恋愛レストランゲーム
『ときめきレストラン☆☆☆』

発売:コナミデジタルエンタテインメント
配信中
対応機種:iPhone 4 以降(iOS 5 以上)/Android OS 2.3 以降の端末(一部機種を除く)
※予告なく仕様を変更する場合がございます。
価格:基本無料(※一部アイテムの追加購入には課金が発生します)
http://www.konami.jp/tokires
公式ツイッター:@tokires
©Konami Digital Entertainment

Live2D Cubism(以下、Live2D)は、ラスタ形式のキャラクター画像を複数のパーツに分割し、各パーツに平面ポリゴンを貼り付け、それらを 2D モデルとして構築し集合的に変形させて任意のモーションを作成する。従来の 3DCG 表現とは大きく異なるアプローチを採用することで、2D 原画の繊細な魅力を損なわず、キャラクターに多彩な動きをつけることを可能にした。『ときめきレストラン☆☆☆』のキャラクター制作で Live2D を導入した株式会社コナミデジタルエンタテインメントに、開発の舞台裏を伺った。

▼About Company

株式会社コナミデジタルエンタテインメント
コナミ株式会社の 100 %子会社で、同グループのデジタルエンタテインメント事業を担う。ソーシャルコンテンツ、オンラインゲーム、家庭用ゲームソフト、アミューズメント機器、カードゲーム、携帯端末向けコンテンツ、玩具、音楽・映像ソフト、書籍・雑誌等の企画、制作、製造及び販売を行なっている。

2D のイメージを大切にしつつ
動いて喋る楽しさを提供する

CGWORLD(以下、C):『ときめきメモリアルGirl's Side 』シリーズでは、前作の PSP ゲーム『ときめきメモリアル Girl's Side Premium ~3rd Story~』(2012)の開発で、初めて Live2D を導入なさったそうですね。

辻本厚至氏(以下、辻):はい。それ以前のシリーズのキャラクターは、全て 2D グラフィックで表現していました。女性ユーザーは男性以上に 3D モデルへの反応が弱く、イメージが壊れるからと敬遠される方もいます。これまで愛されてきた 2D の強みを活かしつつ、動きや感情表現といった新しい楽しさを提供したいという思いから Live2D を採用しました。

C:その結果ユーザーの反応が良かったので、今作でも引き続き Live2D を採用したと?

小西正人氏(以下、小):ええ。以前は目パチや口パク、絵の差し替えでキャラクターの個性や感情を表現していましたが、Live2D を導入したことで、全身を使った表現が可能になりました。今までは静止していたキャラクターが機敏に動き、反応することに感動してくれたユーザーが多かったですね。

:今作では最初に Web サイトでキャラクターの静止画を公開し、その後 Live2D で作成したインタビュー映像を追加しました。そうしたら、好意的な反応をしてくれるユーザーが急増したのです。動いて喋る姿を見ることで、キャラクターが実在しているように感じ、愛着をもってくれたのでしょうね。

Point1.デザイン画のパーツを平面ポリゴンに貼り付け、
モデルを構築する

デザイン画

上のデザイン画は、Live2D によるモデリングを意識して描かれている。このように正面向きのたった一枚の原画から、インタラクティブな 2D モデルを構築できるのも Live2D が持つ大きな特徴だ。下はモデリング時の画面で、1枚のデザイン画を複数のパーツに分割し、各パーツに平面ポリゴンを貼り付けてモデルを構築している。さらに別途描かれた表情の資料を参考にしながら、各パーツを動かして様々な表情をセットアップしたそうだ。
「Live2D 独自のモデリング方法に慣れることに加え、2D の絵心が求められる作業ですね」と國定氏は語る。

モデリング

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モデル制作から Unity への出力まで
開発元が全面的にバックアップ

C:今作のキャラクターモデルの制作は、サイバーノイズがバックアップしたそうですね。

國定みゆき氏(以下、國):Live2D のポテンシャルを最大限まで引き出すには、デザイン画の描き方やパーツの分割方法などのテクニックを修得する必要があります。モデル制作以外にも、プロジェクト全体を通して Live2D 開発元である当社スタッフが様々なサポートをさせていただきました。

C:開発元の全面的なバックアップがあるのは心強いですね。

:助かりましたね。当社のデザイナーが描いたキャラクターのデザイン画や喜怒哀楽の表情の資料をもとに、サイバーノイズの方々にモデルを制作していただきました。全6体のキャラクターがほぼ仕上がったところで、モーションを付け、動かしたときに不自然な見え方にならないか確認するというフローでした。

C:どのアングルから見ても良い感じのルックになるか確認し、最終調整をしたわけですね。

:そうです。斜め上を向いたときに頭頂部の髪の毛がペタッと圧縮されてしまうから、線を加えて盛り上げましょうとか、具体的な提案をいただけたのでありがたかったです。

:動いたときの見た目からちょっとした仕草まで、開発チームの女性デザイナーが厳しくチェックしてくれました。僕自身も男性アイドルの映像を見たり女性向け小説を読んだりして研究しましたが、女性開発者の感性には大いに助けられましたね。

C:イベント画面を Live2D で表現する一方で、プレイ画面は 3DCG を使っていますね。

:開発には Unity を使用しているのですが、Live2D の Unity 用 SDK を使いモデルデータを組み込んでおり、ここでもサイバーノイズの方々に助けていただきました。

C:Live2D の活用で、今作のキャラクターはより身近な存在になりましたね。

:今後、要望が高くなればもっとキャラクターを身近に感じていただけるイベント等もやってみたいですね。その際には、よりインタラクティブなコンテンツになるように挑戦したいです。

Point2.様々なスライダを調整し
アニメーションをつけていく

下はアニメーションの画面で、3DCG ソフトよりも映像編集ソフトに近いインターフェイスだ。顔を上下左右に向ける、口を開閉させるなど様々なスライダが設定されている。「リップシンクの精度が高く重宝しました。複数のキャラクター間で同じモーションデータを共有できる機能も便利でしたね。おかげで作業効率が上がりました」と小西氏は語る。

アニメーションづけ

Point3.Live2D のモデルデータを
SDK で Unity へ組み込む

本作のプレイ画面は Unity で開発されており、イベントが発生すると Live2D に切り替わる仕様だ。下は開発中の Unity の画面で、Live2D の Unity 用 SDK を使いモデルデータを組み込んでいる。Unity 以外にも、様々なプラットフォーム向けの SDK が用意されている。

Unity

TEXT_尾形美幸(EduCat)
PHOTO_弘田 充

Live2D

原画が動く。2Dによる立体表現
「Live2D」

Live2D は、3DCG のような彫刻的アプローチではなく、2D 原画を動かすことで擬似的な立体表現を実現している。クリエイターに新たな表現の可能性を提供する、新時代の表現・クリエイティブツールだ。


●お問い合わせ先
株式会社サイバーノイズ
制作事業部(担当:石川)
〒160-0004 東京都港新宿区四谷4-30-18 第2テイケイビル2F
TEL:03-6273-2430
E-MAIL:contact@cybernoids.jp
URL:http://www.live2d.com