ピクシブが運営する創作物の総合マーケットプレイス「BOOTH」では、近年VRChatなどで利用される「3Dモデル」の取引が大きな盛り上がりを見せている。
本記事では2024年に公開したBOOTH 3Dモデルカテゴリ取引白書2024から1年を経て、さらに活性化するBOOTH 3Dモデルカテゴリについて、取引データや成長の背景を紹介する。
3Dモデルカテゴリの取引データ
取扱高は前年比約187%
2024年のBOOTH 3Dモデルカテゴリ取扱高は前年までのペースと比較しても大きく伸びた。
2023年の取扱高は約31億円だったが、2024年の取扱高は58億円超となり、前年比約187%の驚異的な成長ぶりである。
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取扱高成長のウラ側
2024年の急激な成長の背景として、以下が推測される。
・VRChatを取り上げた人気配信者の動画が話題になったこと
・VRChat内での出会いを広げるワールドが人気を博したこと
・アバターの衣装などの着せ替えを簡易化するツールや環境が普及したこと
大きな要因がひとつだけあったわけではなく、さまざまな出来事が影響しあったことで想像以上の化学反応が起こったと言えそうだ。中でも、人気配信者の動画をきっかけにVRChatを始めたユーザーは多かったと思われる。
注文件数は前年の約2倍
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注文件数も2024年は大きく増加し、前年の2倍以上となる402万件だった。
注文者数は前年の約1.5倍
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2024年の注文者数は21万人を超え、前年と比較して約1.5倍になった。
また注文者1人あたりの平均注文件数も、2024年は前年の135%となっており、注文者が増えているだけでなく一人ひとりの熱量も高まっていることが伺える。
注文者件数・注文者数成長のウラ側
以下は、BOOTH 3Dモデルカテゴリにおける2023年から2024年の月ごとの注文件数を表したグラフである。注文件数が2024年夏以降に急激に伸びている。
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成長の要因の1つとして「VRChatを取り上げた人気配信者の動画が話題になったこと」を前述したが、その動画が公開されたのが2024年の夏だった。その時期を境に大きく注文件数が伸びていることが見て取れる。
ただ、盛り上がりは瞬間的なものにとどまらなかった。以下は、BOOTH 3Dモデルカテゴリで初めて注文を行った初回注文者数を2023年から2024年の各月で表したグラフだ。月ごとの流入数と言ってもいい。
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2024年夏から初回注文者が大きく増えている。VRChatに関する動画を見て「自分もVRChatで遊んでみたい」と思った方がBOOTHで初めて3Dモデルを注文したと考えられる。
その後も初回注文者は減りつつも高い水準を保っている。一時的なブームにとどまらず、ある程度継続的に新規ユーザーが流入していると言えるだろう。
ライト層もヘビー層も盛り上がる
2023年と比べると、2024年はどの支出額帯でもユーザー数が大きく伸びている。ライトに楽しむ層に限らず、ヘビーユーザー層も含め幅広い層で盛り上がっていると言える。
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ヘビーユーザー層の増加については、「アバターの着せ替えをしたい」「新しいアバターも欲しい」「新しいアバターに合う衣装も欲しい」「フレンドの持っていた装飾品も気になる」といったサイクルが回っている結果だと思われる。
注文が伸びた3Dキャラクター(アバター)価格帯は5,000円〜6,999円
3Dモデルカテゴリのサブカテゴリである「3Dキャラクター」内の商品の価格帯と注文件数を表したのが以下のグラフだ。
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2024年はどの価格帯でも2023年に比べて注文件数が伸びたが、中でも目立つのが5,000円〜6,999円の価格帯の伸びである。だんだんと人気の商品の価格帯が固まりつつあると言えそうだ。
着せ替えニーズと3D衣装・3D装飾品カテゴリの盛り上がり
3D衣装・3D装飾品カテゴリも着せ替え需要を受けて大きく伸びている。着せ替え需要の一端には、周囲のユーザーの衣装や装飾品を見て「流行に乗りたい」「自分もいろんな服を着て見てもらいたい」とユーザー同士が影響しあう流れがあるようだ。衣装のトレンドとしては、日常で着ているようなデザインのリアルクローズ風商品の人気が目立つ。
着せ替え需要の高まりを受けて、着せ替えを簡易化するツールも増えている。ピクシブでも3Dキャラクター制作ソフト「VRoid Studio」において、VRChat想定アバターなどのフルスクラッチアバターに対応していない衣装も簡単に着せ替えられる機能を2024年11月にリリースした。作成したモデルを外部プラットフォーム利用可能なVRM形式で書き出すこともできる。
ギフト文化の定着と成長
次に、3Dモデルのギフト需要について紹介する。(これまでに紹介したすべてのデータはギフト機能を利用した取引を含んだものである)
BOOTHでは、ダウンロード商品をギフトとして購入しメールや各種SNSのメッセージ機能などを通じて贈ることができる「ギフト機能」を2022年12月にリリースしている。以下は2023年から2024年にかけての、3Dモデルカテゴリにおけるギフト機能を利用した注文件数とその割合を表したグラフである。
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ギフト注文件数は着実に増加しており、ギフト需要が高まる12月のギフト注文割合は10%を超えている。2024年12月25日に至ってはギフト注文の割合が30%を超えていた。
元々VRSNSはコミュニケーションを主な楽しみとされる方が多いが、そこに現実のようにギフトを贈りあうという文化がうまく定着したのだと思われる。
2024年の3Dモデルカテゴリ関連取り組み
2024年にピクシブが行った活動のうち、3Dモデルカテゴリの活性化に関連するものを紹介する。
BOOTHでは3Dモデルカテゴリの多様化と成長に伴い、カテゴリ構成の細分化を行った。また、BOOTH全体でさまざまな機能開発やキャンペーン実施に取り組んでいる。BOOTH以外でも、VRChat内に自分好みにカスタマイズできるプライベートな空間「BOOTH Room」を公開するなど、さまざまな3Dモデルカテゴリの盛り上がりに寄与する取り組みを行った。
BOOTH
・3Dモデルカテゴリの構成細分化
・商品ページに「商品公開日時」が表示されるように
・3D空間におけるBOOTHのロゴガイドラインを追加
・購入履歴を検索できるように
・売上情報を年別に表示するページを追加
・定期的なキャンペーン
・月刊BOOTH 3Dカテゴリの開始
BOOTH以外
・プリペイド式電子マネー「pixivcoban」の提供を開始
・X-NEOKET開催
・BOOTH Room公開
・VRoid Hub上でアニメーションを再生できる「撮影ブース」機能がリリース!さらにBOOTHに「VRMアニメーション(.vrma)」が出品可能に
・VRoid Studioでの着せ替え機能のオープンβ、正式リリース開始
・キモノデザイナー「JOTARO SAITO」× XWear VRChat向け3Dアバター着物「縞牡丹 -Shimabotan-」公開
・アバターダンス動画が簡単に作れるスマホアプリ「VEAT(ビート)」リリース
3Dモデルカテゴリのさらなる成長を目指して
ピクシブは、今後もBOOTH 3Dモデルカテゴリをさらに成長させ、3Dクリエイターに貢献できるよう、さらなるサービスの拡充を目指していく。その一環として、BOOTHでは今後以下のような機能追加を予定している。※あくまで検討段階であり、変更や中止となる場合がある
ライブラリの構造見直し
・無料ダウンロード商品の入手履歴を残すようにする
・ライブラリ内のアイテムの検索をできるようにする
・検索条件としてカテゴリでの絞り込みなどを追加
メッセージ機能の拡充
・画像送信を可能にする
・メッセージ送信画面にショップからの案内文言を掲示できるようにする
・重要なメッセージを見つけやすくする
お問い合わせ
ピクシブ株式会社
www.pixiv.co.jp