9月9日(水)、オープンソース(MITライセンス)の3Dグラフィックスライブラリ「Three.js」の最新バージョン「Three.js r186」がGitHubで公開された。本バージョンでは、WebGPUを軸とした多彩なレンダリング機能の強化をはじめ、3DGS(3D Gaussian Splatting)の導入やマテリアル、ポストプロセッシングの高度化などのアップデートが実装されている。
Three.js r186 released https://t.co/Yfs1s9SvvL pic.twitter.com/xTY8R3G6Hc
— Three.js (@threejs) September 8, 2026
New GaussianSplat
Three.js r186でネイティブ実装されたGaussian Splattingのデモ。WebGPU/TSLベースで動作し、PLYやSPZ形式をサポートする。レイキャスト(クリック判定)やフラスタムカリングに対応し、視点依存の色彩(球面調和関数)も再現。特殊なビューアではなく、通常のメッシュと同様に既存の3Dシーンとシームレスに統合できる点が特徴となる。
■New GaussianSplat(Three.js)
https://threejs.org/examples/#webgpu_gaussian_splat
Improved City Example
WebGPUを活用してプロシージャルに構築された、ネオ・ゴシック様式の高層ビル群のデモ。テラコッタ風のビルが立ち並ぶ数ブロックの都市空間がリアルタイムにレンダリングされ、ユーザーはWASDキーを使って生成された街の中を自由に歩き回って探索できる。
■Improved City Example(Three.js)
https://threejs.org/examples/#webgpu_generator_city
New Retroreflective Material
光を光源の方向へ向かって正確に反射する再帰性反射(Retroreflection)マテリアルのデモ。マイクロファセットモデルを利用し、暗闇の中でカメラマウントライトに照らされたカラーコーンの反射帯が強く光る様子を再現する。交通標識や安全ベストのようなリアルな質感をWebGPUで表現。
■New Retroreflective Material(Three.js)
https://threejs.org/examples/#webgpu_materials_retroreflection
Progressive LightProbeGrid
定番の建築モデルであるSponzaシーンにライトプローブのグリッドを配置し、位置に依存したグローバルイルミネーションを表現するデモ。L2球面調和関数(SH)を利用して空間内の間接光を近似し、壁や床の相互反射による柔らかな拡散光をWebGPUベースでプログレッシブに計算・適用するという、高度なライティングを実現している。
■Progressive LightProbeGrid(Three.js)
https://threejs.org/examples/#webgpu_lightprobes_sponza
Improved Fog Scattering Example
霧による光の散乱現象をWebGPUでシミュレートするデモ。ガウスぼかしパス(水平・垂直)と深度情報(viewZ)を活用して、シーン内のオブジェクトと自然なブレンドを実現する。コントロールパネルから霧の密度や散乱係数をリアルタイムに調整でき、より現実に近いダイナミックな大気エフェクトを表現できる。
■Improved Fog Scattering Example(Three.js)
https://threejs.org/examples/#webgpu_custom_fog_scattering
Improved Sky Clouds
従来の空と太陽のWebGLシェーダ(Sky Shader)が大幅に改良され、リアルな雲が追加されたデモ。雲の量(Coverage)や密度、高度などをパラメータで細かく制御できる。太陽の座標や光の散乱(レイリー散乱・ミー散乱)と連動し、空の色合いや雲の陰影変化を表現。
■Improved Sky Clouds(Three.js)
https://threejs.org/examples/#webgl_shaders_sky
New Volumetric Fog
TSL(Three.js Shader Language)を活用したポストプロセッシングによるボリュメトリックフォグのデモ。深度の再構築、ジョイント・バイラテラル・アップサンプリング(JBU)、ガウシアンフィルタリングによるノイズ除去を組み合わせている。高度による霧の減衰や密度などを細かく調整できる。
■New Volumetric Fog(Three.js)
https://threejs.org/examples/#webgpu_postprocessing_fog
New Mesh Sculptor
WebGPUの計算能力を活かし、Webブラウザ上で3Dメッシュを粘土のように直接変形できるスカルプティングデモ。マウスを使ったブラシ操作によって、モデルの頂点をリアルタイムに押し出したり滑らかにしたりするインタラクティブな編集が可能で、Webグラフィックスによる高パフォーマンスなジオメトリ操作の可能性を示すものとなっている。
■New Mesh Sculptor(Three.js)
https://threejs.org/examples/#webgpu_sculpt
■Three.js(GitHub)
https://github.com/mrdoob/three.js
■Three.js r186 リリースノート(GitHub)
https://github.com/mrdoob/three.js/releases/tag/r186
CGWORLD関連情報
●Sebastian Aaltonen氏、オープンソースの低レベルVulkanラッパー「NoGraphicsAPI」公開 GPUポインタで描画のボトルネック解消
Sebastian Aaltonen氏がVulkan 1.4拡張機能を利用したオープンソース(MITライセンス)の低レベルラッパーライブラリ「NoGraphicsAPI」をGitHubで公開。同氏のブログ記事およびSIGGRAPH 2026での講演で発表したアイデアを実装したプロトタイプで、GPUプログラミングを通常のメモリアクセスやデータ構造の操作に近づけることを目的としている。
https://cgworld.jp/flashnews/01-202610-NoGraphicsAPI.html
●NVIDIA鈴木剛夫氏ら、OpenUSD向けリファレンスレンダラ「Typhoon」をGitHubで公開
NVIDIAのエンジニア・鈴木剛夫(Masuo Suzuki)氏とAnders Langlands氏が、OpenUSDにおけるレンダリング結果の一貫性と相互運用性を担保するための参照レンダラ「Typhoon」をGitHub上で一般公開。OpenUSDのHydraフレームワーク向けプラグイン「hdEmbree」の拡張として実装され、Linux、macOS、Windowsでのビルドに対応。様々なレンダラやDCCツール間におけるシェーディングやライティングの忠実な再現性を検証する環境を提供することにより、業界全体のパイプライン効率化を目指す。
https://cgworld.jp/flashnews/01-202609-Typhoon.html
●デジタル・フロンティア、OpenPBR検証記事「OpenPBRのすゝめ ツールに依存しない新しい標準マテリアル」を公式noteで公開
デジタル・フロンティアのTD高橋氏が同社note「DF TALK」にて、検証記事「OpenPBRのすゝめ ツールに依存しない新しい標準マテリアル」を公開。マテリアルのオープンスタンダードフォーマット「MaterialX」の普及を目指すプロジェクトの検証シリーズ第3弾として、MaterialXのサブプロジェクトとして共同開発されているシェーディングモデル「OpenPBR」に焦点を当て、ArnoldやUnreal Engine、Karmaなど複数の主要レンダラを用いた描画結果の比較を提示している。
https://cgworld.jp/flashnews/01-202607-DF-OpenPBR.html