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NVIDIA RTX30シリーズのGPUを搭載したハイパフォーマンスなゲーミングノートPC「Razer Blade 15 Advanced」は、開発シーンやビジネスの現場でどのように活用できるのか?今回はxR技術を用いた医療向けサービスを展開するHoloeyesの代表・谷口直嗣氏に、本機の性能を検証してもらった。

TEXT _神山大輝(NINE GATE STUDIO
PHOTO _弘田 充


CGのR&D分野から医療分野へ
VR機器を用いた医療向けサービスとは

CGWORLD(以下、C) :まずは自己紹介をお願いいたします。

谷口氏(以下、谷口) :Holoeyes CEO,CTOの谷口と申します。弊社はVR技術を用いた医療向けサービスを提供しており、医療用画像を3DCGでビジュアライズする医療機器版の「Holoeyes MD」、非医療機器版の「HoloeyesXR」、遠隔VRカンファレンスサービスの「Holoeyes VS」、医療学習のプラットフォーム「Holoeyes Edu」という4種類のサービスを展開しています。また、女子美術大学メディア表現領域でゲームのつくり方を指導する立場でもあります。コンセプトやストーリーのつくり方から、Unityによる実装の技術的サポートまで、トータルで学生の指導をしています。

C :キャリアとしては、もともと3DCG開発が専門だったのでしょうか。

谷口 :大学時代は物理や流体力学などのシミュレーションを研究しており、新卒で日本総合研究所に入社しました。そこでシステム開発に携わったあと、その後CGスタジオに転職し、インハウスツールを研究開発するチームでシミュレーション関係やエフェクト周りのツールを開発していました。その後、Nintendo 64のゲームのプロジェクトに声を掛けてもらい、そこからはフリーランスとしてゲームの企画などを手掛けていました。その後、「セカイカメラ」という拡張現実を題材にしたツールの開発を手掛ける会社に入りまして、そこでAR/VRのビジネス転用の可能性を感じて、現在に至ります。

C :現在の事業内容や直近の研究開発について教えてください。

谷口 :弊社の展開するHoloeyes XRですが、こちらはCTスキャンやRt(放射線治療)の三次元モデルをHoloLens 2、Oculus Quest 2やPCベースのVRであるWindows Mixed Realityで3D VR表示するためのツールです。患者の骨や血管を三次元で確認し、解剖をイメージしやすくすることで、手術前のディスカッションに用いることもできます。また、スマホ用アプリもあり、こちらは医学部生や看護学生に向けた学習用のプラットフォームとして活用されています。

Holoeyesアプリレビュー動画

C :従来も病院では3Dワークステーションなどが活用されていたかと思いますが、Holoeyes XRで確認できるメリットなどを教えてください。

谷口 :もともとDICOMビューア(医療画像ビューア)で三次元的にCTを見たり、ボリュームを測ったりするアプリケーションは存在していました。今までも三次元構築というものはやられていて、それを3Dプリンタで出力して形状確認を行うなどの手法も行われています。ただ、3Dプリンタベースだと、コストも掛かりますし、物理的な場所も取ります。我々の手法では、VRを用いることで対象を複数人で確認したり、拡大/縮小表示をしたり、デジタルデータである利点としてクラウドに症例を保存するなどが可能になります。手術は体の内部を全て見る事が出来ない事も多いですから、今のところ医師の経験や技術によるところが大きく、どのくらい切り進めたら血管が見えて、どこに腫瘍があるかなどはビジュアル化しないと理解がしづらい点でもありました。これをVR上で確認できることで、医学部生などへのエデュケーションにも役立てることができます。

C :3DCGの研究開発分野から医療分野への転向は困難もあったかと思いますが、知識面はどのように補ったのでしょうか。

谷口 :共同創業者の杉本真樹さんは医師の方ですから、お話した中で分からない単語などがあれば都度調べて、といった具合で。だんだん医師の方との繋がりも出来てきて、会話の機会が増えると、さらに分からない単語なども出てくるので、それも調べて...と、ほとんど自学自習に近いかたちで行っています。また、病状や手術名などを英語で調べれば手術動画もWeb上で確認することができますので、そういったところから知識を吸収しています。

可搬性が高くハイエンド!
ビジネス用途としても使えるゲーミングPC

C :今回、Razer Blade 15 Advancedをどのようにお使いになったのか、教えてください。

谷口 :はい。今回は弊社のHoloeyes XRを題材にして、実際の現場で問題なく使用ができるかを確認しました。医療現場で用いるほかにも、例えば我々のサービスを病院に知って頂く際、病院関係者や代理店にデモンストレーションを行うのですが、そういったケースも想定してチェックを行っています。

C :デモンストレーションとは、具体的にどういったことを行うのでしょうか。

谷口 :弊社サービスは医療機器の販売店に売っていただいています。ですから、新しい代理店の方にお見せする時は、実際にVRヘッドセットを被ってもらい、動作をチェックいただきます。コロナ禍の影響もあり現在はなかなか病院に直接お伺いしてデモをお見せする機会は減りましたが、本来であれば病院内でデモを行うこともあります。また、これも現在は情勢的に減っていますが、以前は海外でのカンファレンスでの発表の機会なども多かったため、可搬性に優れていてさらにハイエンドなノートPCというのがマストでした。実は従来使っていたマシンも昨年購入したRazer PCでして、RTX2070搭載の高いスペックだけでなくオプティカルキーボードでタッチ感がよく、デザイン性にも優れているので、大変気に入って使用させていただいています。

HoloLensを使用することで実際の自分の視界にCGモデルを映し出すことが出来る

C :既にRazer PCを現場で導入されていたのですね。改めて、今回ご検証頂いた「Razer Blade 15 Advanced」について、ファーストインプレッションはいかがでしたでしょうか。

谷口 :非常に良いですね。弊社のVRアプリを使うにはVR Readyであることが必須ですが、RTX3080搭載ということで申し分ない性能でした。VRの場合は両眼とPCディスプレイ、それぞれ3回リアルタイムにレンダリングを行うのですが、これは非常にGPU負荷が高いです。今回使用した印象では、まったく問題なく動作していました。それでいて他のゲーミングPCと比較するとコンパクトなのも特徴的だと思います。廃熱処理も、以前の機種と比べると効率化されている印象で、ファンのうるささやバッテリー持ちなどは年々良くなっているという印象があります。

  • モデル
  • Razer Blade Advanced 15
    型番:RZ09-0367CJ53-R3J1
  • CPU
  • Intel Core™ i7-10875H プロセッサー
    8コア/16スレッド
  • GPU
  • NVIDIA® GeForce® RTX 3080
  • メモリ
  • 32GB以上
  • ストレージ
  • SSD 1TB
  • ディスプレイ
  • 4Kタッチディスプレイ

C :本機はゲーミングPCという位置付けですが、病院などの現場でも充分に扱えるものでしたでしょうか。

谷口 :はい。スペック面はもちろん、デザイン面で見ても、病院などの現場で使用するマシンとして問題がない見た目だと思っています。ゲーミングPCというと光ったり、少し落ち着かない印象のデザインだと認識している方も多いと思いますが、Razer Blade 15 Advancedはシュッとしたデザインで大変好印象です。余談ですが、子供たちが集まるイベントで使用したときも「PCが格好良かった!」と、背面のヘビのロゴが子供たちに大人気でした(笑)。

C :ありがとうございます。Holoeyes XRで、特に処理負荷が重くなりがちな作業などがあれば教えてください。また、高負荷な処理中もfps値などには影響がありませんでしたか?

谷口 :Holoeyes XRは、例えば頭蓋骨や脳、動脈と静脈、腫瘍の場所などをすべて3DCGで表示し、これらの表示をON/OFFしたり、断面で見ることも可能です。また、モデルとして確認するだけでなく、実際のCT画像を並べて確認することもできます。いずれもリアルタイムベースなのでGPU負荷は高いですが、中でも重い作業は複雑な血管・骨の描画ですね。シーンデータ自体は400MBほどと軽量化していますが、実際のパフォーマンスとしては1年前に自分で買ったRazer PCでも動作自体はできていました。ただ、大きな違いは本機では本体ディスプレイが4K解像度ということで、ヘッドマウントディスプレイを装着していない我々も非常に綺麗にモニタリングができたという点が大変良かったです。

【左】頭蓋骨表示ONの状態【右】頭蓋骨表示OFFにすると脳、血管などが見える
【左】さらに脳の表示をOFFにし、血管のみを表示【右】断面を表示することで手前の血管が見えなくなり、緑色の腫瘍が確認できる

C :御社での運用がノートPCを主体としている理由はどういったところにあるのでしょうか。また、2台続けてRazerマシンをお使いになっている理由を教えてください。

谷口 :もちろんデスクトップPCも社内にはありますし、ノートPCとデータが共有されて開発環境的にも同じようになっています。ただ、デモで使うなら、可搬性の高いモデルでないといけません。海外に持って行く場合もデスクトップPCはコストが高いです。オフィスの外でも、カンファレンス講演やデモをするだけでなく、Unityを複数立ち上げてプロトタイプをつくったり、講演中にメモを取ったり、ブラウザをタブをたくさん開きっぱなしにしたりと、用途はいろいろあります。つまり、GPUだけでなくメモリやCPUも高いレベルでまとまっている機種である必要があって、その点で言うとRazerはVR READYのマシンでスペック構成がよく、デザイン性も優れているのが利点です。ゲーミングPCは総じて高いスペックを実現していますが、その中でもビジネス用途でも使える仕様なのが魅力です。

C :ありがとうございました。

問い合わせ先

Razer Inc.
公式サイト:www2.razer.com/jp-jp
メールアドレス:contact-japan@razer.com
お問い合わせフォーム:mysupport-jp.razer.com/