Houdini 14 のリリースからわずか 9ヶ月のタイミングで、Side Effects Software はHoudini 15のリリースを発表した。
この新しいバージョンでは、オニオンスキニング機能や新しいシェーダ構築ツール、群集ラグドール機能、 Houdini Engine 2.0 などを搭載、 大規模データを扱う際の VFX ツールの高速化と拡張性や効率性の向上を実現するとともに、 CG 制作全般に携わるアーティストやアニメータ、ライティング アーティスト、ゲーム制作者のニーズに則した、 モデリング、レンダリング、アニメーションツールの強化を実現している。

「今回のリリースで Side Effects は、 Houdini のモデリング、レンダリング、アニメーションの各ツール群を、 その VFX ツールのレベルにまで引き上げるべく懸命に取り組んできました」
Side Effects Software の社長兼最高経営責任者である Kim Davidson は語る。
「プロシージャル手法を用いてコンテンツ制作を行うゲーム制作スタジオや、アーティストにとっての操作性に優れたツールをお探しのコマーシャル制作スタジオの方々に、 Houdini 15 はバランスのとれたソリューションを提供いたします。」

モデリング
Houdini は従来、強力なプロシージャル モデリング機能を提供してきたが、ワークフローのインタラクティブ性に向上の余地が残されていた。
Houdini 14 そして今回の 15 での機能強化により、ツィーク編集ワークフローやエッジスライド、ソフト選択のハイライト表示、 PolyBridge ノードや PolyExpand 2D ノードなどの新しいツールを用いたビューポート内での直感的なモデリング作業が可能となった。
高解像度モデルを扱う作業では、新しいリトポツールにより、高解像度ジオメトリ上に低解像度ジオメトリをスケッチして構築することが容易に可能である。


新 PolyExtrude (突き出し) へのカーブ入力

レンダリング
Houdini 15 のレンダリングは、チェックポイント機能やレンダービューへのフィードバックなど、Mantra レンダラの改善により、 さらなる高速化と質感向上を実現している。
新しいシェーダ ライブラリや Shader FX 2.0 によるメニューの改変、レイヤードマテリアル、トゥーンシェーダ等により、シェーダ構築機能も強化された。 また Houdini 15 には、ディズニー社による物理学に基づく Principled シェーダが搭載、 最低限のコントロールでアーティスティックな自由度を維持できるように設計されている。
さらに、 Houdini 15 のシェーダ構築ツールで使用可能な [PBR 対応テクスチャ ライブラリ] を sidefx.com から無償でダウンロード可能である。

新しいマテリアルとテクスチャ

マテリアルスタイルシートで実作業に即したワークフローを構築し、Alembic ファイルやパックジオメトリに対応したマテリアルオーバーライドの作成と管理が行える。 テクスチャのランダム化やマテリアルの設定に差分を加えることで、群集エージェントのように類似したアイテムの集合体に、別々の見た目を簡単に設定することが可能だ。

RenderMan 20
Houdini 15 では、 RenderMan 20 と RIS シェーディングのサポートが完全に統合されている。RIS シェーダは RIS Shader Network SHOP で使用でき、 Houdini の VOP コンテキストが RIS シェーダを構築する OSL 対応のネイティブ環境を提供する。
「Pixar と Side Effects は、ライティング・アーティストにとって最高の経験の開発に共同で取り組んできました。」
ピクサー・アニメーション・スタジオの RenderMan ビジネスディレクタである Chris Ford 氏は語る。
「Houdini 15 に装備されたインタラクティブなシェーダ構築ツールにより、アーティストは望み通りのルックを簡単に実現することが可能になりました。」
Houdini 15 には、RenderMan BxDF 、 Pattern 、 Integrator RIS シェーダの他、 RIS ライトシェーダ、 Camera、 Light Probe 、 Rolling Shutter RIS プロジェクション等のシェーダなどが完全搭載された。
さらに、新しい RIS レンダーノードにより、 RIB および RIS レンダーノードが、それぞれのモードに固有のよりクリーンなインターフェースを提供する。


Houdini での RenderMan シェーダ作成

アニメーション

  • Houdini 15では、これまで以上に優れたアニメーション ワークフローを実現している。オニオンスキニングやポーズライブラリパネル、改良された キャラクタ選択パネル、ドープシートの強化などにより、キャラクタのポーズ作成やキーフレーム アニメーションがより簡単に行える。新たに内蔵された女性と男性のサンプルキャラクターは軽量なコントロールリグ付きで、Houdini のアニメーションツールへの理解を深めるのに効果的だ。
    さらに Houdini 15では Dual Quaternion がサポートされ、ねじれたジオメトリのデフォメーションに対応し、ボリュームの損失を防ぐことができる。

ゲーム制作への Houdini
Houdini 15 におけるモデリング機能の向上は、 Houdini で Unity や Unreal などのゲーム エディタ用のプロシージャル アセットを構築するゲーム アーティストにとって特に有効である。 PolyExpand2D ツールは直交する骨組の演算を容易にし、道路作成などに適している。
さらに、テクスチャ ベイク機能の強化、ビューポートで UDIM テクスチャ、ワールド空間法線マップ、 UV メッシュ境界およびオーバーラップした UV 領域の描画がサポートされる。
ゲーム制作において、接線空間法線マップのインポート / エクスポートや、バンプ マップやディスプレースメント マップの法線マップへの変換ができるようになった。

群集ラグドール
Houdini 15 の群集ツールには、Ragdoll ダイナミクスが追加され、さらに、腕や脚の切断オプション、ファジーロジックの搭載、 群集ビヘイビアの向上が図られている。
マテリアルやジオメトリのバリエーション設定がより簡単に行え、新たに追加されたツールにより、目的地を明確に設定することができる。 カメラをエージェントの頭部に取り付け、エージェントの視点からシーンを表示する Agent Cam 機能も新たに搭載されている。


群衆へのマテリアルスタイルシート

VFX 分散処理
Houdini 15 は、 VFX アーティストの生産性を向上させ、より大規模でよりダイナミックなエフェクトの作成を可能にする。 新適応型 PBD により、衝突に関連するパーティクルのみに限定した粒子シミュレーションが行える。 Lava (溶岩) 、 Melt Object (溶融オブジェクト) 、 Emit Steam (蒸気) など、新たに追加された粘性流体ツールにより、 そのまま実戦投入可能なツールが追加されている。
流体シミュレーションや PBD シミュレーションは、ファーム上の複数ノードで分散処理し、 スケールのより大きなシミュレーションの作成、管理が可能となった。 この分散型シミュレーションにより、アーティストは 1 台のコンピュータの性能を超えた作業が行え、レンダリング時に結果をシームレスに整合させることができる。 10 億以上のパーティクルの FLIP 流体シミュレーションも、簡単に達成可能だ。

H15 Distributed Simulations

Houdini Engine 2.0
Autodesk Maya や Cinema4D 、 Unreal Engine 4 、 Unity などの他のアプリケーションで作業を行うアーティストは、 Houdini Engine を使い、 Houdini デジタルアセットを使用しているアプリケーション内で開くことが可能だ。 Houdini がバックグラウンドで動作してアセット内のノードネットワークをクックし、その結果はホストアプリケーションのビューポートに送られる。
Houdini Engine 2.0 では、 API フロントエンドを演算バックエンドから分離するように設計され、 個々のホストでマルチセッションやマルチスレッドを使用することができ、ホストの安定化、ライブラリの不整合問題の解決により、統合性の向上を実現する。
フリーランス開発者の鈴木英樹氏はこのシンクライアント (thin client) 機能を活用し、 3DS Max のプラグインを完成させた。
3DS Max プラグイン コードの初版は、現在、 githubにてリリースされており、 数日中にコンパイルされたプラグインもリリースされる予定である。

Houdini Engine 2.0 ベースによる Autodesk 3ds Max プラグイン

Houdini 15 から、Maya プラグインでもランプパラメータのサポート、Unity プラグインではペイント入力機能をサポートなどの機能向上が図られた。 UE4® プラグインは引き続きベータテストを実施中だが、 2015 年の 11 月中旬頃リリースを予定している。

学習ツール
Houdini 15 の新機能を習得するために Side Effects はアーティスト向け速習チュートリアルと テクニカルディレクタ向けマスタークラスを用意している。日本語字幕は今後追加予定。

Crowd Agent Layering(Houdini 15 速習チュートリアル)

全機能リスト
以下のオンラインドキュメントでHoudini 15 の新機能および機能改善点の完全なリストが確認できる。
www.sidefx.jp ※各機能エリアのリストは現在日本語化中

■Side Effects Softwareについて
1987年に設立された Side Effects Software は、 映画、CM、ビデオゲームなどのための高度な3Dアニメーションや特殊効果のソフトウェアである Houdini の開発により世界的に確固たる地位を築き上げている。 Side Effects Software は、映画芸術科学協会(米アカデミー協会)より科学技術部門で過去に三度受賞している。
Houdini は、Blizzard Entertainment, Blue Sky Studios, Double Negative, DreamWorks Animation, Electronic Arts, Framestore, Guerrilla Games, Pixar Animation Studios, Sony Pictures Imageworks など、数多くの最先端デジタルコンテンツ制作現場で使用されている。

Sidefx.com(英語サイト):www.sidefx.com
Sidefx.jp(日本語サイト):sidefx.jp
Houdini:indyzone.jp/catalog

■インディゾーンについて
インディゾーンは、当初3次元グラフィックスワークステーションであるシリコングラフィックス(SGI)のワークステーションユーザーの為の周辺機器とサービスを行う会社として1996年5月に設立された。
現在、HP ワークステーションおよび Windows、Apple MacintoshベースのCGおよびノンリニア編集システムや各種映像装置の販売・保守を中心に、インターネット上のオンラインショップ及びWebコンテンツの制作業務を行っている。
近年では3DCGソフトであるカナダのSide Effects のHoudini日本国内総代理店やPixar Animation Studios のRenderManの正規国内販売店及び、英国The Foundry の3DコンポジットツールNukeの日本代理店をつとめ、クリエイターに人気の高い製品や立体視メガネやディスプレイといったVR(バーチャルリアリティ)製品などの販売を通じて業界内で確固たる地位を確立している。
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