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アイドルマスター』、『鉄拳』、『太鼓の達人』シリーズなど、多様なゲームの企画・開発・運営を事業の柱とするバンダイナムコスタジオ(以降、BNS)。約1,000人の従業員が所属するBNSには多彩なプロフェッショナルが集っている。現在新戦力を募集中のエンジニアの場合、アニメーションR&Dチーム、社内ライブラリチーム、ワークフロー/ツールエンジニアチームなどからなる層の厚い組織が編成されており、基礎研究からゲーム開発プロジェクトでの実装までを網羅している。本記事では各チームに所属する3氏へのインタビューを通して、BNSのゲーム開発を支えるエンジニアの仕事をお伝えする。

技術力を蓄積しなければ、一足飛びには越えられない壁ができてしまう

CGWORLD(以降、C):まずはアニメーションR&Dチームの役割を教えていただけますか?

安藤 久美子氏(以降、安藤):私たちのチームは、先端技術の調査をもとに、数年先まで開発力を担保できるロードマップを制作し、それに沿った開発を行なっています。クロスシミュレーションやスキニングなど、現在はキャラクターに関わるアニメーションを扱うことが多いので、アニメーションR&Dチームと呼ばれています。








  • 安藤久美子氏

    BNSのモーションキャプチャエンジニアとして、フェイシャルキャプチャのリサーチなどを担当した後、アニメーションR&Dに携わっている。

CSIGGRAPHをはじめとする学会との関わりが深そうなチームですね。

安藤:チームメンバーの中にはSIGGRAPHの採択論文の第一著者(first author)もいますし、SIGGRAPH前後はチーム全体が活気づきます。ここ数年、SIGGRAPHなどで発表された基礎研究が、実際のゲーム開発で実装され、GDCなどで報告されるまでの期間がどんどん短くなってきました。当社のR&Dも、基礎研究から実装までのサイクルを着実に回し、ゲーム開発プロジェクトと一緒に成長していくことが重要だと考えています。そうやって技術力を蓄積しなければ、一足飛びには越えられない壁ができてしまいます。例えば当社のクロスシミュレーション編集ツールは、アニメーションR&Dチームの基礎研究に端を発し、ソフトウェアやワークフローのエンジニア、アーティストたちの協力を得て完成しました。実際にツールを使用するアーティストの要望を取り入れ、リリース後も様々な新機能を追加しています。またCEDEC2017では、チームメンバーの野村克裕が「モーションマッチングのつくりかた」と題したセッションを実施し、研究成果の一部をご紹介します。

C:R(Research)とD(Development)の両輪が、しっかり回っているのは素晴らしいですね。

安藤:そこで今後は、ゲーム開発プロジェクトと連携し、アニメーションR&Dによる研究成果を社内ライブラリやツール開発へつなげる、R&Dソフトウェアエンジニアや、R&Dツールエンジニアを強化していきたいと考えています。

  • 写真提供:バンダイナムコスタジオ



  • ジュリアン・マーセロン(Julien Merceron)氏

    2015年12月にワールドワイド・テクノロジー・ディレクター(Worldwide Technology Director)として合流。R&Dの強化に携わっている。

▲【左】約半年間の基礎研究、約1年間のライブラリへの実装作業、約4ヶ月間のツール開発を経てリリースされた、クロスシミュレーション編集ツール。Maya上で動作し、設定から中間ファイルのエクスポートまでを一環して行える。煩雑な設定を自動的に行う機能や、個々の頂点のパラメーターを微調整する機能などが備わっている/【右】ゲームエンジン上でリアルタイムに動作するクロスシミュレーションの様子 TEKKEN™7 & ©2017 BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

市販のゲームエンジンを使う一方で、基礎技術の開発にも真摯に取り組む

山本佑平氏(以降、山本):社内ライブラリチームでは、主に家庭用ゲームソフト向けの社内ライブラリと、パイプラインの開発・保守・運用を行なっています。当社の社内ライブラリ開発は、社内の様々なゲーム開発プロジェクトと密にやり取りを行うため「最も多くのゲーム開発に関われるチーム」とも言えます。時には開発中のゲームのコードを実行・修正することもあり、「ゲームをつくっている」という手応えがちゃんと得られます。








  • 山本佑平氏

    テイルズ オブ』シリーズの開発に携わった後、社内ライブラリチームに所属。10年以上にわたり、ライブラリ開発に従事している。

C:アニメーションR&Dチームの研究成果を、社内ライブラリとして実装できるレベルまで洗練させる役割を担っているという理解でいいでしょうか。

山本:アニメーションR&Dチームが、社内ライブラリやツール開発まで担う場合もあれば、われわれが担う場合もありますね。厳密な線引きはなく、チーム同士が協力して、より良い開発環境を探求しています。社内ライブラリやツール、パイプラインは「リリースすれば終わり」というわけではなく、複数のゲーム開発プロジェクトを横断して、広く長く使われます。リリース後の保守や運用も含めて、長期的に関わり、改良していける点にも魅力を感じています。

C:最近はUnityやUnreal Engineをはじめ、市販のゲームエンジンの存在感が増しています。BNSの場合は、そういった外部のツールよりも、インハウスツールを使う頻度が高いのでしょうか。

山本:当社でも市販のゲームエンジンを使いますが、自ら基礎技術を開発することにも真摯に取り組んでいます。「低レベルAPIをバリバリ使って、実機の性能を最大限に引き出す社内ライブラリを開発したい」あるいは「アーティストやプログラマの作業を最大限まで効率化するツールを生み出し、ゲーム開発をブーストさせたい」という人は、やりがいを感じる職場だと思います。

▲家庭用ゲームソフトを主軸とする、マルチプラットフォームに対応した社内ライブラリを開発・運用している。各種プラットフォームに最適化された実機データがつくられるようになっているため、アーティストやプログラマはゲーム開発に集中できる ©2017 BANDAI NAMCO Studios Inc.

▲前述の社内ライブラリは柔軟なカスタマイズが可能なため、【左】のようなPBRにも、【右】のようなノンフォトリアルな2DCG主体のゲーム開発にも使用できる ©2017 BANDAI NAMCO Studios Inc. ©2017 BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

開発上のあらゆる課題を解決し、制作環境を最適化する

沼上広志氏(以降、沼上):ワークフロー/ツールエンジニアチームは、「テック」という通称で呼ばれています。ゲーム開発プロジェクトに合わせたツールの開発やカスタマイズ、パイプライン構築を担っていますが、それらは手段であり、目的ではありません。アーティストとプログラマの橋渡し役となって、開発上のあらゆる課題を解決し、制作環境を最適化することが目的です。








  • 沼上広志氏

    ワークフロー/ツールエンジニアチーム(通称テック)に所属。20年以上にわたり、『鉄拳』シリーズなどのツール開発、パイプライン構築に携る。プロジェクトをまたいだ開発環境の向上にも取り組んでいる。

C:いわゆるテクニカル・アーティスト(TA)ということでしょうか?

沼上:エンジニアとしてのベーススキルをもちつつも、アーティストのワークフローに精通している専門集団と言ったらいいでしょうか。アーティストとプログラマの話を聞き、ゲーム開発プロジェクトの事情に合わせた、最適なツールとパイプラインを用意します。当社の社内ライブラリやツール、パイプラインはプロジェクトを横断して使われており、ベースは共通化されていますが、プロジェクトごとのカスタマイズもされています。各プロジェクトが個別に全くちがうことをやると効率が悪いので、どこまで共通のものを使い、どこまでカスタマイズするか、見極めることが大切です。

C:ツールの開発やカスタマイズでは、どのような言語を使いますか?

沼上:C++、Python、C#、JavaScriptなどですね。ただしツール開発は武器のひとつでしかなく、状況によってはDCCツールの既存機能の組み合わせを提案することもあります。ときには「この場合は手作業で解決した方が良い」と提案をすることだってあります。

C:DCCツール、CG、データベース、ハードウェア、ネットワークなどの多岐にわたる知識と、柔軟な判断力が求められる仕事ですね。

沼上:アーティストとプログラマで意見が分かれる場合もあるので、客観的な判断をして、プロジェクトを最適な方向へと導くことが求められます。他のスタッフよりもコミュニケーション能力が必要とされる役割だと思います。依頼されたことに対処するだけでなく、より良い制作環境を積極的に調べ、考え、提案していくことも大切です。

▲【左】assetHubと呼ばれるデータ管理ツールのUI。MayaやPhotoshopなど、各種DCCツールと連携して動作する。社内にある膨大なデータを、中間ファイルや実機データも含め、一元管理できる/【右】サムネイルなどを活用し、アーティストが直感的にアクセスできるUIとなっている ©窪岡俊之 ©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

▲【左】ファイルのコミット時に使用するUI。バージョン管理ツールのフロントエンドとして動作し、各種付加情報をコミット時に設定できる/【右】複雑なファイルの依存関係を、グラフィカルなUIによって確認できる機能も搭載されている ©窪岡俊之 ©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

われわれの「ユーザー」は社内におり、すぐに効果を確認できる

C:3チームの仕事内容は、微妙にオーバーラップしていますね。

沼上:そうです。チーム間の連携、メンバーの異動は日常的にありますし、プロジェクトの内容や状況に応じて担当範囲は変化します。応募に際し、「自分に合うポジションがわからない」という場合はこちらから提案しますし、入社後に異動していただいても構いません。

C:ひとくちにエンジニアと言っても様々な役割があり、それぞれの専門性を深掘りできる余裕があるのは、約1,000人という会社規模ならではのメリットですね。

山本:われわれが開発した社内ライブラリやツールの「ユーザー」は社内のアーティストやプログラマなので、すぐに効果を確認でき、喜んでくれる姿を目の当たりにできることは嬉しいですね。フィードバックもダイレクトに得られるので、ニーズに合わせた開発が可能です。

沼上:山本のような人が社内にいてくれると、ゲーム開発で何か問題が起こってもすぐ相談できるので、「ユーザー」としても非常に心強いです。

安藤:多様な開発規模、多様なジャンルのプロジェクトが、常時大量に進行していることも、当社ならではの面白さだと思います。非常に幅広い知識や経験が得られます。

山本:社内ライブラリチームでは、テストやビルドといった直接的な開発以外の仕事も行なっています。残念なことに、このような分野において、ゲーム業界は遅れていると言わざるを得ない状況にあり、やるべきことは数多くあります。1から環境をつくり上げてみたい、自分がゲーム業界のテスト環境・ビルド環境を変えていくんだという心意気のある方は、ぜひご応募ください。

安藤:アニメーションR&Dチームでは、研究成果をプロジェクトへつなげる、R&Dツールエンジニア、R&Dソフトウェアエンジニアを募集しています。加えて、基礎技術をゲームに組み込むモーションプログラマも募集中です。CG映像をはじめとする他業界からの転職や、若い開発者の応募も歓迎します。

沼上:われわれテックは、常にプロジェクト全体を俯瞰し、課題解決のための推進力になれるポジションです。ゲーム開発の醍醐味を丸ごと味わいたいという方には、非常にお勧めの仕事です。3チーム共々、この記事を通して新たな出会いが生まれることを心から期待しています。






TEXT_尾形美幸(CGWORLD)
PHOTO_弘田 充

求人情報

■求人職種
現在バンダイナムコスタジオでは下記職種を募集中です。

【正社員】
[1] R&Dツールエンジニア
[2] R&Dソフトウェアエンジニア
[3] ワークフロー/ツールエンジニア
[4] データマイニングアナリスト/データ分析官
[5] グラフィックスエンジニア
[6] モーションプログラマ
[7] AIリサーチャー
[8] UIエンジニア
[9] ゲームプログラマ
[10] サーバーエンジニア(スマートフォン)
[11] システムエンジニア
[12] ビジュアルアーティスト
[13] サウンドクリエイター(効果音)
※6ヶ月間の試用期間あり

【契約社員】
[14] プランナー/ゲームデザイナー
[15] ゲームプログラマ
[16] 3Dアニメーター

■仕事内容
弊社は家庭用ゲームソフト、業務用ゲーム機、モバイルコンテンツ、PCコンテンツと幅広いエンターテインメントコンテンツを取り扱っており、クリエイターとしてR&D部門またはゲーム開発に携わっていただきます。

また、契約社員の募集につきましては、新たに始動する家庭用ゲームプロジェクトにて開発を行っていただきます。

■応募資格
[1] R&Dソフトウェアエンジニア
 ●C++での実務経験
 ●Unreal Engine4、Unityなどのゲームエンジンの実務での開発経験
 ●技術トレンドへの興味が旺盛な方
 ●数学や物理の大卒相当程度の知識
 ●コミュニケーション能力の高い方

[2]R&Dツールエンジニア
 ●C++、Pythonでの実務経験
 ●MayaなどのDCC用ツール開発の十分な実務経験
 ●技術トレンドへの興味が旺盛な方
 ●ゲームが好きな方
 ●コミュニケーション能力の高い方

[3]ワークフロー/ツールエンジニア
 ●C++またはPythonでの実務経験
 ●以下のいずれかの十分な実務経験
  ・DCCツール用プラグイン開発
  ・アセットパイプライン環境構築
  ・グラフィックス
  ・ゲームエンジン
  ・フレームワーク

*その他の職種の応募資格につきましては、下記採用ページの募集職種一覧よりご確認ください。

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