用途に応じ必要なスペックを見極め、コストパフォーマンスの高いPCを打ち出すパソコン工房の「iiyama SENSE∞(イイヤマ センスインフィニティ)」。3DCGをはじめて学ぶ学生から、第一線で活躍するプロまで、多岐にわたる層に愛用されているブランドだ。このたび発売されたMayaアニメーター向けPCの性能について、StudioGOONEYSの斎藤瑞季氏に検証してもらった。

▲斎藤氏にはMayaアニメーターPCの実用性を検証してもらうため、 StudioGOONEYSオリジナルキャラ「グーニーズマン」を用いたFPS比較テストを行ってもらった。各検証結果についてはページ最下部を参照してもらいたい。


▲パソコン工房 CG・映像制作者向けブランド「CG・MOVIE GARAGE」販売サイト。本企画でStudioGOONEYSが監修したMayaアニメーター向けPCが紹介されている。各ラインナップともに、目的に合わせて余分な構成は省き高いコストパフォーマンスを実現している。今後さらなるラインナップが登場予定だ >>>製品紹介ページはこちら

良質なパーツ選びがパフォーマンスに直結!
Mayaアニメーター・ゼネラリストがこだわるべきポイントとは?

パソコン工房スタッフ:斎藤さんご自身、かなりの自作PC好きだと伺いました。

斎藤氏:レンダーファームも含めて社内には約150台のPCがあり、全て自分が自作しています。メーカー製PCに比べて、コストパフォーマンスが高いですし、余計なソフト付いていませんからね。

パソコン工房スタッフ:そんな斎藤さんから見て、当社BTOマシンはどのように映りますか?

斎藤氏:良質なパーツが使われていて、プロが責任をもって組み立ててくれている印象ですね。自作パーツにはノンブランド品も多いのですが、検証用PCをチェックしていて、パーツの品質が良いことに驚きました。またCPUグリスひとつとっても、様々な塗り方があり、初心者は混乱しがちです。これらをお任せできる点がありがたいです。

パソコン工房スタッフ:その時々で最善のパーツを用いながら、国内でプロが1台ずつ生産しています。また、CPUグリスやクーラーも、オーダー時にブラウザ上で選択していただけます。

斎藤氏:3機種の中では、「スタンダードモデルB」が最もバランスがとれているように思いました。アニメーション作業だけなら、「スタンダードモデルA」でも十分だと思います。「アドバンスモデル」はゼネラリストやルックデベロップメント作業者向けに余裕のある性能になっていますね。

パソコン工房スタッフ:できるだけ価格を抑えるために、光学ドライブやHDDを省略してみました。この点はいかがでしょうか?

斎藤氏:ほとんどのデータはサーバ上にアップロードされているので、会社で使用するだけなら問題ないですね。ただ、クライアントから資料がDVD-Rで送られてくることもあるので、フリーランスなら必要かもしれません。HDDについても、必要なら増設すればいいだけの話です。それよりも体感速度を考えれば、SSDの方が必須です。

パソコン工房スタッフ:HDDを増設されるなら、ホットスワップ対応のリムーバブルケースがお勧めです。こちらもメニューからご選択いただけます。

斎藤氏:たしかにリムーバブルケースは便利ですね。自分は面倒くさがって、つい外付けのHDDクレドールを使ってしまうんです。この前も「これにコピーしておいて」と3.5インチHDDを手渡したら、スタッフが目を丸くしていました。

パソコン工房スタッフ:自作愛にあふれるエピソードですね。

斎藤氏:3DCGアーティストにとってPCは仕事の道具ですからね。道具に投資するのは当たり前のことです。その点、今回のPCはいずれも長く使えそうだと感じました。

Point1 StudioGOONEYS監修 Mayaアニメーター向けPC 作業内容によってどう使い分ける?

アニメーターはローカルPCでレンダリングするわけではないので、リギングやモーションなどの作業をするだけなら、それほど高いスペックのPCが必要というわけではありません。そのためこの3機種であれば、「スタンダードA」で十分だと思います。もっとも、その先の工程が加わるのであれば、よりハイエンドなPCが必要になってきます。納品前にハイエンドモデルに組み込んで動きをチェックするなどですね。その場合は「スタンダードB」が必要になるでしょう。実際に弊社でPCを導入する場合でも、CPUクーラーや電源など細部は異なるものの、総じてこれと同程度のパーツを採用しています。

これらに対して「アドバンスモデル」はコンポジターやルックデベロップメントなどの職種向けだと言えます。特にルックデヴではローカルPCで何度もレンダリングを重ねながら質感を決めていくので、最大128GBまでメモリが拡張できる点が魅力的ですね。ゼネラリスト向けのパーツ構成だと感じました。CPUについてもクロック周波数が「スタンダードB」より低い反面、コア数が多い点が特徴です。そのためDCCツールやプラグインのマルチスレッド対応が進むにつれて、ますます本領を発揮していくと思います。それぞれ用途を考慮した使い分けが求められそうです。(斎藤氏)

Point2 各モデルのパフォーマンスを徹底検証!

今回の検証では3機種それぞれについて、3種類のグラフィックボードを用意し、合計7種類のベンチマークを比較した。計測ではCINEBENCHに加えて、ディティールの異なる2種類のキャラクターモデルをMayaで読み込み、作業画面でアニメーションをさせたうえで、再生フレームレート数を比較。最後にV-Rayによるレンダリング時間も比較している。また、Maya上での比較では旧式の規定ビューポートとビューポート2.0の2種類を用意し、それぞれでも計測を行なっている。その結果、「①CINEBENCHではアドバンスモデルのスコアが他を上回る」、「②再生フレームレート比較ではスタンダードモデルBが他を上回る」、「③レンダリング時間ではアドバンスモデルが最速。次いでスタンダードB、最後にスタンダードA」という結果が得られた。

斎藤氏は以上の結果から、スタンダードBが総合的なバランスの良さが光る一方、普通に室内で使う分には問題ないが、レンダリング処理などを長時間行う場合などCPUに負荷をかけ続けるなら、大型のCPUクーラーや水冷クーラーにオプション選択で変更するとより安心できるとのことだ。最大128GBのメモリを搭載できるアドバンスモデルは、拡張性に優れたマシンと評価した。特にCore i7-7800Xプロセッサーの6コア12スレッドという特性について、「MayaのParallelモードが強化されていけば、より改善が見込まれる」と分析した。

各機を用いたキャラクターアニメーションFPS比較検証動画
※Maya ビューポート 2.0にてグーニーズマンのLowモデルを使用

スタンダードモデルA × GTX 1050

スタンダードモデルA × GTX 1060Ti

スタンダードモデルA × GTX 1080Ti

スタンダードモデルB × GTX 1060Ti

スタンダードモデルB × GTX 1080Ti

スタンダードモデルB × Quadro P4000

アドバンスモデル × GTX 1080Ti



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TEXT_ 小野憲史
PHOTO_弘田充