アニメ作品を中心に、多くのビックタイトルでCG制作を手がけてきたオレンジが今期、自信をもって送り出す作品が絶賛放送中のTVアニメ『ナイツ&マジック』だ。異世界に転生した凄腕プログラマーが、その才能を活かして理想の巨大ロボットをつくり上げていく物語で、当然作中には多種多様なロボットが登場し、CGで描かれた写実的なロボットが作画アニメの中で違和感なく動く。そうしたリアルでありながらアニメ的な表現は、放送直後から大きな反響を呼んだ。

※本記事は月刊「CGWORLD + digital video」vol. 229(2017年9月号)からの転載となります

TEXT_野澤 慧
PHOTO_弘田 充

「本作は監督、メカデザイナー、CGディレクター、モデラー、アニメーターなど経験値の高いスタッフが集結しています」と語るのは制作を務めた藤田進夢氏。オレンジ内でもメカアクションを得意とするスタッフが集結しているという。

プリプロが動き出したのは昨年7月中旬。アールカンバーとグゥエール、カルダトアの3機のモデリングが先行して動き出した。制作当初から参加し、モデリングチームのリーダーを務めたのがCGアーティストの長川 準氏である。長川氏を中心にモデリングとルックデヴ、そしてセットアップがほぼ同時並行で進められた。「モデルチェックを受けつつ、質感テストを進めることでチェック待ち時間のロスを削減しました」(長川氏)。本来、モデリングとルックデヴの同時進行はリスクがある上にコストもかかるが、長川氏の統率によって上手くラインに乗せられている。空き時間を見つけ効率的に工程を進めることが、TVシリーズでのクオリティ維持につながるようだ。

本作のCGカットは1話あたり約150カットあり、多いときは200カットにおよぶことも。その内重要な60~80カットをオレンジが担当している。CGチーフとしてカット作業の中心となり進めたのが吉本一貴氏だ。オレンジの代表であり本作のCGディレクターでもある井野元英二氏と共にアニメーターチームを牽引し、細部にまでこだわった迫力の映像を生み出している。

試行錯誤を重ね、スタジオとしての財産を多く残せたという本作の制作の実態をみていこう。

<POINT:1>原作のデザインを踏襲した アニメーションで見映えのする3Dモデル

主人公 エルネスティ・エチェバルリアが理想のロボットを開発していく過程を描く本作では、マイナーチェンジを含め約25体の3Dモデルが作成された。これはシリーズものではない単体の1クール作品としては非常に多いモデル数と言える。しかもその全てを長川氏ひとりで監修しているというから驚きだ。ロボット愛の深い長川氏たっての強い希望によるものだそうだが、結果的に複数人で監修するよりも統一感があり、作業もスムーズに進んだという。

本作はWeb小説、文庫本、コミカライズが展開されており、それぞれデザインが異なる。そこでアニメ版では、Web小説のイラストを手がけた黒銀氏にリデザインを依頼した。通常、原作のある作品は、設定画に100%合わせてモデリングすることがセオリーであり、本作もプリプロで先行していた3機は設定画に100%合わせている。しかし山本裕介監督をはじめ、メカに強いスタッフが集まっていることから、チェックバック後から設定画60%合わせを目安に、各スタッフの要望を採り入れることにしたという。肩幅や骨盤のバランスを変更して人のシルエットに近づけ、パイロットとなるキャラクターやロボットの特性を汲みとり、説得力が増すように脚色していくのだ。また2Dであれば、カットごとに見映えがするパーツバランスで描けるが、CGはそうはいかない。例えば、一見立ちポーズでバランスがとれているように見えても、剣を構えたポーズでは二の腕や太ももが短く見えてしまうことも起こりうる。そうした部分も考慮しつつ、ポージングさせたときに破綻なく魅力的で、そしてアニメーターが動かしやすい3Dモデルに仕上げられた。これも長川氏の一括管理によるメリットと言えよう。「上手いモデラーは動きやセットアップをよく理解しています。実際に動かすアニメーターとコミュニケーションをとることが、上手さの秘訣ではないでしょうか」(藤田氏)。こうして動きも意識した結果、イカルガは設定画からWeb小説の鎧武者を意識した人間に近いシャープなデザインになったという。最終モデルはまさに"鬼神"にふさわしい姿である。

本作で十分手腕を発揮した長川氏だが「今回要求されたフォトリアルな3Dモデルと、これまでやってきたセル調の3Dモデルとはつくり方の文化がちがうと痛感しました。次の課題ですね」と反省を口にした。こうした姿勢がハイクオリティな映像を生み出し続けるオレンジの底力なのだろう。

基となった設定画

▲黒銀氏によるアールカンバーのアニメ用の設定画<A>とラフモデルのデータを基に、プロポーションバランスや可動パーツのクリアランス等を調整し、動かしたときに"カッコ良く"映ることを意識して造形していく。さらにメカニックデザインの天神英貴氏が作成したデカールや質感のボード<B>を参考に、3Dモデルへ落とし込む

アールカンバーの3Dモデル

▲モデリングにあたっては、開発当初から様々な質感を乗せたときにハリボテに見えないように、極力ハイポリゴンで造形された。シルエットナイトのデザインは局面が多く、シェーディング等を意識してモデリングされている。<A>黒銀氏によるラフモデルのデータ/<B>本番3Dモデル/<C>同、レンダリングモデル

質感のサンプル

▲質感のサンプル。<A><B>の段階では、まだ天神氏の監修は入っていない。世界観にマッチした質感を追求するため、いくつもサンプルを作成して監督チェックをくり返し、少しずつ詰めていった。その後、本番の色指定を参考に、傷と汚れの色味を調整し、天神氏から上がってきたデカール&質感ボードの要素を拾いつつ、最終的に<C><D>のようなアニメのCGとして見映えの良い3Dモデルに仕上げられた。重みや年月まで感じさせるようなリアルさがある

マイナーチェンジのバリエーション

▲<A>左からカルダトア、グウェール、アールカンバーの3Dモデル/<B>ばらした腕のパーツ

▲<C>トランドオーケスのパーツ替え参考。シルエットナイトのデザインは、アールカンバー(サロドレア)、グゥエール、カルダトアと派生していく。バリエーション機(カスタマイズされた機体)は、腕や脚など共通して使いまわせそうなパーツもあるが、関節位置は極力変えず、微妙にシルエットバランスを変えたり、つくり直したりすることで、パーツを流用している印象を視聴者に与えず、さらにそれぞれのロボットに個性をもたせることに成功した。また関節位置を維持したことで、同じ骨を使用することができ、即座にバリエーションモデルを用意することができたという

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<POINT:2>作品の世界観に溶け込むリッチな質感表現

本作でロボットを描くにあたり、山本監督からはリアル寄りの質感が要求された。しかし作画作品にこってりしたリアルな質感の3Dモデルが登場すると、視聴者は嫌悪感を抱きやすい。そうした部分をいち早く感じ取っていた井野元氏は、長年培ってきた感性で、作画作品に溶け込むリアルな見た目にまとめ上げた。この質感を出すには、通常のライン、カラーに加え、傷や汚れ、陰影の素材が必要となる。また何年も使い込まれてきた設定から、傷や汚れのある古い機体と、新しい機体との差の表現も必要だ。天神氏のボードに描かれたウェザリングやマーキングなどを参考に、3Dとして成立するように落とし込む。デカールなど引き画でつぶれてしまうものは適宜省略し、新旧の機体の差別化と情報量のコントロールも図られた。リアルな質感を載せても堪えられるように、ハイポリゴンでモデリングしたことで説得力も増している。こうした試行錯誤の上に、現行のルックが完成したのだ。

一方で、このリッチな質感とクオリティをTVシリーズで維持することは非常に困難である。そこでレンダリング&コンポジット作業のカロリー削減が目指された。今年4月公開のPVでは、カラー、ライン、オクルージョン、金属質のメタル素材、ノイズ、汚れ、凹み素材を全て出力し、汚れや壊れはモデリングでも対応していたが、PV完成後に汚れや壊れはテクスチャに変更している。モデリング時にUV展開していたことから、テクスチャはオクルージョンやノイズを乗せ、金属の光沢や二号影が強く出るようにPencil+で設定し、3ds Maxの合成マップを用いてAEのようにコンポジットした状態で出力された。合成マップもレイヤーが多くなるとレンダリング時間が長くなるため、テクスチャレンダリングである程度素材をまとめているとのこと。マーキングも種類が多く、都度CGオブジェクトを表示/非表示すると混乱の種になるため画像データにまとめられ、最終的に1回のレンダリングで完結できるところまで効率化された。担当スタッフのストレスやカロリーの軽減を考えてデータ設計を行なった成果である。「PVで一度完成形をつくり、その経験をフィードバックできたことが起点となりました」(藤田氏)。

また、第2章で出現する魔獣ベヘモスはモデルサイズが大きく、質感の再現も大変だったという。ここでも専用スクリプトを組むことで1回のレンダリングで済むようにした。時間とクオリティの両立も、優れたクリエイターの証なのかもしれない。

PV公開時の質感表現

▲<A>PVで使用したシルエットナイトのコンポジット素材

▲<B>その完成画。このときからカラー素材にあらかじめオクルージョンと傷、汚れ素材を合成マップでまとめていた。そのほかデカールの上に乗せる傷や汚れ、ライン、デカール、メタル素材がそれぞれ分けて用意されている。ここから素材をさらに別出しすることも可能だったが、After Effectsでコンポジットした際にねらった画にならず、見た目に差異があったため取りやめたという。また、複数の異なる機体に同じような素材をAEでコンポジットすることはTVシリーズのカロリーに見合わないと判断され、その後合成マップを用い、質感出しを1回のコンポジットで完結できるような手法が採用されることになる

テクスチャ

▲<A>使用素材と色指定表。傷、汚れは白黒のマスクのため色を変更することができる。質感設定中に合成マップ内のレイヤーが膨大になってしまい、最終的にテクスチャレンダリングでまとめられた/<B>テクスチャレンダリングで統合されたテクスチャ。素材の組み合わせで数百パターンも用意できるという。「本作の経験を踏まえ、フォトリアルなテイストにする効率的な手法を今後も模索していきたいですね」(長川氏)

TV本編の質感表現

▲<A>レンダリングされた本編のモデル。最終のレンダリング素材としては、カラー、ライン、発光素材のみ/<B>合成マップの設定。質感処理は全て合成マップを用いて3ds Maxのシーン上で使用素材をコンポジットしている。これにより、カラー出力時は多少時間がかかるが、基本的に1回のレンダリングで完結するしくみだ/<C>Pencil+の設定。オレンジではセル調のCG作品の場合、Pencil+のマテリアルを頻繁に使用している。今回はPencil+ 3マテリアルの影色に二号影が強く出るように設定してコントラストを強くしたり、ラインを細く設定したりすることで若干CG寄りの表現になるようにし、シルエットナイトのもつ雰囲気を表現した

デカール

▲<A>天神氏が作成したデカールのテストボード。ここから実際のカット作業でディテールがつぶれるであろう細かなマーキングを間引いた資料を作成し、デカール素材をモデルに貼り込んでいく。新しい機体は、傷や汚れがついた古い機体と並べた際にどうしても見劣りしてしまうため、デカールなどを増やすことで情報密度を釣り合わせているという。ただし、実際に画として観たときにうるさく感じないようにコントロールする必要があり、スタッフのバランス感覚が問われたようだ

▲<B>完成画のロングショット/<C>完成画のアップショット。ロングではつぶれてしまうデカールを考慮して間引いている。古い機体と見比べてもしっかりとした存在感がありながら、スマートな印象も受けるルックだ

物語の進行に合わせた質感の変化

▲<A>古くから使われているフレメヴィーラ王国の制式量産機 カルダトア/<B>新しく開発される次期主力機 カルダトア・ダーシュ。新品機体の質感を表現する際、単純に傷や汚れを外しただけでは他のロボットと並んだときに統一感がなく浮いてしまう。そこで金属部分に雨だれ的なノイズ素材が薄く乗せられた。また、実際にロボットをペインティングすると塗装が行き届かないところが発生すると考え、角やフチに白いエッジハイライトを入れて塗りムラ表現したり、ワックスがけしたようなピカピカ感を部分的に入れたりもしている

テクスチャの組み合わせによるバリエーション

▲様々なバリエーションのカルダトア(左側:モブ一般機、右側:朱兎騎士団機)のレンダー結果。画像が小さく見えづらいが、各パターンとも微妙にデカールの剥がれ方や傷、汚れのつき方が変えられている。小さい部分にまでリアリティを求める姿勢が、ロボットに大きな説得力をもたせているのだ

設定に見事に寄せた魔獣・ベヘモス

▲<A>ベヘモスの美術ボード/<B>ベヘモスのCGモデル

▲<C>AEの作業画面。魔獣は複雑な質感の上、光る表現が多く、その話数で使いきることがほとんどだったため、AE上で素材を複数組み合わせて美術ボードに極力近づけている。魔獣のコンポジット作業はモデラーの西村 朗氏が担当。これほど突き詰めた質感表現はあまりなかったというが、この再現度は見事というほかない。この出来にオレンジとしても手応えを感じたという。一方で「今後同じような質感を表現する場合は、使用素材を簡潔にまとめる必要もあります」と長川氏はふり返る

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<POINT:3>動かしやすく効率的に組まれたセットアップ

本作のようにたくさんのロボットが登場する作品では、セットアップの工夫も必要となる。四足の3DモデルはCATも使用しているが、基本的にこれまでオレンジが手がけてきた作品同様、CG-Animation社が開発したオートリグセットアップツールのLHAuto-Rigが採用された。LH Auto-Rig はBipedやCATと比べて機能が豊富で、ながれ作業的にリグの設定ができ、効率的なセットアップが行える。そうして組み上がったセットアップに加えて、アニメーターの作業実情を踏まえた上で、ディレクターや関係カットを担当するアニメーターにリサーチをして調整していくという。

もちろんそのままではなく、デザイン的に干渉するところはマニュアルで調整しやすいようにコントローラを組んでいる。モデリング時にある程度腕足の比率を修正しているが、アニメーション作業時に不都合が生じた際に容易に比率を変更できるよう、調整用リグも必ず組み込んでいるという。このように、特殊な機体を除き、通常の人型の機体はLH Auto-Rigと調整リグで構成され、仕様を統一することで管理の手間を軽減している。腕が太かったり脚が大きかったりと、サイズが異なる機体は骨に数値を入れて調整された。特殊機体では、例えばイカルガには腕が6本あり、阿修羅のようにそれぞれが独立して動くため、補助ボーンで対応している。しかしカスタマイズするほど重くなってしまうので、作業のベンチマークを見て作業しやすいように、なるべく軽いリグを組むように意識したという。

「モデルを一番触るのはアニメーターなので、円滑にカット作業ができるように考えて作成します」と長川氏。アニメーターのことをモデラーがよく理解することで、活き活きとしたアニメーションにつながっていくのだ。

LH Auto-Rig

▲LH Auto-Rigは、もともとキャラクターアニメーションに特化したリグであるため、多機能ではあるが、ロボットのセットアップに使用するにはカスタマイズが必須だった。特にシルエットナイトは基本的に2重関節のデザインが多く、可動部分の再現には別途リグを追加している。このほかに、アニメーションで手足の比率を変えたり、パーツのめり込みが発生する場合を想定した調整用リグを用意したり、各モデルに応じてセッティングしているとのこと。画像の左はLH Auto-Rigで生成したベースリグで、右は二重関節調整用リグ

CAT

▲ツェンドルグ(四足のロボット)など、人型からやや逸脱したシルエットの3DモデルはCATが用いられた。これは、大多数のロボットはLH Auto-Rigでセットアップされているが、特殊な場合はカスタマイズのしやすさやリグの軽さを考慮してCATが採用されたとのこと。<A>四足のシルエットナイト(ツェンドルグ)/<B>CATをベースにカスタマイズしたリグ

ポージングした状態のチェック

▲モデリングチェック、質感テスト等のチェック工程では、全てポージングをさせた状態で確認素材が提出されている。技術的なことよりも、チェックする側がイメージしやすいかたちで見せた方が良いだろうという考えからで、全ての3Dモデルに意識的にポーズを付けているという。設定画に描かれているアングルのほか、パースの強いカメラアングルや見栄を切らせたポージングをとらせた資料も用意することで、山本監督や演出スタッフがコンテを描く際にその資料を参考にしてくれる場合もあるそうだ

<POINT:4>ストーリー展開に合わせて進化する 遊び心も詰まったアニメーション

アニメーションについて「本作はメカアクションに長けたスタッフを中心に、井野元が自らチェックと指導を行うことで、アニメーションのクオリティも特段良いものになりました」と藤田氏。モデリングもこなす敏腕アニメーターの吉本氏も井野元氏と共に新人スタッフにイチから指導している。「若いスタッフに技術を伝承することで、スタジオとしての品質が保たれます」(吉本氏)。またカット作業はシーンや関連性を考えて割りふりすることで、全体のながれを意識して作業を進められたという。

ロボット技術の進展は本作の核だ。第1~3章では、パーツパーツを動かさず、駆動させすぎないことで古いロボットらしさを演出し、その後技術が発展していくと可動域が増え、ついに空へ飛び上がるほど動くようになる。古いロボットのゆっくりとした動きをCGに落とし込むことは難しいそうで「ロボットの重量感を表現しつつ、見ていて気持ちの良い動きにしなければなりません」と吉本氏。単純に動きを遅くしただけでは退屈な動きになってしまうため、動き始めをじんわりと、スピードに乗ったら速くといったメリハリをつけることを留意したという。藤田氏によると「(オレンジは)軽快な動きがひとつの売りなので、重い動きには慣れていませんでした。やっと慣れたと思ったら、作中では年代が進んでよく動くようになっていました」と苦笑する。ただ、そうしたスキルの蓄積がスタジオとしての財産となり未来へ活かされていくそうだ。

このように、同じ作品内で大きく動き方が変わるため作業はハードとなるが、そんな中でも遊び心やこだわりは忘れていない。何気ないポーズ、歩き、剣を握る手など細部にまでこだわりぬいている。「ベヘモス戦でグウェールの刃が衝撃で赤熱化したり、着地時に地面が割れたりと、随所に指示にない演出を加え、遊びを入れています」(吉本氏)。このように楽しんで作業するスタッフの姿勢は映像に現れるという。藤田氏、長川氏は口を揃えて「やりがいがあり楽しんで成長できた作品です」と語る。

これからますますの盛り上がりを見せる『ナイツ&マジック』。主人公にも勝るとも劣らないロボット愛を胸に抱いたクリエイターたちが、もてる全ての情熱を傾けてつくったロボットに、ぜひ注目していただきたい。

あえて動きを抑えた初期のシルエットナイト

▲作中のロボット技術の進展に合わせ、本作ではロボットのアニメーションも描き分けている。初期のシルエットナイトは、パーツはあまり動かさずゆっくりとしたモーションにすることで、まだ技術が進展していない古い機体の動きが表現された

完成した新型シルエットナイト テレスターレ

▲ロボット技術が進んだことで、可動域が増え、素早く機敏な動きが可能となった新型のシルエットナイト テレスターレのアニメーション。メカアクションを得意とするオレンジの本領が発揮されたカッコ良い動きに仕上げられた。このように、ロボットのアニメーションの進化を丁寧に描くことで、物語に厚みをもたせている

作画のような誇張したポージング

▲本作は絵コンテの段階で極端なパースで動くものが多く、それをCGで上手く違和感を感じさせないようにカッコ良く仕上げている。画はパースを強調したグゥエールのアニメーション。CGは正確であるがゆえにこのような誇張表現をすると画が崩れてしまうこともあるが、見事に迫力ある画に仕上がっている

アニメーターのアドリブ演出

▲ベヘモス戦のカットでは、グゥエールが硬いベヘモスを剣で切りつける際に、刃がその衝撃で熱を帯びて赤くなるという演出がされている。これは吉本氏がアドリブで入れた表現だ。このように作業者が作品を良くするために「遊び」でプラスアルファの画づくりを自発的に行なっているという。そのような積み重ねが、作業者のこだわりが、画に深みを足しているのだ

TEXT_野澤 慧
PHOTO_弘田 充





  • 『ナイツ&マジック』

    TOKYO MX、BS11ほかにて 好評放送中!
    原作:天酒之瓢(ヒーロー文庫『ナイツ&マジック』/主婦の友社 刊)
    原作イラスト・シルエットナイトデザイン:黒銀
    監督:山本裕介
    CGディレクター:井野元英二
    3DCG:オレンジ
    アニメーション制作:エイトビット
    製作:ナイツ&マジック製作委員会
    Twitter:@naitsuma_anime


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