デジタルテクノロジーを駆使したアーティストと社会をつなぐ支援をするNEORTは、KITTE大阪開業1周年を記念して、4階クリエイティブスペース「AxCROSS」において、テクニカルアーティスト・避雷氏による新作デジタルアート『(おくる|はこぶ|うけとる)ものの箱庭』を7月31日(木)より公開する。
KITTE大阪の18mの壁に展示される人工生態系の制作を行いました!
— 避雷 (@lucknknock) July 31, 2025
GPUで並列計算される仮想的な遺伝子を持った花と虫たちが、花粉を媒介にして複雑な生態系を構成します。虫媒花と虫の関係性を人間と郵便物の関係性に見立てています。
一年ほど展示されますので機会がありましたら是非! https://t.co/kDpoWVjj0E pic.twitter.com/N1MXplOcdl
展示概要
【展示期間】
7月31日(木)〜 2026年7月末(予定)
【展示場所】
KITTE大阪 4階 AxCROSS
【料金】
無料
【営業時間】
KITTE大阪営業時間に準ずる
【スクリーンサイズ】
W18,000mm × H2,500mm
※作品上映は3分間・広告配信3分間のサイクルで映像が切り替わる
プロジェクト概要
KITTE大阪・旧大阪中央郵便局保存建屋4階の大型スクリーンAxCROSSは2024年7月の開業以来、「つながりを、つむぐ場所」をコンセプトに情報とデジタルアートの発信を続けてきた。
開業1周年を迎える本年、AxCROSSでは新たなステップとして「歴史と新たな文化のいぶきを感じる場所」への発展を目指し、新作デジタルアートの公募を実施。厳正な審査の結果、今回は避雷氏の企画に決定した。
本作品は、人と郵便の関係を虫媒花と虫たちの生態関係に重ね合わせた、リアルタイム生成される人工生態系シミュレーションである。AxCROSSの特徴である全長約18mの大型スクリーンを最大限に活用し、来館者が等身大で体験できるインタラクティブな表現空間を創出する。
『(おくる|はこぶ|うけとる)ものの箱庭』について


作品コンセプト
本作品では、郵便物が離れた人同士をつなぐ複雑なネットワークと、虫が花粉を運搬して植物間の遺伝的ネットワークを構成する自然界の仕組みを重ね合わせて表現。独立した遺伝子を持つ仮想の花と虫が織りなす生態系は、旧大阪中央郵便局が長年担ってきた「想いを届ける」機能の現代的な再解釈として位置づけられる。
技術的特徴
・リアルタイム人工生命シミュレーション:GPUを活用した高速並列計算により、大量の仮想生物をリアルタイムでシミュレート
・生成的ビジュアル:花の形状・色彩、虫の行動パターンは仮想的な遺伝子から生成的に決定され、唯一無二の生態系を構築
・参加型インタラクション:QRコードを通じてメッセージを送信すると、それが遺伝子データに変換され新しい植物として生成
・継続的変化:広告配信中もシミュレーションが継続し、大阪市の天気情報と連動した長期的な生態系変化を実現
アーティスト・プロフィール

避雷
テクニカルアーティスト・研究者・映像作家
東京大学大学院情報理工学系研究科修了。人工生命研究を方法論とした「人工生態系」作品群の制作を通じて、異なる知性が共存する世界の例を提案することを目的とした作品制作を行っている。
主な受賞・展示歴
2020年度未踏事業採択 同年スーパークリエイタ認定
第一回ジェネラティブアート・アワード優秀賞受賞
PARCO P.O.N.D. 2022、NTT ICC キッズプログラム、YCAM等での展示実績
2025年度映像作家100人選定
選考プロセスと審査員コメント
本作品は、2025年6月に実施されたAxCROSS OPEN CALL 2025を通じて選出されました。株式会社コングレ、株式会社ANCR、NEORT株式会社の3社およびオープニング作品アーティストのKaoru Tanaka氏による厳正な審査の結果、「KITTE大阪やAxCROSSのコンセプトに最も共感し、空間の歴史的意味と未来への展望を結ぶ提案」として選出されました。特に、インタラクティブな要素が加わったことで、新たな体験的価値が提供できることも高評価に繋がった観点です。