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今年で3回目を迎えた「KLab Creative Fes'17」(以下 KCF'17)。モバイルオンラインゲーム大手のKLabが主催する、静止画・動画2部門で日本一の学生3DCGアーティストを決定するコンテストだ。本年度は8月5日に本選を実施、予選を通過した才能あふれる若手8組による熱いプレゼンテーションが行われた。 初開催となった2015年度は211名だったエントリー数も、第3回目となる本年度は318名に増加。当日の観覧希望者数も326名まで増加した。また、応募作品のレベルについても、審査員を務めたCGWORLDでもおなじみのトップクリエイター達が「過去最高レベルの技術水準。国内で最もレベルの高いCGコンテストだ」と口を揃えるなど、充実の内容となった。

本記事ではそんな質・量ともに国内有数の学生3DCGコンテストとなった本イベントをKLabがなぜ開催しているのか、同社の考えるクリエイティブ像とは何かを迫るため、社内のキーマンに話を聞いた。

▲【左】作品の講評を行う審査員の皆さん。アート性やエンタテインメント性の観点から応募作品に対して熱心な講評がなされた。写真は左から松山 洋氏(サイバーコネクトツー)、早野海兵氏(画龍)、北田栄二氏(ModelingCafe)、田島光二氏(Double Negative Visual Effects)【右】コンテスト以外にも、審査員による講演も行われた。写真は田島氏によるライブペイント『魅せるコンセプトアートの作り方』の模様だ

※写真【左】及び本記事のメイン写真はKLab様よりご提供いただきました

▲イベント当日は、プレゼンテーションや講演だけではなく、昨年受賞した作品の展示も行われた。【左】KCF'16静止画部門グランプリ受賞者クレメンス・ベルガー氏によるポートフォリオアドバイス会の様子。【右】モーションキャプチャ、VRの体験コーナーも用意された。KLab社員の「自分達の手でイベントを盛り上げたい」という意気込みが伝わってくる

KLab Creative Fesの開催を通じ、もっともっとCG業界を盛り上げたい

日本一の学生3DCGアーティストを決定する目的で、2015年からスタートしたKCF。その開催意図についてKLabアートディレクターの早川研次氏は開口一番「微力ながら弊社がコンテストを主催することで、業界の活性化に貢献したい。学生にとっても世界に羽ばたく登竜門になればいい」と語った。

  • 早川研次氏
    (クリエイティブ部アートディレクター)


    Webの受託企業を経て2001年に入社。同社の創業時を知る数少ない社員の一人で、ゲーム事業にも初期段階から参加。現在はアートディレクションの傍ら、管理業務も行っている。

フィーチャーフォン向けのソーシャルゲーム開発を軸に急成長した同社。スマホゲームのネイティブアプリが中心になるにつれて、3DCGアーティストの中途採用や新卒採用も始まった。その過程で大学や専門学校にヒアリングを進めるうちに、「学生向けの3DCGコンテストが少ない」という課題が浮かび上がってきたのだという。そこで、新たな才能の発掘や、CG・映像業界の活性化という意味において、「学生向けの3DCGコンテスト」が必要だと考え、会社全体の取り組みとして実施するに至ったという。グラフィックに早い段階から力を入れていた同社だからこそできた取り組みだ。
初年度から非常にレベルの高い作品ばかりが集まった同コンテストだったが、本年度の傾向に挙げられたのが「作品の多様性」だ。動画部門の入賞作品はその傾向が顕著で、洋画のトレーラーを思わせる『THE SEABED』に、2Dアクションゲームを彷彿とさせる『鬼の手』、そしてミュージックビデオのような『Our PALACE』と三者三様。早川氏は「ただフォトリアルに、立体的に見せるだけでなく、さまざまな見せ方や広がりが出てきた」と評価。また、総じて音楽をベースに映像をあわせるような作品が多く見られたのも印象的だったという。

▲ 動画部門 最優秀賞『THE SEABED』(今川真史さん/京都造形芸術大学)
ミッション中の深海探査船を外骨格をまとった鯨風の巨大生物が襲うという、洋画のトレーラーを思わせる内容で、審査員の満場一致で最優秀賞となった。中でも田島氏は北米のCGスタジオに所属するアーティスト級だと絶賛。MARIやNukeなどの最新ツールを駆使しつつ、3~4ヶ月という短期間で制作された点も高く評価された

▲ 動画部門 2位・特別賞 鬼の手(土橋京侑さん/東北芸術工科大学)
岩手県の伝記をもとにした、3DCGと2Dを組み合わせた絵巻物風アニメーションで、「目的と手段が一致している」と松山氏が高く評価。墨絵風の表現をベースに、水平方向に物語が進行する絵巻の特徴をいかしたストーリー展開、小気味よいアニメーションなどが評価された。

「応募者の多様性」が進んだのも今年の特徴だったといえるだろう。『Our PALACE』を制作した澤田広夢氏を筆頭に、高校生の応募者が見られたのが好例だ。「PCやツールが安価になってきて、3DCGのすそ野が広がってきた。すそ野が広がると、同時にクオリティも上がっていく」(早川氏)。今年はまた、専門学校からの募集も増えたのだという。中にはKCF'17への応募を積極的に奨励する学校も見られるようになった。早川氏は今後も募集数を伸ばしていくことで、コンテストを盛り上げていきたいと抱負を語った。

  • 大塚 純氏
    (クリエイティブ部 グループマネージャー)


    コンシューマ系のゲーム会社を経て2012年に入社。3DCGアーティストとして主に演出部分などを担当しつつ、グループマネージャーとして約30名のチームを率いている。

最後に上げられたのが「プロフェッショナルレベルの最新技術の導入」だ。Substance PainterやMARIなど、CG制作で使用される最先端のツールを駆使した作品が増加。中には学校で教わらずに、独学でWebサイトを見ながら使用法をマスターした学生も少なくないという。建築分野から3DCGに進んだ大塚純氏は、静止画作品で観察力に優れたものが多く、驚かされたとも述べた。「自分が新人研修で上司から厳しく指摘されたのが観察力の重要性。入賞作では皆さん、これがしっかり身についていたと思います」(大塚氏)

▲制止画部門 最優秀賞『Finding the Music』(アゼベド・ブチェック・ロドリゴさん/ECCコンピュータ専門学校)
ブラジルの留学生による作品で、短期間でフォトリアルな静止画を作成することを目標に、独自で最新技術の情報を収集して制作された。使用ツールはSubstance、Mayaなどで、紙くずは自然な形状になるように、nclothでシミュレーションを繰り返して制作されている。投射されている影は、画面外に窓枠をモデリングし、実際にライティングして作られている。


▲ 制止画部門 2位『workplace』(中川 祐さん/デジタルハリウッド大学)
自分の作業机を正確に再現しようと試みた作品。3Dスキャナを活用しながら、個々のアイテムのサイズはもとより、材質や光源のワット数、色温度まで全て忠実することを目標に制作された。「正しい画を効率的に制作するための一連の流れが、プロダクションで実際に行われている工程と一致している」と早野氏が講評した。

「君の作ってるそれ、案外凄いかも」の真意とは?


今後もますます期待がかかるKCF。もっともKLabの主業務はコンテストではなく、あくまでモバイルゲームの開発と運営だ。それでは、コンテストの運営とモバイルゲーム開発はどのように関連するのだろうか。

  • 飯塚昂平氏
    (クリエイティブ部 アートディレクター)


    フィーチャーフォン時代からソーシャルゲーム開発にかかわり、2012年に入社。アートディレクターとしてタイトルの立ち上げに参加する一方、イラストレーターの採用なども担当している。

アートディレクターの飯塚昂平氏は「コンテストを通して、KLabがコンテンツのクオリティにこだわる会社であること。そしてコンテストの審査と同じくらい、クリエイターに対して適切な評価ができる会社であることをアピールしたいですね。今でも業界では卓越したスキルを持っているにもかかわらず、正当な評価を受けないまま、埋もれている人材がたくさんいます。」(飯塚氏)。KCFの開催には、こうした現状に一石を投じると共に、 まだ地方などに埋もれている陽の目を見ていないクリエイターを発掘したいという思いもあるそうだ。「君の作ってるそれ、案外凄いかも」というコンテストのキャッチコピーの通り、評価される場・技術力アップの目標となる場が増えることで、クリエイターはもっと輝けるというわけだ。

▲ 動画部門3位『Our PALACE』(澤田広夢さん/宮城県石巻高等学校) 音楽(EDM=エレクトロニック・ダンス・ミュージック)と映像を連動させた作品。高校生ながらAfter Effectsのエクスプレッションを駆使し、効率的にモーショングラフィックスを作成するなどの工夫が光った。尺は短かったが、映像とサウンドの融合が評価された。
※澤田さんが手がけるその他作品についてはこちら http://nate.work/

同社では「技術や市場のトレンドはどんどん変化していく。さまざまな技術や志向をもった人を歓迎したい」という。飯塚氏は「フォトリアル志向のアーティストも歓迎です。大切なのはコンテストと同様に、制約条件の中で常にクオリティを極めようとする姿勢です」と説明した。

  • 中根良樹氏
    (執行役員 クリエイティブ部 部長)


    エンジニアとして2005年に入社。開発部門のマネジメント等を担当の後、現在はゲーム事業の人員アサインマネジメント、及びクリエイティブの組織マネジメントを行っている。

同社では他社IPを活用したゲームを主軸としつつも、現在オリジナルIPのゲームを開発中だ。「オリジナルIPを育てて、それを柱に事業を展開していくことは、非常に重要だと思っています。クリエイターの立場から、会社の動きを後押ししていきたいですね」(飯塚氏)。執行役員の中根良樹氏も「基盤となる技術はどんどん変化していきます。それらを常にキャッチアップしつつ、クリエイターが尖った才能を尖ったまま成長していけるような環境をめざしています」と語った。


▲ 制止画部門 3位『Amblypygi(ウデムシ)』(長谷川拓海さん/京都造形芸術大学))
CGメイキングに関する解説もそこそこに、自らの虫に対する熱い思いを表現したプレゼンテーションで注目をさらった作品。世界に70種類いる「ウデムシ」の、それぞれのパーツを組み合わせて71種類目の新種を作るというコンセプトで、将来は「虫マニア」という軸を生かしたCGの仕事がしたいと語られた。

最後にKCFの今後について聞いたところ「学生だけでなくプロにまで参加枠を広げたい。動画や静止画だけでなく、さまざまなジャンルへの展開や、外国からの参加も促していきたい」(早川氏)という答えが返ってきた。
審査員の皆さんもイベント終了後、「KCFは学生達にとって、作品づくりのマイルストーンになっている。国内の技術レベル向上のためにも、今後の開催が楽しみだ」と、口々に期待をにじませていた。KCFのようなコンテストを主催する企業は他に例がない。この点でも注目に値する企業だと言えそうだ。

現在、同社オリジナルIP制作を含めたクリエイティブ人材を募集している。気になった方はぜひ求人情報をチェックしてもらいたい!

TEXT_小野憲史
PHOTO_弘田 充

■求人情報
KLabでは現在下記職種を募集中です。

①クリエイティブディレクター (東京本社、大阪事業所)
②UI/UXデザイナー (東京本社、大阪事業所)
③3DCGクリエイター (東京本社、大阪事業所)
④3DCGクリエイターリーダー (東京本社)
⑤イラストレーター (東京本社、大阪事業所、福岡事業所)
⑥背景デザイナー !(東京本社)
⑦『うたの☆プリンスさまっ♪ Shining Live』イラストレーター(東京本社)
⑧制作進行管理者 (東京本社)
⑨日中バイリンガル3DCG品質管理者 (東京本社)
⑩衣装デザイナー (東京本社、大阪事業所、福岡事業所)
⑪3Dキャラクターモデラ― (東京本社)
⑫新規大型オリジナルIP案件 3DCGクリエイター (大阪事業所)

■給与・待遇
・親睦会補助金制度
・サービスイン補助金制度
・「森美術館」無料入館制度
・PoS制度 (※1)
・従業員持株会制度 (※2)
・スマートフォン購入補助金制度 (※3)
・育休後復帰支援制度 (※3)
・海外要員公募制度 (※3)
・昇給年1回、賞与年2回 (※3)
・確定拠出年金 (※3)
・サークル活動支援金
・交通費全額支給
・社会保険完備
・関東ITソフトウェア健康保険組合の保養施設、スポーツ施設利用可
・メンタルヘルスケア(EAP)、産業医
・詳細:http://www.klab.com/jp/recruit/rule/

※1: 社員が提案した新規事業を子会社化する制度
※2: 契約社員の方は1年以上の勤務経験後に加入可
※3: 正社員の方が対象