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広告・プロモーションにおけるCG制作では、手掛ける案件によってはスタジオやクライアント企業まで出向き、「その場で負荷の高い作業をしなければならない」こともある。そのような場合、これまでは高性能なスペックを備えた大型のノートPCで何とか対応するか、あるいはもう最終手段として、日ごろ使っているデスクトップPCを持ち出すこともあっただろう。

そんななか、興味深い製品として登場したのが、ASUSのゲーミングブランドであるROG(Republic of Gamers)(以下、ROG)の13.4型コンパクトゲーミングノートPC「ROG Flow X13 GV301QH」と最新のハイエンドGPU GeForce RTX™ 3080 Laptop GPU(専用ビデオメモリ GDDR6 16GB)を搭載した外付けGPU「ROG XG Mobile GC31」だ。

この2製品がどんな性能と可能性を秘めているのか、ソアズロックの寺村太一氏に、実務での利用を踏まえた目線で検証してもらった。

TEXT_近藤寿成(スプール)
PHOTO_弘田 充
EDIT_池田大樹(CGWORLD)

▲ソアズロック外観写真。名古屋に本社を構える(写真提供:ソアズロック)

CM制作のCGゼネラリストに求められる作業環境は?

名古屋に本社を構えるソアズロックは、その土地柄から自動車会社をメインにさまざまなメーカーからの依頼を受け、製品プロモーションやコンセプトムービー、テレビCM、ミュージックビデオなどの幅広いコンテンツを手掛けている。また、一般的な映像制作プロダクションとはやや異なり、専門のCGチームを社内に抱える点が大きな特徴の1つ。モーショングラフィックスや3DCGからVFXまで「CGと名の付くものはリアルタイム以外は何でもやる」(寺村氏)そうだ。




  • ソアズロック CGディレクター
    寺村太一氏

またそのCGチームは、大手CGプロダクションのように分業化されておらず、寺村氏をはじめとする「デザイナー全員がゼネラリスト」というのが、ソアズロックならではのポイント。デザイナーは専門性に特化していない反面、どのようなタイプの仕事にも柔軟に対応できる「幅広い技術」が求められる。さらに、ソアズロックでは各デザイナーが1人で作品を完パケするような案件も多いため、作品全体のクオリティに対して「各デザイナーが責任意識を持つスタイルになっている」と寺村氏は補足する。

▲【左】TOYOTA GR-Series プロモーション映像/企画・CG制作・編集・コンポジット / 【右】TOYOTA GR-Series プロモーション映像/企画・CG制作・編集・コンポジット

▲【左】ジェイアール名古屋タカシマヤ TV-CM/企画・撮影・CG制作・コンポジット / 【右】NHKスペシャル「人体」"脳"/シーンセットアップ・アニメーション制作

このような背景から、デザイナーはゼネラリストとしてフルCG作品だけでなく、実写合成やモーショングラフィックスなどのあらゆる案件をこなす必要があり、寺村氏もCinema 4DやAfter Effects、Adobe Premiere、Octane Render、Redshiftなどのツールを使いこなす。そのため、作業で使用するPCの構成は、CPUやGPUのみならずメモリやストレージに至るまで、すべてにおいて高い性能が要求される。

実際、寺村氏が業務で利用するメインのデスクトップPCは、CPUが「AMD Ryzen 9™ 3900X」(12コア / 24スレッド / 3.80GHz / 最大ブースト・クロック4.6GHz)、GPUが「NVIDIA® GeForce® RTX 2080 Ti」×2基、ストレージが「CSSD-F2000GBMP600」(2TB / M.2 / Gen4)、メモリが128GBで、価格はシステム全体で約65万円(2019年購入当時)と、高水準でバランスの取れたハイスペック仕様になっている。


▲ソアズロックスタジオ風景 (※写真提供:ソアズロック)

GPUによる圧倒的なレンダリングスピードを重視

寺村氏いわく、普段の業務でとくに負荷のかかる作業は「GPUのレンダリング」だ。しかも、GPUレンダラーは最終的な書出しだけでなく、作業中に「IPR(Interactive Photorealistic Render)を用いて質感やライティングを確認しながら作業できる」点が大きな強みとなるため、GPUには作業中もつねに高負荷がかかることになる。IPRが高速になれば画作りのためのイテレーションを増やせる(=クオリティが上がる)ことから、「GPUへの要求はどうしても高くなる」という。

さらに、寺村氏が重要なポイントとして挙げるのが、作業環境(=PC)を持ち運べる「モビリティ」である。そもそも、ソアズロックはクライアントから案件の相談を受けた際、相手先に出向いた場合でも「その場でデザインの方向性をスピーディに提案できる」ことを強みの1つとしている。しかし、CGの知識がまったく無いようなクライアントに対してレンダリング前のプレビズを見せても「正確なイメージを伝えられない」、あるいは逆に「不安を与えてしまう可能性もある」そうだ。そのため、外出先でGPUレンダラーが使えるようなPCを持ち運べれば「大きなアドバンテージになる」と説明する。

▲スタジオ撮影でオンセットで作業を行う必要がある場合には、常用のデスクトップPCを写真の様にオリジナルのジュラルミンケースに梱包して現場に持ち込み作業を行うこともある (写真提供:ソアズロック)

スタジオでのオンセット合成を行う場合
モビリティの高さも重要に

また、スタジオでの撮影時にオンセット合成を行うようなケースでも、その場でCGレンダリングを求められることもあるという。このような場合の対処法として現在は、搬送用の専用ジュラルミンケースを用意して「デスクトップPCを持ち込むことが多い」(寺村氏)とのこと。しかし、そこまでしても過去には移動中の振動でCPUファンが落ちたり、グラフィックスボードがズレて接触不良を起こしたりするトラブルがあったそうだ。

このようなニーズや課題を踏まえて、今回は寺村氏が「ROG Flow X13 GV301QH」と「ROG XG Mobile GC31」の実力を検証。純粋な性能の高さとともに、ノートPCと外付けGPUならではの利便性や新たな可能性なども探ってもらった。次ページからは具体的な検証内容を見ていこう。

▲小型ノート「ROG Flow X13 GV301QH」と外付けGPU「ROG XG Mobile GC31」とを組み合わせた利用イメージ 。ROG Flow X13 GV301QHは360°回転するヒンジの採用により、使用するシーンに合わせて、タブレットモードやスタンドモードなど、多彩なスタイルに変化。また、ROG XG Mobile GC31を自立させて使用可能な点にも注目したい(写真提供:ASUS JAPAN)

次ページ:
<検証1> 13.4型コンパクトゲーミングノートPC
CPU、GPUパフォーマンス、使い勝手を検証

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<検証1>
13.4型コンパクトゲーミングノートPC「ROG Flow X13 GV301QH」 のCPU、GPUパフォーマンス、使い勝手を検証

ROG Flow X13 GV301QHは、コンパクトな筐体と高いスペックを兼ね備えたタッチ対応のフリップ型タブレットとしても使用可能なゲーミングノートPCである。Zen 3コア・アーキテクチャーを使用したCPU「AMD Ryzen™ 9 5900HS」やGPU「NVIDIA® GeForce® GTX 1650」を搭載し、ゲームのみならずクリエイティブな用途にも十分な実力を発揮する。

検証機「ROG Flow X13 GV301QH」



寺村氏常用マシン(デスクトップ機 2019年製作)

今回の検証では、寺村氏のメインマシンとROG Flow X13 GV301QHを比較。CPU性能は「Cinebench R23」、GPU性能は「OctaneBench 2020」でチェックした。さらに、Cinema 4Dで簡単なシーンを制作してRedshiftによるGPUレンダリングのスピードをテストしたほか、After Effectsの処理性能も比べてみた。

【Point1】
Ryzen 9™ 5900HS搭載デスクトップ機を上回る
シングルCPU性能に驚愕!

まずCinebench R23の結果を見てみると、さすがにマルチコアのスコアは寺村氏のメインマシンが約1.5倍の差がつけて圧勝だったが、シングルコアのスコアは寺村氏のメインマシンが1239ptsだったのに対して、ROG Flow X13 GV301QHは1443ptsをマーク。ノートPCとは思えない性能を見せて寺村氏を驚かせた。

▲マルチCPUでこそ3900Xに負けるものの、シングルの性能においてはX13の方が高いという事が分かる結果に

さらに、寺村氏がモーショングラフィックスで頻繁に使用するAfter Effectsのテストでは、こちらもマルチコアに最適化されているレンズブラー処理こそコア数に準じた結果となったが、最適化されていないクロマキー処理は寺村氏のメインマシンが4分55秒だったのに対し、ROG Flow X13 GV301QHは4分23秒となった。After Effects全体の使用感についても寺村氏は「十分に速い」と感じ、SSDの性能と相まって「実写素材などを使っても差し支えないくらいのスピードが出ていた」という高印象だった。

▲ レンズブラーがマルチコアに対応している様で、コア数の多い寺村氏所有機の方が圧倒する結果に。クロマキー処理はマルチスレッドの効果が低い様で、シングル性能の高いX13の方が計算が早いという結果になった。

【Point2】
GPUはエントリークラスながら
出先でもGPUレンダリングの恩恵が受けられる

また、NVIDIA® GeForce® GTX 1650(専用ビデオメモリ GDDR6 4GB)はエントリーモデルであることから、OctaneBench 2020におけるROG Flow X13 GV301QHの結果は74,27だった。ただ、性能こそ限られるもののCUDAコアを搭載しているおかげで「GPUレンダリングはできた」(寺村氏)とのこと。寺村氏が普段サブ機として使っているMacBook ProではそもそもGPUレンダリング自体が実行できないことから、「相手先でもGPUレンダリングしたビジュアルを見せられる」という意味では「非常にありがたい」と感じたそうだ。



【Point3】
ゲーミングPC特有の「尖った雰囲気がない」点が好印象!
13.4インチなので持ち運びが非常に楽

次に、スペック以外の装備や利便性などについて見てみると、寺村氏がまず気に入ったのはディスプレイサイズを含めた「サイズ感」。寺村氏は以前から、CGを扱うのであれば「最低でも15インチは必要」と思っており、13インチ前後の製品には「少し抵抗があった」という。しかし、実際にROG Flow X13 GV301QHを使ってみると、むしろコンパクトなサイズ感から「持ち運びが非常に楽である」ことを痛感。打ち合わせ時はHDMIで外部ディスプレイに接続することがほとんどであるため、「このサイズで十分」と思い直したそうだ。

筐体のデザインについても、ROG Flow X13 GV301QHは従来のゲーミングPC特有の尖った雰囲気がない点が好印象。ソアズロックのクライアントは非エンタメ領域の企業が多いことから、ビジネスの場で「信頼感を欠く要素は出来る限り減らしたい」(寺村氏)と考えている。そのため、シンプルかつ無駄の無い筐体デザインは「ビジネスでも十分に活用できる」と評価した。

このほかにも、ゲーミングノートPC用とは思えないほど小型でモビリティ性が高いType-Cポート経由での充電が可能なACアダプターや、別売りのASUS Penを購入すれば、スタイラスペンを利用した入力にも対応するタッチ対応ディスプレイ、暗いスタジオ内での作業にとても役立つバックライト搭載キーボードに注目し、実務を踏まえた使い勝手の良さを実感。さらに、CGデザイナー目線で4K解像度のディスプレイにも着目し、「カスタムでボタンなどたくさん配置したCGソフトのUIも、これならそのまま使える」と笑みを浮かべた。

次ページからはいよいよ、外付けGPUとの組み合わせによるパフォーマンス検証の結果を紹介したい。

次ページ:
<検証2> GeForce RTX 30シリーズを搭載外付けGPUの実力検証

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<検証2>
GeForce RTX 30 シリーズ ノート PC究極、登場!
外付けGPU「ROG XG Mobile GC31」の実力は?

ROG XG Mobile GC31は、超小型ボディにNVIDIA® GeForce RTX™ 3080 Laptop GPU(専用ビデオメモリ GDDR6 16GB)を搭載する、ROG Flow X13 GV301QH向けの外付けGPUである。GDDR6 16GBのビデオメモリを搭載し、負荷の高いクリエイティブな作業にもしっかり対応できる点が大きな魅力の1つ。さらに、最新の「NVIDIA Ampere アーキテクチャ」を採用することで、従来のGeForce RTX 20シリーズよりも最大で約2倍高速になったほか、同じ電力で最大2倍のパフォーマンスを実現する「NVIDIA DLSS」や、AIでCPU、GPU、GPUメモリ間の電力バランスを最適化して最大限のパフォーマンスを得る「Dynamic Boost 2.0」などにも対応する。

検証機「ROG XG Mobile GC31」

こちらの検証では、寺村氏のメインマシンとROG Flow X13 GV301QH+ROG XG Mobile GC31で比較。ROG Flow X13 GV301QHの検証と同様に、「OctaneBench 2020」やCinema 4D+RedshiftでGPU性能をチェックした。

OctaneBench 2020の結果を見ると、ROG Flow X13 GV301QHだけでは74.27だったのに対して、ROG XG Mobile GC31が追加されると417.66に大幅アップ。さらに、NVIDIA® GeForce® RTX 2080 Ti×2基を搭載する寺村氏のメインマシンには及ばなかったものの、NVIDIA® GeForce® RTX 2080 Ti×1基の場合であれば大きく上回る結果に。サンプルシーンを用いた、Cinema 4D+ RedshiftによるGPUレンダリングにおいても、NVIDIA® GeForce® RTX 2080 Ti×1基と同じ1フレ22秒を記録した。

【Point4】
Octane Render、Redshiftレンダリングスピードテスト

そもそも寺村氏は、ROG XG Mobile GC31がラップトップ用のGPUを採用していることから「あまり大きな期待はしていなかった」が今回の結果は「さすがに衝撃的だった」と吐露する。実際、これまでの外付けGPUはPCとの接続にThunderboltを利用するため、搭載GPUの性能を出し切れないケースもあった。
しかし、ROG XG Mobile GC31は高速なPCI Express 3.0×8の専用コネクタを採用することで、従来の外付けGPUよりも圧倒的に高い性能を発揮。ノートPC+外付けGPUとはいえ、高性能なデスクトップPCに引けを取らない性能を見せたことに寺村氏は今回一番の驚きを感じたとともに、ASUSの技術力の高さに感心しきりだった。



【Point5】
専用コネクタへのロック機構追加でトラブルを未然に防ぐ安心感が◎

パフォーマンス以外の部分でも、寺村氏はいくつかの評価ポイントを挙げる。1つ目は、非常にコンパクトなサイズ感。既存の外付けGPUはサイズの大きいものが多いだけに、このサイズ感であればROG Flow X13 GV301QH とROG XG Mobile GC31を一緒に持ち出し、出先で作業するのも「十分にあり」と寺村氏は考える。

2つ目は、充実した「インターフェイス」。GPUの描画性能だけでなく、拡張性まで向上する点は大きなメリットになる。ドッキングステーションのように使えば、ケーブル一本で外付けディスプレイや有線LAN、外付けストレージなどを簡単に着脱できるようになるのが便利だ。

▲製品寸法は幅208mm×奥行き155mm×高さ29.6mm。電源ひとつでPCと本機へ電源供給が可能だ。外部ディスプレイ出力:DisplayPort×1、HDMI×1、USBポート:USB3.2 (Type-A/Gen1)×4、カードリーダー:SDXCメモリーカード、SDHCメモリーカード、SDメモリーカードと多彩なインターフェースも魅力

そして3つ目は、先ほど触れたROG Flow X13 GV301QHとの接続方法について。専用コネクタでは汎用性こそ失われるが、その代わりにロック機構を追加することで「利用中にコネクタが外れてしまう」といったトラブルを未然に防止している点に寺村氏は注目。作業中にGPUが抜けてしまうと大きなトラブルにつながる可能性もあるだけに、「安心感が高まるこの仕組みでむしろ良かった」と印象の変化を語った。

一方で、寺村氏は利用時に気になった課題点も言及。ROG Flow X13 GV301QH では、「メモリの最大容量が32GBでは少し物足りない」「ノングレア(非光沢)の液晶も選択肢として欲しい」などを指摘した。ROG XG Mobile GC31については、接続ケーブルが短い点を挙げるとともに、それが原因でROG XG Mobile GC31の置き方が限定されやすいことを指摘。さらに、その影響で「排熱ダクトがPC側を向いてしまう可能性が高い」(寺村氏)ことから、今後のモデルでの改善を期待した。

検証を終えて



外付けGPUとノートの組み合わせで、メイン機とサブ機の融合することが現実的に。 総合的なコストや手間の削減に期待ができる

今回の検証で寺村氏が実感したのは、ROG Flow X13 GV301QHとROG XG Mobile GC31の優れたパフォーマンスとともに、セットでの持ち運びも十分可能なコンパクトさだ。従来であればメインマシンとモバイル用のサブマシンを別々運用していたが、ROG Flow X13 GV301QH+ROG XG Mobile GC31であれば、高いモビリティを兼ね備えながら「プロクリエイターの映像制作にもしっかり対応できるパフォーマンスを発揮する」と満足度は高い。

さらに、コスト面でのメリットにも注目。仮にメインとサブの2台で運用する場合、筐体の購入コストはもちろんのこと、ソフトウェアやプライグインのライセンス料も基本的には2台分必要となるわけだが、もし1台にまとめられれば「総合的なコストはかなり抑えられるはず」と寺村氏は算段する。さらに、ライセンスの更新手続きやデータの整理・集約などの手間も踏まえれば、使い勝手の向上にもひと役買ってくれることは間違いない。

またROG Flow X13 GV301QH+ROG XG Mobile GC31なら、テレワークや出張時にも社内とそん色ないスペックで作業できるのが魅力的。メインとサブのマシンを1台で運用することは決して夢物語でなく、ライフスタイルの変化も含めて「かなり現実的な段階まで来ている」と寺村氏は結論付けた。

問い合わせ



ROG Flow X13 & ROG XG Mobileの製品購入ページ
https://tinyurl.com/shbx4bx2