CG・VFXのオンライン学習プラットフォームを運営するCGCircuit社は4月8日(水)、同社YouTubeチャンネルにてチュートリアル動画「[FREE TUTORIAL] How to Create a Custom Geometry Dissolve in Houdini | VFX Tutorial with Ali Al-Tobi」を公開した。テクニカルディレクターのAli Al-Tobi氏が講師として登壇し、Houdiniを用いて、オブジェクトが分解・消失していくジオメトリのディゾルブ(溶解)エフェクトをプロシージャルに構築するワークフローを解説している。

サブディビジョンによるジオメトリの均等化

動画の冒頭では、エフェクトを適用するベースとなるジオメトリの準備が行われる。低解像度のモデルに対してRemeshノードを使用し、ターゲットサイズを細かく設定することで、モデル全体を均等なサイズの三角形ポリゴンで再構築している。これにより、後の分解プロセスにおいて破片の大きさが均一になり、自然で均整の取れた溶解表現が可能となる。

重心を基準としたマスクアニメーションの作成

次に、オブジェクトが中心から外側に向かって徐々に消えていくためのマスクを作成する。Point VOP(VEXをノードネットワーク化したプログラミング記法)内で、ジオメトリのバウンディングボックスから算出した中心点(重心)と、各頂点との距離を測ることでベースとなるマスクを生成している。そこにアニメーション用の変数を追加し、時間経過とともにマスク範囲が広がる仕組みを構築するしている。

ノイズによる境界の複雑化

中心から均等に広がるだけの直線的なマスクではCG特有の不自然さが残るため、マスクの境界線にノイズを加えて複雑さを付与する。位置情報に対してTurbulent Noiseのノイズを組み合わせることで、マスクの広がり方に有機的な歪みを与え、実際の物質が崩壊していくようなランダムな浸食具合を表現。ノイズのFrequency(周波数)やAmplitude(振幅)を調整することで、表現のディテールをつくり込んでいる。

ポリゴンの分離と縮小アニメーション

マスクで指定された領域のポリゴンを実際に分解していく工程。Split Pointsノードを利用して、隣り合う三角形ポリゴンが共有している頂点を切り離し、それぞれ完全に独立した破片とする。その後、Point VOP内でMake Transformノードを用いて、各破片の重心を軸として縮小させる処理を行なっている。マスクの値と連動させることで、浸食が進んだ箇所から順に破片が小さくなって消滅するアニメーションが完成する。

破片へのランダムな動きの付与とジオメトリのクリーンアップ

縮小して消えゆく破片に対して、さらに位置を揺らすノイズを時間軸で加えることで、空中に散っていくような微細な動きを足している。最後に、完全に縮小して不要になったポリゴンや余分な頂点を、BlastノードやCleanノードを使用して削除し、シーンのデータ容量を軽量化している。これにより、レンダリングや後続のシミュレーションにおける負荷を抑えた実務的なデータ運用を実現する。

■[FREE TUTORIAL] How to Create a Custom Geometry Dissolve in Houdini | VFX Tutorial with Ali Al-Tobi(YouTube)
https://www.youtube.com/watch?v=M-oHNdj6kmQ

Ali Al-Tobi氏について

ノルウェー出身の映画監督、脚本家、撮影監督で、VFXアーティストおよびテクニカルディレクターとして15年以上のキャリアを持つスペシャリスト。2008年からフリーランスとして活動を開始し、その後はMPC、Ghost VFX、Outpost VFX、One Of UsなどのVFXスタジオで大規模な長編映画やテレビシリーズの制作に参加。CGジェネラリストやFXテクニカルディレクター、VFXスーパーバイザーとして幅広く作品に携わる。

▲Ali Al-Tobi氏によるチュートリアル動画「Cinematic Ocean FX in Houdini」

■Ali Al-Tobi(LinkedIn)
https://www.linkedin.com/in/alialtobi/

■Ali Al-Tobi(altobi)(SideFX)
https://www.sidefx.com/profile/altobi/

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