【クリエイターPC】大規模導入の決め手は、細かなこだわりにも応えるBTOの柔軟性と抜群の安定性。アニマがエプソンPC「Endeavor Pro9300」を選んだ理由
セル調CGアニメーション制作を中心に手がけるCGプロダクション「アニマ(ANIMA)」が、昨冬にエプソンダイレクトのハイエンドフラッグシップPC「Endeavor Pro9300」を大規模導入した。
導入の決め手になったのは、細かなこだわりにも応えるBTOの柔軟性と、高負荷の長時間作業でも揺るぎない安定性だという。ライティング&コンポジットチームでライティングスーパーバイザーを務める孫 斛涵氏と、執行役員として機材選定を担う西野 憲司氏に、導入の経緯と作業マシンに求めるものを聞いた。
セル調を主軸に、ライティングからコンポジットまでワンストップで手がける
今年10月に30期目の節目を迎えるアニマ。日本のCGアニメーション黎明期から第一線で活躍し続けてきたCGプロダクションだが、近年はセル調をはじめとする様式化されたCGアニメーションを主軸に、プリレンダーからリアルタイムまで精力的に活動している。
©バード・スタジオ/集英社 ©SAND LAND 製作委員会
鳥山明の漫画原作をフルCGで描いた本作。アニマは、サンライズ(バンダイナムコフィルムワークス)、神風動画と共にアニメーション制作を担当した
『スター・ウォーズ』の世界観を独自の視点で描くアニメーションシリーズの第3弾。アニマは、大きな反響を呼んだVolume1の『The Duel』の続編『The Duel: Payback』を神風動画と共に制作した。
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——今日はよろしくお願いします。まずは、おふたりの現在の業務内容を教えてください。
ライティングスーパーバイザー 孫 斛涵(以下、孫):
自分はライティングSVとしてライティングからコンポジットまでの一連の作業を担当しています。最近は『SAND LAND』(2023)に代表されるセル調かつハイエンドのCGアニメーション案件を中心に手がけています。
——スーパーバイザーとして、チームマネジメントと実際にご自身でも手を動かされる割合はどれくらいですか?
孫:
画づくりの指針となるマスターショットの画づくりや、最終調整の段階では自分で作業をすることが多いです。
ですが、自分が手を動かすことよりもチームメンバーが作業しやすい環境を整えることを最優先に考えています。具体的には、案件ごとにワークフローや仕様を決めていく作業ですね。
私のチームは現在7名体制で、大きなプロジェクトではフリーランスの方にもご協力いただいています。
ライティングスーパーバイザー
——孫さんは、アニマに在籍されて今年で11年目になるそうですね。アニマの職場としての魅力はどんなところですか?
孫:
アーティストが画づくりに専念できる環境が整っていることが大きいですね。
必要なツールがあれば西野さんに相談すると基本的には購入を許可していただけます(笑)。作業マシンについても困ったことがあれば社内のシステム担当の方に相談すればサポートしてもらえます。
何かチャレンジしたいことがあれば、しっかりと提案すれば前向きに検討してもらえることが多いです。
執行役員 西野憲司氏(以下、西野):
彼は確かな実力があるので。決して甘やかしているわけではありませんよ(笑)
ライティング&コンポジットチームの中心メンバーとして監督さんからも信頼を得ているので、彼の提案や意見が通りやすいという面もあると思います。
職場環境の面では、スタッフのチャレンジ精神をできるだけ尊重することをマネジメント側として日頃から心がけています。
執行役員、ディベロップメントディビジョン マネージャー/プロデューサー
現在のライティング&コンポジット作業では、VRAMとメモリが重要
——ライティング&コンポジット作業用途では、作業マシンに対してどのようなスペックを求めますか?
孫:
最近はリアルタイムCG、つまりGPU処理に対応した機能やソフトウェアが増えています。だからGPUは、できるだけハイスペックなものが望ましいですね。
またコンポジット作業では高解像度のマットペイントなどを扱うことも多いですし、画面を構成する要素が多いショットではメモリは多いに越したことはありません。メモリが不足すると、プレビューができなかったり、作業自体が行えないといった困ったことにもなりかねないので。
——従来の作業マシンでは、どのような点にパフォーマンスの限界を感じていましたか?
西野:
これまでのライティング&コンポジットチームのマシンは、GeForce RTX 3060(VRAM 12GB)搭載のマシンを使っていました。
PCパフォーマンスのログを継続的に取って確認していたところ、クロック数よりもVRAM容量の方が作業パフォーマンスへの影響が大きいことがわかりました。VRAMをカツカツまで使いきる状況が頻繁に見られたのです。
——CPUについてはいかがですか?
西野:
当社の制作スタイルの場合、CPUについては最上位グレードを求めていません。アニマでは、レンダリングはレンダーファームで行う体制が確立されているので、作業マシンでレンダリングする機会がほとんどないことが大きいです。
今回導入したマシンでは、CPUにCore Ultra 7 265を選びましたが、1つ上のグレード(Core Ultra 9)を選ぶと消費電力が急増してビルの電力容量に影響が出てしまいます。省エネを優先しつつ、その分GPUの方により予算を充てた構成にしました。
アニマのライティング&コンポジットチームが導入した「Endeavor Pro9300」
shop.epson.jp/pc/desktop/pro9300/
アニマ導入マシンの主要スペック
- CPU
インテル® Core™ Ultra 7 プロセッサー 265
- GPU
NVIDIA RTX 4000 SFF Ada 20GB
- メモリ
128GB
- ストレージ
512GB M.2 SSD
——コンポジット作業のメインツールは何をお使いですか?
孫:
After EffectsとNukeです。使い分けの目安として、作画などの2D素材が多い案件ではAfter Effectsを使うことが多く、フルCGなど3D要素が多い案件ではNukeの方が作業がやりやすいです。
作画が絡んでくると2コマ打ちや3コマ打ちなどリミテッドのアニメーションに仕上げることが多いのですが、そうした処理もAEの方がやりやすいので。
——ライティング&コンポジットチームのワークフローの特徴を教えてください。
西野:
当社では、元々3DCGソフトによるライティング作業と、AEやNukeによるコンポジット作業をひとりのアーティストが一括して担当するワークフローを採用しています。
孫:
先日担当したセル調のプロジェクトでは、背景美術を使ってコンポジットワークで空間を構築する必要がありました。
最初はMaya上にシーンを組んで作業を進めていましたがひとつひとつの処理が重くなりがちだったため、BlenderのEEVEEを試したところ、GPUレンダリングによって効率化することができました。コンポジット作業でもGPUパワーの恩恵がダイレクトに得られることを実感しました。
——NukeではDeepCompositingを利用することもありますか?
孫:
もちろんあります。特にエフェクトチームでは、最近はDeepCompositingが行える仕様でレンダリングすることが多いですね。
キャラクターと絡むエフェクトも多いですし、アニマでは分業制で各チームが同時並行で作業していることが大きな理由です。DeepCompositingが使えれば、モデルが更新された場合も再レンダリングせずに済むケースもわりとあります。
西野:
そのため今回導入したマシンでは、メモリを128GBまで増やしました。DeepCompositing用の素材は、奥行き情報が含まれる分データサイズが大きくなるので、メモリ容量がより重要になります。
BTOの自由度と、実績豊富な安定性が導入の決め手に
——今回、エプソンPCを選ばれた経緯を教えてください。
西野:
もともとのきっかけは、以前にリアルタイムチームがある案件でゲームパブリッシャーさんからからお借りしたマシンで作業する必要があり、そのときのマシンがエプソンさんのPCだったことです。
今回導入したPro9300の1世代前のモデルでしたが、安心して利用できることを実感しました。そこでまずリアルタイムチーム向けにEndeavor Pro9300を31台導入してみたところ、1年ほどフルに使い続けても1台も壊れることがありませんでした。この実績が大きかったですね。
——製品特性の観点から、他社製品ではなくエプソンPCを選ばれた決め手を教えてください。
西野:
最大のポイントは、BTOとしての選択肢の幅広さです。
先ほどもお話したとおり現在のライティング&コンポジット作業ではCPUよりもGPUやメモリが重要になります。
ハイグレードのGPUを使うには、電源ユニットができるだけ大容量なのが理想です。ですが、一般的なPCメーカーの場合、大型の電源ユニットを選べるモデルになるとPCのグレード自体が上がって、価格も一気に跳ね上がってしまいます(苦笑)
一方、Endeavor Pro9300では電源ユニットを1100Wまで選択できます。ほかのパーツのグレードを維持したまま、こだわりたいパーツに限定してハイスペックに変更できるのは、一度に多くの台数を購入する立場として非常に魅力的でした。
欲しいGPUに対して十分な電力を賄えて、かつコストパフォーマンスも高いという絶妙なバランスの構成を実現できました。
——今回のライティング&コンポジットチーム用マシンの構成におけるポイントを教えてください。
西野:
CPUにインテル® Core™ Ultra 7 プロセッサー 265、GPUにNVIDIA RTX 4000 SFF Ada(VRAM 20GB)、メモリに128GB、ストレージに512GB M.2 SSDという構成にしました。
1つ目のポイントは、GPUをGeForce系ではなくRTX 4000 SFF Adaにしたこと。その理由は、VRAMの容量です。
Endeavor Pro9300で選べるGeForce系の最上位モデルNVIDIA GeForce RTX 5070 TiのVRAMは16GBですが、RTX 4000 SFF AdaのVRAMは20GBです。
ハイモデルのキャラクターを複数読み込んだ状態ではVRAMをどんどん使い切り、最悪マシンが固まる恐れもあります。また今後もVRAMの需要が増すと考えていますので、その観点でも今回の構成は先を見据えた選択でした。
そして2つ目は、先ほどもお話したメモリを128GBに増量したことですね。
——マシンの保守・メンテナンス体制はどのように?
西野:
社内にはPC担当とサーバー担当のSEが各1名おり、計2名でスタッフ150人分、約400台のマシンを管理しています。
部材さえ確保できれば自分たちでほとんどのメンテナンスを対応できますので、外部サポートの充実度よりも筐体の拡張性やメンテナンスのしやすさを重視しています。
昨年11月に発売したEndeavor Pro9300は筐体デザインがリニューアルされたのですが、SEからは「ストレージやGPUの換装がよりやりやすくなった。配線が綺麗にまとまっている」と好評です。エプソンダイレクトさんが自社で筐体デザインや設計を行われているメーカーならではの強みだと思いますね。
孫:
自分はもうこの3〜4年、自分の作業マシンを実際に見ることがありません(笑)。それだけ会社側でしっかりメンテナンスしてもらえているということで、何か不具合があっても連絡すればすぐに対応してもらえるのがありがたいです。
——孫さんは、これからEndeavor Pro9300を実案件に使い始めるそうですね。どんな作業のパフォーマンスを試されたいですか?
孫:
Nukeのパフォーマンスが一番気になっています。また最近のAfter Effectsは3D素材を直接扱えるようになっているので、コンポジット作業で3Dモデルを直接操作しながらリライティングを行う際のパフォーマンスも試したいですね。
セル調の案件ではプリレンダーで出した素材だけでは影の形などに不自然さが残りやすいので、コンポジットで追い込む作業は欠かせません。その度に3DCGソフト側に戻ってライティングを調整するのは時間的なロスが大きいので、コンポジットソフト上でリライティングができれば作業効率が大きく向上するはずです。
使い始めて、エプソンダイレクトの信頼と品質を実感
——これまでエプソンPCに対して、どのような印象をお持ちでしたか?
西野:
以前から大手ゲームパブリッシャーさんの現場を訪問すると、白を基調としたシンプルながら洗練されたEndeavorの筐体が多数導入されている様子を目にすることが多かったです。
「大手ゲーム会社から信頼されているブランドなんだな」という印象を持っていました。コストパフォーマンスの高さ、拡張性やメンテナンスのしやすさから選ばれているのだろうと推察していました。
孫:
正直に申し上げると、Endeavorのことを今回初めて知りました(苦笑)。ですが、実物を見たときに、デザインが洗練されていて、頼もしい印象だと思いましたね。
——今回の導入を通じて、エプソンダイレクトおよびEndeavorシリーズに対する印象はどのように変化しましたか?
西野:
持っていた印象がより確かなものになった、というのが率直な感想です。
エプソンダイレクトショップでの購入体験も非常に良好でした。複数のECサイトを見比べる手間がなく、その分スペックの選定に時間を集中できました。
製品が届いた際の梱包も丁寧で、法人向けに特化した品質の高さを実感します。ワークステーションの価格帯としてはむしろ安い部類に入るのではないでしょうか。購入した時期にエプソンダイレクトさんのキャンペーンセール期間と重なったのもありがたかったですね(笑)
——最後に、エプソンPCをどのようなCGプロダクション・CGアーティストにお勧めしますか?
西野:
アニマのような制作体制のプロダクションには確実にマッチすると思います。特にメモリやGPUにハイスペックなものが必須となるエフェクト、ライティング&コンポジット用途にオススメです。
BTOとしての選択肢の幅広さと大容量電源ユニットを選択できる点は、複数台まとめて同一スペックで揃えたいプロダクションにとって大きな強みですね。
お問い合わせ先
エプソンダイレクト株式会社
TEL:0120-938-008
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INTERVIEW & EDIT_NUMAKURA Arihito
PHOTO_弘田 充