ソニーは、空間コンテンツ制作を支援するXYN(ジン)の「空間キャプチャーソリューション」をアップデートし、日本および米国で提供を開始する。生成アルゴリズムの強化により、小道具や自動車など、現実空間のさまざまなオブジェクトを撮影し、高品質な3DCGアセットとして生成できるようになった。また、新たな料金プランとクレジットカードによるオンライン決済を導入し、法人に加えて個人のプロクリエイターも利用可能となる。映画・映像制作やゲームのVFX制作、デジタルツイン構築など、幅広い分野での活用を見込む。

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オブジェクトの撮影と生成機能を追加|XYN Spatial Scan | XYN Spatial Scan Navi

主なアップデート内容

1. 3DCG生成アルゴリズムを強化しオブジェクトのアセット生成に対応|撮影を支援するスマートフォンアプリケーション「XYN Spatial Scan」

「XYN Spatial Scan」の3DCG生成アルゴリズム「XYN Venus(ジン・ヴィーナス)アルゴリズム」を強化し、従来の背景アセットに加え、オブジェクトの3DCGアセット生成に対応した。生成対象の範囲を指定できるようになり、物体の透明感や艶といった質感も忠実に再現できる。生成品質は用途に応じて選択でき、PCやスマートフォンでの表示に適した品質のほか、HDRやカラーマネジメントに対応した大型LEDウォール向けの品質も用意する。映画やゲームの小道具、製品デザインの検討素材など、幅広い3DCGアセット制作への活用を想定している。また、用途ごとのデータ活用やワークフローに対応するため、生成品質やカラーワークフローなどの各種パラメーターを設定できる。なお、XYN Venusによる3DCGアセットの生成にはトークンを消費する。


  • オブジェクト3DCGアセットの生成範囲指定のイメージ
  • 生成されたオブジェクト3DCGアセットのイメージ

2. 被写体に応じたナビゲーションで効率的なオブジェクト撮影を支援|現実空間から高品質な3DCGアセットを生成するクラウドアプリケーション「XYN Spatial Scan Navi」

「XYN Spatial Scan Navi」に、オブジェクト撮影に適した「オブジェクト:アシストモード」を追加する。被写体のサイズに合わせて、スキャン範囲を直感的に指定できるナビゲーション機能により、効率的な撮影を支援。被写体との等距離撮影をガイドすることで、被写体の全周囲を円滑に撮影できる。なお、撮影できるサイズには制限がある。

3. スタジオでの撮影・表現機能の強化|生成したアセットをバーチャルプロダクションなどで表示するレンダリングプラグイン「XYN Spatial Renderer Plugin」

バーチャルプロダクション制作現場における映像品質の向上と、クリエイターが意図した映像表現を実現するための操作性・機能性を強化する。Unreal Engineで3DCGアセット背景を再生する際に、スプラット編集・加工、ちらつき抑制などの独自の機能により、映像品質を向上させる。

グリーンバックやLEDウォールなどを用いた撮影では、従来から対応しているUnreal Engineや、Disguise RendererStream との連携に加え、2026年9月より、リアルタイムVFX・XR制作に対応するAximmetry バーチャルプロダクションプラットフォームとの連携が可能になった。

4. 料金プラン・決済方法の拡充

空間コンテンツ制作の用途に応じて選択できる各プランを提供。また、クレジットカードによるオンライン決済に対応することで、法人に加え、個人プロクリエイターや小規模な制作チームなど、より幅広いユーザー層が業務用途で本サービスを利用できるようになる。

各プランには、アプリケーションのライセンスと生成用のTokenが含まれる。Tokenは3DCGアセットの生成時に消費され、消費量は生成品質などの設定により異なり、不足分はプランに応じた価格で追加購入可能。購入したTokenは、XYNのその他のアプリケーションにも今後利用可能になる予定である。

クリエイターとの共創に向けた取り組み

XYNのソフトウェア開発における新たな取り組みとして、開発中の機能やアルゴリズムをXYNのプラットフォームの中でクリエイターが試用できる、「Labアプリ」を順次提供開始予定。クリエイターから得たフィードバックを機能の改善や今後の開発に継続的に生かし、提供するアプリケーションの品質向上を図っている。

撮影監督 石坂拓郎氏のコメント

石坂拓郎氏

映画『るろうに剣心』シリーズ、『さくらん』などの作品を手掛け、今回「空間キャプチャーソリューション」を活用してミュージックビデオ『Cowboy Matsuri feat.土屋アンナ』を撮影した。

今回、実在する渋谷の交差点をキャプチャし、短期間でLEDウォールに投影できるアセットに仕上がったことには驚きました。ロケハンで選んだ場所を切り取り、その空間ごとスタジオに持ち帰れるというのは、新鮮な体験でした。

ロサンゼルスで撮影した長編映画の中で、実際の嵐や自然現象の映像を使って擬似3D空間を構築し、その背景で撮影した経験があります。そのときから、CGで背景をつくり込むよりも、実写素材を丁寧に3D空間に貼り付けて撮影する方法のほうが、スピーディーに品質を高められる可能性を感じていました。その時は遠景だけだったので簡単でしたが、今回の技術では、近くにあるビルなどもきちんと3D空間に変換されていて、技術の進化を強く感じました。さらに、動画ではなくスチール写真だけで空間を構築できるため、高額なシネマカメラを持ち出す必要がないという利点も、大きな魅力でした。

つくり込んだCG背景とは異なり、光や質感が現実に由来しているため、ライティングの判断もロケ撮影と同じ感覚で進められました。また、カメラの動きに合わせて背景が自然に追従し、正しいパースが保たれることで、LEDの平面を感じさせない、しっかりとした奥行きのある画面づくりができました。今後は、このCG背景データにプロップやアニメーション付きのCGオブジェクトを組み込めるようになれば、表現の幅がさらに大きく広がると期待しています。

『Cowboy Matsuri feat.土屋アンナ』 ミュージックビデオ

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