Autodeskは、同社のレンダラーArnoldの最新バージョン「7.4.5」をリリースした。今回のアップデートでは、スタイライズ表現を可能にする新シェーダーの追加と、ボリュームレンダリングのパフォーマンス向上が大きなトピックとなっている。フォトリアル表現に強みを持つArnoldだが、近年はNPR(非写実表現)やモーショングラフィックス分野への対応も強化しており、その流れをさらに推し進める内容だ。

Autodesk公式:Arnold 7.4.5 リリースノート

追加された新機能をチェック

Line Shaderを新搭載、NPR表現を強化

新たに追加された「Line Shader」は、ラインやパターンを描画できるシェーダーだ。ハッチングやストローク表現など、ドローイング風の質感を比較的シンプルなノード構成で実現できる。ノイズやテクスチャと組み合わせることで、抽象的なグラフィック表現やモーションデザイン用途にも活用可能だ。

フォトリアルにとどまらないビジュアル設計が求められる近年の映像制作において、Arnoldの表現領域を広げる機能追加といえる。

Arnold renderer公式YouTubeチャンネルより

Nearest Points Shaderでポイントベース表現に対応

「Nearest Points Shader」も新たに追加された。これはOpenVDBのポイントクラウドや、ポイント/カーブ/メッシュ頂点などに対してサンプリングを行い、最近接ポイントの平均距離や独自属性をシェーダー内で計算できる機能だ。

これにより、ポイント間距離を利用したパターン生成や、属性駆動型のシェーディングなどが容易になる。プロシージャル表現やモーショングラフィックス制作との相性も高い。

OpenVDBボリュームのレンダリングを高速化

パフォーマンス面では、ボリュームレンダリングの最適化が実施された。CPUレンダリングではOpenVDBのミップマップ対応によって効率が向上。さらにGPUレンダリングにおいてもボリューム処理のパフォーマンスが改善され、煙や雲といった複雑なボリューム表現のレンダリング時間短縮が期待できる。

大規模なVFXショットやシミュレーションベースの案件において、制作効率の向上に寄与するアップデートだ。

表現と効率の両面を拡張するアップデート

そのほかにも、OSL関数の追加やCryptomatte関連の改善、USDワークフローのアップデートなどが含まれている。主要DCC向けプラグインも最新版に対応しており、制作パイプライン全体での安定運用を支援する。

対応プラットフォームはWindowsおよびLinux(GPUレンダリングはNVIDIA GPUが必要)。Maya、3ds Max、Houdini、Cinema 4D、Katanaなど主要DCC向けの各toAプラグインもアップデート済み。

Arnold 7.4.5は、スタイライズ表現の強化とレンダリング効率向上の両面から進化したバージョンといえる。フォトリアルを軸にしながらも、より幅広いビジュアルニーズに対応する方向性が明確になったアップデートだ。NPRやプロシージャル表現に関心のあるアーティスト、ボリューム処理を多用するVFX制作現場にとって、注目すべきリリースといえるだろう。

Autodesk公式:Arnold 7.4.5 リリースノート

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