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VR空間で"50cmの距離感"を追求する『オルタナティブガールズ』

『オルタナティブガールズ』サイバーエージェントが配信するAndroid・iOS対応ゲームアプリで、2016年7月にサービスを開始した。11月に100万ダウンロードを突破し、2017年2月にはPC版もリリースされた。本作のプレイヤーは『キャプテン』となり、『オルタナ』と呼ばれる少女たちと共に夜獣(ナイトビースト)に立ち向かう。キャラクター表現には3Dとモーションキャプチャが使われており、VRモード対応シナリオでは"50cmの距離感"で少女たちの可愛さを堪能できる。そんな本作の制作には、 Autodeskのハイエンド3DツールであるMayaとMotionBuilder が活用されている。以降では、本作を企画・開発・運営するQualiArts(サイバーエージェントグループ)の若手3Dアニメーター3名へのインタビューを通して、最新の3Dスマートフォンゲーム開発事情をお伝えする。

キャラ性に応じて、セットアップやモーションを細かく変更

▲『オルタナティブガールズ』PV第3弾

本作の開発スタートは2014年10月頃で、約10名の少人数チームによって試作版がつくられた。その時点で、『3Dとモーションキャプチャを駆使したリッチなグラフィックスで、女の子の可愛さを表現する』『VRによって、ユーザーと女の子の距離を限界まで縮める』という方向性は決まっていたという。「それまでの開発経験を踏まえ、さらに高度な3D表現を追求するため、徐々にスタッフを増員してきました」と、小沼千紘氏は語る。

  • 小沼千紘氏


    (3Dアニメーター)
    東京工芸大学芸術学部 ゲーム学科を卒業後、新卒としてサイバーエージェントへ入社。在学中からMayaをはじめとする3Dツールを使ってきたため、『オルタナティブガールズ』3Dチームへの配属を希望。モーションリーダーとして『オルタナティブガールズ』のモーションキャプチャのディレクションを担当し、現在に至る。

  • 小林千夏氏


    (3Dアニメーター)
    サーバサイドエンジニアとしてサイバーエージェントへ入社。3Dアニメーションに興味をもち、仕事をしながら3DCGスクールのAlchemyで約1年間学ぶ。キャリアチャレンジ(現部門での勤続年数が1年以上経過した社員が、希望する他部門またはグループ会社への異動にチャレンジできる社内異動公募制度)に応募し、『オルタナティブガールズ』3Dチームへの異動を希望。2015年10月から同チームでモーションを担当し、現在にいたる。

  • 高石 梨香子氏


    (3Dアニメーター)
    Webディベロッパーとしてサイバーエージェントへ新卒入社。社内でUnityの研修を受けた後、UnityエンジニアとしてAndroid・iOS対応ゲームアプリ『ウチの姫さまがいちばんカワイイ』の開発に携わる。同作がきっかけで3Dアニメーションに興味をもち、その後『オルタナティブガールズ』3Dチームへの異動を希望。また3Dアニメーションの基礎を習得するため、オンラインスクールのAnitoon Academiaで学ぶ。2015年12月から同チームでモーションを担当し、現在にいたる。

『オルタナ』の少女は、リリース当初、第1チーム『フリージアドッグ』と第2チーム『アイリスキャット』からなる2チームに編成されていた。これらのキャラクターのうち、最初に3D化されたのが悠木 美弥花(ゆうき みやか)だった。「美弥花は本作の『顔』となるキャラクターだったので、まずは彼女の3Dモデルを制作し、ルックやモーションの方向性、テクスチャやセットアップの仕様などを検討しました」(小林氏)。

2Dのデザイン画から3Dモデルを制作した後、3Dディレクターの海老沼 宏之氏、アートディレクターの庄司拓弥氏、3Dモデルリーダーの八田勧生氏などが中心となって、何度も調整が繰り返されたという。美弥花の3Dモデル完成後は、『フリージアドッグ』の他5名が制作され、さらに『アイリスキャット』の6名が制作された。「美弥花のデータを指針にしつつ、それぞれのキャラ性に応じて、セットアップやモーションを細かく変更しています」(高石氏)。


▲第1チーム『フリージアドッグ』6名の2D画。左から悠木 美弥花(ゆうき みやか)、有村 詩音(ありむら しおん)、真野 桜子(まの さくらこ)、橘 直美(たちばな なおみ)、織宮 結衣(おりみや ゆい)、天堂真知(てんどう まち)。各々にちがうキャラ性が設定されており、それらがセットアップやモーションにも反映されている

▲第2チーム『アイリスキャット』6名の2D画。左から朝比奈 乃々(あさひな のの)、水島 愛梨(みずしま あいり)、広瀬 こはる(ひろせ こはる)、柊 つむぎ(ひいらぎ つむぎ)、西園寺 玲(さいおんじ れい)、シルビア=リヒター。こちらの6名にも、『フリージアドッグ』の6名とはちがうキャラ性が設定されている

▲美弥花(3Dモデル)を表示中のMayaの作業画面。頭部は四角ポリゴン、頭部以外は三角ポリゴンでつくられており、キャラクター1体当たりのポリゴン数の上限は18,000ポリゴンとなっている。VRモードやストーリーパートではこのモデルを使い、バトルパートではポリゴン数を半分以下に削ったローポリゴンモデルを使う

▲【左】美弥花のテクスチャ。左上から時計まわりに、肌と衣装(1,024×1,024pixel)、瞳(256×256pixel/アルファチャンネルあり)、瞳のハイライト(256×256pixel/加算合成用)、顔(1,024×1,024pixel)、顔パーツ1(512×512pixel/アルファチャンネルあり)、衣装パーツ(256×256pixel/アルファチャンネルあり)、衣装(1,024×1,024pixel)、髪(1,024×1,024pixel)、顔パーツ2(512×512pixel/アルファチャンネルあり)。素材の似ているパーツごとにテクスチャを分けており、ユーザーの視線が集中する顔には、特に高解像度のテクスチャを使っている/【右】テクスチャを割り当てた美弥花の3Dモデル

▲美弥花のボーン。1体当たりのボーンの平均数は62本で、100本を上限としている。髪が長いキャラクターや、衣装のゆれものが多いキャラクターほどボーンが多くなる。本作ではキャラクターが様々な衣装に着替えるため、衣装に応じたセットアップの調整も必要となる。例えば2017年のお正月には振り袖の衣装を追加したため、振り袖用ボーンの設定や、めり込み調整が必要になったという。なお、髪やゆれものの制御にはUnityの物理シミュレーションを使用している。「12人の身長やスタイルはバラバラなので、ゆれや変形具合の調整も個別に行なっています。1人として同じセットアップのキャラクターはいません」(小沼氏)

Profileプロフィール

QualiArts(サイバーエージェントグループ)

QualiArts(サイバーエージェントグループ)

前列左から、高石 梨香子氏、小沼千紘氏、小林千夏氏(以上、3Dアニメーター)。後列左から、緒方貴之氏(エフェクトデザイナー)、八田勧生氏(3Dデザイナー)、海老沼 宏之氏(3Dディレクター)、庄司拓弥氏(アートディレクター)

株式会社QualiArts

株式会社QualiArts

https://qualiarts.jp/

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