[PR]

高いコストパフォーマンスで急速にシェアを伸ばしているマウスコンピューター NVIDIA Quadro 搭載モデル。株式会社パーチでは Autodesk 3ds Max を中心に複数の 3DCG・CAD ソフトを使用し、広告販促用の写真と動画を制作している。そこで今回は Quadro 2000D 搭載モデルを対象に、そうした観点から実践的なレビューをしてみた。

3DCG・CAD 業務用の機材として、有力な選択肢の1つという結果に

業務用 3DCG・CAD ソフトウェアの多くで、グラフィックスボードは動作検証済みとして NVIDIA の Quadro シリーズが推奨されている。一方で Quadro が標準搭載された PC は少なく、選択肢があまりないのが現状だ。さらに限られたそれらの選択肢を見てみると、高度な 3DCG・CAD 用途を前提としているため、CPU にはインテル Xeon プロセッサーが搭載されるなど、グラフィックスボード以外のパーツも自ずと高額な物で構成されることになる。今回検証するマウスコンピューターの Quadro 搭載モデルは、業務用ハイスペックマシンとコンシューマー機のスイートスポットを狙った PC であり、Quadro を搭載しながらも巧くコストパフォーマンスの高いパーツで構成されているため、手頃な価格で導入できるのが魅力の製品だ。

実際にこのマシンを本格的な 3DCG・CAD 業務に用いた時のパフォーマンスはどれほどのものだろうか? 今回は2つの切り口からレビューを行なってみた。まずは「デザインビズ」。広告販促用の 3DCG 写真/動画制作をスムーズに行うことができるかどうかの検証である。そして「カラーマネジメント」。作業用モニタと最終アウトプットで色を一致させたり、現物とマテリアルカラーを一致させたり、3DCG ソフトと編集ソフトの色を一致させるといった総合的な色管理を行うカラーマネジメントが機能するか公平にジャッジさせてもらった。

デザインビズの作業では、実写同等のリッチなクオリティが求められるため、必然的に高負荷な CG ワークになる。その典型が、製品設計時に制作された CAD データ(NURBS)の 3DCG ソフト用ポリゴンモデルへのコンバートだ。平均的なデータでも 100~1,000 万、多い時は数千万ポリゴンをドライブするのでグラフィックスボードの依存度が非常に高い。今回はまず数百万ポリゴンのデータで作業を試してみたところ、画面操作ではマウス操作は遅延なく追随し、描画が遅れたり、カタつくなどの現象も見られなかった。また、Quadro の利点でもある GPU レンダリングも高速に動作した。通常のレンダリングについても、本機に採用されているインテル Core i7-3930K プロセッサーは高速であり、実業務に十分耐えうると感じた。一方のカラーマネジメントについてもハードウェアキャリブレーション/ソフトウェアキャリブレーション共に問題なく動作し、これからカラーマネジメントを導入する場合にも有力な選択肢になるだろう。

結論として、本機はデザインビズに十分使用できると感じた。特に描画・レンダリングの安定性が確認できたのが大きかった。ただし実務ではついついデータが大きくなり不安定になりがちなので、今後もこの路線で、さらにパフォーマンスと安定性が向上していくことを期待したい。

[[SplitPage]]

デザインビズ
広告販促用 3DCG 写真/動画制作のパフォーマンス

デザインビズで現在、最も多く利用されている Autodesk 3ds Max 2012 を中心に、Autodesk Maya 2012 についても動作検証をした。3ds Max 2012 で高解像度ポリゴンの操作性を確認したところ次のような結果(下表)となった。


3ds Max 2012 で高解像度ポリゴンの操作性
 160 万ポリゴン  軽快に動作
 600 万ポリゴン  若干動作が鈍くなるが、業務に支障はない
 2,000 万ポリゴン以上 
 一呼吸して遅れて動作するが、
 1億ポリゴンでもクラッシュせず

1億ポリゴン以上でもクラッシュしないことには感心したが、さすがにレスポンスが遅くなるため業務での利用は難しいかもしれない(比較的データが軽量なエンタメ分野の CG 作業であれば申し分ないパフォーマンスが得られるはずだ)。超ハイポリデータを扱う際には、マウス操作以外にもメニュー呼び出し等も数秒から数十秒反応しないことがあったが、手持ちの Quadro 5000 を搭載したワークステーションでも同様の結果だったので、大健闘と言えよう。

iray による GPU レンダリングでは、さすがに Quadro に最適化されているだけあり非常に軽快に動作した。この速度は CPU+GPU の演算能力に比例して大きくなるため、マシンパワーが直接的に影響するので業務での利用も安心感がある。

Maya 2012 についても終始安定して動作した。描画もレンダリングも高速で、全く業務に支障はなさそうだ。3ds Max と Maya のどちらも数百万ポリゴンという大きなデータを扱っても問題なく、レンダリングもストレスを感じなかった。ただし、レンダリングに関しては CPU 並びに GPU パワーがそのまま比例して表れるので、レンダリングスピードが最重視されるデザインビズに本機を使うのであれば Quadro 4000 や 5000 にオプション変更した方が無難だろう。


3ds Max の動作画面 ray によるレンダリング例

<左>3ds Max の動作画面。印刷等に利用される静止画用データ(3DCG 写真)を作成する際によく利用される 600 万ポリゴン程度のデータでも問題なく操作できる
<右>iray によるレンダリング例(60 秒で設定してレンダリング)。まだ少しノイズが残る状態だが、GPU レンダリングを業務で利用するかどうか検討の余地がある結果が得られた

Maya の動作画面

Maya の動作画面。こちらも軽快に動作し、実制作にまったく支障はない。通常のデータサイズであればレンダリングも高速だ


カラーマネジメント
ソフトウェアキャリブレーションに適格か

当社では通常、ハードウェアキャリブレーションモニタを利用してカラマネ環境を構築している。しかし、通常のハードウェアキャリブレーション非対応モニタを使用する場合も多いと思うので、今回は測色機を使って通常のモニタを調整する「ソフトウェアキャリブレーション」について検証を行なった。結論としては、本機スペックであればカラマネ機材として問題なく利用できる。

少し長くなるが、ソフトウェアキャリブレーションではグラフィックスボード上にある出力調整を書き換え、モニタの調整を行う。多くのモニタはデータを正しい値で出力しておらず RGB 各色の出力はバラバラになっているため、明るいと赤が強く、暗いと青が強くなるといったアンバランスな出力になるケースも多い。また経年劣化(使用時間が増えると徐々に RGB の蛍光体と、バックライトの光量と色が変化する現象)は全てのモニタに伴う。そこで、測色機を使ってモニタの色調整を行い、モニタの初期特性と経年劣化を補正する必要があるわけだ。そしてソフトウェアキャリブレーションは、測色機に付属の調整ソフトウェアを使って行う。測色機で測ったモニタの"いま"の特性を、"打ち消す"出力特性をグラフィックスボード上に書き込むため、検証のポイントは、グラフィックスボードが正しく動作するかにある(概念図)。今回は「ColorMunki Design」という測色機を使用して検証を行なったところ、Quadro 2000D を搭載した本機では問題なく調整を行えることが確認できた。

「ソフトウェアキャリブレーション」概念図

測色機を使ってモニタの狂いを補正する「ソフトウェアキャリブレーション」概念図。今回は Quadro 2000D が動作するかを確認した

TEXT_長尾健作(パーチ)

「MDV-AGQ9300B-WS」

プロフィール

長尾健作(パーチ)

大手制作会社でのデジタル化の推進/3DCG 事業の起ち上げを担当後、株式会社パーチを設立。広告販促用の 3DCG 写真・動画制作のほか、「3DCG のためのカラーマネジメントセミナー」等の講演も数多く実施。
http://www.perch-up.jp/

「MDV-AGQ9300B-WS」

マウスコンピューター Quadro 搭載モデル
「MDV-AGQ9300B-WS」

OS:Windows 7 Home Premium 64bit 正規版
CPU:インテル Core i7-3930K プロセッサー(6コア/3.20GHz)
マザーボード:インテル X79 Express チップセット
RAM:16GB(DDR3)
HDD:1TB(SATAⅢ/7200rpm)
GPU:NVIDIA Quadro 2000D(1GB)
その他:DVD スーパーマルチドライブ、700W(80PLUS GOLD)電源
価格:169,890 円(標準構成)
問い合わせ先:(株)マウスコンピューター
法人のお客様:03-6739-3803
www.mouse-jp.co.jp