スペースデータ(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:佐藤航陽)は、国際連合宇宙部(United Nations Office for Outer Space Affairs、以下国連宇宙部)と共同で、地球デジタルツイン構築事業を開始した。世界各国の災害管理および緊急対応、開発途上国の持続可能な開発への協力を目的としている。

国連宇宙部が運用する「災害管理サイクル」は、開発途上国を中心に数千の都市を支援している。そこにスペースデータの高精度デジタルツイン技術を実装することで、様々な自然災害への対策強化が可能となる。例えば、台風や洪水、土砂災害、豪雪、地震、津波、火山噴火など様々な自然災害に対し、その被害軽減、または防災訓練・教育の機会改善を図る。

背景と概要

スペースデータはデジタル技術と宇宙技術を融合し、バーチャル空間に現実そっくりの仮想世界(デジタルツイン)を自動生成するAI技術を開発している。

今回の取り組みは、スペースデータの地球デジタルツイン技術を用いて、国連宇宙部が取り組む災害対策支援や宇宙技術利用への貢献を目的としたものである。様々な都市における高精度デジタルツインを生成し、天災や気候変動など様々な要因に対するリスクをシミュレートすることで、その影響度を可視化し、世界の国や地域、国際機関の災害管理サイクルにおける早期警戒体制の構築へと促すことができる。

初回の取り組みとして、国連防災緊急対応衛星情報プラットフォーム(United Nations Platform for Space‒based Information for Disaster Management and Emergency Response: UN‒SPIDER)との連携を図っていく。UN-SPIDERは、災害管理および緊急対応のための国連宇宙情報プラットフォームとして、開発途上国の災害対策や早期警報、即時対応、復興を含む災害管理サイクルのすべての段階で、あらゆる種類の宇宙情報の利活用を支援している。

スペースデータは、9月からUN-SPIDERをはじめとする国連機関や各国宇宙機関と共に、2022年に海底火山噴火と津波災害が発生したトンガ王国をはじめ、複数の開発途上国都市の高精度デジタルツインを生成する共同事業に着手した。

  • 洪水災害時の影響シミュレーション(1.7m浸水時)
  • 洪水災害時の影響シミュレーション(4m浸水時)
  • 洪水災害時の影響シミュレーション(0.5m浸水時の港)
  • 洪水災害時の影響シミュレーション(2m浸水時の港)
  • 洪水災害時の影響シミュレーション(3.2m浸水時の市街地)
  • 洪水災害時の影響シミュレーション(4m浸水時の市街地)

また、9月22日から23日の2日間、米ニューヨークの国連本部で開催された国連未来サミット(Summit of the Future)にて、スペースデータの紹介と共に、スペースデータが開発するトンガ王国のデジタルツイン映像が紹介された。国連未来サミットは、2020年の国連創設75周年記念宣言を起源とし、国連が100周年を迎える2045年に向けて、世界が直面している重大な課題に対する協力強化と、SDGsの次のグローバル・アジェンダを議論する一大イベントとして開催されたもので、各国首脳、関係政府機関が出席。日本からは岸田文雄首相も出席し演説した。

国連未来サミットで発表されたスペースデータ社 トンガ王国デジタルツイン

その他、下記の国連宇宙部の取り組みとも連携、協業を予定。

・Early Warnings for Allイニシアティブ

国際連合は現在、COP27にて提唱した「すべての人に早期警報システムを」イニシアティブ(Early Warnings for All:EW4All)の達成のため、全世界における早期警戒システム構築の実現に向け、様々な機関との連携及び資金供与を動員している。5年間で31億ドルを投資して、災害リスクに関する知識と管理、観測と予測、警報の普及と伝達、準備と対応能力を強化することに重点が置かれ、とくに対象となる国は45か国の後発開発途上国(LDCs)とし、災害対応に必要となる基盤データやシナリオの整備を進めている。

・Access To Space For Allイニシアティブ

国連宇宙部では現在、「すべての人に宇宙へのアクセスを」イニシアティブ(Access To Space For All)を提唱している。国連関係機関や既存の宇宙関係者、新興宇宙関係機関、非宇宙関係機関の協力により、世界中の人々やコミュニティが、宇宙産業にアクセスできる個人の能力を構築するとともに、宇宙技術と関連するアプリケーションの活用を推進し、その恩恵を受けることを可能するための国際的な連携や取り組みを行なっている。超重力/微小重力、宇宙探査、衛星開発などのテーマを掲げ、調査や研究、設計、実装、検証、運用などに関わる共同研究や企画運営も行っている。また、2015年より国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)と連携し、国際宇宙ステーション(ISS)・「きぼう」日本実験棟からの超小型衛星放出の機会提供に関する長期フェローシッププログラムを実施している。

スペースデータについて

法人概要

社名:株式会社スペースデータ
代表:佐藤 航陽
所在地:東京都渋谷区道玄坂2-11-1 JMF渋谷ビル03 5階
資本金:15億1300万円
目的:宇宙開発に関わる投資と研究
HP spacedata.jp

スペースデータは「宇宙」と「デジタル」の融合を目指した研究開発を行うスタートアップである。人工衛星・宇宙ステーション・月面探査といった宇宙分野の技術と、AI・3DCG・デジタルツインといったデジタル分野の技術の融合を目指す研究を進めている。「新しい宇宙を作る」をビジョンに掲げて、革新技術の発明・特許化・実用化を行っている。

国際連合宇宙部について

国際連合宇宙部(United Nations Office for Outer Space Affairs、以下国連宇宙部)は、宇宙を専門とする唯一の国連機関として、宇宙利用を通した持続可能な開発を加速し、各国の優先課題に対処すべく、宇宙データおよび情報へのアクセス提供による各国の能力開発や、宇宙関連技術を利用した国連活動を調整している。

宇宙空間の平和利用に関する国際協力の推進を行う国連宇宙空間平和利用委員会(COPUOS)の事務局として新たな宇宙政策を策定するための国連加盟国間の国際協力を促進するほか、グローバル衛星航法システムに関する国際委員会(ICG)や宇宙空間活動に関する機関間会合の事務局も務めている。現在、世界102か国及び宇宙機関と連携しており、宇宙活動がもたらす恩恵を世界中の人々が受けられるよう、開発途上国への支援等も幅広く行っている。

国連宇宙部の主な活動
・宇宙の平和利用の推進
・国際ルールの策定
・開発途上国への技術支援
・教育と普及活動
・災害対策への活用
HP:www.unoosa.org

お問い合わせ

株式会社スペースデータ
spacedata.jp/contact