Epic Gamesは4月6日(水)、公式配信番組「State of Unreal」内にてUnreal Engine 5の正式リリースを発表した。
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UE5の主な新機能

Unreal Engine 5(以下、UE5)は2020年5月に開発が発表され、2021年5月には早期アクセス版、今年2月にはプレビュー版がリリース。早期アクセス版はCGWORLDでもレビューを実施した。

次世代ゲームエンジンのグラフィックス性能を体感! Unreal Engine 5 早期アクセス版レビュー(CGWORLD.jp)

様々な新機能がある中、特に期待が大きいのは「Nanite」と「Lumen」の2つだろう。

仮想化マイクロポリゴンジオメトリシステム「Nanite」

UE5 の仮想化マイクロポリゴン ジオメトリ システムである Nanite を使用すれば、膨大なジオメトリック ディテールを備えたゲームやエクスペリエンスを制作できるようになります。ZBrush のスカルプトからフォトグラメトリスキャンまで、映画品質の数百万ポリゴンのソースアートを直接インポートしましょう。そして、インポートしたアセットを数百万個設置しても、見た目の忠実度を損なわずにリアルタイムのフレームレートを維持します。

動的なGIソリューション「Lumen」

直接ライティングやジオメトリの変化に対してオンザフライで間接ライティングが適合するリアルなシーンの作成を可能にする、完全に動的なグローバル イルミネーション ソリューションです。たとえば、1 日の時間経過に合わせて太陽の角度を変化させたり、懐中電灯を点灯させたり、屋外のドアを開いたりする変化に対応できます。Lumen を使用すれば、ライトマップ UV の作成、ライトマップのベイクの待ち時間、反射キャプチャの配置は不要になります。Unreal Editor 内でライトを作成および編集するだけで、ゲームやエクスペリエンスがターゲット プラットフォームで実行されている場合にプレイヤーが見ることになるのと同等の最終的なライティングを確認することができます。

そのほか、オープンワールドの制作に向けたWorld Partitionシステムや機能強化されたコントロールリグ、Quixel Bridgeの完全統合など、そのアップデートは非常に多岐に渡る。詳しくはリリースノートを参照してほしい。

2種類のサンプルプロジェクトを配布

また、無料でダウンロードできるサンプルプロジェクトとして、「Cityサンプル」「Lyra Starter Game」の2つが用意されている。「Cityサンプル」は『The Matrix Awakens: An Unreal Engine 5 Experience』で使用された大規模な都市のシーンで、「Lyra Starter Game」はオンラインマルチプレイアクションゲームのサンプルだ。

なお、UE5はすでにEpic Gamesの『フォートナイト』の開発に活用されていることが以前から発表されていたが、同番組ではさらにCD PROJEKT REDの『ウィッチャー3』、Crystal Dynamicsの『トゥームレイダー』最新作の開発にも採用されていることが明らかにされた。

ゲームにもノンゲームにも大きな恩恵をもたらすと期待

最後に、Epic Gamesの開発チームに簡単なメールインタビューを行う機会を得たので、下記に紹介したい。

——UE5は『フォートナイト』ではすでに使用実績があるとのことですが、UE4での開発に比べてワークフローはどのように変わりましたか?

UE4のワークフローはUE5にも引き継がれているため、コンテンツを大きく変更することなく『フォートナイト』をスムーズに移植することができました。『フォートナイト』開発チームは Niagara VFXやChaos physicsなどの既存システムの改善、新しく合理化されたEditor UIの恩恵を受けており、今後は UE5 の追加機能を活用していく予定です。

——今後ゲーム開発以外のワークフローでの検証は予定されていますか?ゲーム開発以外のワークフローでは、UE5の新機能はどのような面で役立つと予想されていますか。

そうですね、『Aaron Sims Creative』のようにUE5のショートフィルムを作って公開している映像クリエイターはすでにいます。『THE EYE: CALANTHEK』はその一例です。UE4 のワークフローはすべて UE5 に引き継がれ、これには映画やテレビ、ライブイベント、建築、自動車、シミュレーション向けの主要機能も含まれています。

例としてNaniteは映画やテレビ、建築、自動車業界にとって画期的なものになるでしょう。映画やテレビ業界ではクリエイターは従来の制約を克服し、アートパイプラインを劇的に簡素化するとともに、映画品質のアセットを直接インポートして最終レンダリングの品質を向上させることができます。自動車や建築業界では、デザイナーはZBrushのスカルプトやフォトグラメトリからCADデータまで、数百万ポリゴンで構成されるモデルをリアルタイムのフレームレートを維持しながら、忠実度を顕著に損なうことなく使用できるようになります。

そしてLumenは、街並み、建物内部、自然風景など、間接照明が変化するようなダイナミックなシーンをより忠実に表現することが可能になります。

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