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LOGIC&MAGICが運営するTUNEDiD(チューンディッド)は、都内最大規模のサイズ(18m×11m×6m)とカメラ台数(VICON Vantage V5/54台)を誇るモーションキャプチャスタジオだ。その運営に加え、VTuberの生番組やMV制作まで手がける本スタジオの真価を探った。

TEXT_尾形美幸 / Miyuki Ogata(CGWORLD)
PHOTO_弘田 充 / Mitsuru Hirota

8時間で9曲のダンス収録を可能にする、高精度な収録環境

TUNEDiDはドワンゴの社内案件を手がけるスタジオとして、2018年4月に稼働を始めた。翌年にその存在が公表され、2019年11月のLOGIC&MAGIC設立と同時に独立。現在はドワンゴ以外の案件も手がけている。本記事で紹介する、富士葵 『MY ONLY GRADATION』 MV、TV番組『NHKバーチャル紅白歌合戦』はその代表例だ。後者の番組では、VTuberによる歌唱に加え、生身の芸能人との軽快なトークまで披露され、その魔法の如き映像を多くの視聴者が楽しんだ。「現代の魔法(Magic)は、ロジック(Logic)とテクノロジーの積み上げによって成り立っています。魔法を生み出す最高のシステムをつくり、多くの人に使っていただきたい。そんな思いを、LOGIC&MAGICという社名に込めました」と代表取締役社長の太田豊紀氏は語った。

  • 太田豊紀氏
    (代表取締役社長)

    1997年、ドワンゴ設立に参画。2005年、Animelo Summer Liveを立ち上げる。2016年、でほぎゃらりーの代表取締役社長に就任。2018年、TUNEDiDを立ち上げる。2019年、ドワンゴから独立し、LOGIC&MAGICを設立。


本スタジオの稼働に先立ち、そのシステムを太田氏に提案した松野美茂氏(トータルシステム・スーパーバイザー)は、90年代前半、当時日本に1台しかなかった磁気式モーションキャプチャシステムの運用に携わった経歴をもつ。「その後も、国内各地のモーションキャプチャスタジオやCGスタジオの設立に関わってきました。2004年には、モーションキャプチャとGPUレンダリングを使ってフルCGのアニメ作品をつくるシステムを構築し、『これなら効率的に良い映像を量産できる』と手応えを感じました」(松野氏)。

  • 松野美茂氏
    (取締役/トータルシステム・スーパーバイザー)

    JCGLを経て、オムニバス・ジャパンの設立に参画。その後、桜亭スタジオ、サンライズ 谷原スタジオなど、各地でスタジオ設立とCG映像制作に携わる。太田氏と共にTUNEDiDを立ち上げた後、現職。


かつて「理想」と感じたシステムを、現代のロジックとテクノロジーでさらに洗練させ、志を共有できるメンバーで運営する。それが同社の理念だ。実際、同社には松野氏がその長いキャリアの中で苦楽を共にしてきた旧知の面々が結集している。例えば、富永竜二氏(モーションキャプチャスーパーバイザー)はリンクス・デジワークス(現、IMAGICA Lab.)の桜亭スタジオの運営や、ドワンゴのニコファーレのオープニングイベントに関わった経歴をもつ。「本スタジオはリアルタイム映像の制作を前提にチューニングしてあるので、極めて高精度なデータ収録ができます。事前のリハーサルが万全であれば、ダンスなら8時間で9曲は収録可能です。すごくコストパフォーマンスの良いスタジオだと自負しています」(富永氏)。

LOGIC&MAGICのスタッフ

  • 富永竜二氏
    (モーションキャプチャスーパーバイザー)

    リンクス・デジワークスでモーションキャプチャを担当。IMAGICAへの統合後はステレオグラファーとして映画制作やスポーツ中継にも関わる。その後、オムニバス・ジャパンを経て現職。


  • 林 成輝氏
    (テクニカルユニット ユニットリーダー)

    ポリゴン・ピクチュアズ、スクウェア ホノルルスタジオ、IMAGICAなどでCG映像制作に携わった後、現職。『ゾイドジェネシス』をはじめ、様々なアニメ作品でCGディレクターを務めている。


  • 小高忠男氏
    (映像ユニット ユニットリーダー)

    松野と共にオムニバス・ジャパンの設立に参画した後、バンプレスト、スクウェア ホノルルスタジオ、サンライズ 谷原スタジオ、バンダイナムコゲームス、OLM DigitalなどでCG映像制作に携わった後、現職。


  • 佐藤浩一郎氏
    (CG合成編集スーパーバイザー)

    サンライズ 谷原スタジオ、OLM DigitalなどでCG映像制作に携わった後、現職。『ガンダムSEED DESTINY』でCGテクニカルディレクター、『ポケットモンスター』のTVシリーズでCGIディレクターを務めている。

大規模モーションキャプチャスタジオ TUNEDiD

▲【左】エントランス/【右】スタジオ全景
スタジオサイズ :18m×11m×6m
有効撮影範囲 :12m×8m×3.5m
赤外線カメラ :VICON Vantage V5(54台)
音声収録用機材、更衣室、シャワー室も完備
スタジオ設備:平台10個、箱馬20個、体操マット2個、エバーマット2個


▲スタジオ壁面を黒のカーテンで覆えば、音がほとんど反響しなくなり、動きと音を同時収録できる。一方でカーテンをめくれば壁一面が鏡になり、収録途中での動きの修正・確認が容易に行える。床材にはダンスに適したやわらかく滑りの良い素材を使用


▲これまでに最大14人を同時収録した実績があり、人数が増えてもデータの精度は維持できるという。「たとえ14人分の収録データであっても、4〜5日での納品が可能です」(松野氏)


▲左と中央の部屋は更衣室で、メイク用の鏡も設置されている。右の部屋はシャワー室になっており、快適な収録環境が用意されている


▲【左】更衣室の内装/【右】シャワー室の内装。右壁面には全身が映るミラーも完備

Project 1:富士葵 『MY ONLY GRADATION』 MV

VTuberの富士葵は、2017年12月の活動開始以降、100を超える楽曲をカバーしてきた。そんな彼女が2019年11月にリリースしたオリジナル曲『MY ONLY GRADATION』のMVは、LOGIC&MAGICが制作している。

▲富士葵 『MY ONLY GRADATION』 MV


「本作の場合は、モーションキャプチャだけでなく、MVのディレクションと映像制作も任せていただきました。本作の富士葵さんの動きは、従来の環境で収録したものと、TUNEDiDで収録したものと、当社のスタッフが手付けしたものの3種類で構成されています。ファンにはお馴染みのポーズや仕草がある一方で、いつもとちがうキリッとした表情や、ダイナミックな動きも盛り込んであります。さらに、歌詞の内容を踏まえた映像演出や、アニメの1号影のような陰影表現、色補正によるトンマナの統一も施しました。従来のMVにはない新鮮な富士葵さんを楽しんでもらえたと思います」(松野氏)。

▲ 【左】のポージングや小物(メガホン)は、本楽曲を収録した1stアルバム『有機的パレットシンドローム(初回限定デラックス盤)』のジャケットを彷彿とさせるものになっている。【右】のダイナミックな動きは手付けで表現されている


驚くことに、本作はたった2人のスタッフで制作している。同社でテクニカルユニットのリーダーを務める林 成輝氏は、「1人で映画をつくりたい」という思いを抱き、90年代からCG制作に携わってきた。それを夢物語で終わらせないため、少人数で高品質な映像をつくるシステムの開発を今も続けているという。

Project 2:『NHKバーチャル紅白歌合戦』

2020年1月1日にNHK総合で放送された『NHKバーチャル紅白歌合戦』には、キズナアイ、富士葵、HIMEHINAなど、総勢13人のVTuberが出演した。

▲ 本番組にて、富士葵は美空ひばりの『愛燦燦』をカバー。はその歌唱シーン制作時の映像素材。TUNEDiDで収録したダンスモーションを富士葵のCGモデルに適用し、設定の異なる複数のカメラで撮影している。カメラは最大32台まで設置でき、4カメラ分の映像を4Kサイズでレンダリング可能。番組では、これらの素材を編集した映像が使われた
©NHK、LOGIC&MAGIC


▲本番組に出演したVTuberが勢揃いして『パプリカ』を歌唱するシーンも、複数のカメラで撮影している
©NHK、LOGIC&MAGIC

<株式会社LOGIC&MAGIC 事業内容>

●大規模モーションキャプチャスタジオ
大空間を利用したモーション収録と音声の同時録音も可能なスタジオで、10人以上の人物の動きを高い精度でキャプチャできます。遠隔地へのリアルタイムモーションデータ送出も可能です。

●アニメ・番組制作
3DCGとモーションキャプチャを駆使したあらゆる映像、および番組を制作します。キャラクターデザイン、4Kレンダリング、リアルタイムCG制作にも対応可能です。

●ARライブの企画・制作・運営
Animelo Summer Liveを15年運営してきた実績を活かし、ARライブイベントの企画制作、ライブ用CG映像の制作、グッズの企画制作、チケッティング、当日の現場運営まで、全てをワンストップでご提供できます。

株式会社LOGIC&MAGIC
〒108-0073 東京都港区三田3-14-10 4F
logic-magic.co.jp
tunedid.jp