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シネマレイは映像制作だけに留まらず、3DCG、AR、iPad アプリなど複合的に研究開発を行っており、今回新しい可能性としてMudbox 2013 の導入を決めた。また近年、弊社では 3DCG を用いた iPad アプリの開発に力を注いでいる。アプリ上でリアルタイムに描画する 3DCG は、テクスチャ表現が非常に重要となり、ポリゴン数を抑えるため、バンプマップなどで凹凸表現を行う必要があるが、3ds Max 内で完結させる作業では、細部の表現に手間と品質の限界があった。そこで、Mudboxのスカルプティングとペインティングによる、ディティール表現とピンポイントで調整可能な操作感がクオリティアップに大きく繋がることに期待している。著者は、Mudboxを熟知している人間ではないが、可能性を感じる機能という観点でレビューを書いてみた。

スカルプティングツール

Mudbox と言えば、スカルプティングツール。3DCG を制作している方の多くがこのイメージを持っているのではないでしょうか。もちろん、著者もそのイメージを持っていたので、早速基礎のメイン機能を検証してみた。

スカルプト01 スカルプト02

球体のオブジェクトにクネクネと一筆入れる。当たり前だが、綺麗にカーソルに沿って起伏がリアルタイムに表示された。Mudbox には、ステンシルという機能によって様々なパターンの起伏が表現できる。ステンシルの使用してグリグリと球全体に凹凸を付けてみた。

スカルプト03

ステンシルのパターンに沿ってワニの肌のようなゴツゴツとした質感が簡単に作成できた。3ds Max で同様の質感を再現するには、バンプマップのテクスチャを作成してからレンダリングで確認という工程という流れが必要だが、やはりスカルプティングは直感的で細かな調整もスラスラとできる印象だ。
ブラシの大きさや強度など簡単に変更できるのが非常に便利だと感じた。

デジタル ペインティング

Mudbox のもう一つのメイン機能でもあるペインティングを実験してみた。

ペイント01

先ほどのスカルプティングで作成したモデルにブラシで色を直接グリグリ塗ってみた。色を塗ってみて焼き込みや覆い焼きなどのツールもあり、Photoshop に近い印象を受けた。

ペイント02 ペイント03

ペイントツールには投影というモードがあり、ステンシルのようにオブジェクトにテクスチャを重ね,、イメージ画像を転写することが可能だ。転写後にペイントレイヤーの強度パラメーターを後から調整できるので、重ね掛けや微妙な質感を乗せる事もできるようだ。
またフォールオフなどの設定をブラシツールに付加させ、好みの箇所に様々な効果を付加できるので金属にような質感も簡単に作れる。

ポーズ

3D ペイントの要領で、Mudbox ではキャラクターのウェイトが作成可能だ。標準テンプレートで入っている人間のモデルを使用して、どのような工程になるのか実際にやってみた。

ポーズ01 ポーズ02

3ds Max などの 3D ソフトと違い、ボーンを作成するという手順は無く、直接モデルの間接部分のウェイトを付けていくような感覚だ。

ポーズ03

ウェイトの微妙な調整に若干苦労したが、簡単なモデルにはボーン作成の手間が掛からないので便利だと思う。また、他のアプリケーション(Maya、3ds Max、Softimage など)でリグが設定されたスケルトンを備えているモデルをFBX 形式で読み込み、ポーズを作成することが可能だ。

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ペインティングおよびスカルプティングのためのタイリング平面

今回の最新バージョンで新しく追加された機能の一つ。タイリング平面を使用することで、シームレスな反復パターンによって、メッシュのスカルプトまたはペイントをすばやく行うことができるようだ。

タイリング01

実際に Mudbox 上でプレーンを作成し、テストを行ってみた。

タイリング02

右上に適当に模様を描いてみると同様に反映されるように設定された箇所が同じようにペインティングされることが確認できた。

タイリング03

スカルプティングもパターンのついた凹凸表現も可能、ペイントと同様にタイリングが容易に作成できた。

新しい選択ツール UV シェルツール

今回の Mudbox 2013 の選択機能に、UV シェルツールが追加された。

選択ツール01

選択/移動ツールのトレイ上には、UV シェルツールが新たに選択可能だ。

選択ツール02

選択ツール03

UV シェルツールは UV マップに沿って一纏まりになったフェースを一括して選択する事ができるようになっている。
また、既存の選択ツールもフェイスやオブジェクト単位の選択など、他の 3D ソフトと同じ感覚でスカルプティングを行う範囲を選択することができる為、非常に扱いやすい。

3D カーブ

Mudbox では、カーブという機能を使って 3D オブジェクト上にガイドを作成することができるようだ。テンプレートのモデルを使用して実際にテストをしてみた。

カーブ01 カーブ02

カーブツールでモデル上にカーブを描いた後、ツール内のスナップしてカーブする項目にチェックを入れることによって、スカルプトやペイントのスナップ機能が可能になるようだ。

カーブ03

模様などの細かなディティール表現には欠かせないツールだ

モデルの複製および反転

複製01

在りそうでなかった機能「モデルの複製および反転」が今回のバージョンで追加されたようだ。テンプレートのモデルを[編集]>[複製]を選択し、[メッシュ]>[メッシュの反転]を行ってみた。ペアになるようなブーツや手袋などのモデルを Mudbox 上で作成する場合に便利な機能だ。
ただ、複製してから反転という作業を3ds Maxのように1回の工程で出来るようになるとより使い易く、効率が上がると思われるので今後のバージョンアップに期待したい。

TEXT_CGクリエイター 林 裕介  (株式会社シネマレイ)
企業向けPR映像制作からTVCM制作、CG制作を手掛けるCGプロダクション。社員全員が心に「新」を持った表現者として歩む「クリエイティブ・ファクトリー」であることを目標に掲げ、常に新たなビジュアル表現に挑戦している。近年ではAR開発やiPhone/iPad,Android向けアプリといった新期ジャンルでも実績を広げている。
http://www.cinemaray.co.jp/

Mudbox2013

Mudbox 2013

●32ビット
OS:Windows 7 Professional、Windows XP Professional(SP3以降)、CPU: Intel Pentium 4 1.4GHz または同等のAMD Athlon プロセッサ(SSE2テクノロジー対応)、HDD:650MBのハードディスク空き容量、メモリ:2GB

●64ビット
OS:Windows 7 Professional x64、Windows XP Professional x64 Edition(SP2以降/※英語版のみ対応)、Mac OS X 10.7.x、Red Hat Linux 6.0 WS、Fedora 14、CPU:Intel 64またはAMD64プロセッサ(SSE2テクノロジー対応)、HDD:650MB のハードディスク空き容量、メモリ:4GB

価格:110,000円(スタンドアロン)、138,000円(ネットワーク)他

Autodesk Entertainment Creation Suite Ultimate 2013

Autodesk Entertainment Creation Suite Ultimate 2013

● 32bit 版
OS:Windows 7 Professional、Windows XP Professional(SP3 以降)
CPU:Intel Pentium4 プロセッサまたは AMD Athlon プロセッサ(あるいはそれ以上)
HDD:17GB のハードディスク空き容量
メモリ:2GB

● 64bit 版
OS:Windows 7 Professional 、Windows XP Professional x64 Edition(SP2 以降)
CPU:Intel Pentium4 プロセッサまたは AMD Athlon プロセッサ(あるいはそれ以上)
HDD:17GB のハードディスク空き容量
メモリ:4GB

価格:1,228,500 円(スタンドアロン)、1,538,250 円(ネットワーク)

URL:http://www.autodesk.co.jp