Epic Games社は10月4日(日)、アニメーションスタジオBrown Bag FilmsのUnreal Fest Chicago 2026における講演動画「All in on UE: What Happens When 100 Animators Stop Round-Tripping | Unreal Fest Chicago 2026」をYouTubeで公開した。Brown Bag FilmsはMayaを中心とした複数ソフトウェア間の制作工程をUnreal Engine 5.7に統合し、数百名規模のアニメーターチームで運用するためのパイプラインを構築。その構築手法からリアルタイム環境を活用したショット制作、キャラクターアニメーション、ヘア・ファーのレンダリング、VFX制作などの実践事例までを、約30分にわたって紹介している。
UE 5.7への制作パイプライン統合と大規模チームの移行
Brown Bag Filmsは、トロント、バリ、ダブリンの3拠点でアニメーション制作を行い、通常12〜15のプロダクションラインを並行稼働させている。従来のCG作品では1作品あたり約150名のスタッフが参加し、そのうち50〜70名がMayaのキーフレームアニメーターで、スタジオ全体では250〜350名のアニメーターが制作に従事していた。制作環境では、最終的なライティングやVFX、レンダリング段階で発見された問題をアニメーション工程へ差し戻す際、データのエクスポート・インポート・検証を繰り返すラウンドトリップが発生していた。
ここで、2023年以降の配信プラットフォーム市場の変化を受けたBrown Bag Filmsは、制作コストとスケジュールの削減を目的にパイプラインの刷新を開始。アセット制作を除く制作工程をUnreal Engine 5.7へ移行し、リギング、キーフレームアニメーション、仕上げ、最終レンダリングまでをエンジン内で完結させる方針を採用した。講演時点では5作品をUE 5.7で制作しており、2026年末までに250名以上のアニメーターがUEを使用する体制を見込んでいる。
シーケンサーを利用したショット分割と並列アニメーション制作
Brown Bag Filmsが構築したアニメーションパイプラインの中核となるのが、シーケンサー(Sequencer)を利用したショット管理システム。ポスプロ部門からEDL(編集点やショットの長さなどを記録したデータ)がパブリッシュされると、独自ツールによりカメラ、ショット構成、尺などを含むレイアウト用シーケンスを自動生成する仕組みを構築している。
レイアウトの承認後は独自パブリッシュツールによりカメラやアニメーション、VFX、ライティングなどの作業用トラックを生成。各部門が独立したトラック内で作業することにより、工程を順番に受け渡す方式から、複数部門による並行作業方式に移行した。また、アニメーション用のサブシーケンスを分割することで、同一ショットを複数のアニメーターで担当できるようになった。
一方、Mayaに慣れたアニメーターからは、キャラクターだけを表示するアイソレーション機能が求められた。そこでBrown Bag FilmsはEpic Gamesと協力し、ライティングやシャドウを簡易表示へ切り替える独自ツールを開発。さらに、テイク(Take)機能を活用して、元のアニメーションを上書きせずに別バージョンの芝居やタイミングを試せるようにしたという。
UEによるファー・VFX制作とショットの最終調整
ヘア・ファーはYetiで作成したデータをAlembic経由でUEのグルーム(Groom)に読み込み、アニメーション中も完成形に近い状態で確認できる。高密度の毛を接写するショットでは、Lumenの描画品質に限界があるため、パス トレーサーを併用。VFXではNiagaraとブループリントを組み合わせ、列車の蒸気などをアニメーターが直接制御する。
複雑な物理シミュレーションはHoudiniで制作し、VAT(頂点アニメーション テクスチャ)に変換して軽量再生。また、独自工程「Shot Polish」では、アニメーション制作と並行して背景の草や地面、雨、被写界深度などをショット単位で調整し、工程間の差し戻しを削減している。
■All in on UE: What Happens When 100 Animators Stop Round-Tripping | Unreal Fest Chicago 2026(YouTube)
https://www.youtube.com/watch?v=4fcC1GVSRxU
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