、特に初心者には入りやすいのでは」と述べた。

「今回BULLET RENDER FARMを使ってみて、実際とても速かった。Houdiniのレンダリングライフを充実させるために、武器のひとつとしてProRenderを覚えて、BULLET RENDER FARMをフル回転していただければ。僕もそうしたい」(秋元氏)

一方で、シンプルなことのデメリットとしてプロユースでは「もう少しオプションがほしいな」と思う点もあるという。「ただ、そこはまだスタートしたばかりのサービス。要望を出すと対応してくれると聞いている。ユーザーからの声が集まるほど進化していくと思うので、この先に期待したい」。

BULLET RENDER FARMは日々アップデートを重ねており、講演中に対応が決まったアップロード方法のように、スピード感ある対応にも力を入れている。国内メーカーであることから、日本ユーザーの要望がよりダイレクトに届く点も注目だろう。日々進化するレンダリング事情の中で、BULLET RENDER FARMの飛躍に期待したい。