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国内だけでなく、世界で戦えるコンテンツを制作することが課題となっている日本のエンタメ産業。そんな中、業界や国籍の眼鏡を外してみれば、改めて見えてくる風景がある......。Happy Elements Asia Pacificは、まさにそうした存在だ。リアルタイム育成型バーチャルアイドル企画『ReVdol! -VIRTUAL IDOLS NEXT TO YOU-』、中国タイトル『战斗吧歌姬!』(以下、リブドル!)を柱に、まったく新しいスタイルでアニメ等のコンテンツビジネスを展開中の同社に、求められる人材像について聞いた。
TEXT_小野憲史 / Kenji Ono
EDIT_藤井紀明 / Noriaki Fujii(CGWORLD)、山田桃子 / Momoko Yamada
PHOTO_島田健次 / Kenji Shimada
©2018 Happy Elements Asia Pacific co,. ltd.
現在、Happy Elements Asia Pacificでは下記職種を募集中です。
①Unityエンジニア
②エフェクトアーティスト (リード/メンバー同時募集)
③ライティング・コンポジットアーティスト(リード/メンバー同時募集)
④モデラー/リガー(リード/メンバー同時募集)
⑤モーションキャプチャ撮影リーダー
開発から提供まで、全てを自社で担うエンターテインメントカンパニー
CGWORLD(以下、CGW):はじめにHappy Elements(以下、HE)とHappy Elements Asia Pacific(以下、HEAP)の関係について教えてください。
頼 嘉満氏:(以下、頼):HEは「Make the World Happy!」を理念に2009年に設立された中国系モバイルインターネット企業です。北京に本社があるほか、上海・東京・京都に拠点をかまえており、モバイルゲームの開発・運営や、ゲーム発のキャラクターIP、オリジナルアニメのアジア展開などを行なっています。HEAPはHEグループにおける日本の本社機能と新規事業開拓のため2014年に設立されました。日本のコンテンツパワーを世界に届けるため、日中・アジア向けオリジナルIPの企画・制作・運営を行なっています。
CGW:いわゆる「CGプロダクション」とは趣がちがいますね。
頼:そうですね。最大のポイントはデベロッパーであり、自社IPで勝負するパブリッシャーでもあるということです。その上でCGだけ、ゲームだけではなく、「アニメ・コミック」、「声優」、「バーチャルアイドル」にまたがって、複合的な事業を進めています。過去にTVアニメ『アイドルメモリーズ』、『Phantom in the Twilight』の2作を放映しましたが、どちらも製作委員会方式をとらずに、自社で企画・原作・1社提供を行なったのも、そうした背景があってのことです。『Phantom in the Twilight』は中国のみならず、欧米、東南アジアなど世界同時に展開もしています。最新の自社IPによるプロジェクトが『リブドル!』になります(詳しくは後述)。
CGW:それには頼さんの経歴も大きく関わっていそうですね。
頼:台湾出身で中学生の頃、両親の仕事の関係で日本に移住しました。大学卒業後は戦略コンサル、ベンチャーキャピタルを経て、HEのCEOに、HEグループに参画しないかと誘われました。それまで日本と海外をつなぐビジネスにかかわるなかで、「日本は良いアイデアや商品を生み出しているにもかかわらず、世界標準になれずに、非常にもったいない」という想いを抱いていました。コンサルや投資家としてではなく、自分の手でアジア全域を視野に入れたイノベーティブな事業に携わりたいという想いと合致し、HEAPを起ち上げました。
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頼 嘉満(ライ チャーミン)
台湾生まれ。国際基督教大学卒。IEビジネススクールMBA及びMIT-Zaragozaサプライチェーンマネジメント修士を取得。Lawson Softwareで日本と欧州間の国際プロジェクトをリードし、戦略コンサルティングファーム モニターグループで海外進出戦略立案プロジェクトの責任者を務めた後、ベンチャーキャピタルDCM Venturesのヴァイス・プレジデントに就任。多数のスタートアップの戦略アドバイザーとして従事。2014年にHappy Elementsに参画。Happy Elements Asia Pacificを設立し現職
CGW:そこでアニメに着目されたのはなぜですか?
頼:現状を俯瞰してみて、日本が海外と勝負できるジャンルだと思ったからです。その一方で自分自身が10代の頃、『鋼の錬金術師』をはじめとして、日本のアニメに勇気づけられたこともありました。人生の岐路に立たされた時、作品テーマである「等価交換の法則」について、実感したこともありました。
CGW:日本のアニメーション業界こそ、内向き志向かもしれませんね。
頼:インターネットが発達して、これだけ世界がフラットになっているにもかかわらず、日本のアニメーション業界では、いまだに地上波テレビ放送が大きな影響力を持っています。その一方でDVDなどの売上は減少しており、今後も少子化の影響は避けられません。誰もが新しいビジネスモデルの必要性を理解しているにもかかわらず、次の一歩が踏み出せていません。海外展開も同様で、なかなか進まないのが現状です。だからこそ、起業のチャンスがあるとも考えました。HEAPの強みは中国市場へのアクセスが容易な点ですから。
CGW:次の一歩が踏み出せないのは、どこにボトルネックがあると感じられますか?
頼:結局のところ、トップに海外展開を行う上での強い意思があるか否かです。多くの企業で海外展開が進まないのは、それによって日本市場での売上が低下することを恐れるからです。しかし、仮に短期的に両者が食い合っても、中長期的に見て売上が増加するなら、やるべきです。私はコンテンツ業界出身の人間ではありませんし、台湾出身でもあるので、余計にそう思います。
CGW:一方でハリウッドの映画は世界中でヒットしています。
頼:アメリカが他民族・多文化社会なので、万人に理解されるコンテンツをつくる必要があるからだと思います。その上でアメリカはコカ・コーラやマクドナルドなどを筆頭に、アメリカ文化を世界中に輸出しています。既に理解されているアメリカ価値観の中でつくられているコンテンツであるため、世界中で受けいれられるのではないでしょうか。実際、映画産業全体を見渡しても、世界中でコンテンツがヒットしているのはハリウッドだけです。
CGW:コンテンツと文化や価値観をセットで提供する必要があるわけですね。
頼:そうですね。そこで、日本、中国、そしてアジア全域で共有できる価値観もしくは今後着目されるニーズとして「女性の活躍」です。実際、アジア全域で女性の社会的地位が高まってきています。『Phantom in the Twilight』の企画も、「女性の活躍」をテーマにしたオリジナルアニメです。もっとも周囲からは「挑戦的すぎる」と言われました。女性向けコンテンツなら、もっとイケメンキャラクターを押し出した方が良いと......。
『Phantom in the Twiligt』のキービジュアル。高校卒業後、ロンドンに留学してきた18歳の少女で、影の力を操る能力を持つバイルー・トン(中央)が主人公だ。ヴァンパイア・人狼・キョンシーの属性を持つイケメンが働く深夜喫茶「カフェ・フォービドゥン」を中心に物語が展開していく
CGW:たしかに、いわゆる「萌え系アニメ」とは一線を画していますね。
頼:実際、映画『ワンダーウーマン』も日本以外では大ヒットしました。アジアの女性にとって、ワンダーウーマンは憧れの対象として見られたんです。でも、日本は状況がちがうようでした。しかし、ほかと同じことをやっているのでは、起業した意味がありません。固定概念にとらわれないで、どんどん新しいことをやっていきたいと思っています。
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アニメ業界に一石を投じる『リブドル!』プロジェクト
アニメ業界に一石を投じる
『リブドル!』プロジェクト
CGW:そうした中で最新作『リブドル!』のオープニング曲「Pre-STAR」のミュージックビデオが動画配信されています。
頼:過去2作はTVアニメ先行でしたが、『リブドル!』はリアルタイム育成型バーチャルアイドル企画と銘打って、自社IPを中心としたクロスメディア展開を進めています。世界を救う歌姫「スワン」を輩出するため、世界各国から5人の少女が選抜され、そこから次のステージへ行けるメンバーが選ばれるという設定です。候補生たちは、アニメやライブ配信などのコンテンツを通して、サポーターの声援によって成長していきます。
CGW:クロスメディア展開について、もう少し詳しく教えてください。
頼:中国ではミニブログのWeibo 、メッセージアプリのWeixinと動画共有サイトのbilibili動画など複数のプラットフォームで展開をしています。日本ではYouTubeチャンネルでメインストーリーやライブストリーミングの動画を展開していきます。新作動画を定期的に配信しつつ、Twitterで盛り上げていくイメージです。反響は上々で、中国ではライブストリーミングで最大同時視聴者数が58万人を数え、日本でもTwitterで二次創作イラストが投稿されはじめるなど、手応えを感じています。
bilibili動画で中国向けに生配信された『リブドル!』の様子。ニコニコ動画と同じように、様々なコメントが弾幕風に流れ飛んでおり、盛り上がりを見せていることがわかる
CGW:TVアニメと違い、「推しメン」を自分で選べるわけですね。
頼:そうですね。SNSでの書き込みや人気投票、動画視聴回数、二次創作の盛り上がりなど、ユーザーの反応によってストーリー展開が変化していきます。
CGW:まさに現代風ですが、どういう企画意図がありましたか?
頼:これまでTVアニメを2作制作してみて、アニメ業界に対して素朴な疑問がわきました。最大のポイントは世の中がどんどんデジタルに移行して、YouTubeやTikTokをはじめ、誰でもコンテンツ配信ができる時代になりました。一日24時間という制限のなかで、アニメ作品は数が爆発的に増えているUGCコンテンツと競争していく。アニメ作品も単に素晴らしいビジュアルとストーリーを視聴者に提供するだけでは、早晩成り立たなくなるのではないかと...。
CGW:なるほど。
頼:そこで出てきたのが「参加性」というキーワードです。企画全体に視聴者が参加できれば、別のフックを加えられます。実際、これを実現しているのがゲームです。多くのゲーマーは「自分が費やした時間によってゲームの世界に干渉できる」からこそ、ゲームに夢中になると思います。従って、短期間でコンテンツが量産できて、人気にあわせて展開を変えられる特性を『リブドル!』にも活かせないかと考えました。つまり、「ヒロインの人生を視聴者が決められる」ということをリアルタイムに実現していく企画なのです。
CGW:アニメを「放映」するのではなく、ゲームのように「運営」していくのですね。ただし、そのためにはコンテンツの制作体制を新たに整える必要があります。
頼:『リブドル!』は中国向けコンテンツですが、開発は日中で行なっています。社内には3DCG制作スタジオ、モーションキャプチャスタジオ、そしてアフレコスタジオがあり、アイデアをワンストップでスピーディに実現できるのです。これに加えて来年からは、バーチャルアイドルが出演する、オフラインでのライブ活動も予定しています。
同社の充実したモーションキャプチャスタジオ。アフレコ設備も完備されており、モーションキャプチャデータの収録からアフレコまでワンストップで対応できる
CGW:どのような3DCG制作パイプラインを構築されていますか?
頼:モーションキャプチャから取り込んだアニメーションデータをゲームエンジンのUnity上に流し込み、キャラクターの動作と背景・エフェクトが連動したアニメーションをリアルタイムに生成する環境を構築しました。これによって手描きの2Dアニメでは約200日要するとされる作業を、約3週間まで短縮させられました。複数のラインを組み、新作エピソードを毎週制作していくことにもチャレンジしたいです。
CGW:CEDEC 2017にも自社技術を出展されました。
頼:バーチャルアイドル「PROJECT MariA」ですね。ユーザーとコミュニケーションがとれる3DCGアバターで、ライブでは実在のアイドルのようにユーザーとのコール&レスポンスも実現でき、『リブドル!』の開発パイプラインのベースにもなっています。また、あわせて人材募集もさせていただきました。もっとも、人材募集は継続的に行なっていますので、ご興味があればぜひチェックしてみてください。
CGW:どういったクリエイターだと御社で活躍できそうですか?
頼:3DCGアニメーション制作において必要な人材を全方位で募集しています。モデラー・アニメーター・テクニカルアーティストなどです。VR/ARを活用したプロジェクトも進行していますので、Unityのエンジニアやオペレーターも合わせて募集していますね。業界経験がない方でもオープンポジションという枠で募集しています。
ただ、スキルもさることながら、弊社のビジョンや社風に共感していただけることを、より重視しています。そうしたマインドがあれば、スキルに乏しくても社内で育てていきます。
CGW:具体的にはどういうことでしょうか?
頼:弊社は、固定概念にとらわれず「技術×デジタルコンテンツ・エンターテイメント」を積極的に取り入れ、世の中により多くの喜びと感動を創出することをミッションにしています。このミッションに共鳴し、固定概念に対する問題意識を持つ方に参画して欲しいです。「クリエイターは作品づくりに集中する」のみならず、一緒に新たな制作方法、ビジネスモデルも含めて模索していくことに共感していただける方は大歓迎です。
CGW:作品がヒットしても、なかなか現場に利益が還元されないことが多いため、クリエイター側に諦めにも似た感情があるのかもしれませんね。
頼:弊社は純粋にユーザーに楽しんでもらうことを第一に考えることを大事にしています。良いコンテンツをユーザーに届けることでき、結果としてクリエイターが報われる仕組みを構築しています。これによって、現場レベルも、自分たちが費やした労力は果たしてユーザーが喜び、結果的に収益につながって行くのかについて考える機会になります。そういった観点で、日々の業務遂行の中で、様々な疑問が湧いてくるのではないでしょうか?そんな風に固定観念を崩して、イノベーションが起こせる方に来てほしいですし、全力でサポートしていきます。
CGW:男女比率が半々と、女性が多い点も御社の特徴ですね。
頼:私が女性だということもあり、産休・育休・時短勤務など、女性が長く働きやすい制度は整えています。ジム補助など福利厚生も充実しています。もっとも、年齢も性別も関係なく、弊社のミッションおよび事業方向性に共感していただける優秀な人材を採用した結果です。その意味では、弊社は「技術 x エンタメ」、「中国・アジア展開」と「今までにない」といったキーワードで自分の力を試したい人に、ぜひ応募して欲しいと思います。
白を基調とした明るい制作スタジオ。ミーティングスペースやラウンジなどもあり、開発に集中できる
求人情報
現在、Happy Elements Asia Pacificでは下記職種を募集中です。
①Unityエンジニア
②エフェクトアーティスト (リード/メンバー同時募集)
③ライティング・コンポジットアーティスト(リード/メンバー同時募集)
④モデラー/リガー(リード/メンバー同時募集)
⑤モーションキャプチャ撮影リーダー
雇用形態
正社員、契約社員
勤務地
〒105-0011 東京都港区芝公園1-1-1 住友不動産御成門タワー11F
待遇
【給与】
年収400万円~1,200万円(年俸制/12分割)
※ポジション・スキル・経験により決定
【福利厚生】
交通費全額支給、各種社会保険完備、定期健康診断、育児・介護休業、時差・時短勤務
【休日・休暇】
完全週休2日制(土・日曜日)、祝日、年次有給休暇、夏季休暇、年末年始休暇、慶弔休暇