Epic Games社は7月18日(土)、Unreal Fest Chicago 2026における講演動画「Introducing Mesh Terrain: Craft Large Complex Worlds | Unreal Fest Chicago 2026」を公開した。Unreal Engine 5.8で実験的機能として実装された新機能「メッシュテレイン(Mesh Terrain)」について、従来のハイトマップベースの地形システムの課題と、それを解決する純粋なトライアングルメッシュを用いた非破壊的でプロシージャルな地形制作ワークフローを解説している。

従来のハイトマップの限界とトライアングルメッシュへの移行

ハイトマップベースのランドスケープは、Z軸方向のディスプレイスメントしか持たないため、オーバーハングや洞窟といった複雑なトポロジの作成ができず、別途スタティックメッシュを配置してブレンドする必要があった。また、巨大な地形プロキシを特定のアーティストがチェックアウトすると、他の作業者が待機しなければならないファイル競合の問題も存在していた。

新機能のメッシュテレインはこれらを解決するため、ボクセルのような専用システムを新設するのではなく、エンジンの基本である純粋なトライアングルメッシュの技術に回帰。NaniteによるLODとストリーミング技術を前提とすることで、構造や解像度に制限のない自由な空間モデリングを可能にしている。

Mesh Partitionと非破壊的なモディファイア・パイプライン

メッシュテレインのシステム・アクター・ジオメトリを構成する中心的技術は、巨大なメッシュをストリーミングセル境界をまたいで管理する基盤システムである「メッシュパーティション」。このシステムは、対象を任意の「ベースセクション」に分割して処理する。

地形を成形する際は、このベースセクションに対してテクスチャやスプライン、ブーリアンなどの各種モディファイアを重ねていく。これらのモディファイア群は優先度レイヤーに基づき依存関係を構築し、バックグラウンドで非同期かつ並列に計算される。これにより、特定のモディファイアを変更しても全体を再処理する必要がなく、キャッシュを活用した高速な非破壊ワークフローを実現する。

PCGとの連携とウェイトチャンネルによる制御

メッシュテレインは、メッシュパーティションの頂点上に保持される属性データ「ウェイト チャンネル」とプロシージャル コンテンツ生成フレームワーク(PCG:Procedural Content Generation Framework)がシームレスに連携する。例えば、ベースとなるメッシュにブーリアンモディファイアを用いて洞窟の空間をくり抜く際、入力メッシュの頂点カラーを自動的に読み取り、岩や草などのウェイトチャンネルにマテリアル情報を割り当てることができる。

さらに、PCG Volume内でMesh Partition Queryノードを使用すると、ペイントされたウェイトチャンネルの値を直接参照し、指定した属性の領域にのみインスタンス(岩や草など)を地形の角度に合わせてプロシージャルに自動配置することが可能となる。

Transformerによるランタイムデータ最適化とコリジョン削減

エディタ上でのソースデータと、ゲーム実行時のランタイムデータを完全に分離している点も特長。Transformerと呼ばれる仕組みを介して、ハイエンド向けにはNaniteやランタイム バーチャル テクスチャ(RVT)、ローエンド向けには通常のLODメッシュといったプラットフォームごとの変換がビルド時に行われる。

特に課題となるのはコリジョンデータで、ハイトマップをそのままChaosトライアングルメッシュへ変換すると、データ量が約59倍に膨れ上がる。しかし、Transformerのパイプライン内で微小なエラー許容値に基づくメッシュの簡略化と、32ビット浮動小数点のバウンディングボックス最適化を適用することで、データ量を約90%削減し、従来のランドスケープと同等のメモリフットプリントに収めることができる。

■Introducing Mesh Terrain: Craft Large Complex Worlds | Unreal Fest Chicago 2026(YouTube)

https://www.youtube.com/watch?v=QJwTTmNez3k

CGWORLD関連情報

●Epic Games、Unreal Fest Chicago 2026でのUE5.8 リギング&アニメーションツール紹介講演動画を公開

Epic GamesがUnreal Fest Chicago 2026における講演動画「State of Rigging and Animation Tools in Unreal Engine 5.8 | Unreal Fest Chicago 2026」を公開。最新バージョンのUnreal Engine 5.8におけるアニメーションおよびリギングツールの最新アップデートとして、コントロール リグの物理シミュレーション拡張、メッシュを直接つかんで操作する直感的なポージング手法、そしてデータ転送ツールを活用した高度なリグ構築ワークフローなど、新機能を多数解説している。
https://cgworld.jp/flashnews/01-202608-UE58Rigging.html

●UE5用リアルタイムオーシャンシステムプラグイン「Easy Waterscape」リリース 高速フーリエ変換海面シミュレーションをブループリント1つで実現

William Faucher氏がUnreal Engine用リアルタイムオーシャンシステムプラグイン「Easy Waterscape」をFabでリリース。本ツールは、AAAタイトルの水面表現に用いられる数学的な波の計算モデル(TessendorfおよびJONSWAPスペクトラム)による真のFFT(高速フーリエ変換)海面シミュレーションを、単一のブループリントで手軽に実現できるツール。対応するUnreal Engineはバージョン5.7以降、価格は個人ライセンスが9,747円、スタジオ向けのプロフェッショナルライセンスが48,745円。
https://cgworld.jp/flashnews/01-202607-EasyWaterscape.html

●Nore Pollentier氏、UEによる廃墟の階段シーンのブレイクダウン公開 ライトファンクションやWorld Position Offsetの実践的活用

Nore Pollentier氏がUnreal Engine 5を用いた背景作品「Ruined stairway - Unreal Engine scene」とそのブレイクダウンを自身のArtStationで公開。自作アセットとMegascansのアセットを組み合わせつつ、ライティングとコンポジションによって視線を誘導する空間構築に焦点が当てられている。大気やフォリッジ、マテリアルの表現など、実践的な試行錯誤のプロセスをまとめている。
https://cgworld.jp/flashnews/01-202607-UE-Stairways.html